実践真宗学研究科

高度な実践力・研究力を身につけた宗教的実践者を養成する
実践真宗学研究科は、浄土真宗に基礎をおきながらも、より開かれた立場において、高度な実践力・
研究力を身につけた宗教的実践者を養成するために設けられた研究科です。すでに修了生は、現代
社会の各分野で学修・研究で得た力を発揮し活躍しています。2014年度からは「臨床宗教師研修」
のプログラムもスタートしました。研修や実習の内容もさらに改善して充実させつつあります。
本研究科は3年制で、現代社会の諸問題、特に宗教的に課題となる問題について、より専門的・
実践的に把握分析し、それぞれの研究の具体的方向を見極めるためのカリキュラムを初年次に組んで
います。
また、実習を重要なカリキュラムとして位置付けており、院生は各自の研究分野や課題に沿って、
実習や実践的研究を組み立てることを原則としています。これまでの例からしても、その実習先は寺
院のみならず、病院や介護施設、被災地などの苦悩をかかえた人々も対象になっていますし、海外(ア
メリカ、韓国、インド、ドイツなど)に出かけて実習を行う学生もいます。
実践真宗学研究科長
深川 宣 暢
3年間の学修・研究を経て、宗教的・社会的実践に関心を持ち、宗教者として活き活きと活躍する
ための能動的な意志と情熱を持つことが望まれます。またすでに豊かな経験と生きた知識を有する社
会人の入学も、積極的に受け入れています。
修士論文または特定の課題についての研究成果
宗教実践演習Ⅲ
社会実践演習Ⅲ
宗教実践実習
社会実践実習
宗教実践演習Ⅱ
社会実践演習Ⅱ
宗教実践演習Ⅰ
社会実践演習Ⅰ
専門研究科目 宗教実践特殊研究
専門研究科目 社会実践特殊研究
《基礎研究科目》
実践真宗学総合演習Ⅰ・Ⅱ
3年
本格的な実習を行い、
3年間の
研究成果をまとめる。
2年
一人ひとりに
最適な実習プランを
本人、教員が一体となって
検討、決定する。
1年
社会の多様な問題を
認識し、研究の
方向性を定める。
「基礎研究科目」は、
〈宗教実践活動に関わる分野〉及び〈社会実践活動に関わる分野〉の専門的領域について、視野を広げ、理解を深めることを目的として開講します。そ
のために、異なった分野を専門研究領域とした複数の教員が担当する「実践真宗学総合演習Ⅰ」と「実践真宗学総合演習Ⅱ」を必修科目として位置づけています。また、高度
な研究を遂行するための学問的基盤を構築するために、
「実践真宗学研究」及び「真宗教義学研究」を必修科目として履修し、さらに選択必修科目群から、各自の問題意識に
沿った履修をすることで、総合的かつ融合的な研究を遂行するための基礎的学修をしていきます。
宗教的実践活動に関する基礎的な理論と方法を学ぶ。過去の歴史における具体的宗教的実践の形態を研究し、その本質を学ぶとともに、伝道
《宗教実践活動分野》 の現場での実習をふまえて、現代の情報化社会に対応するための新しい方法論と実践理論の構築を研究教育内容とします。
仏教がもつ縁起的生命観に基づく共生的社会を実現するために、人権・平和・環境など諸問題に関する幅広い教養を修得し、また具体的なビハー
《社会実践活動分野》 ラ、カウンセリング、ボランティア、NPO活動、矯正・保護等の現場実習をふまえた実践理論の構築を研究教育内容とします。
研究のポイント
全国初の 実践的 宗教教育
本研究科は寺院や宗教法人運営などにとどまらず、福祉や環境、精神的ケアやカウンセリングなど、より広い意味での社会実践の専門家を育成する大学院として、
先進的かつパイオニアにふさわしい責任ある取り組みを行っています。
修業年限3年の理由
実践真宗学研究科では、理論研究と実践実習の両方を確実に学修できるよう、3年を修業年限としています。現代社会が抱える様々な課題を捉え、自身の研究に
ついて方向性を定めます。そして専門性や実践力を養うために、自分に最適な実習プランを立て、実行するために3年間をかけて学修します。
完全オーダーメイドの実習プラン
院生の適性を踏まえ、ベストな実習計画を立てるために、教員と院生が納得のいくまで話し合い、一人ひとりオリジナルで効果的な実習を行う。これが本研究科の
特長のひとつです。
2
Ryukoku Graduate School of Practical Shin Buddhist Studies
2016年度 カリキュラム
分野
授
業
科 目
講
真宗人間論研究
真宗における「人間」理解
組織活動論研究
寺院活動の基本
布教伝道論研究
宗教儀礼論研究
宗教法人運営論研究Ⅰ
宗教法人運営論研究Ⅱ
宗教実践活動分野
宗教実践特殊研究(A)
宗教実践特殊研究(B)
宗教実践特殊研究(C)
宗教実践特殊研究(D)
宗教実践特殊研究(E)
宗教実践演習Ⅰ
宗教実践演習Ⅰ
宗教実践演習Ⅰ
宗教実践演習Ⅱ
宗教実践演習Ⅱ
宗教実践演習Ⅱ
宗教実践実習
宗教実践実習
宗教実践実習
宗教実践演習Ⅲ
宗教実践演習Ⅲ
宗教実践演習Ⅲ
メディア伝道論研究
地域・寺院活動論研究
国際伝道論研究
真宗伝道学特殊研究
社会実践活動分野
社会実践特殊研究(C)
社会実践特殊研究(D)
社会実践特殊研究(E)
社会実践演習Ⅰ
社会実践演習Ⅰ
社会実践演習Ⅱ
社会実践演習Ⅱ
社会実践実習
社会実践実習
社会実践演習Ⅲ
社会実践演習Ⅲ
人権・平和論研究
ボランティア・NPO活動論研究
グリーフケア論研究
矯正保護論研究
ビハーラ・スピリチュアルケア論研究
仏教社会福祉論研究
臨床宗教師実習
臨床宗教師総合実習
貴島 信行
宗本 昌延
寺院の適正なる管理運営について
林 春男
現代社会における宗教法人運営の実践的研究
実践基盤としての宗教性―真宗の立場―
浄土真宗寺院の実践運動を学ぶ
仏教教団の近代化と社会事業
山口 卓
殿内 恒
武田 晋
中西 直樹
浄土真宗は、現代において何をなし得るか?
藤 能成
親鸞教義に基づく社会実践の可能性
鍋島 直樹
表現スキルの獲得
仲山 豊秋
真宗伝道の基礎的研究と実践
貴島 信行
真宗伝道につながる親鸞の死生観と人間観の研究
鍋島 直樹
国内外の布教伝道の実践的側面に関する課題とその研究
葛野 洋明
法座伝道における実践方法
貴島 信行
真宗伝道の実際
杉岡 孝紀
国内外の布教伝道の実践的側面を通した、各自の宗教実践的課題の研究
葛野 洋明
真宗における布教伝道と寺院活動
貴島 信行
真宗伝道の実践的研究
杉岡 孝紀
宗教的実践課題のもと、実習計画に則した実習
葛野 洋明
浄土真宗における宗教実践の課題と方途
貴島 信行
伝道のための情報発信の具体的な技術を学ぶ
和田 眞雄
国内外の宗教実践の課題を通した研究の結実
地域の特性を活かした寺院活動を考える
国際化・グローバル化する現代における伝道論の研究 ―理論と方法―
真宗伝道学・実践真宗学の海外展開(国際伝道)の可能性をめぐる基礎的研究とハワイにおける伝道の実践的研究
臨床心理学の理解と実践上の基本問題
社会実践特殊研究(B)
深川 宣暢
小野 真
臨床心理学研究
社会実践特殊研究(A)
担 当 教 員
宗教儀礼の諸相と意義
生命倫理・倫理・宗教
精神保健学研究
題 目
真宗伝道における基本的理解と実践
生命倫理論研究
カウンセリング論研究
義
宗教とカウンセリング援助技術
精神障がいとその予防、および治療・援助
生老病死と先端医療(終末期医療、移植医療)
葛野 洋明
窪田 和美
葛野 洋明
龍溪 章雄
早島 理
友久 久雄
森田 喜治
吉川 悟
早島 理
仏教カウンセリングと超高齢多死社会
吾勝 常行
現代社会にあふれる「苦」に対応する寺院・僧侶の実践活動
高橋 卓志
諸問題を抱える宗教法人の社会実践研究
寺院の現状把握∼特に報恩講について∼
生命倫理・倫理・宗教
山口 卓
長岡 岳澄
早島 理
医療と仏教の協働
田畑 正久
医療と仏教の協働
田畑 正久
実習に向けての検討・討議
田畑 正久
修士論文及び報告書の作成
田畑 正久
生老病死と終末期医療
学外実習の基礎
修士論文及び報告書の作成
仏教における人権論と平和論
ボランティアとNPOと宗教
宗教的実践者としてのグリーフケア
刑事施設における犯罪者の社会復帰∼宗教に何が期待されているか? そして、宗教に何ができるか?∼
ビハーラ活動・臨床宗教師の理念と実際
早島 理
早島 理
早島 理
高田 文英
深尾 昌峰
黒川雅代子
石塚 伸一
鍋島 直樹
仏教社会福祉とはなにか
長上 深雪
Clinical Trainig for Spiritual Care and Religious Care
鍋島 直樹
Clinical Trainig for Spiritual Care and Religious Care
鍋島 直樹
実践真宗学総合演習Ⅰ
(ア)
実践真宗学の分野と方法
殿内 恒
実践真宗学研究
実践真宗学の基本的理解
深川 宣暢
実践真宗学総合演習Ⅱ
(ア)
基礎研究科目
真宗教義学研究
現代宗教論研究
大乗仏教論研究
浄土教思想論研究
現代社会論研究
宗教心理学研究
宗教教育学研究
仏教伝道史研究
真宗伝道史研究
真宗教団論研究
倫理学研究
外国語文献研究
《布教使課程科目》真宗教団活動論
実践真宗学の分野と方法
真宗教義の基本的理解
宗教多元の研究―宗教間対話、宗教の教学―
殿内 恒
川添 泰信
高田 信良
大乗思想の展開
能仁 正顕
現代社会と宗教
猪瀬 優理
子どもの育ちと宗教性
田岡由美子
浄土真宗と伝道
龍溪 章雄
生命と環境の哲学倫理学
丸山 徳次
浄土教思想の基礎的研究
宗教心理の探究と浄土教
近代的仏教伝道の歴史とその課題
真宗教団の存在意義
英文真宗文献研究(リーディング・ライティング)
布教使資格取得に関する諸講義
武田 晋
岩田 文昭
中西 直樹
龍溪 章雄
グランバック リサ アン
季平 博昭
※2016年度カリキュラム・担当者を例示しています。2017年度カリキュラム等は一部変更になる場合があります。
3
2016年度 専任教員の紹介
宗教実践活動分野
殿内 恒
修士(文学)
毎年テーマを設定し、
その分野の第一人
者をお招きし、公開シンポジウムを開催
しています
専門分野/主な研究テーマ
真宗学/教理史的手法による真宗教学の研究
2つの専門分野で、多面的 高い専門性と実践力 主な担当講義
実践真宗学総合演習Ⅰ
・Ⅱ、宗教実践特殊研究
親鸞思想の教理史的な研究に始まり、その方法論による真宗教学全般の
研究が、現在までの中心的な専門分野です。また近年は、日本社会におけ
る寺院のあり方とその活動の意義にも目を向けてきました。多様な現場で
無数の「かたち」を持つ「実践真宗」について、その「実践」活動を支える「真
宗」という教えを中心に、ともに学びを深めていけたらと願っています。
海外・ハワイ研修
ハワイにおける仏教伝道の状況を学びま
した
宗教実践
貴島 信行
文学修士
専門分野/主な研究テーマ
真宗学/真宗伝道学、布教伝道
主な担当講義
実践真宗学総合演習Ⅰ
・Ⅱ、宗教実践演習Ⅰ
・Ⅱ・Ⅲ
宗教実践実習、布教伝道論研究
伝道を視座とする真宗伝道学構築に資する研究をしています。布教伝道をはじ
め、寺院、地域での諸活動を含む宗教実践分野が担当です。伝道学では専門性と
ともに、生身の人間の苦悩をありのままに受容する智慧が求められ、自己の宗教的
信仰も問われてきます。教えを正しく感性豊かに伝達する力、寺院、地域に応じた
創造性ある企画と行動、コミュニケーション力の向上など、座学とともに実践で得
られる成果との相互作用を含む真宗伝道の実践的研究は魅力的な分野です。
実践・実習
院生による
「布教実演実習」
で、確かな力
を養成します
伝わる
布 教 伝 道 実 習
聞き
現 地 視 葛野 洋明
災害復興支援 文学修士
路上で人々のグチを集める活動「グチコレ」
専門分野/主な研究テーマ
真宗学/現生正定聚 国内外の伝道について
主な担当講義
実践真宗学総合演習Ⅰ
・Ⅱ、宗教実践演習Ⅰ
・Ⅱ・Ⅲ
宗教実践実習、国際伝道論研究
浄土真宗は阿弥陀如来の本願です。布教伝道を初めとする様々な実践の基
盤です。
特に課題が顕著な国際伝道の実情などを通して、国内外の伝道布教を研究
しています。各自の問題意識から研究課題を明確にし、研究方法や具体的な実
習を考案し、学術的水準の高い研究となるように指導しています。多種多様な
研究課題の基盤である、真宗学の基礎を明確に研鑽することから始めています。
修士論文題目(例示)
真宗保育の実践に関する研究
自死問題における僧侶の役割
―自死遺族支援を中心に―
現代における真宗葬儀のあり方
寺院活性化についての一考察
―青少年教化の可能性―
浄土真宗の教義とビハーラ僧としての
社会的役割
緩和ケアにおける宗教者の役割
―スピリチュアルケアを中心に―
プロジェクトダーナの研究
―寺院における社会的実践の可能性―
真宗における念仏道場の成立と寺院伝道
4
教員による充実した実践・研究について
の指導があります
布教伝道実習(布教使課程Bコース)
実践真宗学研究科は浄土真宗本願寺派の布教使課程Bコースに指定されています。
所定の講義を履修することで本願寺派の「布教使任用申請資格取得試験」を受験する
ことができます。
「布教伝道実習」では、各地の寺院や社会福祉施設等のご協力を得て、法座・法
要における布教実演等の実習を行います。さまざまな法座・法要の現場に身を置く
ことは、法話実演での経験だけでなく、その寺院等の関係者の志、姿勢、取り組み
や工夫をじかに学ぶことができま
す。
「伝 道」の 現 場 を、自分自身
の 肌 身 に お いて感じ、確 か め、
学習するところに大きな意味があ
ります。
「布教伝道実習」は、布教使資
格取得を目指す人に限らず、すで
に布教使資格を持っている場合
でも、聴聞実習、自己研鑽の場
として参加することもできます。
研鑽を積んだ上で、全国の協力いただける寺院の法要・法座で布教
伝道実習を行います
Ryukoku Graduate School of Practical Shin Buddhist Studies
宗 教 実 践 活 動 分 野・臨 床 宗 教 師 研 修主任
鍋島 直樹
文学修士
ビハーラ本願寺(高齢者社会福祉施設)
での実習
専門分野/主な研究テーマ
真宗学/親鸞の生死観、仏教生命観と生命倫理
・重層的な学修を実施し、
を3年間で磨きます。
重視の3年間
主な担当講義
宗教実践演習Ⅰ
・Ⅱ、
ビハーラ・スピリチュアルケア論研究
臨床宗教師総合実習
愛するものと別れる悲しみ、無念さにどう寄り添えばよいのでしょうか。
宗教的実践者の依りどころには、尊卑賢愚に拘わらず、一切衆生が仏に願
われているという本願のぬくもりがあります。自他ともに生死を超えて浄土
に往生し、必ずまた会えるという救済観があります。無力な自己でも、如
来の大悲にいだかれて精一杯できることをしたい。そうした愚者の実践を
ともに学びましょう。
保育園・デイサービスセンター統合社会
福祉施設での実習
社会実践
寄り添う
臨 床 実 習
学ぶ
社会実践活動分野
早島 理
博士(文学)
医療・福祉、
グリーフケア等さまざまな分
野の第一人者、研究者を招いた特別講義
を重ねて理解を深めます
専門分野/主な研究テーマ
インド仏教瑜伽行唯識学思想/仏教と生命倫理
主な担当講義
実践真宗学総合演習Ⅰ
・Ⅱ、生命倫理論研究
社会実践特殊研究、社会実践演習Ⅱ・Ⅲ
生者のみ・世俗世界のみを対象とする生命倫理と、生者と死者あるいは
世俗と勝義をともに研究領域として論じる仏教思想、この両者の差異とつ
ながりとを論理的に追求すること、また終末期緩和医療における医療者と
仏教者との協働の可能性を追求することに関心があります。
察 実 習
ボランティア
各自の実習を報告しあう
「実習報告会」
田畑 正久
医学博士
専門分野/主な研究テーマ
外科、医科一般/医療と仏教の協力関係構築
主な担当講義
実践真宗学総合演習Ⅰ
・Ⅱ、社会実践演習Ⅰ
・Ⅱ・Ⅲ、宗教実践実習
仏教と医療の協力関係の文化を創るという取り組みをしています。日本
の医療・福祉現場には宗教者がほとんどいません。生老病死の「四苦」と
いう同じ課題に取り組みながら協力関係が整っていません。日本の医療文
化の中に仏教文化を取り込むことを考えていきたいと思っています。
真宗学・仏教学を専門とした教員から研
究の基礎を学ぶことができます
臨床宗教師研修
臨床宗教師とは、病院、社会福祉施設、被災地などの公共空間で、
心の相談に応じる宗教者を意味し、
「チャプレンchaplain 」の訳語として
故岡部健医師が考案した名称です。
「臨床宗教師研修」は、宗教者として
全存在をかけて人々の苦悩や悲嘆に向き合い、そこから感じ取られるケ
ア対象者の宗教性を尊重し、公共空間で実践可能な「宗教的ケア」を学
ぶことを目的とします。
「臨床宗教師研修」は、東北大学大学院実践宗教
学寄付講座と連携して実施しています。所定の実習・講義を習得するこ
とで「臨床宗教師」修了証書が授与されます。
東日本大震災被災地での行脚活動
あそかビハーラ病院カンファレンスに参加し、
医療現場の真剣な議論に触れます
臨床宗教師研修の五つの目標
①「傾聴」と「スピリチュアルケア」の能力向上
②「宗教間対話」
「宗教協力」の能力向上
③自らの死生観と人生観を養う
④宗教者以外の諸機関との連携方法を学ぶ
⑤幅広い「宗教的ケア」の提供方法を学ぶ
東日本大震災被災地での
「カフェ デ モンク」
(被災者の話を聴く、
なごみの空間)
幼稚園・デイサービス統合福祉施設での実習の
様子
5
修了生の活躍
人とつながり、
伝える力を
楠 正照さん 2011年度修了
浄土真宗本願寺派総合研究所 仏教音楽・儀礼研究室 研究助手
現在は、浄土真宗本願寺派総合研究所に研究助手として勤務し、
浄土真宗における儀礼の歴史や現状、そしてこれからの儀礼につ
いて研究しています。現在の仕事は、人との関係性を築くこと、
人に物事を伝えることが重要です。良好な関係性を築くにはどう
すればよいか、人に易しく分かりやすく伝えるにはどうすればよい
かを日々考えています。その中で、実践真宗学研究科での学びは
大きな力になっています。
実践真宗学研究科は、様々な分野で活躍されている在学生や修
了生がいらっしゃり、多くの学びがあるとともに、多くの情報が集
まり、多くの繋がりが生まれる場所です。それらが十二分に活用
され、これまでにない新たな分野の研究・実践が生み出されるこ
とを期待しています。
現役
生
大学院
VOICE
現在は、龍谷大学大学院文学研究科博士後期課程で研究を継
続するとともに、僧侶として特別養護老人ホームに勤務させてい
ただいています。学問・研究で得た知見を現場に活かし、その実
践経験をまた学問・研究にフィードバックする。この両輪のバラン
スが非常に大切だと感じています。
実践真宗学での学びの中、特に臨床宗教師実習では、多くのこ
とを学びました。
「相手のことを中心に考え行動する」という学び
は、福祉施設の勤務に大きく活かされています。自分主体になり
がちな私に、常に他者主体の活動であることを思いながら歩ませ
る力となっています。
研究科の三年間は、
「実践」するか否かが大きな分かれ目になり
ます。有意義な三年間にするために
是非とも積極的に実践してください。
修了生の活躍
実践と研究を
両輪として
柱本 惇さん 2014年度修了
龍谷大学大学院文学研究科真宗学専攻博士後期課程在籍中 社会福祉法人慶徳会「常清の里」生活相談員
現在、
「真宗と生命倫理」をテーマとした研究とともに、浄土真宗本願寺派布教使を目指して布教伝道実習を行ってい
ます。またそれと並行して、芸術を用いた寺院活動「寺 芸術〈四門出遊〉Project」や影絵を用いた視聴覚伝道「ともし
え―浄土真宗×影絵―」を行っています。
実践での学びの特徴は、研究分野の「多様性」にあります。自らの関心に基づいて様々な分野に飛び込み、実践の経
験を積むことができます。ただし「やりたいことをやった」だけで終えてしまうことのないよう、常に先を見据えた研究
や実習を行うことが大切であると感じています。三年間、毎日が研鑽の日々です。
実践真宗学研究科 修士課程3回生
吉井 直道さん(龍谷大学文学部真宗学科 卒業)
東日本大震災の後、
「僧侶として何ができるのか」を考えるようになりました。また、尊敬する先輩が、実践真宗学研
究科で医療と仏教の関わりに真剣に向き合っていたこともあって、宗教者の役割について興味を持ち始めた中で、
「臨床
宗教師」の存在を知り、臨床宗教師研修が行われる実践真宗学研究科へ進学しました。
臨床宗教師研修は、ただ知識やスキルを学ぶだけではなく、傾聴をする自分自身について深く問いかける研修でした。
また、修了して終わりではなく、そこを「はじまり」として、修了後も様々な経験のなかで「臨床宗教師」として、自身の
あり方を模索していかなくてはなりません。研修を通して他では得難い学びや深い気づきを得ることができました。
実践真宗学研究科では、様々な年代の、様々な考えを持った仲間たちと交流できます。関心のある方は、実際に活動
をしている院生たちと話しに、合同研究室にいらしてください。
実践真宗学研究科 修士課程3回生
小川 義徳さん(龍谷大学文学部真宗学科 卒業)
大学卒業後、児童館に勤務し、人と人とがつながる仕事に大きな喜びを感じました。僧侶となり、学びを深める中で、
寺院もたくさんの人がつながる拠点となりえるのではないか、あたたかい居場所作りを通じた伝道活動も行なえるので
はないかと考え、教義と現場の間でもぶれない軸を求めて実践真宗学研究科への進学を希望しました。
現在は、
「次世代へと続く寺院活動の可能性」について関心をもって研究を行っています。実践真宗学研究科での学び
は、
「多様な社会の中における宗教の使命とは何か」を多角的に深く考えることができます。また、高度な専門領域を持っ
た先生方、多彩なバックグラウンドを持っている院生たちと共に研究できる実践真宗学研究科は、教義と現場をつなぎ
つつ、単なる自己満足で終わらない、意味ある宗教実践や社会実践を行うための素養を養える理想的な環境だと感じ
ています。
実践真宗学研究科 修士課程2回生
中川 結幾さん(龍谷大学文学部哲学科教育学専攻 卒業/京都市児童館勤務を経て
中央仏教学院 卒業)
就職・進学先一例
大阪府庁/福井県庁/岐阜県警/奈良県教育委員会/学校法人京都女子学園/学校法人大谷学園/大日本仏教慈善会財団 あそかビハーラ病院/医
療法人 徳養会 沼口医院/医療法人 聖恵会 福岡聖恵病院/社会福祉法人清和園/社会福祉法人本願寺龍谷会ビハーラ本願寺/社会福祉法人慶徳
会常清の里/浄土真宗本願寺派/浄土真宗本願寺派総合研究所/勤式指導所/中央仏教学院/龍谷大学大学院文学研究科(博士後期課程) 等
6
Ryukoku Graduate School of Practical Shin Buddhist Studies
学費・諸会費について(2016年度実績) 2017年度学費の詳細については、2017年度入学試験要項でご確認ください。
※学費・諸会費などの情報は、別付「FACT BOOK」にも掲載されています。
修士課程(通常学費) 実践真宗学研究科
本学学部出身者
入学時納入金(単位:円)
本学研究科の課程出身者
後期(単位:円)
他大学出身者
本学学部出身者
本学研究科の課程出身者
他大学出身者
入学金
150,000
0
200,000
0
0
0
授業料
275,000
275,000
275,000
275,000
275,000
275,000
施設費
75,000
75,000
100,000
75,000
75,000
100,000
実験実習料
75,000
75,000
75,000
75,000
75,000
75,000
諸会費※1
11,000
11,000
26,000
0
0
0
合 計
586,000
436,000
676,000
425,000
425,000
450,000
学 費
※1:本学出身者のうち当該学部・研究科出身者以外の入学生は、学会入会金2,000円を徴収します。校友会費(30,000円)は、他大学出身者のみ修士課程3年次に徴収します。
修士課程(単位制学費) 実践真宗学研究科
本学研究科の課程出身者
本学学部出身者
学 費
入学時納入金(単位:円)
後期(単位:円)
他大学出身者
本学学部出身者
本学研究科の課程出身者
他大学出身者
入学金
150,000
0
200,000
0
0
0
在籍料
25,000
25,000
25,000
25,000
25,000
25,000
登録料(1単位あたり)※1
(49,000)
(49,000)
(49,000)
(49,000)
(49,000)
(49,000)
諸会費※2
11,000
11,000
26,000
0
0
0
合 計
186,000
36,000
251,000
25,000
25,000
25,000
※1:登録料は、上記金額に含んでいません。授業料は単位制となっていますので、在籍料・登録料(1単位あたり登録料 登録単位数)を徴収します。※2:本学出身者のうち文学部・文学研究科
出身者以外の入学生は、学会入会金2,000円を徴収します。校友会費(30,000円)は、他大学出身者のみ修士課程3年次に徴収します。
奨学金制度
龍谷大学では、大学院生を対象とした独自の奨学金制度を設け、経済的な側面から大学院での学修をサポートしています。
1.大学院研究奨励給付奨学金(自己応募) 【本学独自】
3.その他の奨学金制度
学業成績および人物が特に優秀な者で、研究活動での
左記の奨学金制度のほか、様々な奨学金制度を
金額:年額300,000円(後期授業料及び後期施設費相当額)
①仏教活動奨学生(自己応募)
④災害給付奨学金(自己応募)
②親和会海外研修奨学金(自己応募)
別途詳細をHPで案内
設けています。
財政的支援の必要がある学生に給付します。
対象:修士課程在籍者(新入生を含む)
2.大学院学内進学奨励給付奨学金(予約採用型) 【本学独自】
学内進学者のうち学業成績および人物が優秀な者に給付します。
金額:年額150,000円
・自己研鑽コース 100,000円の範囲内
・研究コース 300,000円の範囲内
③家計急変奨学金(自己応募)
対象となる災害発生時に、
⑤外国人(留学生)特別奨学金(推薦制)
年額576,000円
300,000円の範囲内
対象:修士課程入学試験のうち、成績優秀者
資格取得
原則として300,000円の範囲内
※この他にも、日本学生支援機構・地方公共団体・民間団体が実施する奨学金制度があります。
実践真宗学研究科では様々な資格取得が可能です。専門性を活かしたキャリア形成をはかることができます。
1.教職課程
下記に掲げる教科の中学校専修免許状・高等学校専修免許状を取得することが可能です。
中学校専修免許状
高等学校専修免許状
宗 教
宗 教
※専修免許状とは…
修士の学位を有する(もしくは大学院に1年以上在学し、30単位以上修得したもの)とと
もに一種免許状を現に有し、また、一種免許状を取得するのに必要な全単位を修得して
いることを前提に授与される、より上級の免許状のことです。
2.学部科目履修制度利用による諸資格取得
3.本願寺派学階課程
学階とは、浄土真宗本願寺派の教学における学位のことを指します。龍谷大学大学院実践真
宗学研究科修士課程修了生で、所定の科目の単位を修得し、かつ修士論文を提出した者は、学
階「輔教」をうけるための学階試験「予試」及び「本試」の免除資格を得ることができます。
4.布教使課程B(龍谷大学大学院実践真宗学研究科)コース
実践真宗学研究科は浄土真宗本願寺派の布教使課程Bコースに指定されています。指定の講
義を履修することで、本願寺派において実施される「布教使任用申請資格取得試験」を受験する
ことができ、布教使を目指すことができます。
5.開教使課程
海外開教使(外国における真宗伝道専従者)を志す方のために、必要な知識を修得することを
本学文学部で開講している科目を受講し、所定の単位を修得することにより、免許・資格(教
目的としています。英語による仏教知識をはじめ、海外留学や海外での社会的・宗教的実践を
を取得することが可能です。
(原則として有料ですが、一部科目は無料です。)
寺派の「国際伝道講座」の受講を優先的に考慮されます。
(本課程は、別途受講料が必要です)
職課程・本願寺派教師資格・博物館学芸員課程・図書館司書課程・学校図書館司書教諭など)
希望する人にとって、有意義な知識を修得することができます。また、修了者は浄土真宗本願
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