高精度即時予測のためのGPU津波シミュレーターの開発

8th Symposium
学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点公募型共同研究 平成28年度採択課題
jh160037-NAJ
青井真 (国立研究開発法人防災科学技術研究所)
高精度即時予測のためのGPU津波シミュレーターの開発
■研究目的
東日本大 震災では想定 や警報を 超える 津波 により被害 が拡大し た。 津波ハ ザードの評価 や、
津波警報の精度向上のためには、 津波シ ナリ オの あらゆる可能 性を考慮 し尽くした大規模 津
波シミュレーションが必要である。本研究 では、広 範囲を精 細な格子で表現し、 非線形 現象で
ある津波遡上を分析する高負荷な計算をGPUを用いて高速化する。 そし て、次の 津波の 発生
までに、これまでよりはるかに多い津 波シミ ュレーションと 津波観 測網 による高精 度即時 予測
の実現を目指す。
■ GPU津波シミュレーターの開発・高速化
■局所細分化適合格子法( AMR)のGPU化
一般的な平面2次元非線形長波
理論に基づく津波遡上のシミュ
レーションをGPUで高速実行する
コードを開発する。
局所細分化適合格子法により計算格子 数を大幅 に低減可 能。し
かし、正方格子に比べて連続的なメモリ アクセスを 確保し にくい。
このような場合でもGPUで効率的に計算するコー ドを開 発する。
2430m格子
90m→30m→10m格子
810m格子
精細な地形データ・高負荷な計算
千葉県房総沿岸を対象とし、最小10m
格子、地震発生から6時間を計算する
場合、1ケースあたりの総計算格子数(
空間×時間)=8.3兆格子
局所細分化適合格子法を採用することで、格子数を大幅に低減。
GPUにより更なる計算の効率化を目指す。
■沿岸地震動の評価と沿岸構造物被害の考慮
JHPCNで開発したGPUを使用したGMS(地震動シミュレーター)を
用いて沿岸構造物被害に影響を及ぼす地 震動 にどの 程度の 幅
があると見積もるべきかをパラメータスタディ により 検討。
膨大に考えられる構
造物の地震による被
災状況
(被災区間・程度)
膨大に考えられる波源
(プレート境界・アウターライズ、
位置、マグニチュード、・・・etc.)
Mw 8.0
断層モ デル間隔
を密に
走向角
+20度
遡上計算が必須
パラメータスタディによる津波伝播特性の把握、
重点的に計算しておくべき津波シナリオの特定
@大阪府庁
速度応答(cm/s)
構
造
物
傾斜角
+10度
プ レート 形状
モ デルの不確定
性の影響小
深さ
+10 km
NS
EW
1000
100
10
1
3
10
周期(s)
3
10
周期(s)
南海トラフの想定震源域と予測地震動。同じ波
源(震源域)で同じ津波が生じる場合でも、波源
域内の不均質により地震動には幅が生じ得る。
■SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)による津波即時予測システムへ成果を活用
海底地震津波観測網で観測された津波波 形パターンか らシミ ュレーション 結果を即 時に検索、 浸水範 囲を予測する。
検索する対象となる津波シナリオバンクのデータを本課 題の成 果を用いて大幅 に増強する ことで、即時 予測の 高精度 化を目指す 。
本課題の成果を活用した大量のシミュレーション結果を投入
S-net
世界初の広域多点(150観
測所)リアルタイム海底ケー
ブル式地震津波観測網
地震
発生
観測
津波シナリオバンク
140˚
全長約5700km
東西方向に30km間隔
南北方向に50-60km間隔
145˚
40˚
高速
検索
27GB/dayの連続観測データの
常時モニタリング
40˚
35˚
35˚
140˚
145˚
高精度
詳細な
予測
学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点 第8回シンポジウム
2016 年 7 月 14 日, 15 日
THE GRAND HALL (品川)