8th Symposium 学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点公募型共同研究 平成28年度採択課題 jh160045-MDJ 山本義暢 (山梨大学) 高レイノルズ数乱流現象解明のための計算・実験科学研究ネットワーク 形成 1. 研究背景:⾼レイノルズ数乱流輸送現象の解明 とその⼯学的応⽤ ⾼レイノルズ数流れ 実 在流れのレイノズ数領域 は図1に⽰す通り、⾮常に 広範囲に及ぶ(Re = O(102-106). しかし現在 の乱流モデルは⾼レイノ ルズ数特性を反映できて いない(図4参照). 直接数値計算 ⾼レ イノルズ数流れのス ケーリング則を解明 する上では、流れ場 の最⼩スケールから 最⼤スケール(図3 参照)を直接計算す る直接数値計算( Direct Numerical Simulation, DNS) が最も有効である。 図1 実在流れのレイノルズ数とDNS研究, メモリ量[GB] or 演算速度[GFLOPS] Deck et al. J. Fluid Mech. (2014) より引用, Re : 摩擦 速度(u)と境界層厚(h)に基づくレイノルズ数 1012 1011 1010 ●大気境界層 E(エクサ)109 ■美浜3号機配管流 108 107 ▲ 40km/h の自動車周りの流れ P(ペタ)106 105 4 ◎ 現在の世界最高Re数解析 10 T(テラ)103 102 101 100 ◆世界最初のDNS(1987) 102 103 104 105 106 Re 2.研究内容 1)世界最⼤規模直接数値計算コード開発 低容量・低計算負荷アルゴリズムの検討,通 信及び演算のオーバラップ化、ハード特性に応 じた通信⼿法の最適化(⽬標:実⾏効率:15% 以上かつ、60Tflop/s 以上の実⾏演算速度) 2) DNSデータベースポスト処理⼿法開発 想定するデータベースは、1物理量:1.6[TB] に達し、その可視化及び乱流統計処理(乱流モ デル評価を含む)を効率的に実施するためのポ スト処理⼿法を開発する。 3) 実験⼿法⾼度化 点計測⼿法における凍結乱流仮説の適⽤範囲の 拡充、経験的固有関数直交法(POD)による画 像計測法(PIV法)の⾼度化. 上記を評価するために不可⽋なDNSデータベ ースの時間・空間分解能の算出 図2 DNSに必要な計算資源 技術的課題と問題点 乱流のDNSにおいては精度の 観点からは、スペクトル法が最も最適であるが、近 年の超並列スーパコンピュータでは⾼効率演算が難 しい(実⾏効率:3%程度)。また⽇本は世界最⾼性 能クラスのスーパコンピュータ「京」及び「地球シ ミュレータ」を有するが、1課題あたりの割り当て資 源は、⽶国の1/5程度であり、世界最⼤規模DNSの 実⾏において障害となっている. 3.⾼レイノルズ数特性とその再現性 図3 高レイノルズ数チャンネル乱流場における階層構造 6 表1 チャンネル乱流場における世界最大規模DNS1) 5 Nx (x+) Ny (y+) Nz ( z+) #grids Numerical method 10240 (12.7) 1536 (0.5‐0.3) 7680 (6.4) 0.12x1012 Fourier +B‐spline Lee & 5200 8 Moser 2 1 4 kxEuu+ 1 Lx/ Ly/ Lz/ h h h k+ Re 3 2 0.5 1 1) Lee, Malaya, and Moser(2014), Petascale Direct Numerical Simulation of Turbulent Channel Flow on up to 786K Cores, SC13, http://dx.doi.org/10.1145/2503210.2503298. 本研究の⽬標 本研究では,世界最⼤規模のDNS データベース構築及びその応⽤のための、計算科学 ・計算機科学・実験科学研究ネットワーク形成を⽬ 指す. 100 101 102 1) Re=4000, DNS Re=4000, k-e model Re= 400, DNS Re= 400, k-e model 1 0.8 0.6 Re=2000, y+=150 DNS original LES revised LES 0.4 0.2 0 2) 102 103 x+ 0 -2 10 103 y+ kxEuu+ □ タイムステップ数: 650,000, 2.75[s/step], 665[Tflop/step] □ 計算コスト: 260 million core‐hours1). → IBM Mira の70%を20日間占有する規模 ■「京」一般公募の計算資源:500万ノード時間 →5万ノード使用(全体の62%)の場合、100時間≒約4日間 0 104 3) 10-1 100 x/h 101 102 本来のスペクトル 凍結乱流を用いたスペクトル 計測解像度が不足した場合のスペクトル 1)乱流統計量分布:時間平均モデル(RANS)に おいては高レイノルズ数効果が反映できない 2)スペクトル分布(計算):空間平均モデル( LES)においても、渦構造の再現性は低い 3)スペクトル分布(実験):計測手法においても 、解像度及び計測アルゴリズムの問題により 、精度改善が必要 図4 現在の乱流モデル及び計測手法の問題点 学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点 第8回シンポジウム 2016年 7月 14日,15日 THE GRAND HALL (品川)
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