物性におけるトポロジー

予定 (川口担当分)
(1)4月13日
(2)4月20日
(3)4月27日
(4)5月11日
(5)5月18日
(6)5月25日
(7)6月1日
量子力学・固体の性質の復習
自由電子モデル
結晶中の電子
半導体
輸送現象・金属絶縁体転移
磁性の基礎
物性におけるトポロジー
今日(6/1)の内容
磁性の基礎
• 交換相互作用
物性物理におけるトポロジー
• トポロジーとは?
• ホモトピー群
• 量子力学におけるトポロジー
• TKNN理論
磁性
• 原子の磁気モーメント
• 結晶中の磁性イオン
• 局在モーメントが示す磁性
• 交換相互作用
強磁性・反強磁性
常磁性状態
強磁性状態
反強磁性状態
交換相互作用
の起源?
→ パウリ原理に基づくクーロン相互作用のスピン依存性
e
e
A
B
スピン状態
交換相互作用
e
スピン状態
e
A
B
3重項
1重項
(スピンの入れ替えに対して対称)
(スピンの入れ替えに対して反対称)
軌道は反対称
軌道は対称
クーロン相互作用
e
e
A
B
交換相互作用
量子論固有の効果
交換相互作用
スピン3重項
スピン1重項
エネルギーは、
スピン3重項
スピン1重項
J >0 スピン間の相互作用は強磁性的
J <0 スピン間の相互作用は反強磁性的
レポート11
1. 大きさが1/2の2個のスピンS1, S2の間の等方的
な相互作用は一般に
と書けて、
(nは2以上の整数)のよう
な項は存在しない。この理由を説明せよ。
2. 上記の議論を拡張して、大きさが1のスピン間に
働く等方的な相互作用の一般形を導きなさい。
物性におけるトポロジー
トポロジカル絶縁体
m
周期境界条件
トポロジカル絶縁体
edge state
m
開放端境界条件
絶縁体の種類
(1)バンド絶縁体
(2)アンダーソン絶縁体
(3)パイエルス絶縁体
(4)モット絶縁体
(5)電荷秩序絶縁体(モット絶縁体の仲間)
(6)トポロジカル絶縁体
トポロジー(位相幾何学)とは?
• ものの「形」を分類する数学
ボール
マグカップ~ドーナツ
https://ja.wikipedia.org/wiki/位相幾何学
トポロジー(位相幾何学)とは?
• ものの「形」を分類する数学
ふつうの輪
メビウスの輪
トポロジカル不変量の例
オイラーの定理
c=(頂点の数)-(辺の数)+(面の数)
4面体
6面体
8面体
多様体
局所的にユークリッド空間(座標系を導入できる)と見なせる空間
例)
n次元球面:
S1 :輪
S2 :球面
一般の多様体M を分類するには?
ホモトピー群による分類
SnからMへの写像を考え、連続変形で移り変われないものを
数え上げる
基本群:π1(M)
S1からMへの写像の分類
=閉経路
π1(M):
M上の連続変形で移り変われない閉経路の集合
例1) M=S1
巻き付き数(winding number)
基本群:π1(M)
S1からMへの写像の分類
=閉経路
π1(M):
M上の連続変形で移り変われない閉経路の集合
例2) M=S2
連続変形で
一点に縮む
基本群の応用
2次元空間における点欠陥
3次元空間における線欠陥
を分類
例)スピンの空間分布
写像
閉経路上のスピン分布を
調べることで
欠陥を分類できる
欠陥
閉経路
2次元スピン(XY模型)
N=1
N=0
ホモトピー群による分類
3次元スピン(ハイゼンベルグ模型)
基本群:π1(M)
S1からMへの写像の分類
=閉経路
π1(M):
M上の連続変形で移り変われない閉経路の集合
例3) M=T2 (トーラス)
図の2つの輪に対し
各々何回巻き付くか
レポート問題12
1. ホモトピー群、ホモトピーとはどういうものかを調
べて、具体例をあげて説明しなさい。
2. トポロジーが工学に応用されている例を調べて
まとめなさい。
レポート問題13
1. マゼラン世界一周を行った。しかしマゼランは本
当に地球が球形であることを証明したことになる
だろうか。どうしたら、地球は球形であることを示
されるであろうか論じなさい。(宇宙から観察する
ことはできないとする。)
2. 宇宙の外に出ないで宇宙の形を知るにはどのよ
うな仮想的実験ができると良いか論じなさい。
3. 現在宇宙の形の候補としてどのようなものがあ
るか調べてまとめなさい。(サーストンの業績より
幾何化予想)
高次のホモトピー群
第2ホモトピー群 π2(M)
3次元空間における点欠陥
2次元空間(+境界条件)における欠陥のない構造
を分類
モノポール↔スカーミオン
http://www.christophschuette.com/physics/skyrmions.php
量子力学のトポロジー
波動関数の「形」が連続変形でつながるか
例)超伝導体の中の磁束の量子化
磁場x 面積
磁束渦
超伝導渦の磁束量子
プランク定数
電子の電荷
ホログラフィー電子顕微鏡による磁束量子の観察
@日立
超伝導体状態の巨視的波動関数(クーパー対)
磁束渦あり
磁束渦なし
磁束の量子化
渦の中心から十分離れた領域では
超伝導電流
ベクトルポテンシャル
したがって
Stokesの定理
位相変化が2πN
磁束
磁束がとびとびの値(N=0,1,2…)をとる
波数空間におけるトポロジカル不変量
ブロッホ波動関数を分類
≃
最初に知られたトポロジカル量子系
量子ホール系
強磁場下の半導体
• 半導体‐絶縁体界面、半導体のヘテロ接合などで実現される。
2次元電子系に対し強い磁場(強磁場)を印加すると、電子の
軌道運動が量子化され、エネルギー準位が離散的な値に縮
退し、ランダウ準位が形成される。その結果、ホール係数が
量子化される。
TKNN公式
Thouless-Kohmoto-Nightingale-den Nijs
チャーン数 (トポロジカル不変量)
線形応答理論
占有バンドのベリー位相
運動量空間での”ベクトルポテンシャル”
TKNN不変量
ベクトルan(k) がBrillouinゾーン内の全域で正則な
(一価関数としてなめらかに変化している)場合
=0
これが非ゼロになるのは特異点がある場合のみ。
すなわち、(あるひとつのゲージであたえられる) an(k)が定義でき
ない点がBrillouin ゾーンに存在する場合のみ。
TKNN不変量
RI
RII
重なり部分で
RI とRIIの重なり
=整数
占有バンドのトポロジー
チャーン数 1
チャーン数 0
占有バンドの状態ベクトル
チャーン数は保存量
量子化
36
バルク・エッジ対応
H
量子ホール状態
ギ
ャ
ッ
プ
レ
ス
状
態
真空
量子ホール状態
量子ホール状態では、バルクにはエネルギーギャップがある。
バルクの状態は絶縁体と考えるべき。
トポロジカルに非自明な波動関数は、ギャップを開けたまま
真空の波動関数につながらない。 (金属状態の発現)
レポート14
1. 量子ホール効果とはどういう現象か詳しく
説明しなさい。これまでどのような研究が
行われたのか歴史的背景についてもまと
めなさい。(普通のホール効果との違いに
も言及せよ。)
2. トポロジカル絶縁体にはどのような種類の
ものがあるのか詳しく調べてまとめなさい。
またどのような性質機能が期待されている
のかをまとめなさい。