会議概要(PDF:688.5KB)

平成28年度大津市消費生活審議会第1回会議概要
事務局
それでは、定刻となりました。只今より、平成28年度大津市消費生活審議会第 1 回会合を始めさ
せて頂きます。
ここで、各委員には先にお知らせしておりましたが、本日は、大津市教育委員会学校教育課の指導
主事の先生を当審議会に招き、市内の公立小中学校における消費者教育の実施状況をお聞きすること
としておりましたが、先生の都合もあって、予定していた会議の進行順を少し変更させて頂き、先に
学校における消費者教育の実施状況の聞き取りをさせて頂きたいと思います。委員の皆様には何卒よ
ろしくご了承頂きますようお願い申し上げます。
それでは、早速ですが、会長、委員の了解が得られましたら、会議の進行をお願いします。
中田会長
それでは、早速ですが、学校現場における消費者教育の実施状況の聞き取りをさせて頂きたいと思
いますが、よろしいでしょうか。特に反対がなければ、与えられた時間が30分程度しかないという
ことなので早速始めさせて頂きたいと思います。委員には「資料5」として文部科学省が作成した「新
学習指導要領における消費者教育に関する主な内容」が配布されていると思います。抽象的な部分も
ありますが、この資料をご覧頂きながらお話をして頂ければと思います。
では、まず初めに指導主事の先生から学校現場の状況をご説明して頂けるでしょうか。
学校教育課・指導主事
本日は、よろしくお願いいたします。
私は、小学校教諭であり、実際に学校で家庭科の授業を行い、その中で消費者教育の指導をしてま
いりました。また、中学校に進学しますと家庭科だけでなく、社会科でも消費者教育を取り扱うこと
になっておりますので、本日の審議会出席に先立って中学校の社会科担当の指導主事に話を聞いて参
りました。
では、まず小学校で学習する消費者教育についてご説明申し上げます。
子ども達は、小学校の5年生で「上手にお金と物を使う」ということを学びます。この段階では、
お金や物の使い方、買い方などを学ぶとともにそのあとの物の使い方まで学習します。こうした学習
を踏まえて、調理実習の時間に使用する材料の価格を調べたり、計画的に買い物をすることなどを応
用的に子どもに体験させる学校もあるようです。また、夏休みの課題として、自分が買い物をする時
の計画を立てさせたり、冬休みなどの特に子供がお金を手にする機会が多くなる時期に金銭管理につ
いて学習させている学校もあるようです。
次に、中学校の家庭科についてでありますが、非常に細かく「消費生活」と「環境」について学習
します。また、社会科の「公民」の内容と重なる部分もあることから、中学校では家庭科と社会科の
教員が話し合って連携を図りながら授業を進めているとも聞いております。中学校の授業では、消費
生活センターなどから動画資料を借りて、それを基に授業を構成することもあるようです。
次に、中学校の社会科についてでありますが、中学校では3年生になって消費者教育の授業が行わ
れます。授業は、教科書の見開き2ページを 1 時間として進んでいきます。今回、あらためて中学校
の教科書を見直しましたが、個人的感想ではありますが、自分自身が中学生の時代にこうした消費者
教育を受けた記憶があまりなく、大人でもこの中学校の教科書の内容はたいへん参考になると感じま
した。学校によっては教科書以外の資料なども活用しながら、さらに詳しく法律やトラブル事例など
を学ばせる学校もあるとのことです。
大津市教育委員は義務教育の範囲を所管しておりますので、中学校卒業後の消費者教育の実態につ
いては詳細を把握しておりませんが、この後のご質問に対しては、可能な限りお答えしようとは思っ
ておりますのでよろしくお願い申し上げます。また、本日すぐにお答できないものにつきましては、
後日、各教科担当の教諭などで構成する部会などに確認した上で、あらためてお答させて頂きます。
それでは、よろしくお願いいたします。
中田会長
ありがとうございました。まず、私の感想ですが、拝見した教科書は非常に丁寧に作られてあると
思いました。これは資料集ではなく教科書ですよね。
学校教育課・指導主事
現在、市立の小中学校で使用している教科書です。資料集などは学校ごとに選定しますので教育委
員会としては詳細を把握しておりません。
中田会長
消費者教育の部分を「後で読んでおくように」と具体的指導を飛ばすようなことはありますか。
学校教育課・指導主事
小学校に関してはそうしたやり方をすることはありません。噛み砕いて説明しながら、必要に応じ
てロールプレイなども取り入れて丁寧に授業を進めます。中学校の授業でもそうしたことはないと思
います。
中田会長
小学校では、授業時間数としては、2時間くらいでこの部分を終えてしまわれるのでしょうか。
他の教科でも指導することを考えると「消費者教育」としては、どれくらいの時間が充てられてい
るのでしょうか。
学校教育課・指導主事
ボリューム的には2時間で学習することは十分に可能だと考えます。しかし、先にもご説明申し上
げたとおり、同じ家庭科であっても調理実習などの機会でも復習することがあり、家庭科以外の教科
でもお金の使い方や計算については学習することがありますので、様々な場面で消費者教育を学ぶ機
会があると思います。このように考えますと「消費者教育」に関しては、様々な教科の中で何度も繰
り返し学ぶことになっていると考えられます。
中田会長
では、小学校においては各教科間の連係が十分に図られていると理解してよろしいでしょうか。
学校教育課・指導主事
小学校では1人の教員が全ての教科を教えるため、各教科の学習を関連付けて指導することが可能
です。その点が小学校教育の良さであり強みだと考えます。
中学校では、教科ごとに担当教員が授業を行いますので、十分に連携を図るといっても難しい部分
があります。しかし、大津市内の学校に関しては言えば、家庭科と社会科の教諭が積極的に連係を図
っており、消費者センターなどの支援も受けられることから、総合的な学習が可能な環境となってい
ると考えております。
中田会長
委員の皆さんからもご質問があればお願いします。
沼井委員
小学校において「消費者教育」の授業を受けた子ども達の反応はどのようなものですか。
当事者意識が芽生えるというよりは、注意意識が行き届いた程度なのでしょうか。
学校教育課・指導主事
子供たちは文房具を買うことなどに大きな関心があり、消費者教育を受けた後は「これはまだ使え
るのではないか」や「これって本当に必要なのか」などと考えることもあるようです。そうした場面
に遭遇した際に学習したことを自分のこととして実感することは小学生であっても必ずあると思い
ます。
沼井委員
今のお話を聞いて、小学校や中学校でしっかりと学習したにも関わらず、なぜ、高校や大学に行く
とこうした大事なことを忘れてしまうのでしょうか。こうした問題をどうするかは、私達が考えるべ
きなのかも知れませんが、現場の先生方としては、どのようにお考えでしょうか。
学校教育課・指導主事
今回、当審議会に呼ばれたことであらためて中学校の「公民」や「家庭」の教科書を読直しました。
私にとっても今回のことはたいへんいい勉強になりました。その点で、小学生や中学生が学ぶ基礎的
な部分を義務教育終了後の学生が改めて復習するだけでも実生活にはたいへん勉強になると思いま
す。
中田会長
私もこの教科書の内容はかなりハイレベルだと思います。だからこそ、しっかりと教えようと思う
と1~2時間という時間数では不十分な気がします。先の委員とのやり取りをお聞きしていてもその
点を何でカバーするのかと考えていたところですが、実はかなり難しいようにも感じています。でき
れば、中学校や高校の段階でこの程度の内容を教え切るのに実際にどのくらいの時間を費やしている
のか具体的な数字があれば後でも構いませんので教えて下さい。
他にご質問はございませんか。
宮田委員
最近、スーパーなどで小学生や中学生、高校生を見かけて思うのですが、商品選択や計画的な購入、
支払い方法等々のほかに、そうした消費行動に「道徳観」というようなものが大きく欠如しているよ
うに感じます。
商品を買う時、「価格」は重要な選択の基準ですし、その商品のもつ「価値」を見極めることも大
切です。しかし、「食品ロス」や「環境」などの問題に配慮した消費行動については、どんな風に教
えられてきたのかと思う時があります。これは子供に限らず大人も同じです。こうした消費者として
の「道徳観」については学校でどのように教えられているのでしょうか。
学校教育課・指導主事
特に決められたものがある訳ではなく、授業を行う教員の裁量や判断による部分が大きいです。授
業の中でこうした問題を取り上げると「うちの家(親)はこうしているよ」などと子どもの方から話
題提供してくれることもあり、そこから授業に幅が出てくることがあります。
しかし、「道徳観」などとのつながりを常に考えて授業を行うことは全く不可能ではないにしても
かなり難しいようにも思います。こうした点については、是非とも皆さまから色々なアイデアを頂戴
したいと思います。
中田会長
よろしいでしょうか。
では、黒田委員お願いします。
黒田副会長
先ほども少しお話がありましたが、弁護士の私から見るとこの内容を先生方が十分に理解された上
で生徒に教え切るというのはかなり難しいように思います。恐らく、私たちのような立場の者でも、
メディアリテラシー(テレビや新聞記事などメディアからのメッセージを主体的・批判的に読み解く
能力)とは何か、契約とは何かということを大学生を相手にしっかりと説明しようとすると10時間
くらいは必要かと思います。だからと言って先生方にそれだけの時間をかけて教える必要があるとい
うことをここで指摘したいのではなく、こうした現状を鑑みて2点ほど提案をさせて頂きます。
まず、1点目は、先生方の研修体制についてです。学校の先生方がどのようにして正しい法的知識
を入手されるのかですが、例えば、消費生活センターに勤務する消費生活相談員の方々などは定期的
に研修を受けるなどしてこうした問題に対応されています。学校の先生方もそうしたかたちで研修機
会を持たれたらいいのではないかと考えます。それは弁護士などの専門家を活用した研修でも結構で
すし、事業者の協力を得て具体的な事業活動を通じての事例などを取り上げて研修されることも可能
かと思います。率直に申し上げて、こうした消費生活分野は受験勉強にはあまり関係がないので、先
生方としてはサラッと流したいところかもしれませんが、逆に先生方のやる気しだいでは自由度もあ
るのかなと考えます。
次に、2点目として、中学校に上がると「家庭科」と「公民」の先生が連携を図って授業の構成を
考えられるとのことでしたが、現在でも「総合授業」というような授業はあるのでしょうか。もし、
そうした時間があるのであれば、そういうところで市内事業者の方や生活協同組合のような社会活動
をされている団体等、外部の方の協力を得て授業を行うことが可能ではないかと思います。そうした
ことは検討できないでしょうか。
学校教育課・指導主事
まず、1点目の先生方の法的知識の研修に関してですが、私の方で正確に状況把握している訳では
ありませんが、中学校教諭の方々は専門教科を学んでこられたので、常に研修についてはしておられ
ると思います。新しい知識を習得するためには、今後も様々な機会を設けていかなければならないと
考えますので、ぜひ、そうした場を設けることを審議会としてご提案頂きたいと思います。
次に「総合学習」の授業についてでありますが、これは、各学校の特色が出るところです。まず、
学校全体で地域に根ざした内容をテーマとして定め、その全体テーマに沿って学年ごとに子どもの成
長に合わせて取り組むといったパターンの学校が多いようです。消費者教育の推進をこの「総合学習」
に取り入れられないかということですが、大切な教育内容でありますので可能性は十分にあると思い
ます。
中田会長
まず、研修に関しては、その前提となる問題として学校の先生方がこの消費者問題を教えるにあた
ってどんな問題を抱えておられるのかを知らなければならないと思います。実際の授業で使う教材の
提供や外部からの支援を求めておられるなどの問題が考えられますが、そうした実態をもっとお聞き
しなければ我々としてもどこをサポートすればいいのかがわからないと思います。
消費者問題をどのように子ども達に教えていくかという問題については、学校の先生方は「教える」
ことのプロフェッショナルですからしっかりと教えられていると思っております。我々が何かお手伝
いできるとすれば、先生方の研修の支援はその一つの手段だとは思いますが、もう少し先生方のお話
をお聞きかせ頂ければ有り難いなと思います。
次に、「総合教育」という時間の活用の可能性についてでありますが、消費者教育の重要性を鑑み
て、その時間を有効に活用できる可能性があれば、そのあたりは学校側でも検討してもらっていいの
ではないかと考えます。
中田会長
その他、この機会にお聞きになっておきたいことがあればお願いします。
学校教育をどのようなかたちで大津市の消費者教育推進の中に位置付けるかということは、我々に
とって非常に重要な課題となって参ります。今回、はじめてこうした学校の先生と意見交換を行う機
会を持つことができたということで学校現場の状況を少し知ることができました。これを機に連携を
図って頂ければと思っていますが、最後に先生の方から何かありましたらお願いします。
学校教育課・指導主事
本日は、本当によい機会を頂きありがとうございました。本日の審議会において「学校に対するサ
ポートが必要」というお言葉を頂き、大変ありがたく思っています。小学校でも中学校でも子ども達
には消費者問題を自分のこととして身近に考えて欲しいと思っています。そのための教材の提供であ
ったり、教師の指導に対する支援だったり、さらには、教師に対する研修の必要性などもこの審議会
で議論して頂いていることを知り感謝しています。
是非、今後も各専門家の先生方と連携を図りながら子ども達には良い教育をして行きたいと思って
おりますので、どうかよろしくご支援をお願いします。
中田会長
こちらこそ、よろしくお願いします。
それでは、一旦、進行を事務局にお返しします。
事務局
それでは、ここで一旦会議を中断させて頂き、指導主事の先生にはここで退席して頂きます。
事務局
会議を再開いたします。本日は、平成28年度の初会合ということですので、ここで市民部長より
一言ご挨拶を申し上げます。
市民部長
あらためまして、委員の皆さまには大変お忙しい中を「平成28年度・第 1 回消費生活審議会」に
ご出席賜り、誠にありがとうございます。
平素より、本市の市政推進、とりわけ消費者行政には多大なるご支援とご協力を頂いておりますこ
とに対しまして、この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
さて、平成27年度の大津市消費生活センターにおける相談件数の速報値を聞いたところ、消費生
活相談の件数が2,795件であったということで、相変わらず高止まりしております。特に高齢者
からの相談が引き続き多数を占めており、これもやはり、急速に進む高齢化あるいは核家族化といっ
た社会構造の変化の影響かと考えており、我々行政と地域社会全体が高齢者の孤立を防ぎ、見守りを
続けていかなければならないということを痛切に感じているところであります。
先程は学校教育課の指導主事から、直接、教育現場の声を聞くことができました。消費者でありま
す市民の皆さまが、安全・安心に暮らすことのできるまちの実現に向けて、消費者自身が消費生活に
関する知識を習得し、自ら考え、行動するという自立した消費者になるための消費者教育を総合的に
推進しないといけないということをあらためて認識したところです。
当審議会におきましても、昨年度に引き続き今年度も「大津市における消費者教育推進のあり方」
についてご意見を頂くということで、今日も、非常に重要な意見書の「骨子」や「方向性」について
議論頂くということでありますので、何卒、よろしくお願い申し上げ、甚だ簡単ではありますが、私
のご挨拶とさせていただきます。
どうぞ、本日もよろしくお願い申し上げます。
事務局
それでは続きまして、新しく4月1日付けで当審議会の委員にご就任頂きました滋賀県消費生活セ
ンター所長の佐野栄子様をご紹介させていただきます。
佐野様は4月1日付けの県の人事異動で滋賀県消費生活センター所長にご就任され、前任の大橋委
員と交代というかたちで当審議会の委員にご就任頂きました。よって、委員任期は、前任委員の残期
間ということになります。
それではここで、佐野委員から一言ご挨拶を頂きます。
佐野委員
ご紹介を頂きました佐野です。この4月から滋賀県消費生活センター所長となりました。どうかよ
ろしくお願い申し上げます。
県としての立場ではありますが、行政担当の委員として、この審議会での各委員のご意見をお聞き
しながら、私なりに勉強もして行きたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
事務局
では、これより先の議事進行は、大津市消費生活条例施行規則第 4 条第 3 項の規定に基づきあらた
めて中田会長にお願いします。
会長、よろしくお願いします。
中田会長
それでは、あらためまして、本日の出席委員の数を確認します。本日は、委員全員がご出席されて
おります。条例に基づき会議が成立していることを確認いたしました。
次に、本日の審議会は「大津市付属機関等の設置及び運営に関する指針」に基づき公開となってお
ります。各委員にはその点ご承知おき願います。よって、審議の結果につきましても議事録あるいは
会議概要を作成し一般の方々の閲覧に供します。その方法はインターネット上のホームページに掲載
するなどされますので、発言につきましても十分にその旨をご理解下さい。
それでは、次第に従い議事を進めてまいります。
中田会長
まず、議案第 1 号「大津市の消費者行政の取り組み状況」についてであります。平成27年度の事
業報告と平成28年度の事業計画が議題となっておりますが、これにつきましては、本日の会議時間
があまりないこともありますので、事務方からの説明は省略させて頂いてもよろしいでしょうか。
では、文書により説明されたということでご了解をお願いします。事務局から補足説明などありま
したらお願いします。
事務局
比較が可能なように昨年度と同じ様式で整理をさせて頂いております。先程、部長からもお話があ
りましたが、相談件数は高止まり状態です。各分類につきましても特に大きな変動はございませんで
した。
中田会長
資料は、非常によく整理されていますので、もし何かありましたら、後程ご質問を頂きたいと思い
ます。よろしければ、先に進ませて頂きます。
それでは、議案第2号に移ります。
「大津市における消費者教育推進のあり方検討」ということで、
資料4をご覧下さい。中身はまだ詰められていませんが、本日はこれを基に「意見書」の構成や各項
目のポイントを整理してまいりたいと思います。前回までの皆さまから頂いたご意見や議論の対象と
なったものを事前に私と事務局の方で少し議論させて頂きこういう形にしました。これについて事務
局から説明を願います。
事務局
それでは、資料4についてご説明させていただきます。
まず、この資料ですが、本日ご検討いただく「意見書」の構成や各項目の論点、記載内容のポイン
ト、重要と考えられる単語などを整理をさせて頂くために作らせて頂きました。
本資料の体裁が既に「意見書」の形になっておりますが、これは秋までに審議会として意見をまと
めるというタイトなスケジュールでありますことから、各委員には完成形をイメージして頂きながら
議論を進めて頂きたいと考えてこのようにさせて頂きました。その点よろしくご了解頂います。
よって、今も会長からもお話がありましたとおり、目次の体裁を借りて「意見書」の文書構成を示
させて頂いており、それ以降のページでは、各項目のポイントをとりあえず列挙させて頂いておりま
す。
内容につきましては、昨年度2回開催させて頂きました審議会において各委員から出して頂きまし
たご意見やご提案、現状に対するご指摘などをそれぞれ該当するであろうと思われる項目にはめ込ま
せて頂いております。そのため、書き込んだポイントが単語であったり、短い文章で有ったり、バラ
バラで見にくいかも知れませんがその点はご容赦願います。
それでは、資料に基づき「意見書」の構成と各項目で何を書いていくかを簡単に説明させて頂きま
す。
まず、目次をご覧下さい。
「はじめに」においては、この「意見書」の冒頭で消費者を取り巻く社会環境や経済情勢、消費者
教育推進法の整備の背景など明らかにしていき、今後どのようにして本市において消費者教育の推進
を考えていかなければならないか、その意義や必要性について説明してまいりたいと考えております。
次に、
「大津市における消費者教育の推進の現状と課題」というパートでは、
「はじめに」で書いた
考え方に基づき、大津市における消費者教育の推進の現状と課題を整理してまいりたいと考えており
ます。
課題の1つは、消費者問題に対する市民意識の薄さや関心の低さを最初に書いてはどうかと考えて
います。
2つ目は、行政の取り組みの問題です。昨年度の審議会においても各委員から度々ご指摘を頂いて
おりましたので、それを整理する必要があると考えております。特に漫然とした施策展開ではなく「P
DCAを回す」という言葉でご指摘を頂きましたが、そうした手法も取り入れながら、常に消費者が
求めている情報をタイムリーに出して行くなどのキチッとした現状把握や現状分析をして行く必要
があると考えております。
そして、3つ目は、様々な主体との連携に係る課題です。やはり消費者問題は行政だけで解決でき
る問題ではなく、地域の方々や消費者団体、事業者の方々にも深く関わって頂く必要があるわけで、
まずは、現状がどうなっているかなどを分析しなければならないと考えています。
そして、次のページになりますが、「大津市における消費者教育の推進の基本的な方向性」という
ことで、このパートが今回の「意見書」の中では各委員のご意見を整理して審議会としての考え方を
打ち出して行く重要な部分になると考えます。
この部分では、前のパートで問題提起した市民の消費者意識の改革や市民に消費者問題を自分達の
身近な問題として関心を持って頂くための方策などについて審議会としての意見をまとめていきた
いと考えています。
また、大津市の消費者行政の見直しという点では、具体的な施策内容や事業提案などもして頂きた
いと思っておりますし、消費者の成長や社会との関わりのレベルに応じて「総合的」
「包括的」
「体系
的」に行う消費者教育のプログラムを市の施策の中に反映をさせて行く必要性もあると考えておりま
す。
生涯を通じての消費者教育のあり方については、行政が具体的に示して行かなければならないと考
え、このパートではそれに関するご意見も頂戴して行きたいと考えています。そして、行政が行う具
体的な消費者教育の推進については、様々な主体、家庭や地域、学校、消費者団体、事業者などとの
連携が必要不可欠であり、そのあり方についてもここでまとめていきたいと思います。
ここのパートを書き込んでいきますと、これまでの審議会で審議頂いてきたおおよその内容が整理
できると思いますが、さらに次のページをご覧頂きますと「特に重点施策化を検討すべき事項」とい
うことで、
「学校教育における消費者教育の推進」と「事業者との連携・協力による消費者教育の推
進」
、
「消費者団体の育成・支援」の3つを重点施策化すべきとして別掲しては、さらに具体的にその
対策を書いていきたいと考えております。この3項目は特にこれまでの審議会で委員の皆さまのご意
見が集中したものでありましたのでこのようにさせて頂きました。
まず、
「学校教育における消費者教育の推進」に関しては、昨年度の審議会でも一番委員の皆さま
のご意見が多かったということで、本日も学校教育課から指導主事の先生に来て頂き意見聴取をさせ
て頂きましたが、これからの消費者教育の推進に向けては、子ども達に学校教育の中で消費者として
の正しい知識をキチッと学ばせる必要であると思いますので、この部分でしっかりと書き込んで行き
たいと思います。内容につきましては、教員の研修実施に対する行政や事業者の支援、後ほど滋賀県
消費生活センターの所長からもお話があるかと思いますが、県の方でも少しずつ小学校や中学校で活
用できる「共通教材」を試験的に作って頂いているということで、そうしたものを大津市としても検
討して行くようなことを提案して頂いてはどうかとも考えております。こうしたことは、学校の先生
方との連携の中で十分に実現可能かと思っております。また、そういう教材を使ったモデル授業など
も行って学校の教員と問題や課題の共有をしてことが効果的かと考えます。
中学生くらいになりますと前回会議でもお話が出ておりましたが、「分析力」や「批判的視点」と
いった教育や「法的トレーニング」といったものを学校教育の中に取り入れていく必要があるとのご
提言をこの中に入れ頂いてもいいのではないかと考えます。また、高校生や大学生に対しては、県の
計画を見ても多少曖昧な表現になっておりその関わり方の難しさを感じますが、この年代になれば社
会人と同程度の消費行動を行うわけで、具体的な提言を是非ともお願いしたいと思っています。
そして、「事業者との連携・協力」でありますが、これまでの審議会でも常に事業者との協力関係
が重要であるとのご意見が出ておりました。消費者との信頼関係を構築することは事業者にとっても
メリットがあるということは、前回会議で田中委員から出されたお話だったと記憶しております。ま
た、この滋賀県には近江商人の商売の理念として「三方よし」という言葉がございます。「売り手よ
し、買い手よし、世間よし」という考え方ですが、これはまさに事業者と消費者、それに社会全体の
利益を考え直さなければならないという消費者教育における各主体の関係をうまく表現していると
思います。そうしたことからも、是非とも、大津市の消費者教育推進の「意見書」の中に事業者との
関係をしっかりと記載して頂きたいと考えております。
そして、最後になりますが、消費者団体の育成や支援についてであります。
これまでの消費者運動の歴史を振り返ってみますと、消費者一人ひとりの小さな声を集めて社会に
大きな影響を与えてきたのは消費者団体があったからこそであります。しかし、現在、多くの消費者
団体は財政基盤が脆弱で活動範囲を制限されていることが多く、そうした消費者団体を育成し、自立
を促していくためには行政や事業者の支援が必要だと考えます。そのあたりについて特に重点施策化
を検討すべきということで、消費者団体のことについてご意見を頂ければと思い、この項目を付けさ
せて頂きました。
長くなってしまいましたが、以上で事務局案の説明とさせていただきます。
中田会長
有難うございました。
皆さん、これを見られてどういう感想を持たれたかは後ほどお聞かせ頂きます。
大きく分けて「現状と課題」というかたちで今の消費者教育の問題を浮き彫りにし、そこから課題
を抽出する流れになっております。その上で「消費者教育の推進」という観点からどういうことがで
きるのかということを、まだまだ抽象的な表現の部分もありますが、基本的な改革としては押さえて
いこうとするのがパートⅡとなります。
そして、パートⅢで、皆さんから頂いたご意見を集約するかたちで学校教育の中での消費者教育を
しっかりやっていこうというのが1点目、事業者との連携にその方向性を見出して行こうというのが
2点目、消費者の自立の前に消費者団体の自立が無ければいけないという消費者団体の育成・支援が
3点目ということにしました。
本日は、ここに列挙したこれまで審議会で出された論点や記載すべきポイントで、足りない部分が
あれば追加をしたいですし、こういうかたちで具体化できるのではないかと言ったことがあれば具体
的にその内容をあげて頂き、
「意見書」の方向性を示して頂きたいと思います。なお、これが全部と
いうわけでもないので、すでにやっていることも含めて是非ご指摘を頂くようお願いします。もちろ
ん今日お話頂いたことがすべてではなく、9月まで時間がありますので、その間も皆さま方でさらに
新しいポイントや意見というかたちで追加して頂くことは可能です。これからもご意見としてお聞き
していきます。
具体的な「意見書」の取りまとめ作業に関しては、今日お聞きしたものも含め、おそらくは、事務
局と私、それに黒田副会長にもご協力を頂き、「意見書」原案を作成することにします。
その後、この「意見書」を何度か叩いていきながらまとめることになります。
今日、意見を言わなかったから反映されないということではございませんので、その点もお含み頂
き、自由にご発言をお願いします。
沼井委員
資料については良くまとめられていると思います。方向性としてはこれでいいのかなと思いますが、
2点だけ意見を申し述べます。
まず、Ⅱの3にある「連携の推進」の連携先ですが、⑥の事業者との連携の後に「滋賀県と連携」
や「隣接する市町と連携」という可能もあるかと考えます。確かにそういう意味では、②に「地域と
連携」というのがありますが、これは恐らく大津市内での連携を意味するものと思いますので、大津
市以外の市町、滋賀県、あるいは京都市などとの連携も視野に入れても良いのではないでしょうか。
また、
「世代を超えた連携」もあると思います。子どもと親、おじいさんやおばあさんなど世代間の
連携も効果的な取り組みにつながるではないかと思います。
次に、もう少し大きな話になりますが、Ⅰの「現状と課題」の分析において、やはり最終的に大津
市としてはどのようなかたちにもっていきたいのかといった内容もあった方がいいのではないかと
考えます。その時に、PDCAサイクルのようなイメージで最終的にはこのようなまちにしていきた
いといったことを数値目標のような具体的なベンチマークとしてを取り入れて行くとさらに客観性
を担保するという点でいいと思います。
以上2点をご検討頂きたいと思います。
中田会長
確かに県や他市町との連携については、すでにそれありきで考えてしまっていたところがありまし
たので、できればその辺りはポイントとして挙げた方がいいように思います。また、確かに世代間の
連携については重要です。
市としての方向性ということで、今回の意見書というレベルでベンチマークまで書くのかというと
ころは少し気になりますが、その点はどうでしょうか。
事務局
市が目標を持つことの必要を指摘するということでは問題ないのではないかと考えます。そういう
ものがないと行政施策を客観的に評価しにくいというもの事実で、沼井委員がずっと指摘されてきた
施策のPDCAサイクルにつながるかとも思います。
中田会長
では、その必要性を指摘するという方向で少し検討してみましょう。
そういう数値目標を持てるかどうかという問いかけは、我々からも充分にできるかと思います。し
かしながら、消費者教育は直ぐに結果が出るというものでもありませんし、あまり結果を追求し過ぎ
ると具体的な中身が貧弱になってしまう可能性もあります。そのあたりは少し慎重に考えを巡らす必
要があるかとも思います。
事務局
前回会議において、県の消費生活センター所長から、消費者問題に対する県民の認識度やその意
識に関するアンケート調査結果の報告がありました。大津市消費生活センターとしてはこうした市
民意識調査や沼井委員からご提案のあった数値目標の基礎となるような調査ができて降りません。
そういう意味では、沼井委員からのご提案に合わせて、例えば大津市としての定期的な市民意識の
モニタリング調査を実施することなども意見書に書き加えて頂ければと思います。いかがでしょう
か。
中田会長
それも論点としては挙げて頂ければ結構かと思います。
黒田副会長
今、お話のあったPDCAサイクルに関わる数値というのは、いわゆる「結果指標」を指している
のではなく「行動指標」を指しているのだと思います。例えば、「何を何回やる」や「何を何回やっ
た」とかそういう数値をおしゃっているのであって、これまでも市として講座の開催回数や参加人数
のような数値を把握していると思いますが違いますか。そこに誤解があると思われますが。
中田会長
先ほど、私は学校の先生に「何時間教えていますか」という質問をしましたが、どういう教育をど
れだけやっているのかチェックする必要はあります。これは一つには結果でありますし、行動でもあ
るということです。そういうものをモニタリングというかたちで数値として把握するというのは大事
なことです。現状分析の中でやっておくべきことだとも思います。
中田会長
その他に何かございませんか。
これまでに出された委員の皆さんの意見をもとに作成した本日の資料です。それらが適正に反映し
きれているかどうかというところもありますので、そのあたりもチェックして頂きますようお願いし
ます。
沼井委員
先程、会長や副会長がおっしゃっていた指標の件で若干補足をさせて頂きます。
今回の「意見書」提出の趣旨から申し上げますと、相談件数の増減などはあまり重要ではないと思
います。要するに「指標」を設定する際に、わかりやすい指標か、指標としてふさわしいか、といっ
た議論が必要とは思いますが、まずは客観的指標を取り入れるということを押さえておくべきだと考
えます。
それから、「意見書」の内容に関しては、しっかりとした議論をしながらまとめていく必要がある
と思います。それは、先ほど事務局からも発言があったように、この「意見書」を作成・提出して終
わりではいけないと考えます。残念ながら、往々にしてこれまでの市政においては、こうしたものが
提出されてもそうした扱いを受けることが多かったように感じています。そうではなく、しっかりと
消費者被害が減っていく一つの契機になるようなものにしないと、せっかくのこうした審議も無駄に
なりまってしまいますし、そうならないように持っていければいいのかなと思います。
中田会長
非常に難しいところです。実際に「意見書」を作成してもどんな意味があったのかという扱いを受
けては仕方がないと思います。私自身そうした経験はあります。
今回の「意見書」提出の成否を判断する一つの方法は、平成29年度予算においてどの程度反映さ
れるかというところで、チェックも可能かと思います。予算措置されるかどうかだけが判断の基準で
はありませんが、大きなポイントになるでしょう。
そのためにも、たくさんのアイデアを出し、提言の中で将来的にはこんな効果が期待できるといっ
た説得力のあることを書いていくことが大事になってくると思います。そういう意味では、事務局も
しっかりと「意見書」の取りまとめに臨んでくれると思いますが、我々もこの消費者教育の推進に対
し、現状分析をもう少し行わないといけないと思います。そして、現状分析の結果、大津市政におけ
る取り組みの不十分さや関係法令の趣旨目的が達成されていない状況が判明すれば、そこは厳しく書
かざるを得ないとも思います。この審議会が示す方向性によっても内容がずいぶん変わることもある
かと思います。
黒田副会長
現状についてお聞きをします。このⅢの2「事業者との連携」において、「正しい判断のためには
正しい情報提供がなされなければならない」ということが非常に重要となってくると思います。この
ときの「情報」というと言葉については、一般的な情報に加えて、消費者教育における情報において
は「見る」
「触る」
「食べてみる」なども大きな情報提供の手段になると思います。
つい先日ですが、私自身の体験として田舎で形の悪いキュウリを食べました。その際に「そう言え
ば昔のキュウリはこんな風に青臭かったなぁ」と感じましたが、こうした経験も消費者が情報を取得
する手段になりうると思います。
中学生は、学校教育の一環として「職業体験」を学ぶと思いますが、事業者はこうしたものを積極
的に受け入れ、事業者が提供する商品やサービスを実際に見たり触れたりする機会を提供することが
できると思います。こうした経験を通して子ども達には本物を見極める力や知恵を身につけさせるこ
とができると思います。以前はこうした経験が世代間の交流の中で継承されていたと思いますが、今
はそうしたことが自由に経験できる家庭ばかりではありませんので、そうした機会を「消費者教育」
の中で創出していく必要があり、これを今回の「意見書」の中にも提言として入れていければよいと
思います。
中田会長
小学校などでは学校周辺の畑で農作業の体験をしたり食育を学んだりしていることはあると思い
ます。そうしたことが将来の消費生活に活かされることはあると思います。
事務局
昨年ですが、滋賀県家電小売事業組合が市内家電量販店で公正な販売状況をチェックする目的で店
舗の立入調査を実施されました。昨年までは業界内の自主規制として実施していたものでしたが、昨
年度初めて、消費者の声も反映させたいとして市民参加を求めてこられました。
その日は、新聞の折込チラシを手に事業者と市民が一緒に店内を回り、販売価格の表示方法や広告
と店頭販売品の一致などを点検されたわけですが、広告に掲載されていた商品が店頭になかったり、
価格表示や商品説明が不明瞭なものもあって、その後に行われた意見交換会では消費者の立場で参加
した市民からは厳しい指摘もありました。このような経験も、事業者側にも消費者側にもメリットが
あり、新しい情報提供の方法なのかも知れません。
前回会議において、大津北商工会の田中委員から「地産地消」のお話がありましたが、事業者とし
て取り組む「地場産業の振興」が、消費者側から見れば生産者の顔が見える「商品の安全・安心」に
つながるとの趣旨のご発言だったと記憶します。只今の黒田副会長のご意見と関連して、田中委員に
も「地産地消」「地場産業の振興」を通じての消費者と事業者の連携についてもご意見を伺いたいと
思います。
田中委員
商工会女性部としては、地域活性化という目的で地元産のものを使っての特産品開発などを行って
います。地元には多くの産品がありますが、そうしたものの多くが忘れ去られたり、販路拡大が望め
ず衰退しているというのが現状です。私たちはそうしたものを活用して地域を元気にしていこうと取
り組んでいます。
地元で採れる物というのは生産者の顔が見え、どのようにして生産しているかなども非常にわかり
やすいです。外国から入ってきたものは、定められた表示によって原産国や内容・成分などはある程
度識別できますが、その製造過程や加工工程まではなかなか知ることはできません。消費者にとって
は不安な部分が多々あります。まず、生産者の顔が見え、消費者が安心して購入できる、そして、そ
の消費者からの信頼の基に事業者が誠意を持って消費者に品物を提供する。この生産者と消費者の関
係によって地域が潤うというのが狙いであります。
中田会長
事業者がやっている事をどのようにして「情報」として消費者に届けるか、これが非常に難しいの
ですが、できるだけそうした情報を提供して行く機会をつくることができればと思います。
事業者と行政が協力できるところで協力しあってもらえれば一番ありがたいのですが、どんな形が
あるのでしょうか。先ほどの近江商人の「三方よし」のような素晴らしい発想の下での協力関係が実
現すればいいのですが。
田中委員
私たちの商工会に加盟している事業所は1,000くらいありますが、地域外から入ってこられた
事業者さんもおられますし、何十年もこの地域で商売を続けておられる方も多くおられます。お客さ
んとの信頼関係が構築できれば、消費者を欺いて儲けを上げるような商売などできなくなりますので、
消費者が厳しい目で正しい判断をされれば、事業者もそれに応えようと努力をします。そうした相乗
効果で消費者トラブルも減っていくのではないかと思います。
中田会長
たとえば、事業者が消費者を守る宣言や「地方自治体と連携して消費者を守るためにこんなことを
推進していきます」というようなことを取り決めて公表するなどの方法があると思います。
常に意識してやってもらうというような内容になるとずいぶん違うのかとも思いますが。
田中委員
事業者としての資質向上というのはすごく大切なことだと思います。昨年度の第2回審議会の後に
商工会でも「仕事と人権」という勉強会を開催しました。まさにこれだと思いました。すべての会員
事業者が参加した訳ではなかったのですが、これによってどれだけの効果が期待できるかはわかりま
せんが、こうした研修を事業者としても続けていくことは大事だと思います。
中田会長
ありがとうございます。
他の委員で今回の「意見書」に関しご意見がありましたらご発言をお願いします。
村田(恵)委員
先程の黒田副会長のご意見を受けてですが、コープしがでは「食」注目して「産直(産地直結)」
に取り組んでいます。その取り組みの中で多くの生産者の方にも参加頂きながら、年2回「商品大交
流会」というイベントを県内2箇所で実施しています。そこでは、「産直」の生産者さんや生協が取
り扱う商品の生産者さんに参加頂き、生産者の声を消費者の皆さんに直接聞いて頂きながら試食をし
て頂くようにしており、黒田副会長が言われていた「キュウリが美味しかった」というあの体験を多
くの消費者さんにして頂いています。もう何十年も前から実施している事業ですが、年2回、2会場
では足りない、もっと多くの地域でも開催してほしいという要望もあって、新たに「知ってねコープ・
試食学習会」という事業も始めまして、昨年は100箇所で実施しました。
また、
「食育」に関してでも「食べる大切・親子クラブ」という事業を数年前から始めており、こ
れは、就学前と小学生の親子を対象に、親子一緒に調理体験して頂くというものです。生協の店舗が
ある地域ではその店舗で買い物をして頂き、魚を三枚におろすなどの体験などもしてもらっています。
お父さんと息子さんで参加されることも多くこちらもたいへん好評です。
中田会長
対象は一般市民ですか。
村田委員
残念ながら、生協組合員だけのイベントです。
他にも、大津市内ではないのですが、JAと協力して田植えや稲刈り体験なども実施しており、こ
の体験を通じてお米がどのようにしてできるのかを学習して頂いていますし、
「ファーマーチャレン
ジ隊」という事業では野菜作りも体験できるようにしています。これは、農家が高齢化によって作物
を作りたくても作れないという事情があることから、農作業をお手伝いしながら、逆に様々な農業体
験をさせてもらおういうことで、JAと協同して子ども達の学習を兼ねた体験事業として実施してい
ます。
なお、コープしがでは、2016年度からは「フェアトレード」もその項目に挙げています。
中田会長
対象者を生協組合員だけでなく一般市民も広げていくためには、大津市の後援などの方法が考えら
れますが、そうしたかたちの後援はできるのでしょうか。
事務局
後援は可能だと思います。所管部署としては、消費生活センター以外にも産業観光部・農水産課な
どでも後援申請を受けることは可能だと思います。
今のお話を聞いていて、生協さんは本市が認定する消費者団体でもありますから、「後援」でなく
「共催」とすることも可能だと思います。こうした結びつきが「意見書」で書こうとしている様々な
主体との協力につながっていくのではないでしょうか。
中田会長
学校教育においても「食育」や「環境学習」、
「地域産業」などの学習分野において、今、ご紹介頂
いたような体験はすでに行っていると思います。行政がそうしたところで学校教育と事業者を結び付
けていくことで、消費者教育は一気に学校教育の中に入り込んでいくようにも思えますし、こういう
アイデアを具体的にどう実践に移していくか、そういう可能性をどれだけ拾い上げられるかというこ
とをもっと考えていってもいいのも知れません。
事務局
同じく市内で活動されている消費者団体の「大津友の会」のご意見をお聞かせ頂けないでしょうか。
本多委員
私ども「大津友の会」の母体は「全国友の会」といいまして、社会を良くするには各家庭を良くす
ることが大事という考え方の下に全国の主婦が集った団体です。日々、多くの主婦は賢い消費者とし
て様々な工夫や勉強を重ねており、それを家庭内に留めておくのではなく常に社会に働きかけて行こ
うということで活動しています。
毎年、秋に「家事家計講習会」という催しを開催しており、家計簿を付けませんかということを働
きかけているのですが、良い家庭を作る一番の秘訣は「家計管理」をすることではないかということ
でこの事業を何十年も続けています。
今回の「意見書」の構成案の中に「消費者団体の育成・支援」という項目が入っていますが、私た
ち活動資金は、自分たちの会費のほか、様々なセールなどを催して調達した資金がそのベースとなっ
ています。よって、団体の財政状況は非常に厳しいのが現状です。こうした「消費者団体の育成・支
援」を「意見書」の項目に盛り込んで頂くと、やる気が出てくると申しますか、是非とも積極的な支
援を行政がしてくれるよう提言して頂けると嬉しく思います。
中田会長
できましたら具体的に、
「支援を受ければこういうかたちでこのようなことをやります」と言って
頂ければ、それをプログラムに入れることができると思いますが。
本多委員
家計の管理や家計簿を付けることに関しては、結構興味を持っておられる方が多いと感じておりま
す。私たちは、単に支出を記帳するだけの家計簿ではなく、会社や団体・組織のように「家庭の家計
においても年間の収支予算を立て、その予算に合わせて生活を送りましょう」という独自の「予算を
立てる家計」こんな家計管理の方法を私たちは提案しています。
黒田副会長
恐らく「20歳問題」と書いてある中に大学生の家計の問題というのも含まれているのだと思いま
すが、家計管理は貧困者の自立支援でもかなり難しい課題とされており、要するにどうやって支援し
指導していったらいいのか明確な答えが出ていないのです。そのノウハウを今のお話を伺って、そこ
にヒントがあるというのであれば、そういうところとの連携は重要であると思います。本当に凄いノ
ウハウがあるのではないかと思ったりもします。
中田会長
具体的なかたちで提案して頂き、それを我々が重要だと判断したら、大学や高校など様々なところ
に情報提供していくというような枠組みができ、団体の収入につながるのかどうかは分かりませんが、
それが公益活動と認められれば、自立した消費者団体としての行動することも可能になるのではない
かと思います。
村田(恵)委員
もう一点よろしいでしょうか。
Ⅲの2の point①の具体的な実践行動の「見守りや啓発」の箇所ですが、「事業者が行う日常の事業
活動を通じての…」という記述がありますが、前回会議で宅配給食サービスの配達時に特殊詐欺防止
の啓発ビラなどを一緒に届けられたらたらというお話をしたので、こうした記述を加えて頂いたのだ
と思います。私どもの宅配業務の業務目的にも「見守り」が入っております。宅配で各家庭を訪問す
る際に安否確認をするということです。こうした活動はすでに人命救助につながったケースもありま
す。毎日、大津市内だけでも4,300箇所に配達し、2,500人の方とお合いする訳ですから、
前向きに消費者の自立を支援し、安心して消費活動が行えるための啓発や働きかけにつながればいい
なと思っております。
生協というのは、サービスの提供範囲が組合員に限られていますが、本来の事業活動と合わせてこ
うした「見守り」や「啓発」の付帯サービスが届けられれば、組合員数も増え、さらに多くの方にこ
うした公共・公益サービスがお届けできるようになると考えます。日常の事業活動の中でそうした公
共の福祉につながるお手伝いの範囲が拡大すればすばらしいことだと考えます。
中田会長
具体的にどのような情報を提供するのかについては、消費生活センターなどが相談に乗るなどの協
力ができるはずです。事業者による「見守り」というのは重要ですし、行政がうまくそうした民間事
業者の活動を利用させて頂き、市民への生活情報を積極的に行っていくことは大事です。具体的な行
政と事業者の協力のあり方として考えたいと思います。
佐野委員
学校教育における消費者教育の推進ということで、先程、大津市教育委員会の指導主事の先生から
お話を伺いましたが、良い教育をして行くためには「良い教材」や「充実した教員向けの研修」が必
要だと考えています。
そうした中で、県も昨年度から県民活動生活課において、消費者教育を推進していくための学習教
材作りに着手しています。現在は小学生向けと中学生向けの試験品を製作し、今年度から各市町の消
費生活センター等に配布して各学校に活用してもらうことにしています。
その教材とは、小学生に関しては、遠足に行きますが、そのための買い物をするという内容で、お
金の使い方を学習するものです。中学生に関しては、消費者としての消費行動する場合の選択という
内容となっております。これらの教材はCD化もしており、データを教員が加工して使用することも
可能となっております。
また、同じく昨年から小学校と中学校で先の学習教材を使ったモデル授業も始めており、中学校に
ついてはこの大津市内の中学校でモデル授業を行いました。
こうした学習教材の研究や製作には時間が係ると考えておりますが、今回の「意見書」の記載事項
の中にも大津市としての共通教材に係る研究・開発・作成が項目が盛り込まれております。もし、大
津市がオリジナルの共通教材をお作りになるのであれば、それは県との連携という点で県が昨年度に
作成した物を活用してモデル授業を実施して頂き、その実用性などの検証を行い、さらに共同で研究
を進めていくようなことのほうがいいのではないかと考えます。
事務局
その点につきましては、先程、沼井委員からも「県との連携はどうするのか」というお話を頂きま
したが、県と同じようなことを重複して大津市としてやる必要はないと考えており、県の事業に大津
市として積極的に関わっていきたいという意味で、滋賀県とはしっかりと連携を図ってまいります。
中田会長
共通教材と言った場合でも、消費生活センターがこれまでも作ってきた「学校の学習にも使って頂
ける資料」と今回の「意見書」に記載しようとしている「学校教育において消費者教育を行う際の副
読本とその資料集」の2種類が考えられます。後者は、当然のことながら、様々な教科や分野の内容
が盛り込まれており、かなり内容の濃いものとなることが考えられます。
小学校では、現在、消費者教育に充てられている時間が2~3時間という話もありましたが、小学
校は仕方ないとしても、高校になればもう少しきちんと時間と手間をかけて教えなければならないと
思っています。大学に関しては、最低でも90分×15回程度の授業をすべての大学、すべての学生
に対して行うべきだと考えています。
しかし、実際には消費者教育として「何をどういうふうに教えるべきなのか」
、
「対象は誰なのか」
などといったことは、あまり議論されてきませんでしたし、よく分からないところがあります。しか
し、
「新学習指導要領」では学習することが決まっている訳ですから、そこにはかなり難しい学習方
法に関する課題が残されていると考えています。つまり、現状では我々が議論しようとしている次元
とは異なる問題が含まれていることを理解しておかなければならないのです。
単に大津市が新たに学校用の共通教材を作りますと言っただけの問題ではなく、どういう教材が本
当に必要なのか、学校現場の教員が何を必要としているのか、今足りていないものがあるとすればそ
れは何か、それをどう補っていくのか、などを考えることが必要になってまいります。
加えて、紙媒体の教材はその利用範囲が限定されますので、教員が自由に使えるような電子媒体の
教材や資料の提供、そういうものの検討が必要です。
今回の「意見書」ではこうしたことも提案できると思っています。ここだけの議論で済む訳でもな
く、今後、この「意見書」の作成していく段階では、外部の学識経験者の方々にも集まって頂いてご
意見を聞くことも考えています。
中田会長
よろしいでしょうか。
時間も迫って参りました。委員の方の中でまだ気になる点がございましたら、発言をお願いします。
沼井委員
最後に2点発言をさせて頂きます。
大きな話になってしまいますが、今回の「意見書」を作るにあたって、短期的な成果を目指すもの
と中長期的に時間を掛けてやるべきことに分けて考える必要があると思います。この点を事前に整理
しておくべきだと考えます。
もう1点は、今までいろいろな意見が出てまいりましたが、具体的な取り組みとして会長もおしゃ
っておられましたが、例えば、消費者に優しい取り組みをやっている事業所や団体に「消費者教育推
進宣言」をしてもらい、それを行政が顕彰するといったよく環境分野などで行われるような制度を取
り入れたらどうかと考えます。すでにすばらしい取り組みを始めている事業者や団体もある訳で、こ
うしたものも含めてこれにエントリーしてもらい、基準をクリアすれば、こうした事業は大津市との
タイアップ事業だということにしていいのかと思います。要するに、新しいものを作っていくのもい
いですが、既存のものにもすばらしいものがあるのですから、そういうものを有効に活用していけば
いいと思います。
中田会長
有難うございます。
意見書を短期的な観点と長期的な観点の2つから考えるというのはそのとおりだと思います。
ただ、短期的というのは、恐らく今言われたようなイベントや既存の事業を拾い上げていくという
作業の中で行うことになるのかと思いますし、これは絶対にやらなければいけないという重点課題が
そこに入ってくるだろうと思います。
また、この「意見書」では、長期的な目標よりも短期的な目標に重点をおいて検討することが優先
されるではないかと考えます。
事業者や団体の取り組みの顕彰制度は非常に効果的だと思います。顕彰や認証まで行くか、評価し
て行政が良い取り組みとして紹介する程度に留まるかはわかりませんが。
実は、この「意見書」というのは、そういうところにスポットを当ててどんどん具体的な事業を挙
げながら、大津市は何しますか、どうするんですかというように、今やっている事だけでは充分では
ないということを明らかにして、新たな消費者行政の推進に刺激を与えていくべきものではないかと
も思っています。
村田委員
平成28年度の事業計画に関してよろしいでしょうか。
資料3ですが、啓発事業において、消費者団体等との共催による講座開催についてですが、コープ
しがは「学ぶ」ことをとても大切にしている団体ですので、その点では一緒に「行動する消費者」
「自
立して行動する消費者」を少しでも多く育成する場が創造できたらいいと思います。
また、啓発活動において、毎年どこかの店頭で街頭啓発を実施されており、今年度も事業計画にそ
の実施予定が載っておりますが、私どもは大津市内に店舗を持っており、この店舗は組合員以外の方
も利用されますので、啓発内容によっては協力できると考えます。
事務局
有難うございます。
まず、消費者団体等との共催による講座等のイベント開催については、書いておりますとおり、詳
細未定であります。本市の消費者団体として認定させて頂いているコープしが様からお言葉を頂きま
したので、是非とも今年度は何か事業を共催させて頂き来年度によい報告ができればと考えます。
中田会長
消費者団体との協働事業という点では「大津友の会」さんとの事業も効果的な働きかけができるの
ではないでしょうか。
家計の問題は、実は消費者教育の中ではとても重要な問題であり、海外では学校教育の中でも特に
重視している部分です。それが日本においては、まったく関係ないといった風の扱いを受けていると
ころもあり、是非とも社会人に対する消費者教育のフォローとなるよう、具体的活動につなげて頂け
ればと思います。
中田会長
他にご質問等はございませんか。
それでは、今後のスケジュールの話をさせて頂きます。
本日の資料をお持ち帰り頂き、これに関係してまたご意見等が出てまいりましたら、その際には是
非引き続きお出し頂きたいと思います。
その間に「意見書」の原案を事務局と私、それに黒田弁護士にも加わって頂き作らせて頂きたいと
思います。そして、時期的には7月から8月にかけて作成した原案を委員にお送りして見て頂き、文
書会議というかたちになりますが、それに加筆、修正、コメントを頂き、ある程度のかたちになるま
でそれを繰り返し、9月中旬から下旬にかけて第2回会議を開催させて頂き、最終的な取りまとめを
行う予定でおります。もちろん、そこまででまとまらない可能性もありますので、そうした事態にな
った場合はその時点で対応を考えます。
10月には消費生活センターの新年度予算編成が始まりますので、市長への「意見書」提出はこれ
に間に合わせたいと考えています。11月には部内査定、財政課査定と予算編成作業が進んでまいり
ます。そこで説得力のある「意見書」がまとまっていれば、平成29年度予算に我々の意見が反映さ
れる可能性も出て来ると思います。
そして、2月頃に第3回会議を開いて新年度予算の最終案を確認させて頂くということにしたいと
思いますが、具体的に予算化されたものがあれば、我々としても4月以降の大津市の消費者教育の推
進状況をしっかりと見極めていかなくてはならないことになります。このようなスケジュールでいか
がでしょうか。
特に異議がないようでしたら、この流れで進めさせ頂きます。
中田会長
それでは進行を一旦事務局にお返しします。
事務局
会長有難うございました。
それでは只今のスケジュールに従い、できる限り文書会議の回数を増やすように務めながら、原案
を仕上てまいりたいと思います。
それでは、これをもちまして本日の大津市消費生活審議会の会合を終了させて頂きます。
長時間に渡りご審議を賜りありがとうございました。