2.プライベートバンカーの 3 資格

2.プライベートバンカーの 3 資格
(1)
どの資格から受験するか
プライベートバンカー(PB)資格は、初級者から上級者まで 3 つの資格を用意しています。以下に述
べる各資格のレベル・職能域などを参考にして、自分の知識レベルや経験、職場での役割に見合った資
格、一部試験免除の仕組みなどを確認して受験する資格を選択して下さい。
例えば、金融機関等に勤務されてまだ日が浅い方や、家庭の主婦、退職者で今後ご自身の生活設計を真
剣に検討したいと考えられている方は、まず PB コーディネーターから始めるのが良いでしょう。また、
会計士、税理士、1 級 FP 技能士、CFP 認定者の方は、一部試験免除の特典を活かしてプライマリーPB
から受験されるのが実践的です。
当協会の基礎講座修了者、証券アナリスト通信教育講座の第 1 次レベルに合格している方、CMA 資格
保有者も一部試験科目が免除されるので、プライマリーPB から受験されると良いでしょう。
ただし、平素事業承継や相続業務に携わっている CMA や 1 級 FP 技能士・CFP の方は、直接シニア
PB に挑戦することも十分選択肢となります。
(2)
各資格の紹介
① PB コーディネーター
~目標は PB 分野の基本的事項の理解です。
レベル: 金融および金融商品に関する全般的な知識と税金、不動産、信託、相続の基礎的知識に加
え、顧客(特にマス富裕層)との信頼関係を築くリレーションシップ・マネジメント、職
業倫理の基本をマスターすることが必要です。
一般誌の経済記事を理解できるレベルが求められます。いわば、プライベートバンカーの
入門コースです。
PB コーディネーター向け専用テキスト「あなたもなれる!PB コーディネーター~プラ
イベートバンカー入門 52の心得~」には、富裕層のお客様と接する際に必ず押さえてお
くべきポイントを、科目別に記載してあり、富裕層ビジネスのアンテナ機能を果たすコー
ディネーターの役割を担うために、必要な知識が学習できます。ウェルスマネジメントに
は欠かせない金融商品知識についてはサブテキスト「金融なんでも百科」で、税金の知識
は「やさしい税金教室」で学習してください(詳細はP.15 参照)。
また、通勤時間などを使って気軽に学習する方法として、
「PB コーディネーター向け学習
動画」を用意しています(詳細はP.13 参照)。
さらにプライベートバンキング・ビジネスの知識を深めたい方は、PB 教育プログラム全
体のメインテキスト「プライベートバンキング」にトライすることをお薦めします。
受験対象者: 誰でも受験することができますが、金融機関でこれからセールス部門の経験を深めていく
人、一般の会社で仕事上、金融や税務、不動産や相続などの知識を身につける必要がある人、
さらに、自ら資産運用や老後の生活設計を考えている人、いずれ社会人になる学生などが対
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2. プライベートバンカーの 3 資格
象になります。
職能域: 金融機関にあっては、窓口あるいは外勤の担当者として、顧客のニーズを理解し、第一次
的な応対をした上で、関係部署と適切な連携を取ることができることを想定しています。
金融になじみのない方、金融機関職員以外の方や、自らの資産運用や老後ないし生涯の設
計を考える方々にとっても有用です。ウェルスマネジメント等の知識を使いつつ、自ら将来
の計画を作成することができますし、金融機関と的確な相談を交わすことで、よりニーズに
合った回答を引き出すこともできるでしょう。
②
プライマリーPB
~目標は PB としての基本的対応力の修得です。
レベル: 資産運用に関する基本知識を実務面から問うとともに、不動産、税金、相続・事業承継、
信託・エステートプランニング(資産承継計画)の理解が不可欠です。経済専門誌を概ね理
解できるレベルと考えてください。マス富裕層について、実務に要する基本知識が問われま
す。RM スキルと職業倫理に関する知識も必要です。
「プライベートバンキング」の内容全般(シニア PB 対象項目を除く)と、資産運用では
「証券アナリスト基礎講座」レベルの知識が要求されます。
受験対象者: 誰でも受験することができますが、ある程度この方面に基本的な知識を持った人でないと
難しいと思われます。金融機関でいえば、プライベートバンキング部門の担当の方、あるい
は営業店である程度セールス経験があり、それなりの学習をしている方、またいずれ金融の
分野で活躍することを目指す方を想定しています。
PB コーディネーター資格を取得された方は、もう一歩踏込んで学習した上で受験するの
が良いでしょう。
また、CMA、証券アナリスト第 1 次レベル試験合格者、証券アナリスト基礎講座修了者、
1 級 FP 技能士、CFP 認定者、税理士、公認会計士の方は、一部試験が免除される科目があ
り、習得済の知識を活かすことが可能です。
職能域:
金融機関にあっては、プライベートバンキング部門の担当者として顧客のニーズを理解
し、比較的複雑かつ広範囲な顧客の要求にも対応が可能になるという想定です。また、PB
コーディネーターの人と同行訪問して得意先顧客のニーズを把握した上で具体的な対応が
できる役割も持ちます。
金融機関以外でも、専門性の高い金融知識や、相続、事業承継の知識を求められる方、あ
るいは自ら具体的な生涯計画を立てたい方には本プログラムで実践的な知識を身に付け、本
資格を取得することをお勧めします。
シニア PB
③
~目標は PB としての実務対応力・応用力の強化です。
レベル: プライベートバンカーとして資産運用に関する実務対応力・応用力が問われます。これ以
外の分野でも知識のみならず実務対応力、応用力を問うとともに、海外信託、国際税務等グ
ローバルな知識が問われます。RM スキルと職業倫理が身についているかを実務面から確認
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2. プライベートバンカーの 3 資格
します。プライベートバンカーとして、投資政策書の作成などにより具体的な対応策を提示
できるレベルです。メインテキスト「プライベートバンキング」の応用部分まで理解する必
要があります。
資産運用についていえば、証券アナリスト第 1 次レベル試験と同等のレベルとなります。
「証券アナリスト通信教育講座」(証券分析とポートフォリオマネジメント)のテキスト 5
冊の学習が必要です。
コンピュータ試験の合格者に対して筆記試験が行われ、その内容は「投資政策書」の作成
です。また、筆記試験「投資政策書」の作成については、協会ホームページ(PB トップ>「試
験に備える・申込む」>「シニア PB」>「学習教材」>「投資政策書」
)に掲載されている「投
資政策書の作成ガイド」等を熟読し、ケーススタディを完全に理解してください。自信がな
い方は協会が開催する「PB セミナー」、
「PB スクール」に参加するのも効率のよい学習方法
です。
受験対象者: 受験できるのは、プライマリーPB 資格保有者はもちろんですが、CMA、証券アナリスト
第 1 次レベル試験合格者、1 級 FP 技能士、CFP 認定者の資格を持つ方も受験できます。資
格を取得するには 2 年以上の実務経験が必要ですが、この資格はプライベートバンカー資格
のいわば柱であり PB 業務に本格的に携わる方には必須の資格です。CMA、証券アナリス
ト第 1 次レベル試験合格者には、一部試験免除科目もありますので確認の上、ぜひチャレン
ジしてください。
職能域: 金融機関にあっては、プライベートバンキングの実働部門の中心的役割を担う人材です。
この部門の管理職や中堅として、顧客のために具体的解決方法を盛り込んだ投資政策書を策
定し、これを結果に結びつける上で中心的な役割を担います。さらに、プライベートバンキ
ング部門の管理職ないしリーダーとして部下を指導しながら、適宜専門家と協力して、顧客
の多種多様かつ難しい要望にも応えていくことになります。この分野のコンサルタントもイ
メージしています。
また、税理士や会計士あるいは FP の方々が富裕層顧客のニーズに十全に応えていく上で
は、このシニア PB 資格の取得を通じて知識、ノウハウを磨いていくのが効果的でしょう。
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