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国際連語論学会 7 月例会
日時:2016 年 7 月 16 日(土)13:30~16:45(予定)
場所:大東文化大学板橋校舎 1 号館 5 階 10517 教室(東上線東武練馬駅下車、大東文化会
館より学バス約 6 分)
研究発表①:劉爾瑟(
“被字句”における構造助詞“的”を用いる受け手主語につ
いて」)
②:張岩紅(連語論から見る「格付き空間詞+~ていく」の構造と意味)
講演:鈴木康之「連語論研究の原則」
※研究発表①(13:30~14:30)
ヒト:小路口ゆみ(大東文化大学博士後期課程 2 年)
テーマ:
“把”構文における可能表現について
現代中国語の可能表現では、
「能願動詞による可能」と「補語による可能」に大きく二分
され、能願動詞による可能は数多く存在し、例えば“能、能够、会、可以、可能”等があ
る。本稿では、可能能願動詞の代表とされている“能”のみについて考察する。ちなみに、
“把”構文における可能表現は、
「能願動詞による可能」でしか表せない。
(5)四元儿却吓得脸发白,实指望五元儿能把血捂回去。
《插队》
四元児は驚いてまっ青になり、五元児がなんとか血を止めてくれればいいとひ
たすら願うばかりだ。 『大地』
(5)
’* 四元儿却吓得脸发白,实指望五元儿把血捂得回去。(作例)
(6)保卫科长居然能把魏石头过去没心没肺骂出来的话,举出一大堆,说得魏石头脑
门子冒凉气。《丹》
保衛課長は、前に、魏石頭がそれほど深い気持もなく吐いた言葉をつぎつぎと並
べたてて、彼をひやっとさせた。『眼』
(6)’* 保卫科长居然把魏石头过去没心没肺骂出来的话,举得出一大堆,说得魏石
头脑门子冒凉气。(作例)
例(5)は能願動詞“能”による可能を表す“把”構文であり、この“把”構文は例(5)’
のような可能補語による可能を表すことができない。同様に、例(6)も能願動詞による
可能表現ができるが、可能補語による表現はできない。それは“能”による可能表現の特
徴と“把”構文の条件が一致するからである。この点について、連語論の観点から分析を
試みる。
※研究発表②(14:30~15:30)
ヒト:張岩紅(大連外国語大学)
連語論から見る「格付き空間詞+~ていく」の構造と意味
要旨:一般来说,动词「いく」表示人的移动,即说话人离开自己的位置,而且它是有视点
的,要去的地方通常用空间词来表示。如下所示,
「格付き空間詞+いく」可以表示说话人位
置变化的四种意义的移动:a.主体(从某个地方)去目的地的移动(例 1)「空間的な移りの
むすびつき」
,b.朝某一方向的移动(例 2)
「空間的な方向のむすびつき」,c.在某种空间范
围内的移动(例 3)
「空間的な移動のむすびつき」
,d.通过某种空间的移动(例 4)
「空間的
な通過のむすびつき」
。通过分析可以看出,
「いく」是由基本义「移る」
(例 1)向派生义「む
かう」
(例 2)
、
「移動する」(例 3)
、
「通過する」
(例 4)发生着意义上的转变。
(1)それから私は、三日目の朝、会社へ行くような風を装って鎌倉を出ました。/第
三天早晨,我打扮成上班的样子离开镰仓。『痴人の愛』
(2)宿は長谷の通りから御用邸の方へ行く道の、植惣と云う植木屋の離れ座敷を借り
ました。/此房与主房有段距离,位于从长谷大街通往皇室别墅的路上。
『痴人の愛』
(3)我々はどんな辺鄙な日本の地方を行く時も、決してこういう観念には襲われない。
/如果是在日本,不论到多偏僻的地方去,我们都绝不会产生这种想法。
『野火』
(4)道は或る時、岸に登り、蔓草を縦横に張りめぐらした、叢林の中を行った。/有
路的时候,可以登上岸边,到处都是藤蔓,我就在林中穿行。
『野火』
而「格付き空間詞+~ていく」则表示主体的位置移动(例 5)
、动作移动(例 6)、行为
移动(例 7)
、目的+位置移动(例 8)等。
(5)人々は自発的にここに入って、自発的にここから出ていくの。/人们自觉自愿地进
来,自觉自愿地出去。『ノルウエイの森』
(6)ボールは勢いよく、内野の後方まで飛んでいった。ボクにとっては、大飛球だ。
/球快速飞向“内野”后方,这对于我来说就是一个大飞球。『五体不満足』
(7)「悪いじゃないの?火事場まであんたを連れて行くなんて、村の人に悪いわ」/
“这多不好,连到火场去也要带着你,在村里人面前怪难为情的。” 『雪国』
(8)それをよい方向に進めていくことはできるわよ。/也可以使其朝好的方向发展,
……『ノルウエイの森』
汉日两种语言的移动表达总体来看有一定的对应关系(例 6~8),但有时汉语要略显简
单(例 5)。
本文从词组学的观点出发,在「格付き空間詞+いく」分类的基础上,进一步阐明「格
付き空間詞+~ていく」的各种用法。
休憩 15 分
※講演(15:45~16:45)
鈴木康之(国際連語論学会名誉会長、大東文化大学名誉教授)
テーマ:言語学研究会成立当時の共通理解