大阪府立大学新技術 説明会2007 誘導加熱方式による過熱水蒸気と 表面誘導加熱によるドラム缶剥離 洗浄法の省エネシステムの確立 中央産業(株) 大西 徹造 有限責任事業組合(LLP) C.P.プロジェクト 小林 一三 生命環境科学研究科 宮武 和孝 1 本技術内容と応用事例とその結果について紹介 過熱水蒸気(温故知新)の新規応用展 開のため、誘導加熱技術を融合した。 誘導加熱による過熱水蒸気の制御性、 効率性によるドラム缶リサイクルのため 洗浄・乾燥応と誘導加熱による表面加 熱によるドライ剥離への応用した。 これにより、労働環境改善だけでなく、 エネルギーなど環境負荷の大幅な低減 を確立した。 2 過熱水蒸気の歴史:温故知新技術 過熱水蒸気そのものの発見は、Hausbrand, E.1912年、Drying by Means of Air and Steam. Lane A.M and S.Stern. Application of Superheated Vapor Atomspheres to drying., Mcehanical Engineering, 78, 423, 1956. 第34回Int.Conf.Environ.Systems., USA,2004-01-2354(論文番号) 閉鎖系で の過熱水蒸気の多目的利用 3 ■過熱水蒸気とは■ 100℃で蒸発した飽和水蒸気を常圧でさらに高温加熱した無色透明のH 2 Oガス 蒸気発生ユニット 水 過熱蒸気発生ユニット 水蒸気 過熱水蒸気 100℃ Ex.100~900℃ ■加熱のメカニズム■ 過熱水蒸気 0.48cal/g/℃ 凝縮水 539cal/g 対流熱 凝縮熱 熱風加熱 過熱水蒸気 空気の状態 水の気体状態 加熱空気 0.24cal/g/℃ 対流熱 4 ■過熱水蒸気の主な特徴■ ①高い熱伝達特性を持つ ②対流・放射・凝縮の複合伝熱利用が可能 ③酸素濃度が低い 洗浄用途で期待できるポイント 対象物の短時間加熱 凝縮作用による洗浄・剥離・脱脂効果 高温無酸素状態からの防錆・殺菌効果 ■過熱水蒸気の応用分野■ 分野 利用特性 応用例 食品加工 高熱伝達、乾燥、低酸素濃度 解凍・焼成・解凍同時焼成・加熱・殺 菌・蒸し・乾燥・焙煎 廃棄物処理 低酸素濃度、乾燥、高活性 ダイオキシン分解・乾燥による減容・ 炭化 金属加工 高熱伝達、低酸素濃度、洗浄 金属焼入れ・焼きなまし・脱脂洗浄 化粧品、塗料 乳化作用(微細液滴) エマルジョン化 100℃ 300℃ 500℃ 800℃ 1000℃ 使用温度域 食品加工 殺菌・洗浄 分解・脱臭 脱ハロゲン、ガス化 廃プラ減容 乾燥 炭化 5 経営環境:新しいビジネスチャンス LOHAS( Lifestyles of Health and Sustainabilityの 略)とは、健康と 環境を志向する 新しいライフスタイ ル ポール・レイ博士は、1986年から15年 間にわたり15万人を対象に調査をした 結果、全米の大人の26%(5000万人) が、ある明確な志向を持った層である ことを発見。それは、40年前にはほと んど見られなかった新しい価値観、世 界観、ライフスタイル オーガニック食品、代替医療、ハーブ、 ヨガ、太極拳、メディテーション、エコロ ジカルな住宅や製品、ガーデニングな ど、LOHASに関連するさまざまな産業 は全米で2268億ドル(2000年度) (4400億ドル:2003年)という巨大な市 場 6 生命機能科学研究科生物資源循環工学 電熱加熱 ヒーター 過熱水蒸気 (ヘルシオ) ランプ 焼き入れ 直接加熱 金属の自己発熱 溶接 ロー付け 誘導加熱 電気加熱 溶解 鍛造・成形 乾燥・熱処理 溶解・非金属・セラミッ クス系材料 焼成・焼結 高周波加熱 間接加熱 誘電加熱 過熱水蒸気 金属・良導体抵抗材 料の発熱を利用 IH炊飯器・IHックッキ ング (カーボン) 直接加熱 溶着・接着 予熱 調理・電子レンジ 過熱水蒸気生成ついて 間接加熱 予熱・乾燥・接着 一般乾燥 殺虫・殺卵 7 公立大学法人大阪府立大学生物資源循環工学 過熱水蒸気発生装置の材質選択について 材質 比重 比熱 放射率 ステンレス 7.9 0.11 0.5 以下 鉄 7.86 0.15 0.5 以下 カーボン 3.5 0.16 0.8 以上 グラファイト 2.25 0.17 0.8 以上 SiC 3.1 0.16 0.8 以上 コンパクト、 制御性を 35x150 mm 発揮 発熱体 熱損失=P2+P3+P4 を加熱に変換 8 公立大学法人大阪府立大学生物資源循環工学 1:過熱水蒸気の新規な効果 過熱水蒸気による抽出効果 Sample Recovery (%) 107 biphenyl on petri dish biphenyl on ash 95 77 biphenyl on D.F. PCB-analogue on petri dish 101 66 PCB-analogue on ash 9 1:過熱水蒸気の新規な効果 合成繊維ロープの熱処理装置 本体 抽出効果 表面処理 誘導加熱装置 作動中 誘導加熱装置 10 新規剥離・洗浄システムと従来法の比較 新規剥離・洗浄システム 従来法 使用済みドラム缶 使用済みドラム缶 整形、外洗浄 内部洗浄 水切り乾燥、 内部検査 作業環境:騒音, 粉塵、臭い 廃棄物排出 塗料消費大 過熱水蒸気 による内部 洗浄、乾燥 エネルギー消費 大 場所の占拠 ショットブラスト 塗装、乾燥、チュ ウニング外見検査 製品 整形、外洗浄 作業環境改善: 騒音、臭いなし 廃棄物なし 塗装量大幅削 減 省スペース化 高周波誘導加熱によ 作業効率上昇 る外塗装料剥離 エネルギー消 費大幅削減 塗装、乾燥、チュ ウニング外見検査 製品 11 目的 金属製容器再生事業における 容器洗浄への過熱水蒸気利用 ■対象となる金属製容器■ <容器種類> 鋼鉄製200ℓドラム缶・ステンレス製200ℓドラム缶・ペール缶・18ℓ缶等 クローズドタイプ及びオープンタイプ <主な前荷内容物> オイル(機械油・潤滑油など)・可塑剤・食油・低重合物・塗料・インキ・樹脂・ 化粧品等 ■過熱水蒸気利用工程(缶内洗浄部分)■ 整形・外部洗浄・缶内初期洗浄など 過熱水蒸気利用 残査物除去 本洗浄 水洗浄 仕上洗浄 水分乾燥 残存前荷を吸 引または自然 落下で除去 加温アルカリ性 水溶液を噴射 洗浄 水によるリン ス洗浄 洗剤除去 加熱炉通過 か熱風投入 塗装剥離へ 12 使用方法 ■システムフロー■ 熱風発生装置 熱風吐出 過熱水蒸気生成ユニット 蒸気発生ユニット (高周波誘導加熱方式) ドラム缶 ボイラ 過熱水蒸気吐出 ファン 水道給水 ポンプ 排気吸引 凝縮水回収 ポンプ ボイラ給水 初期洗浄利用 ①生成された過熱水蒸気を缶内へ投入 ②熱風投入と同時に缶内より排気吸引 ③缶内凝縮水回収 ④排気冷却による凝縮水回収 ⑤回収凝縮水は缶内初期洗浄用に再利用 ⑥排気用冷却水はボイラ給水へ再利用 凝縮水 13 ■実験写真■ 使用状況 14 ■過熱水蒸気利用による効果■ 【現行工程での問題例】 【効果内容】 缶体を加熱炉で180℃環境に15分 缶内残留水分が非常に少なく、 高温熱風投入と排気・凝縮水吸 引により乾燥時間の大幅短縮 ②使い捨て洗剤と水の大量使用 中性洗剤の追加投入及びリンス工程で 1ドラムあたり50ℓの水を使用し下水へ 高い洗浄脱脂作用により洗剤及 び洗浄水の大幅減量 ③産廃排水量の増大 残査物除去過程で溶融目的に投入す る水蒸気凝縮水を産廃処理 過熱水蒸気による凝縮水は飽 和水蒸気よりかなり少なく汚水 産廃は抑制 ①缶内乾燥にかかるエネルギーと時間 主なその他の効果 ・エネルギーや水の有効利用 ・排水量低減 ・洗剤使用低減 ・缶体へのダメージ低減 ・工程時間短縮 省エネルギー コストダウン 資源有効活用 品質向上 15 電熱加熱 ヒーター 過熱水蒸気 ランプ 焼き入れ 直接加熱 金属の自己発熱 溶接 ロー付け 誘導加熱 電気加熱 溶解 鍛造・成形 乾燥・熱処理 溶解・非金属・セラミッ クス系材料 焼成・焼結 高周波加熱 間接加熱 金属・良導体抵抗材 料の発熱を利用 過熱水蒸気 IH炊飯器・IHックッキ ング 溶着・接着 加熱法について 誘電加熱 直接加熱 予熱 調理・電子レンジ 間接加熱 予熱・乾燥・接着 一般乾燥 殺虫・殺卵 16 公立大学法人大阪府立大学生物資源循環工学 誘導加熱部分 17 生命機能科学研究科生物資源循環工学 剥離装置 18 生命機能科学研究科生物資源循環工学 Osaka Prefecture University 脱臭して 排気 焼肉網自動洗浄装置外観 19 生命機能科学研究科生物資源循環工学 改良技術開発のまとめ ウエット洗浄 作業環境(安全性、に おい、音) 廃棄物 作業効率 装置の肥大化 ドライ洗浄 作業環境の革新 廃棄物の有効利用(油;燃 料、炭化物:炭として再利 用) 作業効率向上 コスト低減化 モバイル化(コンパクト化) LOHASに貢献 20 生命機能科学研究科生物資源循環工学 誘導加熱方式による表面剥離プロセス ドラム缶 誘導加熱 数秒 塗料の融点近傍 まで加熱 剥離終了 その後、剥離工程 表面塗装 剥離例: 一部のみ 21 新規方式の導入効果 廃棄物 乾燥(缶内) 従来方 新規方式 ショットブラスト滓 処理必要 160-170度都市 ガス熱風炉 50 L なし(剥離塗料回 収) 過熱水蒸気効果 乾燥過程不用 1/10以内 最終リンス用水 使用料(缶当り) 臭い、騒音、有 除去システムコ 害ガス ストあり 総エネルギー消 16,600Kcal/本 費(缶当り) 処理コストほぼ なし 50%以上の削減 可能 22 21 世紀に求められる技術革新(ファクター10)表 産業の種類 ファクター10 達成の可能性 農業、食料 大きい 林産業 小さい 化学、医薬品 鉄鋼 かなり大きい 小さい 半導体 非常に大きい 機械 十分に大きい エネルギー、土地、水供給 大きい 輸送・通信 小さい 廃棄物(未利用資源) 十分に大きい 23 実用化に向けた課題 現在、誘導加熱利用技術は可能な ところまで開発済み。 今後、さらなるゼロエミッション化とし て、凝縮した洗浄水を浄化、再使用 する技術が必要であったが、これも ベンチャー企業との協働により解決。 協働による一連の装置製造を希望 される企業を募集。 24
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