報告書

別紙様式1
平成27年度学術研究推進経費 共同研究推進経費
プロジェクトの名称
報告者氏名・所属・職名
プロジェクト担当者
(氏名・所属・職)
研究成果概要報 告 書
多変数多峰関数の数理構造の解明とその応用
金光 秀雄・函館校・教授
金光 秀雄・函館校・教授
研究内容及び成果の概要
図2 極小単峰列関数
多峰関数(極小値集合の連結成分数が複数)は著者等によって初めて定義され(1996年),その数理構造(以降の太字が
具体的な数理構造)は1変数の場合,極小点の隣接する2極大点からなる単峰領域と単峰領域幅およびこれらの3点で
の関数の差で定まる単峰領域深さから構成される(図1)。これらの数理構造は,著者等が独自に解明を進めてきた
ものである。また,複数の極小値が単調減少後単調増加する極小単峰列関数(図2)についても従来はその図的な景
観が知られていたが,数式として表現することができたのは著者等の研究が始めてで,今回はさらに単峰領域幅が異
なる関数を扱っている。このような数理構造と多峰関数の特殊性を利用した効率的な1変数の最小点を求めるアルゴ
リズムを構成し,これを多変数に拡張することにより,7種の目的関数からなる2~1,000変数のテスト問題に対して
数値実験を行ない,これらの手法が従来手法と比べて効率的かつ高信頼性で最小点を見出せることを示した[1]。
また,ある極小点から左(右)隣接極大点が狭義単調減少(増加)領域となることを利用してある条件のもとで1変数
多峰関数の全ての局小局大点および根を同時に求める手法を提案した。
このように全てを同時に求める手法は国内外
の手法でも存在しないものと思われる[2]。
最後に,
ゲーム理論や双対理論に登場する多変数多峰関数の鞍点の正式な定義は国内の文献等では殆ど式として明
示されていなかったが,この鞍点を3つに分類する形で定式化し,さらに擬連結小(大)レベル集合を定義してこれを
用いて「鞍値集合」という新概念を提示し,この表現が従来の鞍点定義より簡潔で,複数の峰をつなぐ糊集合のよう
なものであることを示した[3]。
当該研究で残された課題と今後の展望
平坦な領域をもつ一変数多峰関数の数理構造とこれを時系列解析法へ適用する検討と,
多変数多峰関数のより詳細な
数理構造の解明と山岳形状の数理的表見への応用を図りたい。
成果の公表の状況
【学術論文】[1] 金光, 新保,極小値が単峰列となる多峰関数の大域的最適化手法(2) , 電子情報通信学会論文誌, V
ol.J98-A・No.5, 2015年,374-388.
[2] 金光,凸集合上の連続関数の数理構造とその応用(1) -区間上で有限個の局小点をもつ1変数連続関数の数理構造
と全局小(大)点・全根探索への応用-, 信学技報, Vol.115・No.150, 2015年,11-16(NLP2015-69).
[3] 金光,連続最適化問題における凸集合上の多峰関数の数理構造(1) -鞍値集合の新定義と多峰関数の基本数理構
造-, 信学技報, Vol.115, No.284, 2015年, 75-80(NLP2015-120).
他印刷中1件
教育現場で活用可能な分野等
数学・理科・技術科分野において,現職教員の研修や教材として,関数のグラフや時系列データなどが利用可
能である。
配布又はダウン ・資料あり:
ロード可能な資 1) 文献[1] http://search.ieice.org/bin/summary.php?id=j98-a_5_374
料
2) 文献[2][3] 冊子体 25部
問い合わせ先
代表者:金光秀雄
電 話:0138-44-4351
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mail :[email protected]