担い手育成と生産基盤強化による競争力のある果樹産地づくり 西部農林事務所 (丸浜柑橘農業協同組合連合会の取組) 活動期間:平成26年~27年 ○ 取組の背景 西部地域のみかん生産において、生産者の高齢化に伴い生産量が減少 している。 浜松市の都田地区にある丸浜柑橘農業協同組合連合会 (平成 26年度組合員数208戸、栽培面積148ha )では、生産量が平成17年の約 3,700tから平成26年度には約2,300tまで減少した。また、ハウスみかんは、 燃油高騰により生産農家が大幅に減少した。 このため、新規就農者の確保、新たな品目導入や販路開拓等により、生 産量・販売額を確保し、競争力のある果樹産地づくりを進める必要がある。 ○ 課題・目標 生産量を確保するため、非農家出身の新規就農者の育成と定着を推進 する。また、産地間競争力を高めるため、ハウスみかんに代わる新品目の 導入・推進、新たな販路の開拓と長期出荷技術の確立を図る。さらに出荷物 の商品性を高める機能を有した選果場の整備と販売強化策として輸出の拡 大を進める。 普及指導員の活動 ○推進方向1 「担い手の育成支援」 (平成26~27年) ■新規就農者育成 ・就農前(研修中):就農計画策定指導、農地借入れ等の営農準備支援 ・就農後:就農計画以降の経営展開やライフプランに関する研修開催 ・研修受入れ農家:農家研修マニュアルの策定 ■農地利用集積推進 ・新規就農者への農地集積:各組合員との個人面談による農地貸借の推進、耕作放棄地 再生事業の活用支援 ○推進方向2 「生産技術の高度化と産地基盤の整備」 (平成26~27年) ■長期出荷技術の確立 ・果実の貯蔵適性向上:植物成長調整剤(GP剤)による浮皮抑制効果の実証 ・展示 ・貯蔵技術の確立:大型冷蔵倉庫を利用した長期貯蔵技術の確立 ・実証 ■商品力の高い果樹品目の生産拡大 ・ハウスみかん代替作目の生産拡大:グレープフルーツ、ブルーベリーの生産技術支援 ■産地基盤強化による生産性の向上 ・選果場整備の推進:整備計画策定支援、整備事業推進支援 ■輸出拡大支援 ・輸出による販路拡大:JGAP及びグローバルGAP取得支援 具体的な成果 ○ 推進方向1 「担い手の育成支援」 (平成26~27年) ■新規就農者育成 平成26年度に2名就農、27年度は2名が就農を予定しており、 これまでの5年間で11人(うち10人が非農家出身)が就農し、現 在7人(全員非農家)が研修中である。また、就農計画以降の ライフプランや経営規模拡大の手法を学ぶ研修により、長期的 な経営計画策定への意識付けが図られた。 ■農地利用集積推進 新規就農者11名に集積された園地面積は15ha(うち5.2haが 耕作放棄地再生)で、丸浜柑橘連148haの10%を担っている。 新規就農者ワーキングの開催 ○ 推進方向2 「生産技術の高度化と産地基盤の整備」 (平成26~27年) ■長期出荷技術の確立 浮皮抑制対策としてGP剤の使用方法やその効果の展示によ り、利用面積の増加が見込まれている。 貯蔵庫を所有しない生産者を対象に、大型冷蔵倉庫(3℃)を 利用した貯蔵方法を確立した。これにより、2月の出荷量が100t から 118t に増加した。 大型冷蔵倉庫での貯蔵技術確立 ■商品力の高い果樹品目の生産拡大 グレープフルーツは、8.4t(栽培面積80a)が出荷された。今後、 低温期の温度管理について引き続き検討する。 ブルーベリーは、10.7t(栽培面積159a)出荷された。今後、 鉢栽培に替わる簡易隔離床による栽培を検討する。 ■産地基盤強化による生産性の向上 平成27年度に、処理速度の向上、腐敗センサーの導入、バー コードによる製品管理とトレーサビリティ対応等の新たな機能を 付与した選果ラインが整備され、効率的な出荷が可能となった。 ■輸出拡大支援 平成26年度に試験的に米国へ 2t輸出した。また、本格的に 輸出を進めるための体制づくりとGAP取得に取組んだ。 グレープフルーツの生産安定 機能アップされた選果ライン 平成26年18月:丸浜柑橘連GAP部会設立(6名) 平成26年12月:JGAP指導員資格取得(2名) 平成27年 8月:JGAP団体認証取得(4名、うち1名は新規就農者) 平成27年10月:グローバルGAP認証取得(6名、うち2名は新規就農者) JGAP認証の取得
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