インタビューフォーム - Pmda 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

2016 年 7 月作成(第 1 版)
日本標準商品分類番号
871139
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会の IF 記載要領 2013 に準拠して作成
抗てんかん剤
劇薬、処方箋医薬品
ラコサミド錠
形 フィルムコート錠
剤
製 剤 の 規 制 区 分
規
一
格
・
般
含
量
名
製造販売承認年月日
薬価基準収載・発売年月日
劇薬、処方箋医薬品
(注意-医師等の処方箋により使用すること)
ビムパット錠 50mg :1 錠中ラコサミド 50mg を含有
ビムパット錠 100mg :1 錠中ラコサミド 100mg を含有
和名:ラコサミド(JAN)
洋名:Lacosamide(JAN)
製造販売承認年月日:2016 年 7 月 4 日
薬価基準収載年月日:薬価基準未収載
発
売
年
月
日:
開発・製造販売(輸入)・ 製造販売元:ユーシービージャパン株式会社
提 携 ・ 販 売 会 社 名 販
売
元:第一三共株式会社
医薬情報担当者の連絡先
第一三共株式会社 製品情報センター
TEL:0120-189-132 FAX:03-6225-1922
問 い 合 わ せ 窓 口
医療関係者向けホームページ
https://www. medicallibrary-dsc.info
本 IF は 2016 年 7 月作成(第 1 版)の添付文書の記載に基づき作成した。
最新の添付文書情報は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html にてご確認ください。
IF 利用の手引きの概要
-日本病院薬剤師会-
1. 医薬品インタビューフォーム作成の経緯
医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下、添付文書と略す)がある。医療現場で医師・
薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活用する際には、添付文書に記載された情報を
裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある。
医療現場では、当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑をして情報を補完して対
処してきている。この際に必要な情報を網羅的に入手するための情報リストとしてインタビューフォームが誕生し
た。
昭和 63 年に日本病院薬剤師会(以下、日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタビューフォーム」(以
下、IF と略す)の位置付け並びに IF 記載様式を策定した。その後、医療従事者向け並びに患者向け医薬品情報ニ
ーズの変化を受けて、平成 10 年 9 月に日病薬学術第 3 小委員会において IF 記載要領の改訂が行われた。
更に 10 年が経過し、医薬品情報の創り手である製薬企業、使い手である医療現場の薬剤師、双方にとって薬事・
医療環境は大きく変化したことを受けて、平成 20 年 9 月に日病薬医薬情報委員会において IF 記載要領 2008 が策
定された。
IF 記載要領 2008 では、IF を紙媒体の冊子として提供する方式から、PDF 等の電磁的データとして提供すること
(e-IF)が原則となった。この変更にあわせて、添付文書において「効能・効果の追加」、「警告・禁忌・重要な
基本的注意の改訂」などの改訂があった場合に、改訂の根拠データを追加した最新版の e-IF が提供されることとな
った。
最新版の e-IF は、(独)医薬品医療機器総合機構の医薬品情報提供ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/)
から一括して入手可能となっている。日本病院薬剤師会では、e-IF を掲載する医薬品情報提供ホームページが公的
サイトであることに配慮して、薬価基準収載にあわせて e-IF の情報を検討する組織を設置して、個々の IF が添付
文書を補完する適正使用情報として適切か審査・検討することとした。
2008 年より年 4 回のインタビューフォーム検討会を開催した中で指摘してきた事項を再評価し、製薬企業にとっ
ても、医師・薬剤師等にとっても、効率の良い情報源とすることを考えた。そこで今般、IF 記載要領の一部改訂を
行い IF 記載要領 2013 として公表する運びとなった。
2. IF とは
IF は「添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な、医薬品の品質管理のための
情報、処方設計のための情報、調剤のための情報、医薬品の適正使用のための情報、薬学的な患者ケアのための情
報等が集約された総合的な個別の医薬品解説書として、日病薬が記載要領を策定し、薬剤師等のために当該医薬品
の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」と位置付けられる。
ただし、薬事法・製薬企業機密等に関わるもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師自らが評価・判
断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない。言い換えると、製薬企業から提供された IF は、薬剤師自ら
が評価・判断・臨床適応するとともに、必要な補完をするものという認識を持つことを前提としている。
[IF の様式]
①規格は A4 版、横書きとし、原則として 9 ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し、一色刷りとする。ただ
し、添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には、電子媒体ではこれに従うものとする。
②IF 記載要領に基づき作成し、各項目名はゴシック体で記載する。
③表紙の記載は統一し、表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの概要」の全文を記載するものとし、2 頁に
まとめる。
[IF の作成]
①IF は原則として製剤の投与経路別(内用剤、注射剤、外用剤)に作成される。
②IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する。
③添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される。
④製薬企業の機密等に関するもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をはじめ医療従事者自らが評
価・判断・提供すべき事項については記載されない。
⑤「医薬品インタビューフォーム記載要領 2013」(以下、「IF 記載要領 2013」と略す)により作成された IF は、
電子媒体での提供を基本とし、必要に応じて薬剤師が電子媒体(PDF)から印刷して使用する。企業での製本は
必須ではない。
[IF の発行]
①「IF 記載要領 2013」は、平成 25 年 10 月以降に承認された新医薬品から適用となる。
②上記以外の医薬品については、「IF 記載要領 2013」による作成・提供は強制されるものではない。
③使用上の注意の改訂、再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された時点並びに適応症の拡大等がなさ
れ、記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂される。
3. IF の利用にあたって
「IF 記載要領 2013」においては、PDF ファイルによる電子媒体での提供を基本としている。情報を利用する薬剤
師は、電子媒体から印刷して利用することが原則である。
電子媒体の IF については、医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページに掲載場所が設定さ
れている。
製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが、IF の原点を踏まえ、医療現
場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については製薬企業の MR 等へのインタビューにより薬剤
師等自らが内容を充実させ、IF の利用性を高める必要がある。また、随時改訂される使用上の注意等に関する事項
に関しては、IF が改訂されるまでの間は、当該医薬品の製薬企業が提供する添付文書やお知らせ文書等、あるいは
医薬品医療機器情報配信サービス等により薬剤師等自らが整備するとともに、IF の使用にあたっては、最新の添付
文書を医薬品医療機器情報提供ホームページで確認する。
なお、適正使用や安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発売状況」に関する項目等
は承認事項に関わることがあり、その取扱いには十分留意すべきである。
4. 利用に際しての留意点
IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂きたい。しかし、薬事法や
医療用医薬品プロモーションコード等による規制により、製薬企業が医薬品情報として提供できる範囲には自ずと
限界がある。IF は日病薬の記載要領を受けて、当該医薬品の製薬企業が作成・提供するものであることから、記載・
表現には制約を受けざるを得ないことを認識しておかなければならない。
また製薬企業は、IF があくまでも添付文書を補完する情報資材であり、インターネットでの公開等も踏まえ、薬事
法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていることを理解して情報を活用する必要がある。
(2013 年 4 月改訂)
目
I. 概要に関する項目 ................................................... 1
次
10. 製剤中の有効成分の定量法 ...................................... 7
1. 開発の経緯 ................................................................ 1
11. 力
2. 製品の治療学的・製剤学的特性 ................................ 1
12. 混入する可能性のある夾雑物 ................................... 7
価....................................................................... 7
13. 注意が必要な容器・外観が特殊な容器に
II. 名称に関する項目 ................................................... 2
関する情報 ............................................................... 7
1. 販売名 ....................................................................... 2
14. その他....................................................................... 7
(1) 和
名 ................................................................ 2
(2) 洋
名 ................................................................ 2
V. 治療に関する項目 ................................................... 8
(3) 名称の由来......................................................... 2
1. 効能又は効果 ............................................................ 8
2. 一般名 ....................................................................... 2
2. 用法及び用量 ............................................................ 8
(1) 和
名(命名法) .............................................. 2
3. 臨床成績 ................................................................. 10
(2) 洋
名(命名法) .............................................. 2
(1) 臨床データパッケージ .................................... 10
(3) ステム ................................................................ 2
(2) 臨床効果 .......................................................... 11
3. 構造式又は示性式 ..................................................... 2
(3) 臨床薬理試験................................................... 12
4. 分子式及び分子量 ..................................................... 2
(4) 探索的試験 ...................................................... 13
5. 化学名(命名法) ..................................................... 2
(5) 検証的試験 ...................................................... 13
6. 慣用名、別名、略号、記号番号 ................................ 2
1) 無作為化並行用量反応試験 .......................... 13
7. CAS 登録番号 ........................................................... 2
2) 比較試験 ...................................................... 13
3) 安全性試験 ................................................... 18
III. 有効成分に関する項目 ........................................... 3
4) 患者・病態別試験 ........................................ 20
1. 物理化学的性質 ......................................................... 3
(6) 治療的使用 ...................................................... 20
(1) 外観・性状......................................................... 3
1) 使用成績調査・特定使用成績調査(特別調査)・
(2) 溶解性 ................................................................ 3
製造販売後臨床試験(市販後臨床試験) ........ 20
(3) 吸湿性 ................................................................ 3
(4) 融点(分解点)、沸点、凝固点 ........................ 3
2) 承認条件として実施予定の内容
又は実施した試験の概要 ............................. 20
(5) 酸塩基解離定数 ................................................. 3
(6) 分配係数 ............................................................ 3
VI. 薬効薬理に関する項目 ......................................... 21
(7) その他の主な示性値 .......................................... 3
1. 薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 ............... 21
2. 有効成分の各種条件下における安定性 ..................... 3
2. 薬理作用 ................................................................. 21
3. 有効成分の確認試験法 .............................................. 3
(1) 作用部位・作用機序 ........................................ 21
4. 有効成分の定量法 ..................................................... 3
(2) 薬効を裏付ける試験成績 ................................. 25
(3) 作用発現時間・持続時間 .................................. 29
IV. 製剤に関する項目 ................................................... 5
1. 剤
形 ....................................................................... 5
VII. 薬物動態に関する項目 ......................................... 30
(1) 剤形の区別、外観及び性状................................ 5
1. 血中濃度の推移・測定法 ........................................ 30
(2) 製剤の物性......................................................... 5
(1) 治療上有効な血中濃度 .................................... 30
(3) 識別コード......................................................... 5
(2) 最高血中濃度到達時間 .................................... 30
(4) pH、浸透圧比、粘度、比重、
(3) 臨床試験で確認された血中濃度 ...................... 30
無菌の旨及び安定な pH 域等 ............................ 5
(4) 中毒域 ............................................................. 36
2. 製剤の組成 ................................................................ 5
(5) 食事・併用薬の影響 ........................................ 36
(1) 有効成分(活性成分)の含量 ............................ 5
(6) 母集団(ポピュレーション)解析により
(2) 添加物 ................................................................ 5
判明した薬物体内動態変動要因 ...................... 44
(3) その他 ................................................................ 5
2. 薬物速度論的パラメータ ........................................ 44
3. 懸濁剤、乳剤の分散性に対する注意......................... 5
(1) 解析方法 .......................................................... 44
4. 製剤の各種条件下における安定性 ............................ 6
(2) 吸収速度定数................................................... 44
5. 調製法及び溶解後の安定性 ....................................... 6
(3) バイオアベイラビリティ ................................. 44
6. 他剤との配合変化(物理化学的変化) ..................... 6
(4) 消失速度定数................................................... 44
7. 溶出性 ....................................................................... 6
(5) クリアランス................................................... 44
8. 生物学的試験法 ......................................................... 7
(6) 分布容積 .......................................................... 44
9. 製剤中の有効成分の確認試験法 ................................ 7
(7) 血漿蛋白結合率 ............................................... 45
3. 吸
収 ..................................................................... 45
13. 過量投与 ................................................................. 59
4. 分
布 ..................................................................... 45
14. 適用上の注意 .......................................................... 59
(1) 血液-脳関門通過性 ........................................ 45
15. その他の注意 .......................................................... 60
(2) 血液-胎盤関門通過性 ..................................... 45
16. その他..................................................................... 61
(3) 乳汁への移行性 ............................................... 46
(4) 髄液への移行性 ............................................... 46
IX. 非臨床試験に関する項目 ..................................... 62
(5) その他の組織への移行性 ................................. 46
1. 薬理試験 ................................................................. 62
謝 ..................................................................... 46
(1) 薬効薬理試験................................................... 62
(1) 代謝部位及び代謝経路 ..................................... 46
(2) 副次的薬理試験 ............................................... 62
(2) 代謝に関与する酵素(CYP450 等)
(3) 安全性薬理試験 ............................................... 62
5. 代
の分子種 .......................................................... 48
(4) その他の薬理試験 ........................................... 63
(3) 初回通過効果の有無及びその割合 ................... 48
2. 毒性試験 ................................................................. 63
(4) 代謝物の活性の有無及び比率 .......................... 48
(1) 単回投与毒性試験 ........................................... 63
(5) 活性代謝物の速度論的パラメータ ................... 49
(2) 反復投与毒性試験 ........................................... 63
泄 ..................................................................... 49
(3) 生殖発生毒性試験 ........................................... 64
(1) 排泄部位及び経路 ............................................ 49
(4) その他の特殊毒性 ........................................... 65
6. 排
(2) 排泄率 .............................................................. 49
(3) 排泄速度 .......................................................... 50
X. 管理的事項に関する項目 ..................................... 66
7. トランスポーターに関する情報 .............................. 50
1. 規制区分 ................................................................. 66
8. 透析等による除去率................................................ 50
2. 有効期間又は使用期限............................................ 66
3. 貯法・保存条件 ...................................................... 66
VIII. 安全性(使用上の注意等)に関する項目 ......... 51
4. 薬剤取扱い上の注意点............................................ 66
1. 警告内容とその理由................................................ 51
5. 承認条件等 ............................................................. 66
2. 禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む) ............... 51
6. 包
3. 効能又は効果に関連する使用上の注意
7. 容器の材質 ............................................................. 66
とその理由 .............................................................. 51
4. 用法及び用量に関連する使用上の注意
装..................................................................... 66
8. 同一成分・同効薬 ................................................... 66
9. 国際誕生年月日 ...................................................... 67
とその理由 .............................................................. 51
10. 製造販売承認年月日及び承認番号 .......................... 67
5. 慎重投与内容とその理由 ........................................ 51
11. 薬価基準収載年月日 ............................................... 67
6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法 ............ 52
12. 効能又は効果追加、用法及び用量変更追加等の
7. 相互作用 ................................................................. 53
(1) 併用禁忌とその理由 ........................................ 53
年月日及びその内容 ............................................... 67
13. 再審査結果、再評価結果公表年月日
(2) 併用注意とその理由 ........................................ 53
及びその内容 .......................................................... 67
8. 副作用 ..................................................................... 53
14. 再審査期間 ............................................................. 67
(1) 副作用の概要 ................................................... 53
15. 投薬期間制限医薬品に関する情報 .......................... 67
(2) 重大な副作用と初期症状 ................................. 54
16. 各種コード ............................................................. 67
(3) その他の副作用 ............................................... 55
17. 保険給付上の注意 ................................................... 67
(4) 項目別副作用発現頻度及び
臨床検査値異常一覧 ........................................ 56
XI. 文
献................................................................. 68
(5) 基礎疾患、合併症、重症度
1. 引用文献 ................................................................. 68
及び手術の有無等背景別の
2. その他の参考文献 ................................................... 69
副作用発現頻度 ............................................... 58
(6) 薬物アレルギーに対する注意
XII.参考資料 ................................................................. 70
及び試験法....................................................... 58
1. 主な外国での発売状況............................................ 70
9. 高齢者への投与 ....................................................... 58
2. 海外における臨床支援情報 .................................... 72
10. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 .............................. 58
11. 小児等への投与 ....................................................... 59
12. 臨床検査結果に及ぼす影響 ..................................... 59
考................................................................. 76
その他の関連資料 ........................................................ 76
XIII. 備
Ⅰ.概要に関する項目
I. 概要に関する項目
1. 開発の経緯
ビムパット(一般名:ラコサミド)は、米国の国立神経疾患・脳卒中研究所プログラムにより、抗けいれん薬候
補化合物として合成された機能性アミノ酸の一種であり、複数のてんかん動物モデルで有効性が認められ、開発
された薬剤である。
てんかんは、小児、成人及び高齢者、又は男女を問わず幅広く発症する。てんかん発作は臨床症状に基づき、全
般発作、部分発作(二次性全般化発作に移行することもある)及び分類不能のてんかん発作という 3 つの主要な
タイプに分類され、このうち部分発作は全症例の約 60%を占める最も高頻度に発現する発作であり、脳の局所
的障害を伴う。
大部分のてんかん患者は長期的な薬物療法を必要とし
1)、現在使用可能な抗てんかん薬によっても
30%を超え
るてんかん患者で発作コントロールが不十分であることや、重大な副作用が発現することが報告されている 2)。
ラコサミドは、既存の抗てんかん薬とは異なる作用機序を有しており、電位依存性ナトリウムチャネルの緩徐な
不活性化を選択的に促進することにより、過興奮状態にある神経細胞膜を安定化させ 3)、既存薬では十分な効果
を示さない患者に対し、有効性が期待される。海外においてラコサミドは良好な有用性に加え、臨床的に重要な
薬物相互作用が認められないこと、薬物動態プロファイル、服薬継続率などの観点において多くの利点を有する
抗てんかん薬として位置づけられており 4)、2008 年 8 月に欧州、2008 年 10 月に米国において承認され、2016
年 1 月現在、世界 70 以上の国及び地域で承認されている。
本邦では、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、ラコサミドは医療上
の必要性の高い薬剤と評価され、2012 年に早期開発の要請が行われた 5)。ラコサミドを用いた日中共同臨床試
験及び長期継続投与試験において、部分発作を有する成人(16 歳以上)てんかん患者において本剤の有用性が
示されたことから、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発
作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」を効能・効果として 2016 年 7 月に製造販売承認を取得した。
2. 製品の治療学的・製剤学的特性
(1) 新しい作用機序をもつ Na チャネルブロッカーである(in vitro)(「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」参照)。
(2) 他の抗てんかん薬(新規抗てんかん薬を含む)で十分な効果が認められないてんかん患者において、併用療
法により部分発作(二次性全般化発作を含む)を抑制した(「Ⅴ.治療に関する項目」参照)。
(3) 併用された抗てんかん薬*1 の種類にかかわらず、部分発作を抑制した(「Ⅴ.治療に関する項目」参照)。
*1:カルバマゼピン、バルプロ酸製剤、レベチラセタム、ラモトリギン、トピラマート、フェニトイン製剤、フェノバ
ルビタール製剤
(4) 臨床薬物相互作用試験において、抗てんかん薬を含む主要薬物*2 との相互作用は認められなかった(「Ⅶ.
薬物動態に関する項目」参照)。
*2:カルバマゼピン、バルプロ酸、オメプラゾール、ミダゾラム、ワルファリン、ジゴキシン
(5) 承認時までに日本及び中国で実施したプラセボ対照比較試験及びそれに続く長期継続投与試験における安全
性解析対象例 527 例(日本人 139 例を含む)のうち、313 例(59.4%)に副作用が認められた。主な副作用
は、浮動性めまい(27.5%)、傾眠(10.4%)、頭痛(5.9%)、嘔吐(5.9%)、悪心(5.5%)等であった。
また、主な臨床検査値異常(副作用)は、白血球数減少(3.4%)であった。
重大な副作用として、房室ブロック、徐脈、失神、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)、薬剤性過敏症症候群、無顆粒球症が報告されている(「Ⅷ.
安全性(使用上の注意等)に関する項目」参照)。
-1-
Ⅱ.名称に関する項目
II. 名称に関する項目
1. 販売名
(1)和
名
ビムパット®錠 50mg
ビムパット®錠 100mg
(2)洋
名
VIMPAT® TABLETS 50mg
VIMPAT® TABLETS 100mg
(3)名称の由来
不明
2. 一般名
(1)和
名(命名法)
ラコサミド(JAN)
(2)洋
名(命名法)
Lacosamide(JAN)、lacosamide(INN)
(3)ステム
不明
3. 構造式又は示性式
4. 分子式及び分子量
分子式:C13H18N2O3
分子量:250.29
5. 化学名(命名法)
(2R )-2-Acetamido-N -benzyl-3-methoxypropanamide
6. 慣用名、別名、略号、記号番号
会社又は研究所コード:SPM927、ADD234037
7. CAS 登録番号
175481-36-4
-2-
Ⅲ.有効成分に関する項目
III. 有効成分に関する項目
1. 物理化学的性質
(1)外観・性状
白色~淡黄色の粉末である。
(2)溶解性
ジメチルホルムアミド又はメタノールに溶けやすく、アセトン又は 2-プロパノールにやや溶けやすく、水又
は酢酸エチルにやや溶けにくく、アセトニトリル、エタノール(99.5)又はトルエンに溶けにくく、ヘプタン
にほとんど溶けない。
(3)吸湿性
吸湿性を示さない。
(4)融点(分解点)、沸点、凝固点
融点:140~146℃
(5)酸塩基解離定数
pH1.5~12 の範囲では、pKa は認められなかった(電位差滴定)。
(6)分配係数
log P=0.25(1-オクタノール/水系、20℃)
(7)その他の主な示性値
ラコサミドは光学異性体(R -エナンチオマー)であり、旋光度(25℃、10mg/mL、メタノール)は+14~+18°
であった。
2. 有効成分の各種条件下における安定性
試験
長期保存
試験
加速試験
保存条件
苛酷試験
保存期間
包装形態
結果
25℃/60%RH
60 ヵ月
二重ポリエチレン袋/
ファイバードラム
変化なし
40℃/75%RH
6 ヵ月
二重ポリエチレン袋/
ファイバードラム
変化なし
120℃
71 日間
ガラス容器(開栓)
71 日目で類縁物質
に規格外の値がみ
られた。
40℃/75%RH
12 週間
ガラス容器(開栓)
変化なし
40℃/75%RH
12 週間
ガラス容器(施栓)
変化なし
25℃
(ID65 ランプ)
≧120 万 lx・hr
ガラスフラスコ、
水晶フラスコ
変化なし
温度
湿度
光
測定項目:
長期保存及び加速:性状、融点、類縁物質、光学純度、水分、含量
苛酷:類縁物質、光学純度、含量
3. 有効成分の確認試験法
赤外吸収スペクトル測定法(臭化カリウム錠剤法又は ATR 法)、液体クロマトグラフィー
4. 有効成分の定量法
液体クロマトグラフィー
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:258nm)
-3-
Ⅲ.有効成分に関する項目
カラム: 内径 4.6mm、長さ 15cm のステンレス管に 3.5µm の液体クロマトグラフィー用オクチルシリル化シリ
カゲルを充てんする。
カラム温度:20℃付近の一定温度
移動相 A:水/トリフルオロ酢酸混液(1000:1)
移動相 B:メタノール/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸混液(5000:5000:3)
流量:1.2mL/分
-4-
Ⅳ.製剤に関する項目
IV. 製剤に関する項目
1. 剤
形
(1)剤形の区別、外観及び性状
剤形:錠剤(フィルムコート錠)
外観及び性状:
販売名
色
ビムパット錠
50mg
ピンク色
外形
長径、短径
約 10.4mm、約 4.9mm
ビムパット錠
100mg
識別コード
厚
さ
約 3.2mm
重
量
約 4.1mm
裏
SP
50
SP
100
約 125mg
濃黄色
約 13.1mm、約 6.1mm
表
約 250mg
(2)製剤の物性
該当資料なし
(3)識別コード
上記「Ⅳ.1.(1)剤形の区別、外観及び性状」参照
(4)pH、浸透圧比、粘度、比重、無菌の旨及び安定な pH 域等
該当しない
2. 製剤の組成
(1)有効成分(活性成分)の含量
1 錠中にそれぞれ次の成分を含有
販売名
有効成分
添加物
ビムパット錠
50mg
ラコサミド
50mg
結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース・軽質
無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン、マクロゴール 4000、
タルク、青色 2 号アルミニウムレーキ、三二酸化鉄、黒酸化鉄
ラコサミド
100mg
結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース・軽質
無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン、マクロゴール 4000、
タルク、黄色三二酸化鉄
ビムパット錠
100mg
(2)添加物
上記「Ⅳ.2.(1)有効成分(活性成分)の含量」参照
(3)その他
該当しない
3. 懸濁剤、乳剤の分散性に対する注意
該当しない
-5-
Ⅳ.製剤に関する項目
4. 製剤の各種条件下における安定性
ビムパット錠 50mg、ビムパット錠 100mg
試験
保存条件
保存期間
保存形態
結果
長期保存試験
25℃/60%RH
36 ヵ月
PTP 包装
変化なし
加速試験
40℃/75%RH
6 ヵ月
PTP 包装
変化なし
50℃
12 週間
無包装
変化なし
60℃
12 週間
無包装
変化なし
25℃/60%RH
12 週間
無包装
変化なし
温度注 1)
苛酷試験
温湿度注 1)
光注 2)
25℃/94%RH
12 週間
無包装
4 週以降の水分規格外、
その他変化なし
40℃/94%RH
12 週間
無包装
4 週以降の水分規格外、
その他変化なし
25℃/60%RH
≧120 万 lx・hr
≧200W hr/m2
PTP 包装、
無包装
変化なし
測定項目:性状、類縁物質*、水分、溶出性、含量*
*:温度の苛酷試験ではこれらの項目のみ実施した。
注 1)ブラケッティング法で実施
注 2)溶出試験は 75 回転/分で実施
試験
保存条件・形態
保存期間
外観
含量
硬度
溶出性*
評価
温度
40℃
成り行き湿度
暗所
気密容器
3 ヵ月
変化なし
変化なし
変化なし
変化なし
変化なし
湿度
30℃
75%RH
暗所
開放容器
6 ヵ月
変化なし
変化なし
変化なし
変化なし
変化なし
25℃/60%RH
気密容器
60 万 lx・hr
変化なし
変化なし
変化なし
変化なし
変化なし
光
120 万 lx・hr
変化なし
変化なし
変化なし
変化なし
変化なし
評価は「錠剤・カプセル剤の無包装状態での安定性試験法(答申)」(日本病院薬剤師会:平成 11 年 8 月 20 日)に準拠し
て行った。
*:溶出試験は 50 回転/分で実施
5. 調製法及び溶解後の安定性
該当しない
6. 他剤との配合変化(物理化学的変化)
該当しない
7. 溶出性
溶出試験法(パドル法)
試験液:薄めた塩酸(9→1000)900mL
回転数:50 回転/分
測定方法:液体クロマトグラフィー
-6-
Ⅳ.製剤に関する項目
8. 生物学的試験法
該当しない
9. 製剤中の有効成分の確認試験法
液体クロマトグラフィー
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:215nm)
カラム: 内径 4.6mm、長さ 15cm のステンレス管に 5µm の液体クロマトグラフィー用オクチルシリル化シリカ
ゲルを充てんする。
カラム温度:35℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル/メタンスルホン酸混液(87:13:0.075)
流量:2.0mL/分
紫外可視吸光度測定法
本品 5 個以上をとり、粉末とする。ラコサミド(C13H18N2O3)約 25mg に対応する量を精密に量り、メタノー
ル 40mL を加えて約 30 分間超音波処理し、更にメタノールを加えて 50mL とする。静置後、上澄み液を遠心分
離処理し、試料溶液 1 とする。この液 1mL を量り、メタノールを加えて 25mL とし、試料溶液 2 とする。別に
ラコサミド標準物質約 25mg を精密に量り、メタノール 40mL を加えて溶かし、更にメタノールを加えて 50mL
とし、標準溶液 1 とする。この液 1mL を量り、メタノールを加えて 25mL とし、標準溶液 2 とする。試料溶液
1、2 及び標準溶液 1、2 につき、紫外可視吸光度測定法により試験を行う。試料溶液 1、2 から得られたスペク
トルは、それぞれ標準溶液 1、2 から得られたスペクトルと同一波長のところに同様の強度の吸収を認める。
10.製剤中の有効成分の定量法
液体クロマトグラフィー
11.力
価
該当しない
12.混入する可能性のある夾雑物
該当しない
13.注意が必要な容器・外観が特殊な容器に関する情報
該当しない
14.その他
該当しない
-7-
Ⅴ.治療に関する項目
V. 治療に関する項目
1. 効能又は効果
他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗
てんかん薬との併用療法
〔解説〕
ラコサミドの効能・効果は、日中国際共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験)の成績に基づき設定した。EP0008 試験
では、発作コントロールが得られていない部分発作(二次性全般化発作を含む)を有する 16 歳以上の患者を対
象に、ラコサミド 200mg/日及び 400mg/日の併用投与における有効性及び安全性を多施設共同、二重盲検、無
作為化、プラセボ対照、並行群間比較試験にて検討した。
その結果、EP0008 試験においてラコサミド 200mg/日群及び 400mg/日群はプラセボ群に対して有意(共分散分
析、いずれも p<0.001)な維持期間における部分発作の抑制効果を認めた。また、EP0008 試験及び EP0008
試験の長期継続投与試験(EP0009 試験)において、ラコサミド 200~400mg/日の良好な安全性及び良好な忍
容性が確認された。
以上よりラコサミド 200~400mg/日は、発作コントロールが得られていない部分発作(二次性全般化発作を含
む)を有する 16 歳以上のてんかん患者における併用療法として有用であることが示されたことから、効能・効
果は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対
する抗てんかん薬との併用療法」と設定した。
2. 用法及び用量
通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の間隔をあけて増量し、維
持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状により 1 日 400mg を超
えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg 以下ずつ行うこと。
〔解説〕
国内及び海外で行われた第Ⅰ相、第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験での有効性、安全性、薬物動態及び薬力学的データに基
づいて設定した。海外では併用療法としてのラコサミドの有効性について、第Ⅱ/Ⅲ相、無作為化、プラセボ対
照、多施設共同の 12 週間の維持期間からなる 3 試験にて推奨用量(200mg/日及び 400mg/日)が確立された。
これらの試験ではいずれもラコサミドの投与を 100mg/日より開始し、目標用量まで 1 週あたり 100mg/日ずつ
増量した。ラコサミド 600mg/日は有効性が確認されたが、400mg/日と同程度の有効性であり、一方で忍容性が
400mg/日よりも低かったため、ラコサミド 600mg/日は推奨されず、最大推奨用量は 400mg/日とした。
日本人及び中国人健康成人男性を対象とした第Ⅰ相試験 6)(SP1046 試験)において、ラコサミドの薬物動態は
日本人及び中国人の健康成人男性で同様であり、白人における既知の薬物動態プロファイルと一致していた。ラ
コサミド 100~400mg の単回投与に対する安全性は日本人及び中国人で同様であり、有害事象プロファイルは
これまでの所見と一致していた。
上記の第Ⅰ相試験及び海外の第Ⅱ/Ⅲ相試験の結果に基づいて、日中国際共同第Ⅲ相試験(EP0008)を実施した。
EP0008 試験は、発作コントロールが得られていない部分発作(二次性全般化発作を含む)を有する 16 歳以上
の日本人及び中国人の成人てんかん患者に対するラコサミド(200mg/日及び 400mg/日)併用投与における有効
性及び安全性を評価した第Ⅲ相、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験であり、
本試験により、ラコサミドの有効性が示された。
EP0008 試験の安全性プロファイルは、部分発作(二次性全般化発作を含む)を有するてんかん患者を対象とし
た海外試験の安全性プロファイルと同様であった。EP0008 試験におけるラコサミド 200mg/日及び 400mg/日投
-8-
Ⅴ.治療に関する項目
与における安全性及び忍容性が確認された。また、EP0009 試験の安全性プロファイルは、EP0008 試験の安全
性プロファイルと同様であった。
以上のことから、日本人の発作コントロールが得られていないてんかん患者に対するラコサミド 200mg/日及び
400mg/日の有効性及び安全性が確認された。
≪用法・用量に関連する使用上の注意≫
1. 本剤は他の抗てんかん薬と併用して使用すること。[臨床試験において、日本人に対する本剤単独投与での
使用経験はない。]
〔解説〕
他の抗てんかん薬との併用療法で本剤の評価が行われ、本剤単独での使用経験がないため設定した。
2. クレアチニンクリアランスが 30mL/min 以下の重度及び末期腎機能障害のある患者には、1 日最高用量を
300mg とするなど慎重に投与すること。また、血液透析を受けている患者では、1 日用量に加えて、血液透
析後に最大で 1 回用量の半量の追加投与を考慮すること。(「慎重投与」、「薬物動態」の項参照)
〔解説〕
本剤は投与量の約 30~40%が未変化体として腎排泄され、腎機能障害のある患者では、本剤の排泄が遅延す
る可能性があるため設定した。用量調節方法については、透析を必要とする末期腎機能障害者を含む腎機能
低下者におけるラコサミドの薬物動態を検討した海外臨床試験 7)(SP641 試験)の結果に基づき設定した。
3. 軽度又は中等度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh 分類 A 及び B)には、1 日最高用量を 300mg とする
など慎重に投与すること。(「慎重投与」、「薬物動態」の項参照)
〔解説〕
中等度の肝機能障害のある患者におけるラコサミドの薬物動態を検討した海外臨床試験
8)(SP642
試験)の
結果に基づき、肝機能障害を有する患者では本剤の血漿中未変化体の AUC が増加する可能性があるため設定
した。
-9-
Ⅴ.治療に関する項目
3. 臨床成績
(1)臨床データパッケージ
臨床データパッケージ(評価資料及び参考資料)
分類
試験内容
内容
試験番号
臨床
薬理
海外
バイオアベイラ
ビリティ試験
ラコサミドの薬物動態に及ぼす食事の
影響
SP600
(参考資料)
○
海外
バイオアベイラ
ビリティ試験
海外臨床試験用ラコサミド錠単回経口
投与時とラコサミド点滴静注液 15 分
間単回点滴静注時の薬物動態比較
SP645
(参考資料)
バイオアベイラ
ビリティ試験
海外臨床試験用ラコサミド錠単回経口
投与時とラコサミド点滴静注液 30 及
び 60 分間単回点滴静注時の薬物動態
比較
SP658
(参考資料)
バイオアベイラ
ビリティ試験
国内申請予定ラコサミド錠単回経口投
与とラコサミド点滴静注液 30 及び 60
分間単回点滴静注時の薬物動態比較
EP0036
(評価資料)
海外
薬物動態試験
ラコサミド単回経口投与時の忍容性及
び薬物動態の検討
海外
薬物動態試験
海外
実施
地域
有効性
安全性
○
-
○
○
-
○
○
-
○
SP835
(参考資料)
○
-
○
ラコサミド単回経口投与時の忍容性及
び薬物動態の検討
SP587
(参考資料)
○
-
○
薬物動態試験
ラコサミド反復経口投与時の忍容性及
び薬物動態の検討
SP836
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物動態試験
ラコサミド反復経口投与時の忍容性及
び薬物動態の検討
SP588
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物動態試験
ラコサミド単回静脈内投与時の忍容性
及び薬物動態の検討
SP834
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物動態試験
14C-ラコサミドを用いた経口及び静脈
SP619
(参考資料)
○
-
○
海外
海外
第Ⅰ相
試験
及び
臨床薬
理試験
内投与時のマスバランスの検討
海外
海外
海外
生物学的同等性
試験
海外臨床試験用ラコサミド錠と海外市
販ラコサミド錠の生物学的同等性の検
討
SP955
(参考資料)
○
-
○
特殊な集団
年齢差及び性差がラコサミド単回及び
反復経口投与時の薬物動態に及ぼす影
響の検討
SP620
(参考資料)
○
-
○
CYP2C19 遺伝子型がラコサミドの薬
物動態及びバイオアベイラビリティに
及ぼす影響の検討
SP643
(参考資料)
○
-
○
特殊な集団
海外
特殊な集団
人種差がラコサミド反復経口投与時の
薬物動態に及ぼす影響の検討
SP661
(参考資料)
○
-
○
海外
特殊な集団
腎機能低下者におけるラコサミドの薬
物動態
SP641
(参考資料)
○
-
○
海外
特殊な集団
肝機能低下者におけるラコサミドの薬
物動態
SP642
(参考資料)
○
-
○
海外
特殊な集団
ラコサミド単回投与時の薬物動態
SP1046
(評価資料)
○
-
○
海外
薬物相互作用
ラコサミドの薬物動態にカルバマゼピ
ンが及ぼす影響の検討
SP603
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物相互作用
カルバマゼピンの薬物動態にラコサミ
ドが及ぼす影響の検討
SP618
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物相互作用
ラコサミドの薬物動態にバルプロ酸が
及ぼす影響の検討
SP602
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物相互作用
バルプロ酸の薬物動態にラコサミドが
及ぼす影響の検討
SP601
(参考資料)
○
-
○
-10-
Ⅴ.治療に関する項目
第Ⅱ相
試験
第Ⅲ相
試験
長期投
与試験
海外
薬物相互作用
ラコサミド及びオメプラゾールの薬物
相互作用の検討
SP863
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物相互作用
ミダゾラムの薬物動態にラコサミドが
及ぼす影響の検討
SP940
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物相互作用
ワルファリンの薬物動態及び薬力学に
ラコサミドが及ぼす影響の検討
EP0013
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物相互作用
ジゴキシンの薬物動態にラコサミドが
及ぼす影響の検討
SP644
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物相互作用
メトホルミンとの薬物相互作用
SP660
(参考資料)
○
-
○
海外
薬物相互作用
経口避妊薬の薬力学及び薬物動態にラ
コサミドが及ぼす影響
SP599
(参考資料)
○
-
○
海外
薬力学試験
心電図にラコサミドが及ぼす影響の検
討
SP640
(評価資料)
○
-
○
海外
薬力学試験
ラコサミドによる薬物乱用の可能性の
検討
SP903
(参考資料)
○
-
○
海外
薬力学試験
健康成人におけるラコサミドの睡眠へ
の影響の検討
SP1031
(参考資料)
○
-
○
海外
プラセボ対照二
重盲検比較試験
後期第Ⅱ相試験(用量設定試験)
SP667
(参考資料)
○
○
○
海外
非盲検試験
第Ⅱ相試験(用量漸増試験)
SP586
(参考資料)
○
○
○
海外
非盲検試験
第Ⅱ相試験(用量漸増試験)
SP607
(参考資料)
○
○
○
日本
及び
中国
プラセボ対照二
重盲検比較試験
第Ⅲ相試験
EP0008
(評価資料)
○
○
○
海外
プラセボ対照二
重盲検比較試験
第Ⅲ相試験
SP754
(参考資料)
○
○
○
海外
プラセボ対照二
重盲検比較試験
第Ⅲ相試験
SP755
(参考資料)
○
○
○
日本
及び
中国
長期投与試験
長期投与試験
EP0009
(評価資料)
-
○
○
(2)臨床効果
1) 日中共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験)9)
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない部分発作を有する 16 歳以上の日本人及び中国人
のてんかん患者 547 例(日本人患者 142 例を含む)を対象として、ラコサミド 200mg、400mg/日又はプ
ラセボを 16 週間経口投与(既存の抗てんかん薬 1~3 剤との併用)した場合、主要評価項目である観察期
間に対する維持期間の 28 日あたりの部分発作回数変化量は次表のとおりであり、プラセボ群とラコサミ
ド 200mg/日及び 400mg/日群との間で統計学的に有意な差が認められた。なお、各群における 50%レス
ポンダーレート(28 日あたりの部分発作回数が観察期間と比べて 50%以上改善した患者の割合)は、プ
ラセボ群 19.7%(36/183 例)、ラコサミド 200mg/日群 38.5%(70/182 例)及びラコサミド 400mg/日群
49.2%(88/179 例)であった。
-11-
Ⅴ.治療に関する項目
例数 a)
28 日あたりの部分発作
回数の変化量 b)
プラセボ群
183
-1.22
ラコサミド
200mg/日群
182
ラコサミド
400mg/日群
179
p 値 c)
プラセボ群に対する減少率 d)
[95%信頼区間]
-3.33
<0.001
29.4
[18.7, 38.7]
-4.50
<0.001
39.6
[30.5, 47.6]
a) Full Analysis Set
b) 中央値
c) 対数変換した維持期間の 28 日あたりの部分発作回数を反応変数、投与群及び国を因子、対数変換した観察期間の
28 日あたりの部分発作回数を共変量とする共分散分析
d) 共分散分析より推定された最小二乗平均値から計算した部分発作回数減少率(%)
9) 社内資料:日本及び中国における部分発作併用療法のプラセボ対照比較試験
2) 長期継続投与試験(EP0009 試験)10)
日中共同第Ⅲ相試験を完了した日本及び中国の患者 473 例(日本人患者 123 例を含む)を対象として、ラ
コサミド 100~400mg/日を 1 日 2 回に分けて経口投与したとき(中間報告、最長 767 日投与)、先行試
験の観察期間からの 28 日あたりの部分発作回数減少率の中央値は 55.23%、50%レスポンダーレートは
56.3%(265/471 例)であった。
10) 社内資料:日本及び中国における部分発作併用療法の長期継続投与試験
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の
間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状
により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg
以下ずつ行うこと。」である。
(3)臨床薬理試験
1) 海外第Ⅰ相試験(SP1046 試験)6)
日本人及び中国人健康成人男性各 18 例を対象とした二重盲検、無作為化、プラセボ対照、3 期クロスオー
バー試験において、18 通りの投与順[プラセボ 1 回、ラコサミド 2 回(100mg、200mg 及び 400mg のう
ち異なる 2 用量を各 1 回)の計 3 回]のいずれかに 1 例ずつ無作為に割り付け、治験薬を単回経口投与し、
安全性、忍容性及び薬物動態を検討した。各投与の間の休薬期間は 7 日間以上とした。その結果、ラコサ
ミドの薬物動態パラメータは、日本人及び中国人健康成人男性で同様であり、ラコサミドの安全性及び忍
容性が確認された。本治験では、死亡及び重篤な有害事象、並びに治験の中止に至った有害事象は認めら
れなかった。
6) 岡垣 琢也 他:薬理と治療 2015;43(9):1307-1316
2) QT/QTc 評価試験(SP640 試験)11)
外国人健康成人を対象とした無作為化、二重盲検(ラコサミド及びプラセボ)、プラセボ及び陽性対照、
並行群間比較、QT/QTc 評価試験では、247 例の被験者を、ラコサミド 400mg/日、ラコサミド 800mg/日、
プラセボ、及び陽性対照(モキシフロキサシン)の 4 群に無作為に割り付け、ラコサミド又はプラセボを
6 日間、モキシフロキサシンを 3 日間反復投与した。214 例を薬力学解析対象集団とした。主要評価項目
である QTcI(個別の被験者のデータを用いて心拍数で補正した QT 間隔)の、時間を一致させたベースラ
インからの最大変化量のプラセボ群との差は、ラコサミド 400mg/日群が−4.3msec、ラコサミド 800mg/
日群が−6.3msec であった。
いずれも 90%両側信頼区間の上限値は、ラコサミド 400mg/日群では−0.5msec、
ラコサミド 800mg/日群では−2.5msec と、10msec 未満であり、ラコサミドは QTcI 間隔を延長しなかっ
た。血漿中ラコサミド濃度と時間を一致させた QTcI 間隔、QTcF 間隔、QTcB 間隔又は未補正の QT 間隔
-12-
Ⅴ.治療に関する項目
の変化量との間に相関は認められなかった。血漿中ラコサミド濃度と時間を一致させた PR 間隔及び心拍
数の変化量との間に弱い正の相関が認められ、ラコサミド濃度の上昇に伴い PR 間隔及び心拍数にわずか
な延長が認められた。ラコサミド群の PR 間隔の平均変化量は第 6 日目の投与 1 時間後に最大となり、プ
ラセボ群との差は、400mg/日で 7.3msec、800mg/日で 11.9msec であった。
11) Kropeit D, et al.:Acta Neurol Scand 2015;132(5):346-354
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の
間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状に
より 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg 以
下ずつ行うこと。」である。
(4)探索的試験
該当資料なし
(5)検証的試験
1) 無作為化並行用量反応試験
該当資料なし
2) 比較試験
日中共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験)9)
① 試験概要
目
的
発作コントロールが得られていない部分発作(二次性全般化発作を含む)を有する日本人及び中
国人の成人てんかん患者[迷走神経刺激療法(VNS)併用の有無を問わない]を対象に、ラコサ
ミドを 1~3 剤の抗てんかん薬と併用投与した時の有効性、安全性及び忍容性を評価する。
対
象
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない部分発作(二次性全般化発作を含む)を
有する日本人及び中国人の成人てんかん患者[迷走神経刺激療法(VNS)併用の有無を問わない]
無作為化例数:
548 例(プラセボ群 184 例、ラコサミド 200mg/日群 183 例、ラコサミド 400mg/日群 181 例)
安全性解析対象集団(SS):
547 例(プラセボ群 184 例、ラコサミド 200mg/日群 183 例、ラコサミド 400mg/日群 180 例)
最大の解析対象集団(FAS):
544 例(プラセボ群 183 例、ラコサミド 200mg/日群 182 例、ラコサミド 400mg/日群 179 例)
投 与 方 法
プラセボを対照とした無作為化二重盲検比較試験
二重盲検下でラコサミド又はプラセボを以下の用量で 1 日 2 回に分けて、増量期間(4 週間)と
維持期間(12 週間)に経口投与した。
投与群と投与量及び投与方法
投与群
増量期間(4 週間)
維持期間
1 週目
2 週目
3 週目
4 週目
12 週間
ラコサミド 400mg/日群
100mg/日
200mg/日
300mg/日
400mg/日
400mg/日
ラコサミド 200mg/日群
100mg/日
200mg/日
200mg/日
200mg/日
200mg/日
プラセボ群
プラセボ
プラセボ
プラセボ
プラセボ
プラセボ
評 価 項 目 【主要評価項目】
・観察期間に対する維持期間の 28 日あたりの部分発作回数の変化量
【副次評価項目】
・観察期間に対する維持期間の 50%レスポンダーレート(観察期間に対する維持期間の 28 日あ
たりの部分発作回数の減少率が 50%以上であった患者の割合)
・観察期間に対する維持期間の 28 日あたりの部分発作回数の減少率(%)
・観察期間に対する治療期間(増量期間+維持期間)の 28 日あたりの部分発作回数の変化量
-13-
Ⅴ.治療に関する項目
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以
上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、
症状により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として
100mg 以下ずつ行うこと。」である。
② 患者背景
人口統計学的特性(SS)
全集団
分類
プラセボ群
(n=184)
男性
性別
102(55.4)
日本人集団
ラコサミド
ラコサミド
200mg/日群
400mg/日群
(n=183)
(n=180)
94(51.4) 104(57.8)
プラセボ群
(n=48)
16(33.3)
中国人集団
ラコサミド
ラコサミド
200mg/日群
400mg/日群
(n=47)
(n=47)
(n=136)
(n=133)
22(46.8)
22(46.8)
86(63.2)
72(52.9)
82(61.7)
プラセボ群
(n=136)
ラコサミド
ラコサミド
200mg/日群
400mg/日群
(例数(%))
女性
82(44.6)
89(48.6)
76(42.2)
32(66.7)
25(53.2)
25(53.2)
50(36.8)
64(47.1)
51(38.3)
人種
日本人
48(26.1)
47(25.7)
47(26.1)
48(26.1)
47(25.7)
47(26.1)
―
―
―
(例数(%))
中国人
―
―
―
平均値±
年齢(歳)
BMI(kg/m2)
136(73.9) 136(74.3) 133(73.9)
31.8±12.0
33.2±12.2
32.3±11.9
33.1±13.1
36.2±14.3
37.8±12.1
31.4±11.6
32.2±11.2
30.3±11.3
平均値±
63.28±
61.02±
60.65±
59.95±
56.34±
57.24±
64.45±
62.63±
61.85±
標準偏差
15.29
13.43
13.08
18.11
12.31
11.69
14.06
13.46
13.37
平均値±
23.31±
22.43±
22.28±
23.09±
21.55±
21.72±
標準偏差
4.82
3.76
3.87
5.99
3.85
3.76
23.39±4.35
22.74±3.69
22.48±3.90
標準偏差
体重(kg)
136(73.9) 136(74.3) 133(73.9)
疾患特性(FAS)
全集団
分類
ラコサミド
200mg/日群
400mg/日群
(n=182)
(n=179)
183
180a)
179
16.80±
18.29±
17.91±
プラセボ群
(n=183)
罹病期間
(年)
例数
平均値±
11.54
標準偏差
日本人集団
ラコサミド
10.88
11.69
中国人集団
ラコサミド
ラコサミド
200mg/日群
400mg/日群
(n=47)
(n=47)
48
47
47
135
133a)
132
20.06±
22.30±
22.18±
15.64±
16.87±
16.39±
プラセボ群
(n=48)
13.36
11.71
13.97
プラセボ群
(n=135)
10.63
ラコサミド
ラコサミド
200mg/日群
400mg/日群
(n=135)
(n=132)
10.24
10.40
60(32.8)
64(35.2)
61(34.1)
23(47.9)
30(63.8)
25(53.2)
37(27.4)
34(25.2)
36(27.3)
62(33.9)
46(25.3)
50(27.9)
24(50.0)
17(36.2)
24(51.1)
38(28.1)
29(21.5)
26(19.7)
121(66.1) 123(67.6) 123(68.7)
36(75.0)
36(76.6)
36(76.6)
85(63.0)
87(64.4)
87(65.9)
二次性全般化発作 129(70.5) 114(62.6) 107(59.8)
31(64.6)
26(55.3)
26(55.3)
98(72.6)
88(65.2)
81(61.4)
単純部分発作
複雑部分発作
てんかん
単純部分発作で
発作型
始まり意識減損
分類
に移行するもの
(例数
(%)b))
意識減損で始ま
るもの
a) ラコサミド 200mg/日群に割り付けられた 2 例の罹病期間は不明であったため集計から除外した。
b) 複数の発作型分類及び発作型のカテゴリーに該当する重複例を含む。
抗てんかん薬の使用状況(FAS)
全集団
分類
プラセボ群
(n=183)
治験開始までに
使用した
日本人集団
ラコサミド
ラコサミド
200mg/日群
400mg/日群
(n=182)
(n=179)
プラセボ群
(n=48)
0剤
11 (6.0)
14 (7.7)
15 (8.4)
0
1剤
25 (13.7)
30 (16.5)
34 (19.0)
3 (6.3)
中国人集団
ラコサミド
ラコサミド
200mg/日群
400mg/日群
(n=47)
(n=47)
プラセボ群
(n=135)
ラコサミド
ラコサミド
200mg/日群
400mg/日群
(n=135)
(n=132)
2 (4.3)
11 (8.1)
14 (10.4)
13 (9.8)
4 (8.5)
4 (8.5)
22 (16.3)
26 (19.3)
30 (22.7)
0
2剤
41 (22.4)
39 (21.4)
39 (21.8)
5 (10.4)
3 (6.4)
5 (10.6)
36 (26.7)
36 (26.7)
34 (25.8)
3剤
36 (19.7)
37 (20.3)
31 (17.3)
8 (16.7)
8 (17.0)
6 (12.8)
28 (20.7)
29 (21.5)
25 (18.9)
4 剤以上
70 (38.3)
62 (34.1)
60 (33.5)
32 (66.7)
32 (68.1)
30 (63.8)
38 (28.1)
30 (22.2)
30 (22.7)
治験開始時の
1剤
41 (22.4)
45 (24.7)
35 (19.6)
2 (4.2)
1 (2.1)
1 (2.1)
39 (28.9)
44 (32.6)
34 (25.8)
抗てんかん薬の
2剤
71 (38.8)
79 (43.4)
81 (45.3)
16 (33.3)
18 (38.3)
24 (51.1)
55 (40.7)
61 (45.2)
57 (43.2)
併用薬剤数
3剤
71 (38.8)
58 (31.9)
63 (35.2)
30 (62.5)
28 (59.6)
22 (46.8)
41 (30.4)
30 (22.2)
41 (31.1)
抗てんかん薬の
薬剤数
a)
a) 治験開始時に併用していた抗てんかん薬を除く。
例数(%)
-14-
Ⅴ.治療に関する項目
③ 有効性に関する臨床成績
a) 観察期間に対する維持期間の 28 日あたりの部分発作回数の変化量(主要評価項目)
プラセボ群、ラコサミド 200mg/日群及びラコサミド 400mg/日群の観察期間に対する維持期間の 28 日
あたりの部分発作回数変化量の中央値は、それぞれ-1.2 回、-3.3 回及び-4.5 回であり、プラセボ群
とラコサミド 200mg/日群及びラコサミド 400mg/日群との間で統計学的に有意な差が認められた(い
ずれも p<0.001、共分散分析)。
観察期間に対する維持期間の 28 日あたりの部分発作回数の変化量(FAS)
部分発作回数(中央値)
プラセボ群
ラコサミド 200mg/日群
ラコサミド 400mg/日群
全集団
観察期間(回数)
維持期間(回数)
観察期間に対する維持期間の変化量 a)
n=183
10.5
9.6
-1.2
n=182
11.0
6.5
-3.3
n=179
10.0
4.9
-4.5
注:維持期間は、維持期間開始前に中止した患者の増量期間のデータを含む。
a) 個々の患者の観察期間からの変化量の中央値
b) 28 日あたりの部分発作回数及びその来院ごとの推移
プラセボ群、ラコサミド 200mg/日群及びラコサミド 400mg/日群の 28 日あたりの部分発作回数の中央
値は、観察期間がそれぞれ 10.5、11.0 及び 10.0 回、維持期間がそれぞれ 9.6、6.5 及び 4.9 回であり、
プラセボ群に比べてラコサミド 200mg/日群及びラコサミド 400mg/日群で増量期間の投与開始 2 週目
から減少し、その減少傾向は投与開始 16 週目まで認められた。
観察期間、増量期間及び維持期間の 28 日あたりの部分発作回数の来院ごとの推移
-15-
Ⅴ.治療に関する項目
c) 観察期間に対する維持期間の 50%レスポンダーレート(観察期間に対する維持期間の 28 日あたりの
部分発作回数の減少率が 50%以上であった患者の割合)(副次評価項目)
観察期間に対する維持期間の 50%レスポンダーレートは、プラセボ群 19.7%(36/183 例)、ラコサミ
ド 200mg/日群 38.5%(70/182 例)及びラコサミド 400mg/日群 49.2%(88/179 例)であった。ラコ
サミド 200mg/日群及びラコサミド 400mg/日群ではプラセボ群に比べて 50%レスポンダーレートに有
意差が認められた(いずれも p<0.001、ロジスティック回帰分析)。
観察期間に対する維持期間の 50%レスポンダーレート
部分発作回数(中央値)
プラセボ群
ラコサミド 200mg/日群
ラコサミド 400mg/日群
n=183
19.7
―
―
―
―
n=182
38.5
18.8
2.6
1.61, 4.15
<0.001
n=179
49.2
29.5
4.1
2.54, 6.55
<0.001
全集団
50%レスポンダーレート(%)
プラセボ群との差(%)
オッズ比 a)
オッズ比の 95%信頼区間 a)
オッズ比の p 値 a)
a) 投与群及び実施国を固定因子としたロジスティック回帰モデルを用いた
d) 観察期間に対する維持期間の 28 日あたりの部分発作回数の減少率(副次評価項目)
観察期間に対する維持期間の 28 日あたりの部分発作回数の減少率の中央値は、プラセボ群が 10.1%で
あったのに対してラコサミド 200mg/日群及びラコサミド 400mg/日群はそれぞれ 36.8%及び 48.8%で
あった。プラセボ群に比べてラコサミド 200mg/日群及びラコサミド 400mg/日群の減少率は高く、ラ
コサミドの用量の増加に伴い減少率の上昇がみられた。
観察期間に対する維持期間の 28 日あたりの部分発作回数の減少率
部分発作回数(中央値)
プラセボ群
ラコサミド 200mg/日群
ラコサミド 400mg/日群
全集団
観察期間
維持期間
観察期間に対する維持期間の減少率(%)a)
n=183
10.5
9.6
10.1
n=182
11.0
6.5
36.8
n=179
10.0
4.9
48.8
注:維持期間は、維持期間開始前に中止した患者の増量期間のデータを含む。
a) 個々の患者の観察期間からの変化量の中央値
e) 観察期間に対する治療期間(増量期間+維持期間)の 28 日あたりの部分発作回数の変化量
観察期間に対する治療期間の 28 日あたりの部分発作回数の変化量の中央値は、プラセボ群が−1.1 であ
ったのに対してラコサミド 200mg/日群が−3.4、ラコサミド 400mg/日群が−4.0 であり、プラセボ群と
ラコサミド 200mg/日群及びラコサミド 400mg/日群との間で有意差が認められ(いずれも p<0.001、
共分散分析)、治療期間でも維持期間と同様の結果が得られた。
観察期間に対する治療期間(増量期間+維持期間)の 28 日あたりの部分発作回数の変化量
部分発作回数(中央値)
プラセボ群
ラコサミド 200mg/日群
ラコサミド 400mg/日群
全集団
観察期間
治療期間
観察期間に対する治療期間の変化量 a)
n=183
10.5
10.3
-1.1
n=182
11.0
6.5
-3.4
n=179
10.0
5.3
-4.0
a) 個々の患者の観察期間からの変化量の中央値
-16-
Ⅴ.治療に関する項目
④ 安全性
a) 副作用発現率
本試験の治療期間(増量期間+維持期間)の安全性解析対象集団(SS)におけるラコサミド 200mg/
日群では 64/183 例(35.0%)に副作用が認められた。主な副作用は浮動性めまい 25 例(13.7%)、傾
眠 14 例(7.7%)、頭痛 8 例(4.4%)であった。ラコサミド 400mg/日群では 109/180 例(60.6%)に
副作用が認められた。主な副作用は浮動性めまい 58 例(32.2%)、傾眠 18 例(10.0%)、複視、嘔吐
が各 12 例(6.7%)であった。
プラセボ群では 47/184 例(25.5%)に副作用が認められた。主な副作用は浮動性めまい 15 例(8.2%)、
頭痛 6 例(3.3%)、悪心 5 例(2.7%)であった。
b) 増量期間及び維持期間に発現した有害事象
ラコサミド投与群ではいずれの投与群においても、増量期間の方が維持期間に比べて浮動性めまいの発
現率が高いことが示された。また、傾眠、嘔吐、悪心、複視及び霧視はラコサミド 400mg/日群で増量
期間の方が維持期間に比べて多く発現し、ラコサミド 200mg/日群でもほぼ同様であった。白血球数減
少は、ラコサミド 200mg/日群では増量期間の方が維持期間に比べて多く発現したが、ラコサミド
400mg/日群では同程度であった。
プラセボ群では、増量期間と維持期間の有害事象の発現率に大きな差はなかった。
c) 投与中止に至った有害事象
治療期間(増量期間+維持期間)における投与中止に至った有害事象はプラセボ群で 12 例(6.5%)、
ラコサミド 200mg/日群で 8 例(4.4%)、400mg/日群で 28 例(15.6%)であった。プラセボ群よりも
ラコサミド群の発現率が 1%以上高い治験薬の投与中止に至った有害事象は、浮動性めまい、複視、霧
視及び傾眠であった。また、ラコサミド 200mg/日群よりもラコサミド 400mg/日群で発現率が 1%以上
高い有害事象は、浮動性めまい、複視、悪心、傾眠、霧視、嘔吐及びアスパラギン酸アミノトランスフ
ェラーゼ増加であった。
d) 投与中止率
プラセボ群、ラコサミド群の中止率及び中止理由を示した。
プラセボ群
n=184
ラコサミド 200mg/日群
n=183
ラコサミド 400mg/日群
n=180
例数(%)
中止例
18(9.8)
12(6.6)
32(17.8)
中止理由
2(1.1)
2(1.1)
0
0
1(0.5)
1(0.6)
14(7.6)
8(4.4)
28(15.6)
同意撤回
0
1(0.5)
2(1.1)
追跡不能
2(1.1)
0
1(0.6)
0
0
0
治験実施計画書逸脱
効果不十分
有害事象
その他
e) 心電図の変化
ラコサミドと PR 間隔の延長を起こすおそれのある抗てんかん薬(カルバマゼピン又はラモトリギン)
の併用投与による PR 間隔のさらなる延長は認められなかった。
9) 社内資料:日本及び中国における部分発作併用療法のプラセボ対照比較試験
-17-
Ⅴ.治療に関する項目
3) 安全性試験(EP0009 試験)10)
① 試験概要
目
的
ラコサミドを 400mg/日までの用量で長期投与した時の安全性、忍容性及び有効性を評価する。
対
象
先行して実施した日中共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験)の治療期間及び移行期間を完了した部分
発作(二次性全般化発作を含む)を有する日本人及び中国人の成人てんかん患者
安全性解析対象集団(SS):473 例(日本人患者 123 例)
最大の解析対象集団(FAS):471 例(日本人患者 123 例)
投 与 方 法
非対照長期継続投与試験
患者はいずれも EP0008 試験終了時のラコサミドの投与量を 200mg/日(100mg を 1 日 2 回経口
投与)とした。EP0008 試験の最終来院日を本試験の第 1 回来院日と設定し、本試験の開始時か
らラコサミド 200mg/日を維持、増量(1 週あたり 100mg/日ずつ、最大用量は 400mg/日)又は
減量(最小用量は 100mg/日)できることとした。
評 価 項 目 【主要評価項目】
・患者の自発的報告又は治験責任医師の観察により報告された有害事象
・有害事象による治験中止例
【副次評価項目】
・観察期間(EP0008 試験の観察期間)に対する治療期間の 28 日あたりの部分発作回数の減少率
(%)
・観察期間(EP0008 相試験の観察期間)に対する治療期間の 50%レスポンダーレート(観察期
間に対する治療期間の 28 日あたりの部分発作回数の減少率が 50%以上であった患者の割合)
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以
上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、
症状により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として
100mg 以下ずつ行うこと。」である。
② 患者背景
人口統計学的特性(SS)
全集団
(n=473)
日本人集団
(n=123)
中国人集団
(n=350)
性別
(例数(%))
男性
259(54.8)
51(41.5)
208(59.4)
女性
214(45.2)
人種
(例数(%))
日本人
123(26.0)
72(58.5)
-
142(40.6)
-
中国人
350(74.0)
-
-
年齢(歳)
平均値±標準偏差
32.7±12.0
35.0±13.1
31.9±11.5
体重(kg)
平均値±標準偏差
62.09±14.11
58.02±14.74
63.52±13.62
BMI(kg/m2)
平均値±標準偏差
22.76±4.23
22.03±4.83
23.02±3.97
例数
平均値±標準偏差
471a)
17.30±11.08
123
19.98±12.42
348a)
16.36±10.42
単純部分発作
165(34.9)
72(58.5)
93(26.6)
単純部分発作で始まり意
識減損に移行するもの
136(28.8)
59(48.0)
77(22.0)
意識減損で始まるもの
319(67.4)
91(74.0)
228(65.1)
二次性全般化発作
309(65.3)
74(60.2)
235(67.1)
1剤
2剤
3剤
112(23.7)
194(41.0)
167(35.3)
4 (3.3)
50(40.7)
69(56.1)
108(30.9)
144(41.1)
98(28.0)
罹病期間(年)
てんかん発作型
分類
(例数(%))b)
先行試験開始時
の抗てんかん薬
の併用薬剤数
(例数(%))
複雑部分発作
a) 日中共同第Ⅲ相試験にてラコサミド 200mg/日群に割り付けられた 2 例の罹病期間は不明であったため集計から
除外した。
b) 複数の発作型分類及び発作型のカテゴリーに該当する重複例を含む。
-18-
Ⅴ.治療に関する項目
③ 本試験における安全性(主要評価項目)
a) 有害事象
本試験の治療期間(増量期間+維持期間)の安全性解析対象集団(SS)において 357/473 例(75.5%)
に有害事象が認められた。重篤な有害事象は 35/473 例(7.4%)、高度の有害事象は 17 例(3.6%)、
死亡は 5 例(1.1%)にみられた。中国人の 5 例が脳梗塞(1 例)、てんかん重積状態(3 例)及び熱射
病(1 例)により死亡した。主な有害事象は、鼻咽頭炎 103 例(21.8%)、浮動性めまい 100 例(21.1%)、
上気道感染 57 例(12.1%)、頭痛 46 例(9.7%)であった。主な重篤な有害事象は、てんかん重積状
態 7 例(1.5%)、てんかん 3 例(0.6%)、脳出血 2 例(0.4%)であった。
b) 有害事象による治験中止例
ラコサミドの投与中止に至った有害事象は、31/473 例(6.6%)に発現した。主なものは浮動性めまい
7 例(1.5%)、てんかん重積状態 3 例(0.6%)、記憶障害、上腹部痛、悪心及び嘔吐各 2 例(0.4%)
であった。
c) 副作用
副作用は 203/473 例(42.9%)に認められた。主な副作用は浮動性めまい 84 例(17.8%)、傾眠 27
例(5.7%)、頭痛 18 例(3.8%)であった。
データカットオフ:2015 年 5 月(第 2 回中間報告)
④ 副次評価項目(有効性に関する臨床成績)
a) 観察期間(EP0008 試験の観察期間)に対する治療期間の 28 日あたりの部分発作回数の減少率(%)
ラコサミド 100~400mg/日を 1 日 2 回に分けて経口投与したとき
(中間報告、最長 767 日投与)、EP0008
試験の観察期間に対する治療期間の 28 日あたりの部分発作回数の減少率の中央値は 55.2%であった。
治療期間別では 0~6 ヵ月、6 ヵ月超~12 ヵ月、12 ヵ月超~18 ヵ月及び 18 ヵ月超~24 ヵ月がそれぞ
れ 51.6%、59.7%、66.7%及び 72.0%であり、治療期間における 28 日あたりの部分発作回数は 0~12
ヵ月で臨床的に重要な減少がみられ、その後も治療期間を通じて減少率は維持された。
観察期間に対する治療期間の 28 日あたりの部分発作回数の減少率(%)
治療期間
症例数(例)
部分発作回数の減少率(%)中央値
全治療期間
471
55.2
0~6 ヵ月
471
51.6
>6~12 ヵ月
418
59.7
>12~18 ヵ月
311
66.7
>18~24 ヵ月
106
72.0
>24~30 ヵ月
9
100.0*
*中央値 100%(100%6 例、96.8%、77.1%、33.2%各 1 例)
b) 観察期間(EP0008 試験の観察期間)に対する治療期間の 50%レスポンダーレート(観察期間に対
する治療期間の 28 日あたりの部分発作回数の減少率が 50%以上であった患者の割合)
ラコサミド 100~400mg/日を 1 日 2 回に分けて経口投与したとき(中間報告、最長 767 日投与)、治
療期間の 50%レスポンダーレートは全治療期間において 56.3%(265/471 例)であった。治療期間別
では 0~6 ヵ月、6 ヵ月超~12 ヵ月、12 ヵ月超~18 ヵ月及び 18 ヵ月超~24 ヵ月がそれぞれ 52.2%
(246/471 例)、62.4%(261/418 例)、65.0%(202/311 例)及び 70.8%(75/106 例)であり、治療
期間を通じて 50%レスポンダーレートは維持された。
-19-
Ⅴ.治療に関する項目
観察期間に対する治療期間の 50%レスポンダーレート
治療期間
50%レスポンダー(例)
50%レスポンダーレート(%)
全治療期間
265/471
56.3
0~6 ヵ月
246/471
52.2
>6~12 ヵ月
261/418
62.4
>12~18 ヵ月
202/311
65.0
>18~24 ヵ月
75/106
70.8
>24~30 ヵ月
8/9
―
10) 社内資料:日本及び中国における部分発作併用療法の長期継続投与試験
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以
上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、
症状により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として
100mg 以下ずつ行うこと。」である。
4) 患者・病態別試験
該当資料なし
(6)治療的使用
1) 使用成績調査・特定使用成績調査(特別調査)・製造販売後臨床試験(市販後臨床試験)
該当資料なし
2) 承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要
該当資料なし
-20-
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
VI. 薬効薬理に関する項目
1. 薬理学的に関連ある化合物又は化合物群
レベチラセタム、ラモトリギン、トピラマート、ガバペンチン、クロバザム、ゾニサミド、フェニトイン、バル
プロ酸ナトリウム及びカルバマゼピン
2. 薬理作用
(1)作用部位・作用機序
Na+チャネルは、急速な不活性化と緩徐な不活性化の 2 種類のメカニズムで制御されている 12,13)。緩徐な不活
性化は、てんかんのように持続するニューロンの過剰な興奮によっておこり、ニューロンの興奮性を調節し
ている 13,14)。
ラコサミドは、従来の Na チャネルブロッカーとは異なる機序*により、Na+チャネルの緩徐な不活性化を選
択的に促進させることで、活性化できる Na+チャネルの割合を減少させ、ニューロンの過剰な興奮を抑制す
ると考えられている 3,13,14)。
*:従来の Na チャネルブロッカーは急速な不活性化からの回復を遅らせると考えられている。
ラコサミドの作用機序 14)
(過興奮状態のニューロンにおける電位依存性 Na+チャネルに対する作用)
<監修>日本医科大学 千葉北総病院 脳神経外科 丸 栄一 先生
-21-
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
<参考>電位依存性 Na+チャネルにおける分子レベルの活性化機序
てんかんにおけるニューロンの興奮性は、活性化できる Na+チャネルの割合によって決定される。数ミリ秒
以内で不活性化が生じる急速な反応に比べて、数秒又はそれ以上で不活性化が生じる緩徐な反応のほうが
不活性化からの回復に時間がかかることから、利用可能な Na+チャネルの割合が減少する。そのため緩徐な
不活性化の促進は、Na+チャネルの長期利用可能性を低下させることにより、ニューロンの興奮性を低下させ
る 12,15)。
1) 電位依存性 Na+チャネルに対する作用(in vitro)3)
① Na+チャネルの緩徐な不活性化に対するラコサミドの作用(in vitro)
マウス培養神経芽腫細胞 N1E-115 を用いて、ホールセルパッチクランプ法により Na+チャネルの緩徐
な不活性化に対する作用について検討したところ、ラコサミド 32µmol/L により有意ではないが不活性
化状態の Na+チャネルが増加(標準化ピーク INa を減少)した。100µmol/L では、10 秒間の脱分極パ
ルス後、INa は有意に減少し、320µmol/L では、INa が更に減少し、ラコサミドは濃度依存的に Na+チャ
ネルにおける緩徐な不活性化を促進させた。
ラコサミドの Na+チャネルの緩徐な不活性化に対する促進作用
-22-
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
② Na+チャネルの緩徐な不活性化及び不活性化からの回復速度に及ぼすラコサミドの影響(in vitro)3)
マウス神経芽腫細胞 N1E-115 を用いてラコサミドの Na+チャネルの緩徐な不活性化に及ぼす影響及び
不活性化状態からの回復速度に対する影響について検討した。急速な不活性化と同様に、定常状態での
Na+チャネルの緩徐な不活性化のプロセスは膜電位に依存する。不活性化電位曲線の回帰は Boltzmann
の式を改変して行った。コントロール条件下における緩徐な不活性化が不完全であったため、チャネル
の最大利用度の 50%を示す不活性化電位(V50)は約 64mV と推定された。
その結果、ラコサミドは、32µmol/L 及び 100µmol/L で緩徐な不活性化電位曲線をさらに脱分極側へ濃
度依存的にシフトさせた(図 A)。ラコサミド 100µmol/L における V50 は-57mV であった。
また、不活性化からの回復時間に対するラコサミドの影響を、保持電位-80mV において、10 秒ある
いは 30 秒間、-20mV まで脱分極させる条件下で検討した。長期脱分極後、1.5 秒間の急速な不活性
化の回復期間をおいた後、2 秒間隔で、-10mV まで 20 ミリ秒のパルスを与え、ピーク電流のトレー
スを解析することにより回復時間を測定した。
その結果、緩徐な不活化チャネルが回復するまでの時間はラコサミド非存在下では 5.9 秒、ラコサミド
100µmol/L 存在下では 6.7 秒であり、ラコサミドは脱分極の時間に関わらず、緩徐な不活化チャネルが
回復するまでの時間に影響を与えなかった(図 B)。
ラコサミドの緩徐な不活性化電位曲線に対する作用(A)及び不活性化からの回復時間への影響(B)
-23-
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
③ Na+チャネルの緩徐な不活性化パラメータに対するラコサミドの作用(in vitro)16)
Na+チャネルの緩徐な不活性化に対するラコサミドの作用について、Na+チャネル阻害作用を有する既
存の抗てんかん薬(カルバマゼピン、フェニトイン、ラモトリギン、ゾニサミド)及び SPM6953(ラ
コサミドの S-光学異性体)と比較検討した。ラコサミドを含むすべての薬剤の濃度は 100µmol/L とし、
マウス神経芽腫細胞 N1E-115 を用いて、ホールセルパッチクランプ法にて、緩徐な不活性化曲線パラ
メータとして、V50、緩徐な不活性化曲線の勾配及び標準化ピーク INa を記録した。
電気生理学的結果では、緩徐な不活性化曲線における V50 の変化量(ΔV50)が対照群は-8±7mV であ
ったのに対し、ラコサミド群では-33±7mV と有意な過分極側へのシフトがみられた(p<0.0001[平
均値±標準偏差]、両側検定による t 検定)。
ラコサミドの Na+チャネルの緩徐な不活性化に対する作用
平均値±標準偏差
ラコサミドでは静止膜電位付近での利用できない Na+チャネル分画が増大し、緩徐な不活性化チャネル
の最大分画及び緩徐な不活性化曲線の勾配には影響を及ぼさなかった。
Na+チャネルの緩徐な不活性化(∆V50 不活性化)に対するラコサミド、
他の抗てんかん薬及び SPM6953 の作用
平均値±標準偏差
**p<0.005、***p<0.0005(両側検定による t 検定)
-24-
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
ラコサミド、他の抗てんかん薬及び SPM6953 の Na+チャネルに対する
緩徐な不活性化パラメータ
ΔV50(mV)
例数
Δslope
対照群(DMSO 0.1%)
6
ラコサミド 100µmol/L
6
-33±7
SPM6953 100µmol/L
7
-11±6
-3±5
カルバマゼピン 100µmol/L
6
-3±6
-6±3
フェニトイン 100µmol/L
6
-4±5
-6±3
ゾニサミド 100µmol/L
6
-4±6
1±4
対照群(DMSO 0.2%)
6
-5±7
-5±1
ラモトリギン 100µmol/L
7
7±4
-8±7
-2±2
***
**
-1±3
-10±2***
平均値±標準偏差、SPM6953:ラコサミドの S-光学異性体
V50:最大利用度の 50%を示す不活性化電位
ΔV50:対照又は薬剤投与後の V50-投与前の V50
Δslope:緩徐な不活性化曲線の勾配
** p<0.005、*** p<0.0005(両側検定による t 検定)
(2)薬効を裏付ける試験成績
1) てんかん発作に対する作用
① 扁桃核キンドリング発作に対する作用(マウス)17)
雄マウス(C57BL6J、各群 9~10 例)を用い、麻酔下で扁桃核に双極電極を植え込み、10 日間の回復
期間後、双極電極を介して電気刺激(単相パルス、250µA、1 ミリ秒、50Hz、1 秒間)によりキンドリ
ングを誘発させ、ラコサミドのマウス扁桃核キンドリング発作に対する作用を検討した。発作スコア
(Racine スケール)5 の発作が少なくとも 5 回連続発現することによりキンドリング完成とし、ラコ
サミドの 3、10、15 及び 20mg/kg を腹腔内投与し、30 分後に同一の電気刺激により発現する発作を観
察した。
二次性全般発作(スコア≧3 の割合)に対して、ラコサミド 20mg/kg では有意な抑制(70%)がみら
れた(図 A)。
発作スコアの中央値はラコサミド 3mg/kg から有意に低下したが、
用量依存性はみられなかった(図 B)
。
ラコサミド 20mg/kg 投与での発作スコアは、投与前の 5 から 1 まで明らかな減少を示した。
後発射持続時間についてはラコサミド 10mg/kg 以上で、用量依存的で有意な短縮がみられた(図 C)。
-25-
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
扁桃核キンドリングマウスにおけるラコサミドの発作パラメータに対する作用
-26-
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
② 海馬キンドリング発作に対する作用(ラット)18)
雄ラット(Sprague-Dawley:SD、各群 7~8 例)を用い、海馬腹側部に双極性電極を植え込み、1 週
間の回復期間後、双極性電極を介して 6 時間の間に 30 分間隔で刺激(二相パルス、200µA、1 ミリ秒、
50Hz、10 秒トレイン、1 日 12 回)することを、1 日おきに 5 日間(全 60 回刺激)繰り返し、Racine
スケール Stage 5 のキンドリングラットを作成した。電気刺激を 1 週間中止後ラコサミド(7、13、19
及び 25mg/kg)を単回腹腔内投与し、発作スコア(Racine スケール)及び後発射持続時間を指標とし
てその作用を評価した。海馬キンドリングラットに対するラコサミド 25mg/kg の単回腹腔内投与によ
る作用を既存の抗てんかん薬の最大有効量(フェニトイン 150mg/kg、カルバマゼピン 50mg/kg、バル
プロ酸 250mg/kg 及びエトスクシミド 250mg/kg)における作用と比較検討したところ、ラコサミドの
発作スコアの低下(5 から 3 以下)作用の ED50 は 13.5mg/kg であった。ラコサミドの 25mg/kg は、
Stage 5 の発作に対し効果的で後発射持続時間を用量依存的に抑制した。
海馬キンドリングラットにおけるラコサミドの抗けいれん作用
測定時間
発作スコア a)
用量
(mg/kg)
各個体の個別値
平均値
7
4,4,5,5,0,4,5,4
3.9
13
4,4,4,0,1,4,5,0
2.7
19
0,0,1,0,5,0,1
1.0*
25
0,1,0,0,4,0,1,0
15 分間
ED50
(mg/kg)
64.5±4.5
13.5
(9.11~17.8)b)
0.8
*
a) Racine スケール
Stage 1:口及び顔の動作
Stage 2:Stage 1 の症状+点頭けいれん
Stage 3:Stage 2 の症状+前肢の間代性けいれん
Stage 4:Stage 3 の症状+立ち上がり
Stage 5:Stage 4 の症状+転倒
b) 95%信頼区間
ED50:50%効果用量
*p<0.05、投与前値と比較して有意
(発作スコア:Mann-Whitney の U 検定、後発射持続時間:Student の t 検定)
-27-
後発射持続時間(秒)
(平均値±標準誤差)
34.6±8.3*
13.4±10.1*
11.0±10.2*
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
ラコサミド 25mg/kg では海馬キンドリングラットにおける後発射持続時間の減少(>85%)が、他の
抗てんかん薬より大きかった。
海馬キンドリングラットにおけるラコサミドの投与による発作スコア(A)及び後発射持続時間(B)
2) てんかん原性に対する作用(ラット)19)
雌ラット(Wistar、各群 9~10 例)を用い、右側扁桃体基底外側核に植え込んだ双極性電極を介して電気
刺激した。刺激電流は 50µA より開始し、電流の強さは約 20%ずつ、1 分間隔で少なくとも 3 秒間の後発
射が誘発されるまで増強した。プレキンドリング後発射閾値(ADT)が測定された日より溶媒(生理食塩
液)、ラコサミド 3、10 及び 30mg/kg/日を 1 日 1 回、週に 5 回、22~23 日間、腹腔内投与した。各投与
日の投与後 30 分に 1 回、扁桃核を電気刺激(単相方形波パルス、各個体の最初の ADT より開始し約 20%
ずつ増強、1 ミリ秒、50Hz、1 秒間、週に 5 回)による発作スコア(Racine スケール)及び後発射持続時
間について評価した。
ラコサミドのラット扁桃核キンドリング進展に対する作用を検討したところ、キンドリング進展期間中、
ラコサミドの 3mg/kg/日では作用はみられなかった(図 A、D)。ラコサミド 10mg/kg/日ではキンドリン
グの進展(発作スコア及び後発射持続時間)に対する抑制作用がみられ(図 B、E)、キンドリング基準
(発作スコア 5)に達するまでの平均刺激回数が 90%超増加した。ラコサミド 30mg/kg/日ではキンドリ
-28-
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
ング進展に対する明らかな抑制作用がみられたが、この用量では副作用(自発的発作)を伴っていた(図
C、F)。
ラコサミドは抗けいれん作用に加え、キンドリング進展の抑制が認められた。
ラット扁桃核キンドリングモデルにおけるラコサミドのキンドリング進展に対する作用
(3)作用発現時間・持続時間
該当資料なし
-29-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
VII. 薬物動態に関する項目
1. 血中濃度の推移・測定法
(1)治療上有効な血中濃度
該当資料なし
(2)最高血中濃度到達時間
「Ⅶ.1.(3)臨床試験で確認された血中濃度」参照
(3)臨床試験で確認された血中濃度
1) 単回投与
① 健康成人 6)
日本人健康成人男性 18 例に、3 期クロスオーバー法にてラコサミド 100mg、200mg 及び 400mg のう
ち異なる 2 用量を空腹時に単回経口投与した。血漿中ラコサミド濃度は投与後速やかに上昇し、0.5~4
時間で Cmax に達し、t1/2 の幾何平均値は約 14 時間であった。AUC 及び Cmax の幾何平均値は投与量に
比例して増加した。
単回投与時の血漿中濃度推移
-30-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
単回投与時の薬物動態パラメータ
投与量
100mg
200mg
400mg
例数
12
11
12
AUC0-∞
(µg・h/mL)
57.0[20.4]
116.4[18.2]
219.1[16.1]
AUC0-t
(µg・h/mL)
55.0[18.7]
112.1[17.1]
212.5[15.0]
Cmax
(µg/mL)
2.96[15.2]
5.84[25.0]
11.8[15.4]
tmax
(h)
1.00
(0.50-4.00)
1.00
(0.25-1.50)
1.00
(0.50-4.00)
t1/2
(h)
14.0[20.2]
14.6[13.0]
13.7[15.3]
CL/F
(L/h)
1.75[20.4]
1.72[18.2]
1.83[16.1]
Vd/F
(L)
35.5[13.4]
36.3[13.0]
36.2[12.8]
幾何平均値[CV(%)]、tmax は中央値(範囲)
AUC0-∞:無限時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、AUC0-t:最終定量時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積、
Cmax:最高血漿中濃度、tmax:最高血漿中濃度到達時間、t1/2:終末相の消失半減期、CL/F:見かけの全身クリア
ランス、Vd/F:見かけの分布容積
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以
上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、
症状により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として
100mg 以下ずつ行うこと。」である。
2) 反復投与(外国人データ)20)
健康成人男性 6 例(1 例中止)にラコサミド 200mg/回を 1 日 2 回 7 日間反復経口投与したとき、血漿中
ラコサミド濃度は投与開始から 3 日後に定常状態に到達した。AUC0-12h の累積係数は 2.4 であった。
反復投与時の血漿中濃度推移
-31-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
反復投与時の薬物動態パラメータ
薬物動態
パラメータ
200mg1 日 2 回投与
(n=5)
第 1 日目
第 7 日目
AUC0-12h(µg・h/mL)
34.2±4.44
81.4±11.3
Cmax(µg/mL)
4.05±0.596
8.94±1.43
tmax(h)
3.0(2.0-4.0)
2.0(2.0-3.0)
t1/2(h)
―
13.91±1.25
平均値±標準偏差、tmax は中央値(範囲)
AUC0-12h:投与後 12 時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度、
tmax:最高血中濃度到達時間、t1/2:終末相の消失半減期
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の
間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状に
より 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg 以
下ずつ行うこと。」である。
3) 腎機能障害患者の血漿中濃度(外国人データ)7,21)
腎機能の程度(クレアチニンクリアランス:CLCR)の異なる成人被験者 32 例にラコサミド 100mg を単回
経口投与したとき、AUC0-t は腎機能正常者(CLCR:≥80mL/min)と比較して、軽度低下者(CLCR:50
~<80mL/min)では 27%、中等度低下者(CLCR:30~<50mL/min)で 22%、重度低下者(CLCR:<
30mL/min)で 59%高く、Cmax は軽度から重度の腎機能低下者で 10~14%高かった。軽度から重度の腎
機能低下者における O-脱メチル体の AUC0-t は腎機能正常者の 1.5~4.6 倍であった。
CLCR 値別の血漿中濃度推移
-32-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
CLCR 値別の薬物動態パラメータ
腎機能
例数
CLCR(mL/min)
正常
軽度低下
中等度低下
重度低下
8
8
8
8
≥80
50~<80
30~<50
<30
AUC0-t
(µg・h/mL)
47.0
[20.8]
59.6
[17.5]
57.6
[19.0]
74.8
[26.9]
Cmax
(µg/mL)
2.69
[35.0]
2.95
[20.7]
3.06
[10.0]
3.02
[23.3]
tmax(h)
1.0
(0.5-2.0)
0.5
(0.5-1.0)
0.5
(0.5-1.0)
1.0
(0.5-1.5)
t1/2(h)
13.2
[17.6]
18.2
[18.7]
15.4
[18.9]
18.3
[27.8]
CL/F(L/h)
2.13
[20.8]
1.68
[17.5]
1.74
[19.0]
1.34
[26.9]
CLR(L/h)
0.590
[37.9]
0.354
[51.3]
0.277 a)
[24.4]
0.143
[31.8]
幾何平均値[CV(%)]、AUC0-t は 0~96 時間値、tmax は中央値(範囲)、a) n=7
CLCR:クレアチニンクリアランス、AUC0-t:最終定量時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度、
tmax:最高血漿中濃度到達時間、t1/2:終末相の消失半減期、CL/F:みかけの全身クリアランス、CLR:腎クリアランス
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の
間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状
により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg
以下ずつ行うこと。」である。
4) 血液透析を受けている末期腎機能障害患者の血漿中濃度(外国人データ)7,21)
血液透析を受けている末期腎機能障害の成人被験者 8 例に対し、非透析時及び透析開始 2.5 時間前にラコ
サミド 100mg を単回経口投与したとき、非透析時に比べ 4 時間の透析実施時ではラコサミドの AUC0-t の
幾何平均値は 46%減少し、透析による除去効率はラコサミド 57%、O-脱メチル体 53%であり、透析クリ
アランスの幾何平均値はラコサミド 140mL/min(8.40L/h)、O-脱メチル体 149mL/min(8.94L/h)であ
った。
血液透析を受けている末期腎機能障害患者の薬物動態パラメータ
血液透析
例数
非透析時
4 時間透析時
8
8
ラコサミド
AUC0-t(µg・h/mL)
43.2[20.2]
23.2[15.1]
Cmax(µg/mL)
3.18[22.4]
2.79[22.1]
tmax(h)
0.50(0.5-4.0)
0.75(0.5-2.0)
t1/2(h)
19.5[19.4]
19.2[26.8]
AUC0-t(µg・h/mL)
6.63[74.3]
3.43[68.5]
Cmax(µg/mL)
0.48[69.5]
0.22[69.1]
O-脱メチル体
幾何平均値[CV(%)]、AUC0-t は 0~24 時間値、tmax は中央値(範囲)
AUC0-t:最終定量時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度、tmax:最高血漿中濃度到達時間、
t1/2:終末相の消失半減期
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の
間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状
により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg
以下ずつ行うこと。」である。
-33-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
5) 肝機能障害患者における薬物動態(外国人データ)8)
白人健康成人及び中等度肝機能低下者(Child-Pugh 分類 B)の 8 例ずつにラコサミド 100mg/回を 1 日 2
回 5 日間反復経口投与したとき、健康成人に比べてラコサミドの定常状態の AUC0-12h 及び Cmax の幾何平
均値はそれぞれ 61%及び 50%高かった。また、体重で基準化した定常状態の AUC0-12h 及び Cmax の幾何平
均値それぞれ 47%及び 37%高かった。肝機能低下者では、t1/2 の中央値が延長した。肝機能低下者での
O-脱メチル体の定常状態の AUC0-12h 及び Cmax の幾何平均値は、健康成人に比べて約 40%低かった。重度
肝機能障害患者(Child-Pugh 分類 C)での薬物動態は検討していない。
健康成人及び肝機能障害患者の定常状態(5 日目)以降の血漿中濃度推移
健康成人及び肝機能障害患者の定常状態下の薬物動態パラメータ
正常
Child-Pugh 分類 B
8
8
AUC0-12h
(µg・h/mL)
53.3
[17.3]
85.9
[21.7]
Cmax
(µg/mL)
5.83
[13.3]
8.75
[18.7]
tmax(h)
1.5
(0.5-2.0)
1.5
(0.5-2.0)
t1/2(h)
14.8
[19.7]
24.1
[23.5]
肝機能
例数
幾何平均値[CV(%)]、tmax は中央値(範囲)
AUC0-12h:投与後 12 時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度、tmax:最高血漿中濃度到達時間、
t1/2:終末相の消失半減期
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の
間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状
により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg
以下ずつ行うこと。」である。
-34-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
6) 高齢者の反復投与時血漿中濃度(外国人データ)22,23)
65 歳以上の白人健康高齢男性 12 例(1 例中止)及び高齢女性 12 例、並びに 18 歳以上 45 歳以下の成人
男性 12 例に、ラコサミド 100mg/回を 1 日 2 回 5 日間反復経口投与した。成人男性と比較して、高齢男性
及び女性においてラコサミド反復投与後の定常状態の AUC0-12h の幾何平均値はそれぞれ 33%及び 50%高
く、Cmax の幾何平均値それぞれ 29%及び 53%高かった。また、体重で基準化した定常状態の AUC0-12h の
幾何平均値は高齢男性及び高齢女性においてそれぞれ 26%及び 23%高く、Cmax の幾何平均値はそれぞれ
22%及び 25%高かった。
高齢者の血漿中濃度推移
高齢者の定常状態の薬物動態パラメータ
定常状態の
薬物動態パラメータ
高齢男性
(n=11)
高齢女性
(n=12)
若年男性
(n=12)
AUC0-12h(µg・h/mL)
54.7[23]
61.9[14]
41.2[14]
Cmax(µg/mL)
6.20[20]
7.36[12]
4.82[10]
tmax(h)
0.5(0.5-2.0)
0.75(0.5-2.0)
1.0(0.5-3.0)
t1/2(h)
16.7[22]
13.8[22]
14.2[11]
幾何平均値[CV(%)]、tmax は中央値(範囲)
AUC0-12h:定常状態の血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度、tmax:最高血漿中濃度到達時間、
t1/2:終末相の消失半減期
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の
間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状
により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg
以下ずつ行うこと。」である。
-35-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
7) CYP2C19 遺伝子多型別血漿中濃度(日本人及び外国人データ)6)
日本人及び中国人健康成人男性各 18 例を、CYP2C19 遺伝子型に基づく代謝能分類により、急速代謝能者
(UM:CYP2C19*1/*17)1 例、高代謝能者(EM:CYP2C19*1/*1)17 例、中間代謝能者(IM:CYP2C19
1/*2, CYP2C19*1/*3)10 例、及び低代謝能者(PM:CYP2C19*2/*2, CYP2C19*2/*3)8 例に分類し
*
た。この集団にラコサミド 100~400mg を単回経口投与時のラコサミドの投与量及び体重で基準化した
AUC0-∞の幾何平均値は、EM に比べて PM で 24%、IM で 10%高かった。ラコサミドの体重当たりの CL/F
の中央値は、EM に比べて PM では 17%低く、ラコサミドの t1/2 の中央値は EM の約 12 時間に対して PM
では約 18 時間であった。一方、ラコサミドの投与量及び体重で基準化した Cmax 及び尿中排泄率の中央値
は EM 及び PM で同程度であった。O-脱メチル体の体重当たりの代謝クリアランス(CLfm/F)は EM に
比べて PM では約 85%低く、O-脱メチル体の投与量及び体重で基準化した AUC0-t 及び Cmax の中央値は、
約 70%低かった。
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の
間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状
により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg
以下ずつ行うこと。」である。
(4)中毒域
該当資料なし
(5)食事・併用薬の影響
1) 食事の影響(外国人データ)24)
白人健康成人男性 24 例を対象に 2 期クロスオーバー法により、ラコサミド 300mg を空腹時又は高脂肪朝
食摂取開始 30 分後に単回経口投与した。休薬期間は 7 日間とした。ラコサミドの AUC0-t 及び Cmax の「食
後投与/空腹時投与」の幾何平均の比の 90%信頼区間は生物学的同等性の基準範囲内であり、食事はラコ
サミドの AUC0-t 及び Cmax に影響を及ぼさなかった。
空腹時又は食後単回経口投与時の血漿中濃度推移
-36-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
空腹時又は食後単回経口投与時の薬物動態パラメータ
薬物動態パラメータ
AUC0-t(µg・h/mL)
Cmax(µg/mL)
tmax(h)
t1/2(h)
空腹時投与
(n=24)
食後投与
(n=24)
140.8[13.1]
138.0[13.2]
7.7[15.3]
7.4[16.9]
1.5(0.5-4.0)
2.0(0.5-4.0)
13.3[15.1]
13.4[11.5]
幾何平均値[CV(%)]、tmax は中央値(範囲)
AUC0-t:最終定量時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度、
tmax:最高血漿中濃度到達時間、t1/2:終末相の消失半減期
2) 併用薬の影響
① カルバマゼピンとの併用(外国人データ)25)
a) ラコサミドの薬物動態への影響
外国人健康成人男性 20 例をグループ 1 又は 2 に各 10 例無作為に割り付けた(1 例中止)。すべての
被験者にラコサミド 200mg を第 1〜16 日目は 1 日 2 回投与、第 17 日目(朝)は 1 日 1 回経口投与し
た。カルバマゼピンはグループ 1 の被験者には第 2〜4 日目に 100mg を 1 日 2 回、
第 5〜8 日目に 200mg
を 1 日 2 回、第 9 日目(朝)に 200mg を 1 日 1 回経口投与し、グループ 2 の被験者には第 10〜12 日
目に 100mg を 1 日 2 回、第 13〜16 日目に 200mg を 1 日 2 回、第 17 日目(朝)に 200mg を 1 日 1
回経口投与し、薬物相互作用を検討した。ラコサミド(200mg/回、1 日 2 回)の定常状態において、
強い CYP3A 誘導薬及び中程度の CYP2C9 誘導薬であるカルバマゼピン(200mg/回、1 日 2 回)を併
用反復経口投与したとき、ラコサミドの定常状態の AUC0-12h 及び Cmax の「ラコサミド+カルバマゼピ
ン/ラコサミド」の幾何平均の比の 90%信頼区間は生物学的同等性の基準範囲内であり、カルバマゼ
ピンはラコサミドの定常状態の AUC0-12h 及び Cmax に影響を及ぼさなかった。
ラコサミドの定常状態の薬物動態パラメータ(カルバマゼピン併用有無別)
定常状態の
薬物動態パラメータ
AUC0-12h(µg・h/mL)
Cmax(µg/mL)
ラコサミド(n=19)
ラコサミド+カルバマゼピン(n=19)
79.7±13.4
83.3±14.0
9.1±1.6
9.9±2.0
平均値±標準偏差
AUC0-12h:定常状態の投与間隔における血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:定常状態の最高血漿中濃度
b) カルバマゼピンの薬物動態への影響
健康成人男性 20 例をグループ 1 又は 2 に各 10 例無作為に割り付けた(2 例中止)。すべての被験者
にカルマバゼピンを第 1〜3 日目に 100mg を 1 日 2 回、第 4〜21 日目に 200mg を 1 日 2 回、第 22 日
目(朝)
に 200mg を 1 日 1 回経口投与した。ラコサミドはグループ 1 の被験者には第 7〜8 日目に 100mg
を 1 日 2 回、第 9〜13 日目に 200mg を 1 日 2 回、第 14 日目(朝)に 200mg を 1 日 1 回経口投与し、
グループ 2 の被験者には第 15〜16 日目に 100mg を 1 日 2 回、第 17〜21 日目に 200mg を 1 日 2 回、
第 22 日目(朝)に 200mg を 1 日 1 回経口投与し、薬物相互作用を検討した。カルバマゼピン(200mg/
回、1 日 2 回)の定常状態において、ラコサミド(200mg/回、1 日 2 回)を併用反復経口投与したとき、
カルバマゼピンの定常状態の AUC0-12h 及び Cmax の「カルバマゼピン+ラコサミド/カルバマゼピン」
の幾何平均の比の 90%信頼区間は生物学的同等性の基準範囲内であり、ラコサミドはカルバマゼピン
の定常状態の AUC0-12h 及び Cmax に影響を及ぼさなかった。
-37-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
カルバマゼピンの定常状態の薬物動態パラメータ(ラコサミド併用有無別)
定常状態の
薬物動態パラメータ
カルバマゼピン(n=18)
カルバマゼピン+ラコサミド(n=18)
63.4±19.4
59.8±12.8
5.6±1.7
5.5±1.2
AUC0-12h(µg・h/mL)
Cmax(µg/mL)
平均値±標準偏差
AUC0-12h:定常状態の投与間における血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:定常状態の最高血漿中濃度
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以
上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、
症状により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として
100mg 以下ずつ行うこと。」である。
② オメプラゾール(外国人データ)26)
外国人健康成人男性 34 例を 2 期クロスオーバー法によりグループ A 又は B に 17 例ずつ無作為に割り
付け、グループ A は第 1 及び 8 日目にオメプラゾール 40mg※を単回経口投与し、第 3 日目にラコサミ
ド 100mg、第 4 日目にラコサミド 200mg、第 5〜8 日目にラコサミド 300mg を 1 日 2 回 6 日間反復経
口投与し、グループ B は第 1 及び 8 日目にラコサミド 300mg を単回経口投与し、第 3〜9 日目にオメ
プラゾール 40mg※1 日 1 回 7 日間反復経口投与し、薬物相互作用を検討した。各投与期の間の休薬期
間を 7 日間以上とした。
ラコサミド(300mg)の単回経口投与において、弱い CYP2C19 阻害薬であるオメプラゾール(40mg/
回、1 日 1 回)を併用反復経口投与したとき、ラコサミドの AUC0-t 及び Cmax の「ラコサミド+オメプ
ラゾール/ラコサミド」の幾何平均の比の 90%信頼区間は生物学的同等性の基準範囲内であり、オメ
プラゾールはラコサミドの AUC0-t 及び Cmax に影響を及ぼさなかった。
※国内における用法・用量と異なる。
ラコサミドの薬物動態パラメータ(オメプラゾール併用有無別)
薬物動態パラメータ
ラコサミド(n=34)
ラコサミド+オメプラゾール(n=34)
AUC0-t(µg・h/mL)
122.9[20.5]
139.3[20.1]
Cmax(µg/mL)
7.366[19.8]
7.335[16.9]
幾何平均値[CV(%)]
AUC0-t:最終定量時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度
オメプラゾール(40mg/回)の単回経口投与において、ラコサミド(300mg/回、1 日 2 回)を併用反復
経口投与したとき、オメプラゾールの AUC0-t 及び Cmax の「オメプラゾール+ラコサミド/オメプラゾ
ール」の幾何平均の比の 90%信頼区間は生物学的同等性の基準範囲内であり、ラコサミドは CYP2C19
基質であるオメプラゾールの AUC0-t 及び Cmax に影響を及ぼさなかった。
オメプラゾールの薬物動態パラメータ(ラコサミド併用有無別)
薬物動態パラメータ
オメプラゾール(n=34)
オメプラゾール+ラコサミド(n=34)
AUC0-t(µg・h/mL)
1.027[102.7]
1.127[83.1]
Cmax(µg/mL)
0.586[71.4]
0.647[61.1]
幾何平均値[CV(%)]
AUC0-t:最終定量時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度
-38-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
③ ミダゾラム(外国人データ)27)
外国人健康成人男性 37 例を組み入れた(4 例中止)。第 1 期(投与期間 1 日)にミダゾラム 7.5mg を
単回投与※した。第 2 期(投与期間 14 日間)には第 1〜13 日目にラコサミド 200mg を 1 日 2 回(400mg/
日)反復投与し、第 14 日目(朝)に 200mg を投与した。第 1、4 及び 14 日目(朝)にはミダゾラム
7.5mg を単回投与し、薬物相互作用を検討した。第 1 及び 2 期の間の休薬期間は 3 日間以上とした。
CYP3A 基質であるミダゾラム(7.5mg)の単回経口投与において、ラコサミド(200mg/回、1 日 2 回)
を併用反復経口投与したとき、ラコサミドはミダゾラムの Cmax を 30%増加させたが、ミダゾラムの
AUC0-t の「ミダゾラム+ラコサミド/ミダゾラム」の幾何平均の比の 90%信頼区間は生物学的同等性
の基準範囲内であり、ラコサミドは AUC0-t に影響を及ぼさなかった。
※国内では注射剤のみ
ミダゾラムの薬物動態パラメータ(ラコサミド併用有無別)
ミダゾラムの投与日
第 1 期 第 1 日目
ミダゾラム
(n=33)
第 2 期 第 1 日目
ミダゾラム+
ラコサミド
(n=33)
第 2 期 第 4 日目
ミダゾラム+
ラコサミド
(n=33)
第 2 期 第 14 日目
ミダゾラム+
ラコサミド
(n=33)
AUC0-t(ng・h/mL)
94.066[51.1]
101.578[46.6]
98.365[52.3]
91.446[48.8]
Cmax(ng/mL)
33.863[60.6]
35.948[54.7]
39.660[68.3]
43.990[54.2]
薬物動態パラメータ
幾何平均値[CV(%)]
AUC0-t:最終定量時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以
上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、
症状により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として
100mg 以下ずつ行うこと。」である。
④ ワルファリン(外国人データ)28)
外国人健康成人男性 16 例を 2 期クロスオーバー法により 2 通りの投与順(A→B、B→A)に 8 例ずつ
無作為に割り付けた。投与法 A は第 1 日目にワルファリン 25mg を単回投与し、投与法 B はラコサミ
ド 200mg を第 1〜9 日目に 1 日 2 回経口投与し、第 3 日目にワルファリン 25mg を単回経口投与し、
薬物相互作用を検討した。各投与期の休薬期間を 2 週間以上(ワルファリンの投与間隔を 3 週間以上)
とした。S-ワルファリンが CYP2C9 基質であるワルファリン(25mg)の単回経口投与において、ラコ
サミド(200mg/回、1 日 2 回)を併用反復経口投与したとき、S 及び R-ワルファリンの AUC0-t 及び
Cmax の「ワルファリン+ラコサミド/ワルファリン」の幾何平均の比の 90%信頼区間は生物学的同等
性の基準範囲内であり、ラコサミドは S 及び R-ワルファリンの AUC0-t 及び Cmax に影響を及ぼさず、
また、プロトロンビン時間及びプロトロンビン時間の国際標準比(INR)の最大値及び AUC0-168h の「ワ
ルファリン+ラコサミド/ワルファリン」の幾何平均の比の 90%信頼区間は生物学的同等性の基準範
囲内であり、ラコサミドはプロトロンビン時間及びプロトロンビン時間の国際標準比(INR)の最大値
及び AUC0-168h に影響を及ぼさなかった。
-39-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
S-ワルファリン及び R-ワルファリンの薬物動態及び薬力学パラメータ(ラコサミド併用有無別)
ワルファリン(n=16)
ワルファリン+ラコサミド(n=16)
AUC0-t(µg・h/mL)
44.43[29.5]
43.14[30.5]
Cmax(µg/mL)
1.224[15.2]
1.204[16.7]
AUC0-t(µg・h/mL)
65.53[15.8]
67.78[17.2]
Cmax(µg/mL)
1.214[12.7]
1.184[13.8]
PTmax(s)
21.88[26.9]
22.58[22.6]
AUC0-168h(s・h)
2532[17.5]
2624[15.1]
INRmax
1.968[27.2]
2.031[22.8]
AUC0-168h(h)
226.9[17.7]
235.2[15.3]
薬物動態パラメータ
S-ワルファリン
R-ワルファリン
薬力学パラメータ
PT
INR
幾何平均値[CV(%)]
AUC0-t:最終定量時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積、AUC0-168h:投与後 168 時間までの血漿中濃度-時間曲
線下面積、Cmax:最高血漿中濃度、PTmax:測定された最長プロトロンビン時間、INRmax:測定されたプロトロン
ビン時間国際標準比の最高値
⑤ バルプロ酸(外国人データ)29)
a) ラコサミドの薬物動態への影響
外国人健康成人男性 16 例をグループ 1 又は 2 に 8 例ずつ無作為に割り付け、すべての被験者にラコサ
ミドを第 1〜21 日目に 200mg を 1 日 2 回、第 22 日目(朝)に 1 日 1 回経口投与した。グループ 1 の
被験者にはバルプロ酸を第 2〜4 日目に 150mg を 1 日 2 回、第 5〜13 日目に 300mg を 1 日 2 回、第
14 日目(朝)に 300mg を 1 日 1 回経口投与し、グループ 2 の被験者には第 10〜12 日目に 150mg を
1 日 2 回、第 13〜21 日目に 300mg を 1 日 2 回、第 22 日目(朝)に 300mg を 1 日 1 回経口投与し、
薬物相互作用を検討した。ラコサミド(200mg/回、1 日 2 回)の定常状態において、UDP-グルクロン
酸転移酵素(UGT)阻害薬であるバルプロ酸(300mg/回、1 日 2 回)を併用反復経口投与したとき、
ラコサミドの定常状態の AUC0-12h 及び Cmax の「ラコサミド+バルプロ酸/ラコサミド」の幾何平均の
比の 90%信頼区間は生物学的同等性の基準範囲内であり、バルプロ酸はラコサミドの定常状態の
AUC0-12h 及び Cmax に影響を及ぼさなかった。
ラコサミドの定常状態の薬物動態パラメータ(バルプロ酸併用有無別)
定常状態の
薬物動態パラメータ
ラコサミド(n=15)
ラコサミド+バルプロ酸(n=16)
82.7±13.9
82.9±13.8
9.5±1.3
9.7±1.2
AUC0-12h(µg・h/mL)
Cmax(µg/mL)
平均値±標準偏差
AUC0-12h:定常状態の投与間隔における血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:定常状態の最高血漿中濃度
b) バルプロ酸の薬物動態への影響
外国人健康成人男性 16 例をグループ 1 又は 2 に 8 例ずつ無作為に割り付け、すべての被験者にバルプ
ロ酸を第 1〜3 日目までに 150mg を 1 日 2 回、第 4〜16 日目に 300mg を 1 日 2 回、17 日目(朝)に
300mg を 1 日 1 回経口投与した。グループ 1 の被験者にはラコサミドを第 11 日目(夕)に 100mg を
-40-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1 日 1 回、第 12 日目に 100mg を 1 日 2 回、第 13〜16 日目に 200mg を 1 日 2 回、第 17 日目(朝)
に 200mg を 1 日 1 回経口投与し、グループ 2 の被験者にはラコサミドを第 5 日目(夕)に 100mg を
1 日 1 回、第 6 日目に 100mg を 1 日 2 回、第 7〜10 日目に 200mg を 1 日 2 回、第 11 日目(朝)に
200mg を 1 日 1 回経口投与し、薬物相互作用を検討した。バルプロ酸(300mg/回、1 日 2 回)の定常
状態において、ラコサミド(200mg/回、1 日 2 回)を併用反復経口投与したとき、バルプロ酸の定常
状態の AUC0-12h 及び Cmax の「バルプロ酸+ラコサミド/バルプロ酸」の幾何平均の比の 90%信頼区
間は生物学的同等性の基準範囲内であり、ラコサミドはバルプロ酸の定常状態の AUC0-12h 及び Cmax に
影響を及ぼさなかった。
バルプロ酸の定常状態の薬物動態パラメータ(ラコサミド併用有無別)
定常状態の
薬物動態パラメータ
バルプロ酸(n=16)
バルプロ酸+ラコサミド(n=16)
433.4±84.0
448.9±88.9
41.4±7.9
42.1±8.6
AUC0-12h(µg・h/mL)
Cmax(µg/mL)
平均値±標準偏差
AUC0-12h:定常状態の投与間隔における血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:定常状態の最高血漿中濃度
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以
上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、
症状により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として
100mg 以下ずつ行うこと。」である。
⑥ ジゴキシン(外国人データ)30)
外国人健康成人男性 23 例を 2 期クロスオーバー法により 2 通りの投与順(A→B 又は B→A)になるよ
うに 10 例ずつ無作為に割り付けた(3 例中止)。すべての被験者にジゴキシン 0.25mg を第 1 日目は 1
日 3 回、第 2〜21 日目までは 1 日 1 回経口投与した。この反復投与の期間中、投与法 A はラコサミド
200mg を 1 日 2 回 3.5 日間経口投与、投与法 B はプラセボを 1 日 2 回 3.5 日間経口投与とした。第 1
期では第 8〜10 日目に 1 日 2 回、第 11 日目(朝)に 1 日 1 回経口投与、第 2 期では第 18〜20 日目に
1 日 2 回、第 21 日目(朝)に 1 日 1 回経口投与し、薬物相互作用を検討した。第 12〜17 日目までの 6
日間をラコサミドの休薬期間とした。P-糖蛋白質の基質であるジゴキシン(0.25mg/回、1 日 1 回)の
定常状態において、ラコサミド(200mg/回、1 日 2 回)を併用反復経口投与したとき、ジゴキシンの
定常状態の AUC0-24h 及び Cmax の「ジゴキシン+ラコサミド/ジゴキシン」の幾何平均の比の 90%信
頼区間は生物学的同等性の基準範囲内であり、ラコサミドはジゴキシンの定常状態の AUC0-24h 及び
Cmax に影響を及ぼさなかった。
ジゴキシンの定常状態の薬物動態パラメータ(ラコサミド併用有無別)
定常状態の
薬物動態パラメータ
AUC0-24h(ng・h/mL)
Cmax(ng/mL)
ジゴキシン+ラコサミド
(n=20)
ジゴキシン+プラセボ
(n=20)
11.96[18.1]
11.68[22.2]
1.12[14.8]
1.07[23.8]
幾何平均値[CV(%)]
AUC0-24h:定常状態の投与後 24 時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:定常状態の最高血漿中濃度
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以
上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、
症状により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として
-41-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
100mg 以下ずつ行うこと。」である。
⑦ メトホルミン(外国人データ)31)
外国人健康成人男性 16 例をグループ 1 及び 2 に各 8 例無作為に割り付けた。グループ 1 の被験者には
ラコサミド 200mg を第 1 日目に単回経口投与、第 3~9 日目に 1 日 2 回反復経口投与、第 10 日目(朝)
に 1 日 1 回経口投与した。また、メトホルミン 500mg を第 7~13 日目に 1 日 3 回反復経口投与、第
14 日目(朝)に 1 日 1 回経口投与した。グループ 2 の被験者にはメトホルミン 500mg を第 1 日目に
単回経口投与、第 3~9 日目に 1 日 3 回反復経口投与、第 10 日目(朝)に 1 日 1 回経口投与した。ま
た、ラコサミド 200mg を第 7~13 日目に 1 日 2 回反復経口投与、第 14 日目(朝)に 1 日 1 回経口投
与した。ラコサミド(200mg/回、1 日 2 回)の定常状態において、有機カチオントランスポーター(OCT2)
の基質であるメトホルミン(500mg/回、1 日 3 回)を併用反復経口投与したとき、ラコサミドの定常
状態の AUC0-12h 及び Cmax の「ラコサミド+メトホルミン/メトホルミン」の幾何平均の比の 90%信
頼区間は生物学的同等性の基準範囲内であり、メトホルミンはラコサミドの定常状態の AUC0-12h 及び
Cmax に影響を及ぼさなかった。
メトホルミン(500mg/回、1 日 3 回)の定常状態において、ラコサミド(200mg/回、1 日 2 回)を併
用反復経口投与したとき、メトホルミンの定常状態の AUC0-6h 及び Cmax の「メトホルミン+ラコサミ
ド/メトホルミン」の幾何平均の比の 90%信頼区間は生物学的同等性の基準範囲内であり、ラコサミ
ドはメトホルミンの定常状態の AUC0-6h 及び Cmax に影響を及ぼさなかった。
ラコサミド及びメトホルミンの定常状態の薬物動態パラメータ(ラコサミド併用有無別)
定常状態の
薬物動態パラメータ
ラコサミド
メトホルミン
単独(n=8)
+メトホルミン(n=8)
単独(n=8)
+ラコサミド(n=8)
AUC0-12h or AUC0-6h
(µg・h/L)
76.69[20.81]
81.41[18.97]
4090[22.18]
4163[20.16]
Cmax(µg/L)
9.217[17.40]
9.965[14.12]
907.3[26.59]
920.7[22.02]
幾何平均値[CV(%)]
AUC0-12h or AUC0-6h:定常状態の投与間隔における血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:定常状態の最高血漿中濃度
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以
上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、
症状により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として
100mg 以下ずつ行うこと。」である。
⑧ 経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレルの合剤)(外国人データ)32)
外国人健康成人女性 40 例を組み入れた(9 例中止)。治験薬非投与のサイクル 1(第 1~28 日)に続
き、サイクル 2(第 1~28 日)及び 3(第 1~22 日)では第 1~21 日目に経口避妊薬(エチニルエスト
ラジオール 0.03mg 及びレボノルゲストレル 0.15mg)※を 1 日 1 回反復投与した。サイクル 3 では、第
3~11 日目にラコサミド 200mg を 1 日 2 回併用反復経口投与、第 12 日目にラコサミド 200mg を 1 回
経口投与した。経口避妊薬(エチニルエストラジオール 0.03mg 及びレボノルゲストレル 0.15mg、1 日
1 回)の 21 日間反復経口投与において、ラコサミド(200mg、1 日 2 回)を併用反復経口投与したと
き、ラコサミドは血清中プロゲステロン濃度を指標とする排卵抑制作用(血清中プロゲステロン濃度が
5.1nmol/L 未満であること)に影響を及ぼさず、エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレルの
定常状態の AUC0-24h の「経口避妊薬+ラコサミド/経口避妊薬」の幾何平均の比の 90%信頼区間は生
物学的同等性の基準範囲内であり、ラコサミドはエチニルエストラジオール及びレボノルゲストレルの
-42-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
定常状態の AUC0-24h に影響を及ぼさなかった。
※国内未承認
サイクルごとのプロゲステロン濃度(nmol/L)
サイクル 1
(第 21 日目)
(n=31)
サイクル 2
(第 21 日目)
(経口避妊薬、
n=31)
サイクル 3(第 21 日目)
(経口避妊薬+ラコサミド、
n=31)
サイクル 2 と
サイクル 3 の差
平均値±標準偏差
35.81±13.09
0.93±0.58
1.14±0.35
0.21±0.68
90%信頼区間
31.00-40.60
0.71-1.14
0.93-1.13
0.00-0.41
最小値
5.5
0.2
0.2
-1.3
最大値
57.0
2.3
2.3
1.6
中央値
38.78
0.92
1.18
0.13
エストラジオール及びレボノルゲストレルの定常状態の薬物動態パラメータ(ラコサミド併用有無別)
定常状態の
薬物動態パラメータ
サイクル 2
(経口避妊薬、n=36)a)
サイクル 3
(経口避妊薬+ラコサミド、
n=31)
エチニルエストラジオール
AUC0-24h(pg・h/mL)
1067±404
1173±330
Cmax(pg/mL)
116.9±48.8
135.7±28.6
74.2±21.4
80.9±18.5
6.7±1.9
7.4±1.5
レボノルゲストレル
AUC0-24h(ng・h/mL)
Cmax(ng/mL)
平均値±標準偏差
AUC0-24h:定常状態の投与後 24 時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:定常状態の最高血漿中濃度
a) 薬物動態解析対象 36 例
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以
上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、
症状により 1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として
100mg 以下ずつ行うこと。」である。
3) レトロスペクティブ解析
① 母集団薬物動態解析 33)
日本人及び外国人のてんかん患者から得られた血漿中ラコサミド濃度データを用いて、母集団薬物動態
解析を行った。その結果、CYP 誘導作用を有する抗てんかん薬であるカルバマゼピン、フェニトイン
又はフェノバルビタールの併用により、ラコサミドの定常状態の AUC は 25%減少した(「Ⅶ.1.(6)母
集団(ポピュレーション)解析により判明した薬物体内動態変動要因」参照)。
② 抗てんかん薬(外国人データ)
成人てんかん患者を対象としたプラセボ対照試験において、ラコサミドと抗てんかん薬(レベチラセタ
ム、カルバマゼピン、カルバマゼピンエポキシド、ラモトリギン、トピラマート、オクスカルバゼピン
の代謝物であるモノヒドロキシ体、フェニトイン、バルプロ酸、フェノバルビタール、ガバペンチン、
クロナゼパム、ゾニサミド)の血漿中濃度により、ラコサミドとこれら抗てんかん薬の薬物相互作用を
評価した。その結果、ラコサミドは他の併用薬の定常状態の血漿中濃度に影響を及ぼさなかった。
③ PR 間隔の延長
成人てんかん患者を対象とした日中共同第Ⅲ相試験及び外国で実施したプラセボ対照試験の部分集団
解析において、ラコサミドと PR 間隔の延長を起こすおそれのある抗てんかん薬(カルバマゼピン又は
-43-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
ラモトリギン)の併用投与による PR 間隔の更なる延長は認められなかった。
(6)母集団(ポピュレーション)解析により判明した薬物体内動態変動要因
第Ⅲ相試験(EP0008 試験、SP754 試験及び SP755 試験)においてアジア人(日本人、中国人)及び非アジ
ア人(白人、黒人、ヒスパニック系、その他)の部分発作を有するてんかん患者から得られた血漿中ラコサ
ミド濃度データ(906 例の被験者からの 4272 点、EP0008 試験から 1903 点、SP754 試験及び SP755 試験か
ら 2369 点)を用い、母集団薬物動態解析を実施した。
ラコサミドの見かけのクリアランス(CL/F)及び見かけの分布容積(Vz/F)に対する体重の影響を組み込ん
だ。共変量として年齢、性別、人種、地域、ベースライン時のクレアチニンクリアランス及び併用抗てんか
ん薬の影響を検討した。併用抗てんかん薬については、CYP 酵素に対する作用に基づき、酵素に対して影響
を及ぼさない薬剤(ガバペンチン、クロナゼパム、ゾニサミド、ラモトリギン、レベチラセタム等)、酵素
を誘導する薬剤(カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール等)及び酵素を阻害する薬剤(トピ
ラマート、バルプロ酸製剤、オクスカルバゼピン等)に分類した。酵素を誘導する薬剤と阻害する薬剤を併
用した場合は、別のカテゴリーに分類した。
共変量の検討から、CYP 誘導作用を有する抗てんかん薬(カルバマゼピン、フェニトイン又はフェノバルビ
タール)を少なくとも 1 剤併用した被験者のラコサミドの CL/F は、非併用の被験者に比べて 34%高く(定
常状態の AUC は 25%低く)、アジア人(日本人、中国人)のラコサミドの CL/F は非アジア人(白人、黒人、
ヒスパニック系、その他)に比べて 17%低い(定常状態の AUC は 21%高い)と推定された。
2. 薬物速度論的パラメータ
(1)解析方法
薬物動態の解析:ノンコンパートメントモデル
母集団薬物動態解析:1 次吸収過程及び 1 次消失過程を有する 1-コンパートメントモデル
(2)吸収速度定数
ka(hr-1)=1.74(母集団薬物動態解析による推定値)
(3)バイオアベイラビリティ
ラコサミドは経口投与後速やかに完全に吸収され、初回通過効果はごくわずかであり、経口バイオアベイラ
ビリティは約 100%と高く、食事の影響は受けない。
(4)消失速度定数
λz(hr-1)=0.0562(ラコサミド 200mg 単回経口投与時)
(5)クリアランス 34)
日本人健康成人 24 例にラコサミド 200mg を 30 分間で単回点滴静脈内投与したとき、全身クリアランス
(CL)
は 1.78L/h であり、
ラコサミド 200mg を単回経口投与したとき、
見かけの全身クリアランス
(CL/F)は 1.84L/h
であった。
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の間
隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状により
1 日 400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg 以下ずつ行
うこと。」である。
(6)分布容積 34)
日本人健康成人 24 例にラコサミド 200mg を 30 分間で単回点滴静脈内投与したとき、分布容積(Vd)は 31.1L
であり、ラコサミド 200mg を単回経口投与したとき、見かけの分布容積(Vd/F)は 32.8L であった。
-44-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
(7)血漿蛋白結合率
各被験者当たりラコサミド 50、100、150 及び 300mg を静脈内投与した被験者の血液を用い、選択的な限外
濾過法により ex vivo におけるヒト血漿蛋白結合率を検討したところ、血漿中ラコサミド濃度 0.7~5.5µg/mL
において、血漿蛋白結合率は 15%未満であったことから、ラコサミドの血漿蛋白結合率は低いことを確認し
た。
in vitro 試験
ヒト血漿を用い、[14C]-ラコサミドの血漿蛋白結合率を[14C]-ラコサミド 1.5~60µg/mL の濃度範囲で平衡透析
法によりで測定したところ、[14C]-ラコサミドの血漿蛋白結合率の全体平均値は 6.1%であった。[14C]-ラコサ
ミドの血球分配率の平均値は 54%であり、対応する血中-血漿中濃度比は 0.98 であった。本検討で、濃度依
存性の傾向は認められなかった。
3. 吸
収
健康成人 24 例にラコサミド 200mg を 30 及び 60 分間で単回点滴静脈内投与又は単回経口投与したとき、ラコ
サミドの AUC0-t 及び Cmax は同程度(幾何平均の比の 90%信頼区間は、いずれも生物学的同等性の基準[80~
125%]の範囲内)であった 34)。ラコサミド経口投与時の絶対バイオアベイラビリティはほぼ 100%であった 34)。
<参考:外国人データ>
白人健康成人男性を対象としたマスバランス試験では、5 例に[14C]-ラコサミド 100mg(40µCi)を経口投与し
たとき、投与した放射能の 94%が尿中から回収され、[14C]-ラコサミドはほぼ完全に吸収された 35)。
注)本剤の承認用法・用量は「通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の間隔
をあけて増量し、維持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状により 1 日
400mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg 以下ずつ行うこと。」
である。
4. 分
布
(1)血液-脳関門通過性
該当資料なし
<参考:ラットにおける脳への移行性>
雄 SD ラットに[14C]-ラコサミド 10mg/kg(5MBq/kg)を単回経口投与し、1.5、6 及び 24 時間の脳内の放射
能分布を測定したところ、脳の部位による放射能の分布差はほとんどなかった。脳中の放射能濃度は、全て
の測定時点において血漿中濃度より低く、脳全体として投与後 1.5、6 及び 24 時間の平均値はそれぞれ 3.10、
1.38 及び 0.26µg eq/g であり、血漿中濃度はそれぞれ 6.89、3.51 及び 0.38µg eq/g であった。
(2)血液-胎盤関門通過性
該当資料なし
<参考:ラットにおける胎盤通過性>
妊娠 18 日目又は分娩後 10 日の妊娠ラット又は親ラットに[14C]-ラコサミド 10mg/kg(6.5MBq/kg)を単回経
口投与し、ラット及び哺育児の組織分布を定量的全身オートラジオグラフィーにより測定した。放射能は母
体の組織に広く分布した。全ての組織で、最初の測定時点である投与後 4 時間に最高濃度を示した後、放射
能濃度はゆっくりと減少し、投与後 24 時間においても全ての組織で定量可能な放射能が検出された。胎児組
織中放射能濃度は対応する母体の組織中濃度と同程度であり、[14C]-ラコサミドに由来する放射能が容易に胎
盤関門を通過することが明らかとなった。
-45-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
(3)乳汁への移行性
該当資料なし
<参考:ラットにおける乳汁中排泄>
分娩後 10 日の雌 SD ラットに[14C]-ラコサミド 10mg/kg(6.5MBq/kg)を単回経口投与すると、放射能が乳
汁中に排泄された。血漿では、放射能濃度は投与後 1 時間に最高濃度 8.6µgeq/g に達した後、最終の測定時間
である 24 時間後には 0.34µgeq/g まで低下した。乳汁中濃度は、投与後 2 時間に最高濃度 7.9µgeq/g に達し
た後、24 時間後には 0.31µgeq/g まで低下した。平均乳汁/血漿比は、投与後 30 分の 0.7 から 8 時間後の 2.5
まで増加し、その後 24 時間には 0.9 に減少した。
[14C]-ラコサミドの単回経口投与後の放射能濃度-時間推移(ラット)
(4)髄液への移行性
該当資料なし
「Ⅶ.4.(1)血液-脳関門通過性」参照
(5)その他の組織への移行性
該当資料なし
<参考:マウス、ラット及びイヌにおけるその他の組織への移行性>
マウス、ラット及びイヌに[14C]-ラコサミドを単回経口投与したとき、放射能は組織全体に速やかに、広範に
分布し、特に肝臓及び腎臓等、代謝又は排泄に関わる臓器中濃度が最も高かった。それ以外の組織では、マ
ウスの涙腺及び歯髄、ラットの骨膜、食道壁、歯根膜、精嚢及び凝固腺、イヌの精巣上体でも組織内濃度が
高かったが、毒性試験において関連する有害な影響は認められなかった。
5. 代
謝
(1)代謝部位及び代謝経路
主として肝臓と考えられる。主要代謝物である O-脱メチル体(SPM12809)は、投与量の約 30%が尿中に排
泄される。臨床では、ラコサミドの O-脱メチル化には主に CYP2C19 が寄与し、CYP2C9 及び CYP3A4 につ
いても寄与すると考えられる。その他の代謝経路に寄与する代謝酵素は同定されていない。
1) 健康成人(外国人データ)35)
白人健康成人男性を対象としたマスバランス試験では、[14C]-ラコサミド 100mg(40µCi)の経口投与後の
血漿中に、ラコサミド(血漿中総放射能の約 70%)、主要代謝物 O-脱メチル体(血漿中総放射能の約 2%)
-46-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
及び微量の極性画分が検出された。[14C]-ラコサミド 100mg(40µCi)の静脈内投与では、血漿中には LCM
しか検出されなかった。
経口投与及び静脈内投与のいずれも、主要な尿中排泄物はラコサミド(投与量の約 30~40%)、O-脱メ
チル体(投与量の約 30%)及び極性画分(投与量の約 20%)であった。尿中には、その他の微量代謝物
(ラコサミドの p-ヒドロキシ体、O-脱メチル-p-ヒドロキシ体、O-脱メチル-m-ヒドロキシ体及び脱アセチ
ル体)についても、それぞれ投与量の 0.5~2%が検出された。また、SP619 試験では脱アセチル体
(SPM6912)の N-カルバモイル-O-ß-D-グルクロニドが同定された。尿検体について立体特異分析を行っ
た結果、ラコサミドのエナンチオマー間の相互変換は生じないことが示された。
ラコサミドの反復経口投与時の血漿中における O-脱メチル体の存在比は、未変化体の約 10~15%であっ
た。
肝機能低下者を対象とした試験において、肝臓がラコサミドの代謝に関与することが示唆された。
CYP2C19 の PM 及び EM を対象とした試験では PM で血漿中 O-脱メチル体濃度が低下したこと、並びに
CYP2C19 の基質薬及び阻害薬であるオメプラゾールとの臨床薬物相互作用試験では CYP2C19 阻害薬併
用時に血漿中 O-脱メチル体濃度が低下したことから、O-脱メチル体の生成には CYP2C19 が関与すること
が示唆された。
2) in vitro のデータ
in vitro 試験の結果、薬理学的に不活性な主代謝物である O-脱メチル体生成に主に寄与する CYP 分子種
は、CYP3A4、CYP2C9 及び CYP2C19 であった。ラコサミドの代謝に関与する他の代謝酵素は同定され
ていない。
3) ラコサミドの推定代謝経路(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ)35)
ラコサミドの推定代謝経路
-47-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
4) 代謝酵素阻害作用
<参考:in vitro のデータ>
ヒト肝細胞を用い、ヒト肝 CYP 酵素 CYP1A2、2A6、2C9、2C19、2D6、2E1 及び 3A4 に対するラコサ
ミド 100µmol/L(25µg/mL)及び主代謝物(O-脱メチル体)の阻害効果を評価したところ、ラコサミドは
CYP2C19 を阻害したが、その他のヒト肝細胞の CYP 分子種活性は阻害しなかった。主代謝物(O-脱メチ
ル体)は CYP2A6、2B6、2C8 及び 2E1 に対する阻害作用は示さなかった。
CYP2C19、3A4、3A5、2C9 及び 1A1 に対する I/Ki 比は 0.032~0.001 の範囲内であったことから※、ラ
コサミドが CYP2C19、3A4、3A5、2C9 又は 1A1 の基質となる薬物と併用された場合に、in vivo での薬
物相互作用の発生する可能性は低いと考えられる。
※ 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(平成 26 年 7 月 8 日厚生労働省
医薬食品局審査管理課事務連絡)では、可逆的阻害の場合、阻害定数(Ki)に対する阻害剤の最高治療濃度(I)の
比が 0.1 以下であれば、酵素阻害が関与するリスクは低く、臨床薬物相互作用試験の実施は不要とされている。
5) 代謝酵素誘導作用
<参考:in vitro のデータ>
CYP1A2 及び 3A4 に対するラコサミドの誘導作用についてヒト肝細胞を用い、ラコサミド濃度 50 及び
500µmol/L(それぞれ 12.5 及び 125µg/mL)で評価したところ、ラコサミドは両濃度共に CYP1A2 を誘
導しなかった。ラコサミドは低濃度では CYP3A4 を誘導しなかった。
(2)代謝に関与する酵素(CYP450 等)の分子種
1) ヒト肝ミクロソームを用いた検討
肝ミクロソームを用いてラコサミドの in vitro 代謝を検討したところ、ヒト肝ミクロソームではラコサミ
ドの代謝は認められなかった。ラコサミドの肝クリアランスにおける CYP による酸化的代謝の寄与は低
いことが示唆された。
2) ヒト肝細胞を用いた検討
ヒト肝細胞を用いて[14C]-ラコサミドの代謝を検討したところ、ヒト肝細胞の代謝活性は低かった。
ヒト肝細胞を用いた in vitro 試験で、2 種類の主要代謝物[O-脱メチル体(SPM12809)及び脱アセチル
体(SPM6912)]ならびに微量の極性画分が検出された。
3) ヒト肝及び腎ミクロソーム、ヒト血漿、並びに組換え CYP2C19 を用いた検討
ヒト肝及び腎ミクロソーム、ヒト血漿、並びに組換え CYP2C19 を用いて、[14C]-ラコサミドの代謝を検討
したところ、いずれの in vitro モデルも代謝を受けた[14C]-ラコサミドは 10%未満であった。組換え
CYP2C19 を用いた結果から、CYP2C19 はラコサミドの代謝に寄与することが示された。
4) ヒト肝ミクロソーム及び組換えヒト CYP 分子種に対する特定の阻害薬を用いた検討
ヒト肝ミクロソーム及び組換えヒト CYP 分子種に対する特定の阻害薬を用いて、ラコサミドの in vitro
代謝に寄与する CYP 分子種を検討したところ、O-脱メチル体の生成に関与する主要な CYP 分子種は、
CYP2C9、2C19 及び 3A4 であった。
(3)初回通過効果の有無及びその割合
「Ⅶ.2.(3)バイオアベイラビリティ」参照
(4)代謝物の活性の有無及び比率
<参考:外国人データ(健康成人)>35)
ラコサミドの反復経口投与時の血漿中における O-脱メチル体の存在比は、未変化体の約 10~15%であった。
ヒトの全身循環血中で検出可能なラコサミドの唯一の主要代謝物である O-脱メチル体に、薬理学的活性はな
い。
-48-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
(5)活性代謝物の速度論的パラメータ
該当資料なし
6. 排
泄
(1)排泄部位及び経路
尿中にラコサミドの未変化体として投与量の約 30~40%、代謝物として投与量の約 60%が排泄される。糞中
への排泄はわずかである。
(2)排泄率
<参考:外国人データ、単回投与時(経口及び点滴静注)>35)
[14C]-ラコサミド 100mg(40µCi)を単回経口投与及び 1 時間で単回点滴静脈内投与したとき、投与後 168 時
間までに、尿中に投与量の 94%及び 97%が排泄され、糞中への排泄は 0.5%未満であった。尿中へはラコサ
ミド(約 30~40%)、O-脱メチル体(約 30%)、極性画分(約 20%)及び他の微量な代謝物(0.5~2%)
として排泄された。
尿中への累積排泄率
累積放射能排泄率(投与量に対する割合)
時
間
経口投与
静脈内投与
尿(%)
糞(%)
尿(%)
糞(%)
0-4 時間
12.06
-
10.13
-
0-8 時間
23.46
-
20.26
-
0-12 時間
33.10
-
31.84
-
0-24 時間
56.69
0.15
52.92
0.05
0-48 時間
81.03
0.26
81.34
0.15
0-72 時間
89.46
0.31
90.74
0.23
0-96 時間
92.28
0.35
94.39
0.28
0-120 時間
93.43
0.37
95.87
0.30
0-144 時間
93.45
0.38
96.51
0.30
0-168 時間
94.19
0.38
96.82
0.30
平均値
-49-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
尿中代謝物の投与量に占める割合(%)
静脈内投与
(n=5)
経口投与
(n=5)
ラコサミド
37.6±5.5
33.6±5.6
O-脱メチル体
28.3±3.5
28.3±8.3
極性画分
19.2±2.5
17.2±3.7
平均値±標準偏差
(3)排泄速度
<参考:外国人データ(健康成人)>35)
外国人健康成人(5 例)に[14C]-ラコサミド 100mg を単回経口投与したとき、放射能の約 58%が投与後 24 時
間以内に回収された。
7. トランスポーターに関する情報
in vitro 試験より、Caco-2 細胞単層膜におけるラコサミドの透過性、P-糖蛋白(PGP)の関与、及びジゴキシ
ンの輸送に対する影響を検討したところ、ラコサミドは PGP の基質ではないことが示唆された。in vitro 試験
において Caco-2 細胞単層膜におけるジゴキシンの輸送に影響を与えなかった。
しかし、ラコサミドはヒト MDR1
(PGP)遺伝子を導入した形質転換細胞において、ヒト PGP の基質となることが示唆された
36)。Caco-2
細胞
単層膜におけるラコサミドの良好な膜透過性から、ラコサミドの膜透過には受動拡散が大きく関与し、PGP に
よる能動輸送の影響は低いことが示唆された。
8. 透析等による除去率
末期腎機能低下者では、ラコサミド及び O-脱メチル体の AUC0-t は 4 時間の血液透析により 50%低下したこと
から、ラコサミド及び O-脱メチル体はいずれも透析により除去することが可能である(「Ⅶ.1.(3) 4) 血液透析
を受けている末期腎機能障害患者の血漿中濃度(外国人データ)」参照)。
-50-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
VIII. 安全性(使用上の注意等)に関する項目
1. 警告内容とその理由
該当しない
2. 禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2. 重度の肝機能障害のある患者[使用経験がなく、ラコサミドの血中濃度が上昇するおそれがある。]
解説:1. 本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者に、本剤を投与した場合、再び過敏症状が発現する可
能性が高いと考えられるので、本剤の有効成分及び添加物に対し過敏症の既往歴のある患者には、本
剤の投与を避けること。
なお、有効成分ラコサミド以外の本剤の添加物については、「Ⅳ.2.製剤の組成」を参照のこと。
2. 臨床試験において重度肝機能障害のある患者での使用経験はなく、SP642 試験の結果から肝機能障害
を有する患者では本剤の血漿中未変化体の AUC が増加する可能性があることから設定した。重度の肝
機能障害の患者には、本剤の投与を避けること。
3. 効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由
該当しない
4. 用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由
「Ⅴ.2.用法及び用量」参照
5. 慎重投与内容とその理由
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) 重度腎機能障害のある患者又は末期腎機能障害のある患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬
物動態」の項参照)
(2) 肝機能障害のある患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)
(3) 心伝導障害や重度の心疾患(心筋梗塞又は心不全等)の既往のある患者、ナトリウムチャネル異常(ブル
ガダ症候群等)のある患者、PR 間隔の延長を起こすおそれのある薬剤を併用している患者(本剤の PR
間隔延長作用により房室ブロック等が発現するおそれがある。「重要な基本的注意」の項参照)
(4) 高齢者(「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照)
解説:(1) 本剤は投与量の約 30~40%が未変化体として腎排泄されるため、腎機能障害のある患者では、本剤の
排泄が遅延する可能性があるので、クレアチニンクリアランス値を参考に投与量、投与間隔を調節す
るなど、慎重に投与すること(「Ⅴ.2.≪用法・用量に関連する使用上の注意≫」参照)。
(2) SP642 試験の結果から、肝機能障害を有する患者では、本剤の血漿中未変化体の AUC が増加する可
能性があるので、慎重に投与すること(「Ⅴ.2.≪用法・用量に関連する使用上の注意≫」参照)。
(3) 海外の健康成人男性及び女性被験者を対象とした第Ⅰ相試験 11)(SP640 試験)において、ラコサミド
(400mg/日又は 800mg/日)の投与により用量依存的に PR 間隔の延長が認められたこと、及び米国
添付文書の記載に基づき設定した。心伝導障害や重度の心疾患の既往のある患者、ナトリウムチャネ
ル異常のある患者、あるいは PR 間隔の延長を起こすおそれのある薬剤を併用している患者では房室
-51-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
ブロック等が発現するおそれがあるので、慎重に投与すること。
(4) 本剤は投与量の約 30~40%が未変化体として腎排泄されるため、腎機能が低下している可能性がある
高齢者では本剤の排泄が遅延する可能性がある。外国人高齢被験者(ラコサミド群の平均年齢:高齢
男性 71.3 歳、高齢女性 69.7 歳)を対象とした海外臨床試験(SP620 試験)22,23) において、反復経口
投与後の体重で基準化した定常状態の AUC0-12h 及び Cmax は、若年男性に比べて高齢男性及び女性は
約 25%高い結果であった。高齢者は体液の減少に加え、腎機能が低下している可能性があるため、高
齢者には慎重に投与すること。
6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法
2. 重要な基本的注意
(1) 連用中における投与量の急激な減量ないし投与中止により、てんかん発作の増悪又はてんかん重積状態が
あらわれることがあるので、投与を中止する場合には、少なくとも 1 週間以上かけて徐々に減量するな
ど慎重に行うこと。
(2) 浮動性めまい、霧視、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与
中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
(3) PR 間隔の延長があらわれることがあるので、本剤の投与中は第二度以上の房室ブロック等に関連する症
状(頻脈、脈拍数減少、脈拍不整、頭部ふらふら感、失神、動悸、息切れ等)の発現に注意すること。本
剤の投与中にそのような症状があらわれた場合には、医師の診察を受けるよう患者及びその家族等に指導
すること。心伝導障害や重度の心疾患(心筋梗塞又は心不全等)の既往のある患者、ナトリウムチャネル
異常(ブルガダ症候群等)のある患者、PR 間隔の延長を起こすおそれのある薬剤を併用している患者等
では、本剤投与開始時及び本剤投与中は心電図検査を行うなど、患者の状態及び病態の変化を注意深く観
察すること。
(4) 易刺激性、興奮、攻撃性等の精神症状があらわれ、自殺企図に至ることもあるので、本剤投与中は患者の
状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
(5) 患者及びその家族等に攻撃性、自殺企図等の精神症状発現の可能性について十分説明を行い、医師と緊密
に連絡を取り合うよう指導すること。
(6) 複視、霧視等の眼障害が生じる可能性があるので、診察時に、眼障害について問診を行う等注意し、異常
が認められた場合には適切な処置を行うこと。(「その他の注意」の項参照)
解説:(1) 本剤を減量又は中止する際には、過敏症の発現等で安全性の観点から直ちに投与を中止しなければな
らない場合を除き、少なくとも 1 週間以上かけて徐々に減量するなど、慎重な対応を行うこと。
(2) 自動車の運転等、機械の操作能力への影響に関する試験は行われていないが、ラコサミドの承認時ま
での成人を対象とした日中国際共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験 9)及び EP0009 試験 10))において、副
作用として浮動性めまい 145/527 例(27.5%)、傾眠 55/527 例(10.4%)、頭痛 31/527 例(5.9%)、
霧視 27/527 例(5.1%)、複視 26/527 例(4.9%)が報告されている。本剤投与中には自動車の運転
等、危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
(3) 海外の健康成人男性及び女性被験者を対象とした第Ⅰ相試験 11)(SP640 試験)において、ラコサミド
(400mg/日又は 800mg/日)の投与により用量依存的に PR 間隔の延長が認められたこと、及び米国
添付文書の記載に基づき設定した。
本剤投与中に頻脈、脈拍数減少、脈拍不整、頭部ふらふら感、失神、動悸、息切れ等があらわれた場
合には十分注意するとともに、心伝導障害や重度の心疾患の既往のある患者、ナトリウムチャネル異
常のある患者、PR 間隔の延長を起こすおそれのある薬剤を併用している患者等では、本剤投与開始
時及び本剤投与中は心電図検査を行うなど、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。ま
-52-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
た、患者や家族に十分な説明を行い、患者の状態に変化が認められた場合には、家族から医師へ連絡
し適切な対応が取れるように配慮すること。
(4) 易刺激性、興奮、攻撃性等の精神症状を呈した患者が自殺企図に至る可能性があるので、患者の精神
症状の変化に留意し、このような症状があらわれた場合には適切な対応をすること。
(5) 重要な基本的注意(4)にて注意喚起している症状のうち、特に攻撃性、自殺企図について、患者や家族
に十分な説明を行い、患者の精神症状に変化が認められた場合には、家族から医師へ連絡し適切な対
応が取れるように配慮すること。
(6) 非臨床薬物動態試験において、ラットの水晶体に投与後 35 日目まで分布したこと、及び日中国際共
同第Ⅲ相試験(EP0008 試験及び EP0009 試験)において、霧視(5.1%)及び複視(4.9%)が多く
認められているので、問診を行うなど十分に注意し、このような症状があらわれた場合には適切な対
応をすること。
7. 相互作用
(1)併用禁忌とその理由
該当しない
(2)併用注意とその理由
該当しない
8. 副作用
(1)副作用の概要
3. 副作用
承認時までに日本及び中国で実施したプラセボ対照比較試験及びそれに続く長期継続投与試験における安
全性解析対象例 527 例(日本人 139 例を含む)のうち、313 例(59.4%)に副作用が認められた。主な副
作用は、浮動性めまい(27.5%)、傾眠(10.4%)、頭痛(5.9%)、嘔吐(5.9%)、悪心(5.5%)等で
あった。また、主な臨床検査値異常(副作用)は、白血球数減少(3.4%)であった。
解説: 日中国際共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験及び EP0009 試験)において、安全性が評価された 527 例中(日
本人 139 例を含む)、313 例(59.4%)に、臨床検査値の異常を含む副作用(治験薬との因果関係が否
定できない有害事象)が認められた。主な副作用は、浮動性めまい(27.5%)、傾眠(10.4%)、頭痛(5.9%)、
嘔吐(5.9%)、悪心(5.5%)等であった。
また、主な臨床検査値異常(副作用)は、白血球数減少(3.4%)であった。
-53-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
(2)重大な副作用と初期症状
3. 副作用
(1) 重大な副作用
1) 房室ブロック、徐脈、失神(1%未満)
本剤は PR 間隔の延長を起こすおそれがあり、房室ブロック、徐脈、失神があらわれることがあるので、
観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
2) 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症
候群)(頻度不明注))
観察を十分に行い、発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒、咽頭痛、眼充血、口内炎等の異常が認められ
た場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3) 薬剤性過敏症症候群 37)(頻度不明注))
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型
リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、この
ような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス
6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症
状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
4) 無顆粒球症(頻度不明注))
無顆粒球症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
注)外国の臨床試験成績及び市販後の自発報告に基づく記載のため頻度不明とした。
解説:1) 房室ブロック、徐脈、失神(1%未満)
日中国際共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験)では第二度以上の房室ブロックの副作用は報告されなかっ
たが、ラコサミド 400mg/日群において失神が 2 例、ラコサミド 200mg/日群において徐脈が 1 例報告
された。また、EP0008 試験に引き続き実施された長期継続投与試験(EP0009 試験)で第二度以上の
房室ブロック、失神、徐脈の副作用報告はなかった。しかしながら、企業中核データシート(CCDS:
Company Core Data Sheet)や海外での使用経験を考慮し、重大な副作用に房室ブロック、失神、徐
脈を設定した。
本剤の投与に際しては、臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、
適切な処置を行うこと。
2) 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症
候群)(頻度不明)
日中国際共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験及び EP0009 試験)、及び海外の部分発作を対象としたプラ
セボ対照試験において、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼
症候群(Stevens-Johnson 症候群)の副作用報告はなかった。しかしながら、CCDS の記載、海外で
の使用経験、事象の重篤性を勘案し、設定した。
本剤の投与に際しては、臨床症状の観察を十分に行い、発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒、咽頭痛、
眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3) 薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
日中国際共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験及び EP0009 試験)、及び海外の部分発作を対象としたプラ
セボ対照試験において、薬剤性過敏症症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)の
副作用報告はなかった。しかしながら、海外の市販後において、本剤との関連性が否定できない重度
の過敏症が報告され、CCDS には DRESS(Drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms)
-54-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
を本剤における副作用として記載していることから、重大な副作用に薬剤性過敏症症候群を設定した。
DIHS は、薬剤アレルギーとウイルス感染症の複合した病態であり、薬剤投与 2~6 週間後(多くは 4
~6 週間後)に遅発的に発症し、高熱と臓器障害を伴う重症の薬疹で、薬剤中止後も遷延化することが
ある。薬剤アレルギーの症状である発熱、発疹、肝機能障害が生じ、これに引き続きヒトヘルペスウ
イルス 6(HHV-6)等の再活性化による発熱、肝機能障害の再燃が認められる。
本剤投与 2~6 週間後に発疹、発熱等がみられた場合には、DIHS の可能性も考慮し肝機能検査値の異
常や異型リンパ球出現等、DIHS に特徴的な症状の発現に十分注意すること。異常が認められた場合
には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4) 無顆粒球症(頻度不明)
日中国際共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験及び EP0009 試験)、及び海外の部分発作を対象としたプラ
セボ対照試験において、無顆粒球症の副作用報告はなかった。しかしながら、CCDS の記載、海外で
の使用経験、事象の重篤性を勘案し、設定した。
本剤の投与に際しては、臨床症状の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
(3)その他の副作用
3. 副作用
(2) その他の副作用
次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
種類/頻度
3%以上
精神神経系
浮動性めまい、
頭痛、傾眠
眼
複視、霧視
血液
白血球数減少
消化器
悪心、嘔吐
1~3%未満
不眠症、記憶障害、 うつ病、平衡障害、 眼振、注意力障害、感覚鈍麻、
構語障害、協調運 幻覚、攻撃性、
錯感覚、錯乱状態、認知障害、
動異常、振戦
激越
精神病性障害、多幸気分
下痢
便秘、消化不良、
口内乾燥
循環器
肝臓
頻度不明注)
1%未満
放屁
心房粗動、心房細動
肝機能異常
代謝及び栄養
食欲減退
皮膚
そう痒症
免疫系
発疹、蕁麻疹
薬物過敏症
筋骨格系
感覚器
その他
血管浮腫
筋痙縮
回転性めまい、
耳鳴
歩行障害、無力症
疲労、易刺激性、
転倒、挫傷
酩酊感、裂傷
注)外国の臨床試験成績及び市販後の自発報告に基づく記載のため頻度不明とした。
解説: 日中国際共同第Ⅲ相試験(EP0008 試験及び EP0009 試験)で認められた副作用発現状況及び CCDS に
基づき記載した。なお、外国における他の臨床試験及び外国の市販後の自発報告における副作用を頻度
不明として記載した。
-55-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
(4)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧
承認時
調査症例数
副作用発現症例数
副作用発現症例率(%)
527
313
59.4
副作用等の種類
発現症例率(%)
感染症及び寄生虫症
胃腸炎
1 (0.2%)
歯肉炎
1 (0.2%)
インフルエンザ
1 (0.2%)
鼻咽頭炎
2 (0.4%)
肺炎
1 (0.2%)
上気道感染
5 (0.9%)
良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを
含む)
皮膚乳頭腫
1 (0.2%)
血液及びリンパ系障害
貧血
1 (0.2%)
白血球減少症
2 (0.4%)
リンパ球減少症
1 (0.2%)
血小板減少症
1 (0.2%)
免疫系障害
過敏症
1 (0.2%)
代謝及び栄養障害
高血糖
1 (0.2%)
低ナトリウム血症
3 (0.6%)
低リン酸血症
1 (0.2%)
食欲減退
12 (2.3%)
精神障害
攻撃性
2 (0.4%)
激越
1 (0.2%)
怒り
1 (0.2%)
抑うつ気分
1 (0.2%)
うつ病
2 (0.4%)
不快気分
2 (0.4%)
表出性言語障害
1 (0.2%)
恐怖
1 (0.2%)
幻視
1 (0.2%)
初期不眠症
1 (0.2%)
不眠症
6 (1.1%)
自殺念慮
2 (0.4%)
自殺企図
1 (0.2%)
白日夢
1 (0.2%)
てんかん精神病
2 (0.4%)
精神障害
1 (0.2%)
異常行動
1 (0.2%)
神経系障害
失語症
2 (0.4%)
運動失調
9 (1.7%)
脳出血
1 (0.2%)
脳梗塞
1 (0.2%)
痙攣
3 (0.6%)
協調運動異常
5 (0.9%)
浮動性めまい
145 (27.5%)
-56-
副作用等の種類
夢幻状態
構語障害
味覚異常
ジスキネジー
ジストニー
てんかん
頭部不快感
頭痛
過眠症
筋緊張低下
嗜眠
記憶障害
末梢性ニューロパチー
単純部分発作
傾眠
会話障害
てんかん重積状態
失神
振戦
平衡障害
二次性全般化を伴う部分発作
眼障害
眼瞼痙攣
複視
眼乾燥
眼痛
角膜炎
霧視
視力障害
耳及び迷路障害
難聴
耳鳴
回転性めまい
心臓障害
第一度房室ブロック
徐脈
左脚ブロック
心室内伝導障害
動悸
心室性期外収縮
血管障害
高血圧
起立性低血圧
蒼白
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
咳嗽
咽喉乾燥
鼻部不快感
発現症例率(%)
2 (0.4%)
6 (1.1%)
1 (0.2%)
1 (0.2%)
1 (0.2%)
3 (0.6%)
1 (0.2%)
31 (5.9%)
1 (0.2%)
2 (0.4%)
1 (0.2%)
9 (1.7%)
1 (0.2%)
4 (0.8%)
55 (10.4%)
2 (0.4%)
2 (0.4%)
2 (0.4%)
12 (2.3%)
3 (0.6%)
1 (0.2%)
4
26
1
1
1
27
2
(0.8%)
(4.9%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
(5.1%)
(0.4%)
1
6
7
(0.2%)
(1.1%)
(1.3%)
4
1
1
1
3
1
(0.8%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.6%)
(0.2%)
1
1
2
(0.2%)
(0.2%)
(0.4%)
1
1
1
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
副作用等の種類
口腔咽頭痛
胃腸障害
腹部膨満
腹痛
上腹部痛
便秘
下痢
口内乾燥
十二指腸炎
消化不良
胃潰瘍
胃炎
萎縮性胃炎
悪心
流涎過多
上部消化管出血
嘔吐
心窩部不快感
胃障害
逆流性胃炎
肝胆道系障害
肝機能異常
肝障害
肝損傷
薬物性肝障害
皮膚及び皮下組織障害
脱毛症
水疱
アレルギー性皮膚炎
薬疹
湿疹
紅斑
皮下出血
多汗症
そう痒症
発疹
蕁麻疹
全身性そう痒症
筋骨格系及び結合組織障害
関節痛
背部痛
筋力低下
筋骨格痛
四肢痛
運動性低下
腎及び尿路障害
排尿困難
遺尿
血尿
頻尿
蛋白尿
尿失禁
生殖系及び乳房障害
月経障害
発現症例率(%)
2 (0.4%)
1
6
5
4
8
2
1
3
1
3
1
29
1
1
31
1
1
1
(0.2%)
(1.1%)
(0.9%)
(0.8%)
(1.5%)
(0.4%)
(0.2%)
(0.6%)
(0.2%)
(0.6%)
(0.2%)
(5.5%)
(0.2%)
(0.2%)
(5.9%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
10
3
1
1
(1.9%)
(0.6%)
(0.2%)
(0.2%)
4
1
2
1
1
2
1
2
6
4
1
1
(0.8%)
(0.2%)
(0.4%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.4%)
(0.2%)
(0.4%)
(1.1%)
(0.8%)
(0.2%)
(0.2%)
1
1
7
1
2
1
(0.2%)
(0.2%)
(1.3%)
(0.2%)
(0.4%)
(0.2%)
1
1
1
1
1
1
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
1
(0.2%)
副作用等の種類
不規則月経
性器出血
勃起不全
一般・全身障害及び投与部位の状態
無力症
胸部不快感
不快感
疲労
異常感
歩行障害
易刺激性
局所腫脹
倦怠感
粘膜潰瘍
浮腫
末梢性浮腫
発熱
臨床検査
アラニンアミノトランスフェラーゼ異常
アラニンアミノトランスフェラーゼ増加
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ異常
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
血中重炭酸塩減少
血中カルシウム減少
血中クロール減少
血中ブドウ糖減少
血中ナトリウム減少
血中尿酸増加
好酸球数増加
γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加
肝機能検査異常
リンパ球数減少
リンパ球数増加
単球数減少
好中球数減少
好中球数増加
血小板数減少
尿蛋白
尿中赤血球陽性
体重減少
体重増加
白血球数減少
血中リン減少
尿中ビリルビン増加
尿中蛋白陽性
トランスアミナーゼ上昇
傷害、中毒及び処置合併症
転倒
挫傷
処置後出血
熱傷
四肢損傷
皮膚損傷
各種物質毒性
発現症例率(%)
1 (0.2%)
1 (0.2%)
1 (0.2%)
7
5
1
4
1
11
3
1
8
1
1
1
4
(1.3%)
(0.9%)
(0.2%)
(0.8%)
(0.2%)
(2.1%)
(0.6%)
(0.2%)
(1.5%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.8%)
1
4
1
8
1
2
1
1
1
4
2
8
3
1
1
2
6
1
7
1
2
3
3
18
1
1
5
3
(0.2%)
(0.8%)
(0.2%)
(1.5%)
(0.2%)
(0.4%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.8%)
(0.4%)
(1.5%)
(0.6%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.4%)
(1.1%)
(0.2%)
(1.3%)
(0.2%)
(0.4%)
(0.6%)
(0.6%)
(3.4%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.9%)
(0.6%)
2
2
1
1
1
1
2
(0.4%)
(0.4%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.2%)
(0.4%)
(MedDRA/J Ver.16.1)
(2016 年 7 月 ユーシービージャパン社内集計)
-57-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
(5)基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度
該当資料なし
(6)薬物アレルギーに対する注意及び試験法
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
3. 副作用
(1) 重大な副作用
2) 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症
候群)(頻度不明注))
観察を十分に行い、発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒、咽頭痛、眼充血、口内炎等の異常が認められ
た場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3) 薬剤性過敏症症候群 37)(頻度不明注))
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型
リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、この
ような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス
6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症
状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
注)外国の臨床試験成績及び市販後の自発報告に基づく記載のため頻度不明とした。
9. 高齢者への投与
4. 高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、注意して投与すること。(「慎重投与」、「薬物動態」
の項参照)
解説: 本剤は投与量の約 30~40%が未変化体として腎排泄されるため、高齢者では腎機能などが低下している
ことが多いことから、クレアチニンクリアランス値を参考に投与量、投与間隔を調節するなど慎重に投
与すること(「Ⅷ.5.慎重投与の内容とその理由」の解説(4)を参照)。
10.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
5. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ
投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。ラットにおいて胎児移行性が認められ
ている。]
(2) 授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが
報告されている。]
解説:(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人について
動物実験(ラット)で胎児への移行及び出生児の体重減少が認められている。CCDS を参考に記載し
た。
開発段階においては妊婦又は妊娠している可能性のある女性は投与対象から除外されているため、国
内での妊婦に対する使用経験は非常に少なく、妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。妊婦
又は妊娠している可能性のある女性に対しては、有効性と安全性を十分考慮の上、使用すること。
-58-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
(2) 授乳婦に投与する場合
動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められて、CCDS を参考に記載した。
授乳婦に投与する場合には授乳を避けるように指導すること。
11.小児等への投与
6. 小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[臨床試験において使用
経験はない。]
解説:小児等を対象とした臨床試験は実施しておらず、小児患者の安全性に関する情報は得られていない。
12.臨床検査結果に及ぼす影響
該当しない
13.過量投与
7. 過量投与
(1) 症状
過量投与(最大 12000mg)により認められた主な症状は、浮動性めまい、悪心、発作(全般性強直間代
発作、てんかん重積状態)、心伝導障害及び昏睡であった。また、ラコサミド 7000mg を一度に服用し
た例で死亡が報告されている。
(2) 処置
胃洗浄等の対症療法を行うこと。また、本剤は血液透析により除去可能であり、発現している症状の程度
に応じて血液透析の実施を考慮すること。(「薬物動態」の項参照)
解説: CCDS を参考に記載した。
過量投与の患者に対しては、胃洗浄などの対症療法を行い、本剤は血液透析により除去可能なため、発
現している症状の程度に応じて血液透析の実施を考慮すること。
14.適用上の注意
8. 適用上の注意
薬剤交付時:PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導すること。[PTP シートの
誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発す
ることが報告されている。]
解説: PTP 包装の薬剤に共通の注意事項。「PTP の誤飲対策について」(平成 8 年 3 月 27 日付日薬連発第 240
号)及び「PTP の誤飲対策について(改訂)」(平成 8 年 4 月 18 日付日薬連発第 304 号)に従い設定
した。
-59-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
15.その他の注意
9. その他の注意
(1) 海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした 199 のプラセボ対
照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラ
セボ群と比較して約 2 倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服
用群では、プラセボ群と比べ 1000 人あたり 1.9 人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、
てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ 1000 人あたり 2.4 人多いと計算されている。
(2) 非臨床薬物動態試験において、ラコサミドはラットの水晶体に投与後 35 日目まで分布したが、ラットの
26 週間及び 104 週間反復投与毒性試験で眼に異常は認められず、イヌの 52 週間反復投与毒性試験にお
いて水晶体の変化は認められなかった。複視、霧視等の眼に関する副作用の発現率はプラセボ群より高く、
16 週間投与の日中共同第Ⅲ相試験のプラセボ群では 1.6%に対し、本剤 200mg/日群で 4.9%、400mg/日
群で 12.2%、長期投与では 5.5%であり、海外第Ⅲ相試験(併合成績)のプラセボ群では 4.4%に対し、
本剤 200mg/日群で 8.9%、400mg/日群で 18.0%、600mg/日群で 30.5%であった。
(3) 欠神発作モデルである WAG/Rij ラット(3、10 及び 30mg/kg を腹腔内投与)及びストラスブール遺伝性
欠神てんかんラット(15.6 及び 31.2mg/kg を腹腔内投与)において、欠神発作の増悪が認められた。
解説:(1) 米国食品医薬品局(FDA)が行った解析で、抗てんかん薬のプラセボ対照比較試験において、抗てん
かん薬を服用している患者で自殺関連行為(自殺既遂、自殺企図、自殺準備)及び自殺念慮のリスク
が統計的に有意に増加することを示唆する結果が得られたことから、FDA より、抗てんかん薬による
自殺関連行為などを注意喚起する文書が 2008 年 1 月 31 日及び 2008 年 12 月 16 日に公表された。こ
れを受け、厚生労働省から発出された抗てんかん薬に対する使用上の注意の改訂指示(2009 年 7 月 3
日付厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡)をもとに記載した。
他の抗てんかん薬と同様に、本剤投与中にうつ又は自殺念慮などの異常が認められた場合には、すぐ
に主治医に連絡するよう指示するとともに、患者の行動の変化については十分な観察を行うこと。
≪FDA Alert(2008/12/16 付)の背景及びデータの概要(抜粋)≫
FDA は、抗てんかん薬による自殺行動(自殺既遂、自殺企図及び準備行動)や自殺念慮の発現につい
て調べるため、199 のプラセボ対照試験で得られたデータのレビューと解析を完了した。
これらの試験では、てんかん、精神疾患(双極性障害、うつ病、不安障害など)、その他の疾患(片
頭痛、神経障害性疼痛症候群など)の単剤療法及び補助療法として使用された 11 種の抗てんかん薬
の有効性が検討され、計 43,892 人(抗てんかん薬投与群 27,863 人、プラセボ群 16,029 人)の 5 歳
以上の患者が含まれていた。
いずれか 1 種の抗てんかん薬投与群に無作為割付された患者の自殺行動/念慮のリスクは、プラセボ
群の患者よりも 2 倍近く高かった〔調整済み相対リスク 1.8、95%CI[1.2~2.7]〕。自殺行動/念
慮の推定発生率は、プラセボ群(16,029 人)の 0.24%に対し、抗てんかん薬群(27,863 人)は 0.43%
であった。この自殺行動/念慮のリスク上昇は、抗てんかん薬による治療を受けている患者 530 人につ
き、自殺行動/念慮の症例が約 1 人増加することを示している。
自殺行動/念慮の相対リスクは、てんかん患者の臨床試験の方が精神疾患患者やその他の疾患患者の
臨床試験よりも高かった(下表参照)。自殺行動/念慮のリスク上昇は、抗てんかん薬による治療開
始から早くて 1 週後より認められ、試験の治療期間を通じて認められた。これらの試験における治療
期間の中央値は 12 週であった。ほとんどの試験が 24 週までに終了しているため、24 週を超えるリ
スクについては信頼性の高い評価が行えなかった。
抗てんかん薬群では患者 4 人が自殺したのに対し、プラセボ群では自殺した患者はいなかった。しか
-60-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
し、自殺した患者数が少なすぎるため、自殺に対する抗てんかん薬の影響については結論が得られな
かった。
適応症別の自殺傾向の絶対リスクと相対リスク*
臨床試験の適応症
1,000 人あたりの自殺傾向が認められた患者数
相対リスク
プラセボ群
抗てんかん薬群
リスク差
てんかん
1.0
3.4
2.4
3.5
精神疾患
5.7
8.5
2.9
1.5
その他の疾患
1.0
1.8
0.9
1.9
計
2.4
4.3
1.9
1.8
*:各数値は小数第 2 位で四捨五入している。
(2) 非臨床薬物動態試験において、ラットの水晶体に投与後 35 日目まで分布したこと、臨床試験におい
て、眼に関する副作用がプラセボ群より多く認められたことから記載した。
(3) 非臨床試験結果から本剤が欠神発作を増悪させる可能性は完全に否定できないことから記載した。
16.その他
該当しない
-61-
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
IX. 非臨床試験に関する項目
1. 薬理試験
(1)薬効薬理試験(「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」参照)
(2)副次的薬理試験
「Ⅵ.2.(2)薬効を裏付ける試験成績」の項参照
(3)安全性薬理試験
1) 中枢神経系に及ぼす影響(マウス、ラット)
マウスに対するラコサミド 10mg/kg の腹腔内投与で神経薬理学的症状は認められず、体温に対する影響も
認められなかった。マウス及びラットにおける Irwin の症状観察試験では、ラコサミド投与により、鎮静
(マウス及びラット:16mg/kg 以上腹腔内投与、ラット:64mg/kg 以上経口投与)、よろめき歩行(マウ
ス:8mg/kg 以上腹腔内投与、ラット:16mg/kg 以上腹腔内投与、ラット:64mg/kg 以上経口投与)及び
筋緊張の低下(マウス:16mg/kg 以上腹腔内投与、ラット:8mg/kg 以上腹腔内投与、ラット:16mg/kg
以上経口投与)がみられ、更に高用量では振戦(マウス:32mg/kg 腹腔内投与、ラット:64mg/kg 腹腔内
投与、256mg/kg 経口投与)及び体温低下(マウス及びラット:32mg/kg 以上腹腔内投与、ラット:256mg/kg
経口投与)等がみられた。ラットにおける経口投与による Irwin 試験では、25mg/kg 以上で自発運動の低
下、体部及び腹部の筋緊張の低下がみられた。
2) 心血管系に及ぼす影響(in vitro、ラット、イヌ、サル)
<in vitro>
単離したイヌのプルキンエ線維において、ラコサミドにより 90%活動電位持続時間(APD90)の有意な短
縮(APD90:50µmol/L で 15%)及び活動電位の立ち上がり速度(Vmax)の低下傾向(Vmax:50µmol/L で
9%)が認められた。イヌ又はモルモットの単離心室筋細胞においては、それぞれラコサミド 10 又は
50µmol/L で活動電位持続時間のわずかな短縮がみられた。
チャイニーズハムスター卵巣細胞に発現させた組換え Na+チャネルにより介在される Na+電流はラコサミ
ド 50µmol/L(12.5µg/mL)により約 10%阻害された。ヒト胎児腎臓細胞に発現させた組換え Na+チャネ
ルにおいても用量依存的な阻害作用[50%阻害濃度(IC50):293µmol/L]が認められたが、その阻害作
用は約 70%で横ばい状態となり不完全であった。
ヒト心房筋細胞では、過分極膜電位におけるラコサミドの Na+電流阻害は認められなかった。しかし、-
70mV まで脱分極した膜電位では、Na+電流の著しい用量依存的な減少が認められ、その IC50 は 67.5µmol/L
であり、5000µmol/L では完全な阻害が認められた。
ラコサミド 5000µmol/L によるヒト心房筋細胞の L 型 Ca2+電流の阻害はわずか(9.9%)で、500µmol/L
までの濃度でモルモット心室筋細胞の L 型 Ca2+電流に対する作用はみられず、hERG チャネルを介在する
K+電流に対しては 3000µmol/L の高濃度でごくわずかな阻害(7%)が認められた。
<ラット、イヌ、サル>
高血圧自然発症ラットでは、ラコサミド 100mg/kg の経口投与により血圧及び心拍数に対する作用は認め
られなかった。
麻酔イヌ(雌雄)では、ラコサミド 4mg/kg の静脈内投与により、最高血漿中濃度到達時間(Tmax)と考
えられるラコサミド静脈内投与 2~5 分後において、PR 間隔及び QRS 幅のそれぞれ 4~6%及び 8~11%
の延長を伴う持続性の短い血圧低下作用が認められ、心抑制作用と考えられた。
サルにおいてもラコサミド 30mg/kg の静脈内投与で、イヌと同様の心臓伝導及び血行動態パラメータに対
する作用が認められた。
-62-
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
3) 呼吸器系に及ぼす影響(ラット)
ラットにおける全身プレチスモグラフ法を用いた試験においてラコサミドの 75mg/kg までの経口投与で
は、呼吸器系に対する作用は認められなかった。ラットの経口投与による Irwin 試験(50mg/kg 以上)及
びラットの毒性試験(100mg/kg 以上)で呼吸困難がみられた。
4) 腎臓及び消化器系に及ぼす影響(ラット、イヌ、in vitro)
ラットにラコサミド 30mg/kg を経口投与したところ、投与後 6 時間までの尿量、Na+及び K+イオン排泄
に影響を示さなかった。ラット及びイヌの反復投与毒性試験では、尿量の増加及び尿成分の希釈がみられ
たが、これらの試験における動物の肉眼的及び病理組織学的検査では、関連性のある腎障害はみられなか
った。
ラコサミドの in vitro での消化管機能に対する作用をモルモットの摘出回腸標本を用いて検討したところ、
ラコサミドは 150µmol/L までの濃度で、アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミン及び塩化バリウムによ
る収縮に対する有意な作用は示さなかった。
ラットにおける in vivo 消化管輸送能の試験では、ラコサミド 1mg/kg の経口投与で消化管輸送距離の減少
(7%)がみられ、25、50 及び 75mg/kg では 27~28%の低下を示した。
(4)その他の薬理試験
該当資料なし
2. 毒性試験
(1)単回投与毒性試験(マウス、ラット、イヌ)
ラコサミドの単回経口投与毒性試験の結果、マウス及びラットにおけるおおよその LD50 値はそれぞれ 383 及
び 253mg/kg であった。高用量での一般状態の変化は、運動性低下、運動失調、腹臥位/側臥位、正向反射
の消失、筋緊張の低下、後肢脱力、振戦、けいれん、呼吸困難、努力性呼吸、散瞳等のような、中枢神経系
におけるラコサミドの過度の薬理作用と主に関連していた。
また、イヌの経口投与による最大耐量(MTD)試験より、概略の致死量は>40mg/kg であった。
(2)反復投与毒性試験(マウス、ラット、イヌ)
1) 13 週間投与(マウス)
マウスにラコサミド 30、60、120 及び 180mg/kg/日を 1 日 1 回、13 週間経口投与した。
180mg/kg/日群で 2 例が死亡した。120mg/kg/日以上の群で、一般状態の変化として中等度の運動失調、
運動性低下、無関心、側臥位又は腹臥位、振戦及び立毛が認められた。
無毒性量は雌雄で 60mg/kg/日であった。
2) 26 週間投与(ラット)
ラットにラコサミド 30、90 及び 180mg/kg/日を 1 日 1 回、26 週間経口投与した。
180mg/kg/日群で一般状態の変化として流涎の増加、運動性低下、無関心、腹臥位又は側臥位、被毛の粗
剛及び筋緊張亢進が認められた。また、180mg/kg/日群で血清コレステロールの増加、ALT 活性の上昇、
肝臓の体重比重量及び脳比重量の増加等が認められたが、剖検及び病理組織学的検査の結果には変化はみ
られず、AST、ALP 及び乳酸脱水素酵素(LDH)の各酵素にも変化は認められなかった。180mg/kg/日群
の雄で体重が 7%減少した。更に、摂餌量の減少が 180mg/kg/日群の雌に認められた。
血液学的検査、眼科学的検査、聴覚機能検査、剖検及び病理組織学的検査の結果にはラコサミド投与によ
る変化は認められなかった。
無毒性量は雌雄で 90mg/kg/日であった。
3) 52 週間投与(イヌ)
イヌにラコサミド 5、10 及び 20/25mg/kg/日(最初の 5 週間は 20mg/kg/日で投与したが、全身毒性が非常
に弱かったため、投与 6 週に 25mg/kg/日に増量した)をカプセルにより 1 日 1 回、52 週間経口投与した。
-63-
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
20/25mg/kg/日群では、20mg/kg/日を投与したときに、嘔吐、強直間代性けいれん、鎮静、運動失調、腹
臥位及び側臥位が認められた。10 及び 20/25mg/kg/日群の雌では投与 1 日の末梢動脈収縮期血圧は用量反
応的に有意に減少し、20/25mg/kg/日群の雌では投与 13 週までの間、有意な減少が認められた。一方、雄
では 20/25mg/kg/日までラコサミド投与に関連する血圧の変化はみられなかった。
体重又は体重増加量、摂餌量及び摂水量、眼科学的検査、聴覚機能検査、血液学的検査値、骨髄細胞性検
査、器官重量、剖検及び病理組織学的検査には雌雄ともラコサミドに関連した変化は認められなかった。
無毒性量は 10mg/kg/日であった。
(3)生殖発生毒性試験(ラット、ウサギ)
1) 受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験(ラット)
雌雄ラットにラコサミド 25、70 及び 200mg/kg/日の経口投与したところ、いずれの用量でも雄の生殖能
に影響は認められなかった。雌では剖検及び検査した生殖パラメータ(生殖能、着床数及び胎児異常)に
はラコサミドに関連した変化は認められなかった。交配前 14 日間における性周期の数及び生殖能にはラ
コサミドに関連した変化は認められなかった。交尾までの同居日数、交尾動物数、受胎率、交尾確認動物
数及び妊娠動物数/交配動物数に有意差又は毒性学的な意義ある変化は認められなかった。受胎能の無毒
性量は雌雄とも 200mg/kg/日であった。
2) 胚・胎児発生に関する試験(ラット、ウサギ)
雌ラットにラコサミド 25、70 及び 200mg/kg/日を経口投与したところ、帝王切開時の所見及び同腹児パラ
メータにはラコサミドに関連する変化はみられなかった。胎児の外表奇形、内臓異常、骨格奇形及び骨格変
異にはラコサミドに関連する影響はみられなかった。
胚・胎児発生の無毒性量は 200mg/kg/日であった。
ウサギにラコサミド 6.25、12.5 及び 25mg/kg/日を経口投与したところ、25mg/kg/日群で一般状態の変化
として、後肢の動き制限及びラッセル音がみられた母体数の有意な増加、運動失調及び伸筋の強直性けい
れんが単発性に認められた。胎児において、ラコサミドに関連する外表奇形、内臓異常、骨格奇形又は骨
格変異はみられず、胚・胎児発生に関する無毒性量は 25mg/kg/日であった。
3) 出生前及び出生後の発生並びに母動物の機能に関する試験(ラット)
ラットにラコサミド 50、100 及び 200mg/kg/日を 1 日 2 回に分けて経口投与したところ、100 及び
200mg/kg/日群で母体の一般状態の変化(200mg/kg/日群の動物でみられた主な所見は虚脱、円背、後肢
の開脚、歩く際の揺れ、強い揺れ及びふらつき、後肢の動き制限、体の引きずり、体の蒼白化、体温低下、
鼻あるいは口周囲の赤色あるいは透明物質の付着及び散瞳)、体重、体重増加量及び摂餌量の減少が認め
られた。
出生児では、200mg/kg/日群で出生後生存率の減少及び児動物体重の減少が認められた。
出生児において、高感度な検査(脳重量、脳の剖検及び病理組織学的検査における評価)の結果、脳の構
造には変化がみられず、その他の器官の剖検及び病理組織学的検査の結果にもラコサミドに関連した変化
は認められず、出生児の発育又は一般毒性に関する無毒性量は 100mg/kg/日であった。
4) 幼若動物に対する試験(ラット、イヌ)
幼若ラットにラコサミド 30、90 及び 180mg/kg/日を経口投与したところ、180mg/kg/日群の雌のみで、体
重減少及び全身的な身体発育遅延に関連する二次的な変化とした脳の実重量の減少(9%)がみられた。
幼若ラット(12 週齢時の評価)の無毒性量は 90mg/kg/日であった。
幼若イヌにラコサミド 3、10、25/30/35 及び 50/60/70mg/kg/日を経口投与したところ、25/30/35 又は
50/60/70mg/kg/日の投与により、主な一般状態の変化(高頻度)として、強直性けいれん、嘔吐、側臥位、
歯肉蒼白、流涎、失調歩行、振戦、頭部反転動作、脱糞、排尿及び異常発声が認められた。体重、体重増
加量、摂水量、摂餌量、心電図検査、血液学的検査値、血液生化学的検査値、尿検査値、眼科学的検査、
剖検、器官重量、成長関連パラメータ、骨評価及び病理組織学的検査の結果にはラコサミドに関連した変
-64-
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
化は認められなかった。一般毒性に関する無毒性量は 10mg/kg/日で、発達パラメータ(神経発達パラメー
タを含む)に関する無毒性量は 50/60/70mg/kg/日であった。
(4)その他の特殊毒性
1) 遺伝毒性(in vitro、マウス、ラット)
ラコサミドは細菌を用いた復帰突然変異試験、マウス小核試験及びラット不定期 DNA 合成試験では陰性
であった。マウスリンフォーマ試験では現在推奨されている最大量を大きく上回る 2000µg/mL 以上の過
剰な濃度において、代謝活性化系存在下の培養では弱い陽性反応が認められた。
2) がん原性(マウス、ラット)
マウス及びラットにおいてラコサミド最大耐量までの用量を 1 日 1 回 2 年間経口投与したところ、生存率
に影響がみられず、病理組織学的検査では、腫瘍性又は非腫瘍性病変の増加は認められなかった。
3) 局所刺激性試験(ウサギ)
ウサギの右眼の結膜嚢に固形のラコサミド(100mg/animal)を単回投与(局所投与)した結果、角膜混濁、
虹彩の刺激及び結膜の発赤が、グレード 1 で観察された。
ラコサミド 500mg を剃毛/脱毛したウサギの背部皮膚へのパッチテストの結果、皮膚刺激性は認められなか
った。ウサギにラコサミドを 30 分間の静脈内投与(1.0mL/kg=20mg/kg:総投与液量=総投与量)、単回筋肉
内投与(0.5mL/animal=10mg/animal、急速投与)及び皮下投与(2.0mL/animal=40mg/animal、急速投与)、
30 分 間 の 動 脈 内 投 与 ( 1.0mL/kg=20mg/kg : 総 投 与 液 量 = 総 投 与 量 ) 及 び 単 回 静 脈 傍 投 与
(2.0mL/animal=40mg/animal、急速投与)した結果、いずれにおいても肉眼的所見は認められなかった。
病理組織学的検査の結果では、30 分間の静脈内投与及び動脈内投与後にはラコサミドに関連した変化はみ
られなかったが、筋肉内投与、静脈傍投与及び皮下投与では、ごく軽度〜軽度の炎症、出血又は壊死性反
応が認められた。
4) 抗原性(モルモット)
モルモットを用いた Magnusson 及び Kligman 試験において、ラコサミドの皮膚感作性は認められなかっ
た。
5) 免疫毒性(マウス、ラット、イヌ)
マウス、ラット及びイヌの反復投与毒性試験において関連器官に免疫毒性を示唆する変化はみられず、
マウスを用いた 28 日間投与試験の結果、IgM 及び IgG プラーク数は溶媒対照群と比較してラコサミド投
与に関連した変化はみられず、ラコサミドの免疫毒性は認められなかった。
6) 依存性(ラット、イヌ)
ラコサミドと生理食塩液との薬物弁別として、レバー押しの二者択一を学習させたラットでは、ラコサミ
ドの般化は明確ではなかった。比較物質としてジアゼパム、フェノバルビタール、モルヒネ、フェンサイ
クリジンといった乱用の可能性が知られる薬物を投与後、ラコサミドの般化テストを行った結果、それら
のいずれにも用量依存性及び一貫性ある般化は認められなかった。
ラットを用いた場所嗜好性試験又は静脈内薬物自己投与試験でも強化効果を示さなかった。
ラット及びイヌの反復経口投与毒性試験の事後分析を実施し、長期投与後のラコサミドの薬理作用に耐性
はみられず、休薬後の精神又は身体的依存を示す症状は認められなかった。
7) 光毒性
光毒性試験は実施していない。ラコサミド及びその主要代謝物である O-脱メチル体(SPM12809)は、290
~700nm における UV-B、UV-A 及び可視光に吸収を持たなかった。
-65-
Ⅹ.管理的事項に関する項目
X. 管理的事項に関する項目
1. 規制区分
製
剤: 劇薬
処方箋医薬品:注意-医師等の処方箋により使用すること
有効成分: 劇薬
2. 有効期間又は使用期限
使用期限:3 年(安定性試験結果に基づく;包装に表示の使用期限内に使用すること)
3. 貯法・保存条件
室温保存
4. 薬剤取扱い上の注意点
(1)薬局での取扱い上の留意点について
該当しない
(2)薬剤交付時の取扱いについて(患者等に留意すべき必須事項等)
「Ⅷ.6.重要な基本的注意とその理由及び処置法」及び「Ⅷ.14.適用上の注意」参照
患者向け医薬品ガイド:作成予定、くすりのしおり:作成予定(日本語、英語)
(3)調剤時の留意点について
該当しない
5. 承認条件等
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
6. 包
装
ビムパット錠 50mg
:[PTP] 100 錠(10 錠×10)
500 錠(10 錠×50)
ビムパット錠 100mg :[PTP] 100 錠(10 錠×10)
500 錠(10 錠×50)
7. 容器の材質
PTP シート:ポリ塩化ビニル/ポリ塩化ビニリデン及びアルミニウム箔
8. 同一成分・同効薬
同一成分: なし
同 効 薬: レベチラセタム、ラモトリギン、トピラマート、ガバペンチン、クロバザム、ゾニサミド、
フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム及びカルバマゼピン
-66-
Ⅹ.管理的事項に関する項目
9. 国際誕生年月日
2008 年 8 月 29 日(欧州)
10.製造販売承認年月日及び承認番号
製造販売承認年月日
ビムパット錠 50mg :2016 年 7 月 4 日
ビムパット錠 100mg :2016 年 7 月 4 日
ビムパット錠 50mg :22800AMX00432
承認番号
ビムパット錠 100mg :22800AMX00433
11.薬価基準収載年月日
薬価基準未収載
12.効能又は効果追加、用法及び用量変更追加等の年月日及びその内容
該当しない
13.再審査結果、再評価結果公表年月日及びその内容
該当しない
14.再審査期間
8 年(2016 年 7 月 4 日~2024 年 7 月 3 日)
15.投薬期間制限医薬品に関する情報
16.各種コード
販売名
HOT(13 桁)番号
厚生労働省薬価基準
収載医薬品コード
ビムパット錠 50mg
ビムパット錠 100mg
17.保険給付上の注意
該当しない
-67-
レセプト電算コード
ⅩⅠ.文
XI. 文
献
献
1. 引用文献
1) Perucca E.:Baillière’s Clin Neurol 1996;5(4):693-722
2) Kwan P, et al.:N Engl J Med 2000;342(5):314-319
3) Errington AC, et al.:Mol Pharmacol 2008;73(1):157-169
4) Panayiotopoulos CP.:A clinical guide to epileptic syndromes and their treatment based on the ILAE
classifications and practice parameter guidelines. (revised. 2nd ed.). P. 487-488, Springer, 2010
5) 厚生労働省:平成 24 年 4 月 6 日医政研発 0406 第 1 号 薬食審査発 0406 第 1 号 未承認薬・適応外薬の開発
の要請について. 2012
6) 岡垣 琢也 他:薬理と治療 2015;43(9):1307-1316
7) 社内資料:外国人腎機能低下者におけるラコサミドの薬物動態
8) 社内資料:外国人肝機能低下者におけるラコサミドの薬物動態
9) 社内資料:日本及び中国における部分発作併用療法のプラセボ対照比較試験
10) 社内資料:日本及び中国における部分発作併用療法の長期継続投与試験
11) Kropeit D, et al.:Acta Neurol Scand 2015;132(5):346-354
12) Vilin YY, et al.:Cell Biochem Biophys 2001;35(2):171-190
13) Beyreuther BK, et al.:CNS Drug Rev 2007;13(1):21-42
14) Rogawski MA, et al.:Epilepsy Res 2015;110:189-205
15) Fleidervish IA, et al.:J Physiol 1996;493(Pt1):83-97
16) Niespodziany I, et al.:J Neurosci Res 2013;91(3):436-443
17) 社内資料:Effects of lacosamide on fully-kindled seizures in the mouse amygdala kindling model
18) 社内資料:The early evaluation of anticonvulsant drugs
19) Brandt C, et al.:Epilepsia 2006;47(11):1803-1809
20) 社内資料:外国人健康成人におけるラコサミド反復投与時の薬物動態
21) Cawello W, et al.:Clin Pharmacokinet 2013;52(10):897-906
22) 社内資料:外国人健康高齢者におけるラコサミドの薬物動態
23) Schaefer C, et al.:Clin Drug Investig 2015;35(4):255-265
24) 社内資料:外国人健康成人におけるラコサミドの薬物動態に及ぼす食事の影響
25) Cawello W, et al.:J Clin Pharmacol 2010;50(4):459-471
26) Cawello W, et al.:Clin Drug Investig 2014;34(5):317-325
27) 社内資料:ミダゾラムとの薬物相互作用
28) Stockis A, et al.:Epilepsia 2013;54(7):1161-1166
29) Cawello W, et al.:J Clin Pharmacol 2012;52(11):1739-1748
30) Cawello W, et al.:Clin Drug Investig 2014;34(5):327-334
31) 社内資料:メトホルミンとの薬物相互作用
32) Cawello W, et al.:Epilepsia 2013;54(3):530-536
33) 社内資料:ラコサミドに関する母集団薬物動態解析
34) 社内資料:日本人健康成人におけるラコサミド錠及び注射剤の単回投与時の比較
35) Cawello W, et al.:Eur J Drug Metab Pharmacokinet 2012;37(4):241-248
36) Zhang C, et al.:Epilepsia 2013;54(7):1154-1160
-68-
ⅩⅠ.文
37) 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性過敏症症候群
2. その他の参考文献
-69-
献
ⅩⅡ.参考資料
XII. 参考資料
1. 主な外国での発売状況
ラコサミドの経口製剤は、欧州連合では 2008 年 8 月、米国では同年 10 月に承認され、これらを含むを世界 70
以上の国及び地域で「成人てんかん患者の部分発作に対する併用療法」を適応として承認されている(販売名:
Vimpat、VIMPAT)。なお米国では、2014 年 8 月に部分発作に対する単剤療法での適応も承認されている。ま
た、ラコサミドの剤形及び含量規格は、フィルムコート錠(50mg、100mg、150mg 及び 200mg 錠)、内服液
(10mg/mL)、点滴静注液(200mg/20mL)があり、承認されている剤形及び含量規格は国ごとに異なる。
ラコサミド経口製剤 承認国一覧(総承認国数:71 ヵ国、2016 年 1 月現在)
国又は地域
承認年月
国又は地域
承認年月
アルゼンチン
2009/12
カザフスタン
2011/6
オーストラリア
2009/7
レバノン
2014/2
アゼルバイジャン
2010/8
マカオ
2013/1
ブラジル
2014/2
マレーシア
2012/5
カナダ
2010/10
メキシコ
2010/9
チリ
2011/9
モルドバ共和国
2010/11
コロンビア
2010/7
モロッコ
2014/2
コスタリカ
2014/1
ニュージーランド
2009/9
ドミニカ共和国
2013/9
パナマ
2014/4
エクアドル
2012/9
フィリピン
2013/10
エルサルバドル
2014/10
ロシア連邦
2009/11
2008/8
シンガポール
2014/11
ジョージア
2010/12
大韓民国
2010/8
グアテマラ
2014/10
スイス
2009/8
2014/9
台湾
2014/3
香港
2012/3
タイ
2013/10
イスラエル
2013/1
トルコ
2012/10
ジャマイカ
2015/1
ウクライナ
2010/7
ヨルダン
2014/10
米国
2008/10
イエメン
2014/9
欧州連合
a)
湾岸協力理事会
b)
a) EU に含まれる承認国(2016 年 1 月現在):アイルランド、イタリア、英国、エストニア、オーストリア、オランダ、キ
プロス、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハ
ンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、
ルーマニア、ルクセンブルクの計 28 ヵ国。
b) アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア。
-70-
ⅩⅡ.参考資料
欧州連合及び米国における発売状況(2016 年 1 月現在)
欧州連合
米国
会社名
UCB Pharma SA
UCB, Inc.
販売名
Vimpat
VIMPAT
2014 年 10 月
2015 年 6 月
フィルムコート錠
フィルムコート錠
添文改訂年月
剤形・含量
(初回承認年
50mg 錠
50mg 錠
月)
100mg 錠
100mg 錠
150mg 錠
150mg 錠
200mg 錠
200mg 錠
(2008 年 8 月)
(2008 年 10 月)
10mg/mL 内服液(2008 年 8 月)
10mg/mL 内服液(2010 年 4 月)
点滴静注液 b) 200mg/20mL(2008 年 8 月)
点滴静注液 b) 200mg/20mL(2008 年 10 月)
成人及び青年(16~18 歳)のてんかん患者
17 歳以上のてんかん患者における部分発作の
における部分発作(二次性全般化発作の有無
単剤療法及び併用療法
効能・効果
を問わない)の併用療法
用法・用量
100mg/日から投与開始し
a)、1
週間後に初
単剤療法
期臨床用量の 200mg/日に増量する。個々の
200mg/日から投与開始し a)、個々の患者の本剤
患者の本剤に対する反応と忍容性に基づい
に対する反応と忍容性に基づいて、推奨維持用
て、400mg/日まで増量可。
量 300~400mg/日まで増量。
併用療法
100mg/日から投与開始し a)、個々の患者の本剤
に対する反応と忍容性に基づいて、推奨維持用
量 200~400mg/日まで増量。
a) 初回負荷用量として 200mg を 1 回投与し、約 12 時間後から 100mg1 日 2 回(200mg/日)で投与することも可能。
b) 点滴静注液は、経口投与が困難な場合に短期的に代替薬として使用される。投与方法は、「経口投与と同じ用法・用量で
15~60 分間かけて静脈内へ注入すること」とされている。
なお本邦における効能又は効果、用法及び用量は以下の通りである。
【効能又は効果】
他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗
てんかん薬との併用療法
【用法及び用量】
通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100mg より投与を開始し、その後 1 週間以上の間隔をあけて増量し、維
持用量を 1 日 200mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。なお、症状により 1 日 400mg を超
えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100mg 以下ずつ行うこと。
≪用法・用量に関連する使用上の注意≫
1. 本剤は他の抗てんかん薬と併用して使用すること。[臨床試験において、日本人に対する本剤単独投与での
使用経験はない。]
2. クレアチニンクリアランスが 30mL/min 以下の重度及び末期腎機能障害のある患者には、1 日最高用量を
300mg とするなど慎重に投与すること。また、血液透析を受けている患者では、1 日用量に加えて、血液透
析後に最大で 1 回用量の半量の追加投与を考慮すること。(「慎重投与」、「薬物動態」の項参照)
-71-
ⅩⅡ.参考資料
3. 軽度又は中等度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh 分類 A 及び B)には、1 日最高用量を 300mg とする
など慎重に投与すること。(「慎重投与」、「薬物動態」の項参照)
2. 海外における臨床支援情報
妊婦に関する海外情報(FDA 分類、オーストラリア分類)
本邦における使用上の注意「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項の記載は以下の通りであり、米 FDA 分類や
豪 ADEC 分類とは異なる。
【使用上の注意】「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」
(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与
すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。ラットにおいて胎児移行性が認められている。]
(2) 授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが
報告されている。]
分 類
参考:分類の概要
Animal reproduction studies have shown an
adverse effect on the fetus and there are no
adequate and well-controlled studies in
humans, but potential benefits may warrant
use of the drug in pregnant women despite
potential risks.
FDA:Pregnancy
Category
C
(VIMPAT-lacosamide tablet, film
coated: VIMPAT lacosamide:
VIMPAT-lacosamide injection:
VIMPAT-lacosamide solution,
UCB INC., 2015 年 6 月)
オーストラリアの
分類基準
B3
Drugs which have been taken by only a
[VIMPAT(lacosamide)film- coated
limited number of pregnant women and
tablets, UCB Pharma: 2015 年 6 月] women of childbearing age, without an
increase in the frequency of malformation or
other direct or indirect harmful effects on the
human fetus having been observed.
Studies in animals have shown evidence of
an increased occurrence of fetal damage, the
significance of which is considered uncertain
in humans.
妊婦、産婦、授乳婦等に関する記載
出典
記載内容
英国の SPC
(Vimpat 50 mg, 100 mg,
150 mg & 200 mg
film-coated tablets,
10 mg/ml syrup and
10 mg/ml solution for
infusion, UCB Pharma
Limited, 2014 年 10 月)
4. Clinical particulars
4.6 Fertility, pregnancy and lactation
Pregnancy
Risk related to epilepsy and antiepileptic medicinal products in general
For all anti-epileptic drugs, it has been shown that in the offspring of women
treated with epilepsy, the prevalence of malformations is two to three times
greater than the rate of approximately 3% in the general population. In the
treated population, an increase in malformations has been noted with
polytherapy, however, the extent to which the treatment and/or the illness is
responsible has not been elucidated.
-72-
ⅩⅡ.参考資料
Moreover, effective anti-epileptic therapy must not be interrupted, since the
aggravation of the illness is detrimental to both the mother and the foetus.
Risk related to lacosamide
There are no adequate data from the use of lacosamide in pregnant women.
Studies in animals did not indicate any teratogenic effects in rats or rabbits,
but embryotoxicity was observed in rats and rabbits at maternal toxic doses
(see section 5.3). The potential risk for humans is unknown.
Lacosamide should not be used during pregnancy unless clearly necessary (if
the benefit to the mother clearly outweighs the potential risk to the foetus).
If women decide to become pregnant, the use of this product should be
carefully re-evaluated.
Breastfeeding
It is unknown whether lacosamide is excreted in human breast milk. Animal
studies have shown excretion of lacosamide in breast milk. For
precautionary measures, breast-feeding should be discontinued during
treatment with lacosamide.
Fertility
No adverse effects on male or female fertility or reproduction were observed
in rats at doses producing plasma exposures (AUC) up to approximately 2
times the plasma AUC in humans at the maximum recommended human
dose (MRHD).
米国添付文書
(VIMPAT-lacosamide
tablet, film coated:
VIMPAT lacosamide:
VIMPAT-lacosamide
injection:
VIMPAT-lacosamide
solution,
UCB INC., 2015 年 6 月)
8 USE IN SPECIFIC POPULATIONS
8.1 Pregnancy
Pregnancy Category C
Lacosamide produced developmental toxicity (increased embryofetal and
perinatal mortality, growth deficit) in rats following administration during
pregnancy. Developmental neurotoxicity was observed in rats following
administration during a period of postnatal development corresponding to
the third trimester of human pregnancy. These effects were observed at
doses associated with clinically relevant plasma exposures.
Lacosamide has been shown in vitro to interfere with the activity of collapsin
response mediator protein-2 (CRMP-2), a protein involved in neuronal
differentiation and control of axonal outgrowth. Potential related adverse
effects on CNS development cannot be ruled out.
There are no adequate and well-controlled studies in pregnant women.
VIMPAT should be used during pregnancy only if the potential benefit
justifies the potential risk to the fetus.
Oral administration of lacosamide to pregnant rats (20, 75, or 200
mg/kg/day) and rabbits (6.25, 12.5, or 25 mg/kg/day) during the period of
-73-
ⅩⅡ.参考資料
organogenesis did not produce any teratogenic effects. However, the
maximum doses evaluated were limited by maternal toxicity in both species
and embryofetal death in rats. These doses were associated with maternal
plasma lacosamide exposures [area under the plasma-time concentration
curve; (AUC)] ≈2 and 1 times (rat and rabbit, respectively) that in humans at
the maximum recommended human dose (MRHD) of 400 mg/day.
When lacosamide (25, 70, or 200 mg/kg/day) was orally administered to rats
throughout gestation, parturition, and lactation, increased perinatal
mortality and decreased body weights were observed in the offspring at the
highest dose. The no-effect dose for pre- and post-natal developmental
toxicity in rats (70 mg/kg/day) was associated with a maternal plasma
lacosamide AUC approximately equal to that in humans at the MRHD.
Oral administration of lacosamide (30, 90, or 180 mg/kg/day) to rats during
the neonatal and juvenile periods of postnatal development resulted in
decreased brain weights and long-term neurobehavioral changes (altered
open field performance, deficits in learning and memory). The early
postnatal period in rats is generally thought to correspond to late pregnancy
in humans in terms of brain development. The no-effect dose for
developmental neurotoxicity in rats was associated with a plasma
lacosamide AUC approximately 0.5 times that in humans at the MRHD.
Pregnancy Registry
Physicians are advised to recommend that pregnant patients taking
VIMPAT enroll in the North American Antiepileptic Drug (NAAED)
pregnancy registry. This can be done by calling the toll free number
1-888-233-2334, and must be done by patients themselves. Information on
the registry can also be found at the website
http://www.aedpregnancyregistry.org/.
-74-
ⅩⅡ.参考資料
小児等に関する記載
本邦における使用上の注意「小児等への投与」の項の記載は以下のとおりである。
【使用上の注意】「小児等への投与」
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[臨床試験において使用経験は
ない。]
欧州、米国の添付文書における記載は以下のとおりである。
出典
記載内容
英国の SPC
(Vimpat 50 mg, 100 mg,
150 mg & 200 mg
film-coated tablets,
10 mg/ml syrup and
10 mg/ml solution for
infusion, UCB Pharma
Limited, 2014 年 10 月)
4. Clinical particulars
4.2 Posology and method of administration
Special population
Paediatric population
Vimpat is not recommended for use in children and adolescents below the
age of 16 as there is no data on safety and efficacy in these age groups.
米国の添付文書
(VIMPAT-lacosamide
tablet, film coated:
VIMPAT lacosamide:
VIMPAT-lacosamide
injection:
VIMPAT-lacosamide
solution,
UCB INC., 2015 年 6 月)
8 USE IN SPECIFIC POPULATIONS
8.4 Pediatric Use
The safety and effectiveness of VIMPAT in pediatric patients less than 17
years of age have not been established.
Lacosamide has been shown in vitro to interfere with the activity of collapsin
response mediator protein-2 (CRMP-2), a protein involved in neuronal
differentiation and control of axonal outgrowth. Potential related adverse
effects on CNS development cannot be ruled out. Administration of
lacosamide to rats during the neonatal and juvenile periods of postnatal
development resulted in decreased brain weights and long-term
neurobehavioral changes (altered open field performance, deficits in
learning and memory). The no-effect dose for developmental neurotoxicity in
rats was associated with a plasma lacosamide exposure (AUC)
approximately 0.5 times the human plasma AUC at the maximum
recommended human dose of 400 mg/day.
-75-
ⅩⅢ.備
XIII. 備
考
考
その他の関連資料
-76-
〔文献請求先・製品情報お問い合わせ先〕
第一三共株式会社
製品情報センター
〒103-8426 東京都中央区日本橋本町 3-5-1
TEL:0120-189-132
VMT8IF0101
JP/VI/1606/0067
2016 年 7 月作成