花 き 実 況 1 キ ク あ わ ら の 暮 れ 植 え 栽 培 の「 小 鈴 」の 草 丈 が 83cm、葉 数 58 枚 で 生 育 が 早 い 。春 植 え の「 小 鈴 」は 23cm、23 枚 、「 小 雨 」 が 37cm、34 枚 で 、か な り 茎 が 細 い 。全 体 的 に 7 月 ~ 8 月 咲 ギクも灌水不足で草丈が低い。 6 月 1 日 に は 、10 月 咲 き コ ギ ク の 定 植 が 行 わ れ 、14 日 に 摘 心 が 行 わ れ た 。 8~ 9 月 咲 き ギ ク の す ぐ り が 行 わ れ た 。 病害虫ではカスミカメムシ類、アザミウマ類、アブラム シ類、白さび病がみられる。白さび病はサプロール系の治 療薬の感受性が低下している 。 奥 越 で は 、6 月 20 日 に J A テ ラ ル 越 前 キ ク 部 会 の 目 そ ろ え 会 、6 月 18 日 に 越 の 花 生 産 組 合 の 作 見 が 行 わ れ た 。出 荷 は 6 月 15 日 の キ ク 部 会 出 荷 で 250 箱 、 6 月 20 日 で 400 箱 前 後 (写 真 1、2)、 価 格 は 赤 系 コ ギ ク が 安 い 。 出 荷 さ れ た 切 り花は例年より病害虫による傷みが多い。 芽立ち自体は総 じてよく、4 月中下旬の高温により全体的な生育はここ数 年 間 で 最 も 早 い 。「 せ い ざ 」、「 つ る ぎ 」 等 は 5 月 25 日 頃 か ら 開 花 が み ら れ 、「 せ い ざ 」 草 丈 70cm、 葉 数 49 枚 、「 つ る ぎ 」 78.2cm、 葉 数 41 枚 で あ っ た 。「 あ か ね 」 は 3 月 下 旬 よ 写真1 6 月中旬の出荷状況 写真 2 6 月中旬の選花状況 りエスレル処理が 2 回行われ、6 月上旬開花で、昨年より やや遅い。 盆 ギ ク は「 シ ュ ー ペ ガ サ ス 」で 41cm、23 枚 、「 小 鈴 」43cm、 28 枚 と 生 育 は 良 い (6 月 15 日 調 査 )。病 害 虫 の 発 生 は 6 月 上 旬にシロシタヨトウが発生し、中旬にオオタバコガ 2 令幼 虫が発生したが、個体数は少ない。その他の害虫として、 キ ク キ ン ウ ワ バ 、 キ ク ス イ カ ミ キ リ 、 斑 点 細 菌 病 (写 真 3) が少発生であった。白さび病、黒さび病は 2 か所の圃場で 見られ、クロゲハナアザミウマをはじめとして多くの病害 虫が見られるため、選花が強化されている 。 写真 3 斑点細菌病 福 井 市 東 郷 地 区 の 春 植 え 8 月 咲 き ギ ク は 、 6 月 16 日 調 査 (昨 年 度 9 日 調 査 )で 、「 小 鈴 」 29cm(38cm)、「 小 雨 」41cm(52cm)、 「 恋 心 」43cm と 、定 植 が 4 月 22~ 25 日 に 行 っ た こ と で 、 や や 生 育 が 遅 い 傾 向 が あ っ た 。 ま た 、 エ ス レ ル 処 理 を 2~ 3 回 行 っ て い る 。 病害虫は、アブラムシ類、アザミウマ類、カルシウム欠乏が少発生であった。 福 井 市 南 部 は エ ス レ ル 処 理 が 行 わ れ て お ら ず 、 定 植 が 4 月 17 日 と 慣 行 に 近 い 時 期 で あ った。 「 小 紫 」51cm、蕾 径 2mm、 「 小 雨 」69cm、蕾 径 3mm、「 小 鈴 」51cm、「 恋 心 」65cm、蕾 径 2mm と 14 日 程 度 早 か っ た 。 病 害 虫 で は オ オ タ バ コ ガ の 食 害 が み ら れ た 。 永 平 寺 で は 4 月 20 日 に 定 植 さ れ た 「 小 鈴 」 の 草 丈 は 26~ 41cm と 生 育 に ば ら つ き が み ら れ た 。「 は じ め 」が 46cm(昨 年 42cm)、蕾 径 5mm、「 夕 霧 」が 41cm(37cm)、2mm と 開 花 が 2 週 間程度早い。病害虫は白さび病がみられたが、現在は冬胞子堆は減少している。 丹 生 で は 4 月 7~ 14 日 定 植 も の で 、 6 月 17 調 査 で 、 春 植 え 8 月 咲 き で 「 や よ い 」 45cm、 「 秀 水 」 43cm(55cm)、「 小 鈴 」 41cm(前 年 55cm)等 で 、 多 く の 品 種 に カ ス ミ カ メ 類 の 食 害 が み ら れ た 。「 花 風 」、「 恋 心 」、「 や よ い 」、「 小 雨 」等 が 出 蕾 も し く は 間 近 で あ り 、7 月 中 旬 開 花 が 予 想 さ れ 、 例 年 よ り 7~ 10 日 早 い 。 越 前 市 は 6 月 17 日 調 査 (昨 年 5 日 調 査 )で 、「 は じ め 」 55cm(45cm)、「 松 風 」 50cm、 蕾 径 3mm で 、 一 部 の 品 種 に は エ ス レ ル 処 理 が な さ れ て い る 。 病 害 虫 は 、 一 部 の 品 種 に カ ス ミ カ メ類の被害がみられる。 二 州 の 暮 れ 植 え ギ ク は「 小 雨 」102.2cm、「 み の る 」89.8cm で 両 品 種 と も 開 花 は じ め で あ る 。 春 植 え 8 月 咲 き 小 ギ ク の 草 丈 は 6 月 15 日 調 査 (昨 年 6 月 16 日 調 査 )で 「 水 鳥 」 39.2 ㎝ (37.8cm)、「 翁 丸 」 41.8cm(36.0cm)、「 や よ い 」 42.0cm(34.4cm)と 昨 年 よ り 生 育 が 早 く 、 開 花 も 早 い 見 込 み で あ る 。9 月 咲 き ギ ク の「 わ か さ 」は 12.8cm、「 映 紅 」8.2cm と 生 育 が 良 い。病害虫ではアザミウマ類 、キクモンサビダニが少発生である。 若 狭 の 秋 植 え 夏 小 ギ ク は 、6 月 16 日 調 査( 昨 年 6 月 16 日 調 査 )の「 は じ め 」が 草 丈 102.4 ㎝ 、立 弁 (昨 年 117.8cm、立 弁 )、「 と び 丸 」が 草 丈 75.8cm、立 弁( 昨 年 108 ㎝ 、立 弁 )と な っ て い る 。「 は な ふ さ 」 の 草 丈 が 116.8cm、 蕾 径 7.7mm(109.4cm、 7.3mm)と 一 部 の 品 種 で 草 丈 が 短 い も の の 、 ほ ぼ 昨 年 並 み の 生 育 で あ る 。 春 植 え 盆 ギ ク は 4 月 13 日 定 植 も の で 、「 翁 丸 」 が 51.2 ㎝ ( 昨 年 40.6 ㎝ )、「 く れ な い 」 が 44.6 ㎝ ( 昨 年 40.0 ㎝ )、「 し ら か ば 」 が 42cm(41.2cm)と 昨 年 よ り や や 生 育 が 早 く 、「 仁 星 」、「 ひ ま わ り 」で 出 蕾 し た 。9 月 咲 き ギ ク は 、 5 月 20 日 よ り 定 植 さ れ 、「 南 月 」 21cm(6.4cm)、「 大 信 」 18.2cm(8.2cm)、「 お り が み 」 29.0cm(6.6cm)と 昨 年 よ り 生 育 が 早 い 。病 害 虫 で は ア ザ ミ ウ マ 類 、ア ブ ラ ム シ 類 の 被 害 が わ ずかにみられる。一部の圃場でマメコガネの食害があった。 2 ユ リ 奥 越 の シ ン テ ッ ポ ウ ユ リ は 、「 F 1 オ ー ガ ス タ 」の 4 月 定 植 実 生 苗 が 、6 月 16 日 調 査( 昨 年 は 8 日 調 査 ) の 露 地 栽 培 で 葉 数 7~ 9 枚 ( 12 枚 )、 葉 長 17cm で 一 部 の 株 は 抽 台 を し て い る 。 中 芯 球 は 草 丈 34cm、 葉 数 67cm で 7 月 下 旬 開 花 見 込 で あ る 。 福 井 ユ リ の 生 産 者 は 福 井 市 、 永 平 寺 町 、 坂 井 市 、 あ わ ら 市 、 鯖 江 市 で 10 名 が 栽 培 し て お り 、4 月 26 日 か ら 6 月 8 日 ま で 出 荷 が 続 い た 。昨 年 か ら 5 月 上 旬 の 母 の 日 に 向 け て 開 花 時期を早めた作型を導入する生産者が増えている。今年は約 1 万本の出荷であった。 春 江 の ユ リ は 6 月 10 日 調 査 で 、「 カ サ ブ ラ ン カ 」 103cm、 葉 数 112 枚 、「 ア ル プ フ ェ ラ 」 96cm、 一 部 の 株 に ア ザ ミ ウ マ 類 、 球 根 腐 敗 病 が 発 生 し た 。 暑 か っ た た め 一 部 の 株 は 生 育 が 不良であった。 あ わ ら 市 の 福 井 ユ リ 「 リ リ ブ ラ イ ト レ ッ ド 」 は 6 月 15 日 で 出 荷 終 了 し た 。 1~ 2 輪 花 が 多 く 、 一 部 に 葉 枯 病 が 見 ら れ た 。 シ ン テ ッ ポ ウ ユ リ は 葉 数 8~ 12 枚 程 度 で 、 葉 色 は 良 い 。 3 月 30 日 定 植 の カ サ ブ ラ ン カ は 93cm、 43 枚 で 6 月 下 旬 開 花 予 定 で あ る 。 福 井 市 の 「 リ リ ブ ラ イ ト レ ッ ド 」 は 6 月 9 日 調 査 で は 草 丈 110(110)cm で 収 穫 終 了 で あ る (昨 年 6 月 11 日 調 査 )。 鯖 江 市 の 据 置 露 地 栽 培 の 「 リ リ ブ ラ イ ト レ ッ ド 」 は 6 月 12 日 調 査 で は 草 丈 100cm で 5 月 25 日 か ら 出 荷 が 始 ま り 、 6 月 11 日 ま で 出 荷 さ れ た 。 生 育 の バ ラ ツ キ が 見 ら れ た (昨 年 6 月 11 日 調 査 )。 3 スイセン 6 月 10 日 、越 前 町 す い せ ん 部 会 総 会 が 開 催 さ れ た 。福 井 市 竹 生 地 区 の ス イ セ ン 球 根 堀 上 は 6 月 15 日 に 行 わ れ た 。養 成 球 根 の 掘 り 上 げ は 5 月 下 旬 か ら 始 ま り 6 月 上 旬 か ら 本 格 的 に な っ た 。 促 成 栽 培 の 共 同 高 温 処 理 は 6 月 20 日 か ら 開 始 さ れ た 。 4 トルコギキョウ 坂 井 の 抑 制 栽 培 の 2 度 切 り 栽 培 の「 レ イ ナ シ リ ー ズ 」の 草 丈 は 70~ 90cm(6 月 21 日 調 査 ) で、出荷最盛期を迎えている。8 月の抑制栽培予定圃 場では太陽熱消毒を行っている。一部にハスモンヨト ウ、灰色かび病、炭そ病が少発生している。 大 野 市 で は 、ロ ジ ー ナ シ リ ー ズ 5~ 7 対 葉 、草 丈 22cm と な っ て い る ( 本 年 は 6 月 21 日 調 査 )。 南 越 で は 6 月 17 日 調 査 (昨 年 度 は 6 月 5 日 )で 、「 ボ ヤ ー ジ ュ グ リ ー ン 」二 度 切 り 栽 培 で 85cm、収 穫 間 近 で あ る 。11 月 中 下 旬 (13~ 20 日 )に 定 植 さ れ た「 ボ ヤ ー ジ ュ グ リ ー ン 」 が 草 丈 102cm、「 リ ネ ー シ ョ ン シ リ ー ズ 」 109cm、「 フ ル フ ル 」 が 90cm と 昨 年 よ り 生 育 が 良 い 。 写真4 2 月 初 旬 播 種 、 4 月 20~ 25 日 に 定 植 さ れ トルコギキョウの ハスモンヨトウ被害株 表 1 あわら市 のトルコギキョウ生 育 (6 月 10 日 調 査 ) 表 あわら市のトルコギキョウ生育(6月10日調査) 品種名 草丈(cm) 葉数 リ ー ン 」 28.5cm 、「 モ レ ッ ト マ リ ン 」 28cm ボレロマリン 88 18 で 対 葉 数 11~ 12 枚 で あ る が 、カ ル シ ウ ム 欠 サルサマリン 96 21 乏が若干みられ、初期の活着不良がおきて ロベラピンク 84 18 いる。 冬のマリア 82 18 二 州 で は 、 6 月 15 日 調 査 ( 昨 年 6 月 16 ボンボヤージュG 80 15 日 調 査 )さ れ た「 ア ン ジ ュ ラ ベ ン ダ ー 」が 草 丈 38.4cm、「 プ ラ チ ナ キ ン グ 」49.4cm、「 あ す か の 吹 雪 」 67.6cm、 6 月 中 旬 開 花 と ほ ぼ 昨 年 並 み の 開 花 で あ る 。 4 月 16、 17 日 に 定 植 さ れ た「 ブ ル ー シ ル エ ッ ト 」の 草 丈 28.6cm、「 ピ ン ク シ ル エ ッ ト 」31cm で 、と も に 葉 数 は 7 ~ 8 対葉である。 若 狭 で は 、10 月 中 旬 定 植 の「 ピ ン ク シ ル エ ッ ト 」が 草 丈 94cm、「 あ す か の そ よ 風 」が 85.8cm で と も に 開 花 は じ め で あ る 。1 月 定 植 の「 コ コ 」47.4cm、「 キ キ 」59cm、「 ラ ラ 」72.2cm で 、 下 位 節 か ら 側 枝 発 生 が 多 い 。5 月 定 植 も の は 草 丈 15~ 20cm、葉 数 7~ 8 対 で 、例 年 よ り 生 育 が早い。 た「 オ ー ブ カ ク テ ル 」38cm、「 ボ ヤ ー ジ ュ グ 5 その他 あ わ ら 市 の ヒ マ ワ リ は 出 荷 終 了 で あ る 。 ア ス タ ー 「 ス テ ラ シ リ ー ズ 」、「 松 本 シ リ ー ズ 」 は 5 月 定 植 で 草 丈 10~ 15cm で あ る 。 福 井 の ヒ マ ワ リ は 6 月 9 日 調 査 で 4 月 26 日 播 種 の 作 型 が 56 (55)cm で 生 育 良 好 で あ る (昨 年 6 月 11 日 調 査 )。 永 平 寺 の 5 月 下 旬 に 播 種 さ れ た ヒ マ ワ リ「 サ ン リ ッ チ オ レ ン ジ 50」は 6 月 16 日 調 査 で 、 草 丈 30cm と や や 草 丈 が 低 い 。 上 位 葉 に グ ン バ イ ム シ 類 に よ る 被 害 が 見 ら れ た 。 対 1 策 梅雨期の圃場排水の徹底 梅雨期の長雨が続くと、根の障害が発生する。そこで、畝の再整備を実施し、冠水し やすい圃場で栽培している場合は、畝溝と これに交わる集水溝、排水路の溝さらえや清 掃、除草を十分に行う。 逆 に 、 乾 燥 気 味 の 気 候 が 続 い て い る 場 合 、 畝 間 灌 水 を 行 う 。 下 葉 の 1/3 が 朝 方 か ら 萎 れている状態であると、畝間灌水を行う必要がある。夜温が高いときは畝間灌水はなる べく行わない。 実施前に溝さらえ、通路の清掃、土寄せ等を行い、スムーズに水が走るようにする。 畝間灌水は、圃場が湿田で排水が悪い場合は、走らす程度、そうでない場合は通常の灌 水 を 基 準 と す る が 、 夕 刻 ~ 早 朝 ま で と し 、 明 朝 の 10 時 に は 完 全 に 水 が 落 ち て い る よ う にする。 2 梅雨期の病害虫防除の徹底 1)キク黒さび病 梅雨期の湿潤な季節に多発する。白さび 病と異なり、比較的高温でも発生が続くた め 断 続 的 に 発 生 が 続 く 。日 当 た り 、風 通 し 、 排水をよくする。病葉は見つけ次第摘除す る。治療剤としてはマネージ乳剤しか登録 されていないため、白さび病の予防を兼ね て有機硫黄系剤(兼商ステンレス、ジマン ダイセンフロアブル、エムダイファー水和 剤)の散布を励行する。兼商ステンレスは 写真5 褐斑病被害株 特に高温時の薬害に注意する。 2)キク黒斑病・褐斑病 発生は、降雨との関係が強く、摘心後に降雨が多い場合に は早くなる。高温多湿の 条件で感染が拡がり、降雨等による土壌の跳ね上がりも下葉への感染が助長されるた め、例年被害が多い品種は、梅雨前に下葉かきを行う。病葉は、二次感染を防ぐため に 、見 つ け 次 第 摘 葉 し 、圃 場 外 で 処 分 す る 。生 育 初 期 に ダ コ ニ ー ル 1000、ス ト ロ ビ ー フ ロ ア ブ ル や ベ ン レ ー ト 水 和 剤 の 散 布 を 行 う (表 2)。 有 機 銅 系 の サ ン ヨ ー ル も 褐 斑 病 に登録があるが、使用は出蕾までとし、薬害に注意して用いる。 表表3 登録のある薬剤例 2 登 録 のある薬 剤 例 殺菌剤名 サンヨール乳剤 ストロビーフロアブル ダコニール1000 ベンレート水和剤 希釈倍率 500倍 2,000~3,000倍 1,000倍 2,000~3,000倍 使用回数 8回以内 3回以内 6回以内 6回以内 備考 薬害注意、有機銅剤、部会リストにあがっていない 白さび病にも登録があるが、耐性菌に注意。 耐性菌出にくい。 3)ハダニ類 梅雨明け後の乾燥する夏場に発生が多くなるので、梅雨の期間中に 1 回と梅雨明け 前 に 1 回 散 布 す る と 効 果 が あ る 。薬 剤 の 連 用 に よ る ダ ニ 類 の 薬 剤 抵 抗 性 を 抑 え る た め 、 系統の異なる殺ダニ剤を使用し、生育密度が低い時点で殺卵効果のある薬剤を散布す る。圃場周辺の除草を行い、圃場内への侵入と繁殖を抑制する。 特に、本年はダニ類 の発生が多く見られるため、下葉の裏に十分薬液がかかるよう、斜め上向きに噴口を 向け散布する。 4)カスミカメムシ類 秋植えの 6 月咲きギク等の未収穫株が発生源となるので、圃場内に花を残さない。 羽のない幼虫が多くを占めると思われる 6 月中下旬にローテーション防除を行う。 特に蕾や花に成幼虫が集中するので、蕾や花がついたものは注意する。 防除薬剤はスミチオン乳剤かダ ントツ水溶剤、スタークル顆粒 水 溶 剤( ア ル バ リ ン 顆 粒 水 溶 剤 ) がカメムシ類に登録がある。日 中になると成虫の飛翔が活発と なるため、早朝に防除を行う。 写真6 カメムシ類と被害株 3 夏秋ギクの品質向上対策 1)追 肥 止 め 肥 の 施 用 時 期 は 開 花 時 期 か ら 約 50 日 前 ぐ ら い で あ る の で 、施 用 後 、梅 雨 時 期 の 降雨が多い年では、生育後半に肥料が切れる場合がある。葉色が落ちた場合は、速効 性の化成肥料を少量施用する。ただし、窒素肥料が効きすぎると白さび病が発生しや すくなるのでやりすぎない。 2)下葉かき 薬剤散布しても地際部の葉裏には十分に薬液がかからない。 さらに病害に侵されて いる場合は、感染源として残りやすい。風通しをよくして、ムレを防ぐとともに、病 害の下葉からの伝染を防ぐため、全体長の5分の1程度の下葉を除去する。除去した 葉は圃場に放置しないで、圃場の外へ搬出する。 ハモグリバエ類幼虫の食害痕が黄変している場合は、必ず葉をとりのぞき、圃場外 で処理する。 3)開花促進方法 ジベレリンの水溶液を散布することで、キクの開花が促進される。花首がのびやす い品種には用いない。登録された使用方法を守る。 剤 名 対 象 使 用 濃 使 用 時 使用方法及び注意事項 作 物 度 期 ジベレリン水溶剤 キ ク 25~ 生 育 期 茎 葉 散 布 50 ~ 100 ℓ ジベレリン液剤 100ppm /10a、使 用 回 数 2 回 以 内 。 4 スイセンの管理 1)促成栽培の球根管理 斑点病の発生がひどかった圃場の球根はなるべく用い ないようにする。高温処理、 くん煙処理後はできるだけ涼しい納屋等で保管する。乾腐病等の病害が発生している 球根は適時取り除く。 2)促成栽培の定植後の管理 発根と発芽を促すためスプリンクラーや灌水チューブ 等による散水を行うとともに 遮熱ネット等での減光、敷きわら設置で地温を極力低下させる。 3)スイセン葉先枯病がひどかった圃場では、太陽熱消毒を実施する。甚大な被害があ った部分に透明マルチを被覆し、土等を掛けて密閉し、梅雨明け後から 1 か月程度行 う。 5 ストックの播種と育苗 1)播種 平 坦 地 で は 7 月 下 旬 播 種 を 目 安 に 準 備 を 進 め る 。発 芽 適 温 は 20~ 25℃ の 涼 温 を 好 む た め 、酷 暑 期 は 発 芽 が 悪 く な る 場 合 が あ る 。特 に ア イ ア ン シ リ ー ズ は 発 芽 が 悪 く な る 。 2)播種用土 清潔で粒子の細かく揃ったものを準備し、覆土は発芽を揃えるため均一な厚さにす る。用土中の肥料分を少なくすると、葉色が薄くなって、鑑別がしやすくなる。 3)八重鑑別 八重率を高めるため、必要な苗数の 3 倍量程度の種子数を播種する。セル成型トレ イ に 播 種 す る 場 合 、 2~ 3 回 鑑 別 す る 。 第 1 回 目 は 、 播 種 7~ 8 日 後 に 発 芽 が 遅 れ た ラ ッ パ 型 の 奇 形 葉 を 抜 く 。2 回 目 は 淡 い 葉 色 で 子 葉 が 長 く 、大 き い も の を 残 す 。最 後 の 3 回目は生育不良株を除去する。 4)播種後の管理 雨よけ下で行い、高温対策のためにハウスの外側に遮熱ネット等を張る。育苗箱は ベンチ等の上に置き風通しを良くし、灌水は地温の低い早朝に行う。 5)ストックの苗立枯病と苗腐病 立 枯 れ 性 病 害 が 発 生 し た 場 合 は 、被 害 株 を 抜 き 取 り 、病 原 菌 を 調 べ る 。苗 立 枯 病( リ ゾクトニア菌)では、発病株を引っ張ると、地際からちぎれるが、苗腐病(ピシウム 菌)の場合は、引っ張ってもちぎれずに根がついてくる。 6)直播栽培 播 種 時 の 地 表 面 の 温 度 を 極 力 下 げ る た め 、 70~ 80% の 遮 光 資 材 を ハ ウ ス の 外 側 に か けて、風通しを良くして地温の低下に努める。播種後は土を乾かさないように絶えず 灌 水 す る 。 徒 長 防 止 の た め 、 発 芽 し た ら 、 遮 光 資 材 を 5~ 7 日 以 内 に 取 り 除 く 。 6 ハボタンの播種 1 ) 7 月 上 中 旬 に セ ル 成 型 ト レ イ 200 穴 や ペ ー パ ー ポ ッ ト を 用 い て 播 種 す る 。 高 温 期 の 播 種 で は 、 遮 光 30% 程 度 で 行 う が 、 徒 長 し や す い た め 、 か ん 水 は 必 ず 午 前 中 に 行 い 、 遮光ネットをこまめに開閉する。 2 ) 切 り 花 の 場 合 、 播 種 14 日 、 本 葉 2 枚 程 度 の 若 苗 で 定 植 を 行 う と 草 丈 が 伸 び る 。 直 播 は 、 12~ 15cm ネ ッ ト の 枠 に 2 粒 落 と す 。 3 )鉢 物 ハ ボ タ ン の 場 合 、子 葉 展 開 後 に 、ビ ー ナ イ ン 水 溶 剤 200 倍 液 (施 設 栽 培 の み )を 茎葉散布すると節間の伸長抑制ができる。 鉢物ハボタン 剤 名 ビーナイン水溶剤 80 対 象 作 物 鉢物ハボタ ン (施設栽培) 使 用 濃 使 用 時 期 度 200~ 400 子 葉 展 開 後 倍 使用方法及び注意事項 茎 葉 散 布 50 ~ 150 ℓ /10a、 使 用 回 数 2 回 。
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