背景と調査の重要性 我が国で原子力発電所の再稼動も始まっているが

電子材料・デバイス技術専門委員会
IoT 時代のエネルギーマネージメント技術(デバイス・システム)に関する調査
■背景と調査の重要性
我が国で原子力発電所の再稼動も始まっているが、依然としてエネルギー源に占める化石燃料
の割合が高く、温室効果ガスの排出および国富の流出が著しい状態が継続している。一方で COP21
で示された温暖化対策目標を実現するには、個別の機器での省エネルギー化では限界があり、エ
ネルギーだけでなく情報も付加した上で需要と供給を相互につなぎ連携した運用とすることによ
る相乗効果が不可欠となる。これはエネルギーマネージメントのスマート化と呼ばれ、情報通信
技術を適用した種々の機器がネットワークやクラウドに繋がれ、監視・制御を機能とする IoT、
すなわちモノのインターネット化により現実的な概念となってきた。またエネルギーを大量に消
費する製造業においては、設備と人の協調を考えたサイバーフィジカルシステムや、IoT をもと
に製造のスマート化を目指したインダストリー4.0 等の概念やプロジェクトの提案がすすめられ
ている。以上のように、社会における IoT は着実に重要な基盤技術となりつつあり、電子材料・
デバイス技術おける技術戦略を策定する上でも、その動向にただ従うだけでなく、リードしてい
く必要がある。
本調査研究では、特にエネルギーマネージメントに用いられるデバイス・システムにおける IoT
化の現状や開発状況を調査し、その技術課題を抽出する。調査領域として、大きくエネルギーマ
ネージメントのシステム、デバイスおよびそれらを繋ぐ監視・制御・通信技術の三つを設定する。
システム技術の調査では、IoT を活用したスマートグリッド等のエネルギーシステムや、それら
を促進・規制する制度や規格・標準化等についてその現状および動向を俯瞰する。またデバイス
技術の調査では、エネルギーの変換・制御に直接関係するパワー半導体や受動素子、創エネ・蓄
エネに用いるシステムの構成要素および、センシング・通信・演算に用いられる集積デバイスに
ついて広く知見を得る。監視・制御・通信技術の調査においては、スマートグリッドにおいて用
いられるスマートメータや Wi-SUN 等の通信技術、デマンドレスポンス等の負荷制御技術や、ネッ
トワークに繋がった機器から得られる大量の情報を効果的に利用するためのデータマイニング技
術まで対象領域を広げて実施する。
本技術調査では、以上のようにエネルギーマネージメントの IoT 化において、今後必要とされ
る技術課題を網羅的に洗い出す。これにより、電子情報産業における技術開発が今後進むべき方
向を明らかにし、いち早く製品開発につなげることで、我が国の電子情報産業分野における競争
力を確固としたものにする事を目指す
■調査候補項目
IoT に対応したエネルギーマネージメントのためのシステム、それらを構成するデバイスお
よびそれらをつなぐ監視・制御・通信技術に関して、以下の項目について調査を行う。
1) システム技術の調査
・ スマートグリッド
・ スマートコミュニティ
・ デジタルグリッド
・ ISO50001
・ xEMS
・ インダストリー4.0
・ 電力・ガス自由化
・ 電気事業制度
・ 電気用品安全法
2) デバイス技術の調査
・ パワー半導体スイッチングデバイス(Si, SiC, GaN,ダイヤモンド等)
・ 半導体集積回路(コントローラ,センサー,ドライバー等 )
・ 受動素子(コンデンサ,リアクトル,トランス等)
・ 蓄電素子(二次電池,キャパシタ等)
・ 発電素子(太陽電池,熱電素子等)
3) 監視・制御・通信技術の調査
・ スマートメータ
・ 計測技術
・ 通信技術
・ ビッグデータ
・ デマンドレスポンス
・ 情報セキュリティ
・ EMC
・ コネクテッドカー
・ データマイニング
・ WPT
■参加企業:10 社(敬称略/順不同)
シャープ、新日本無線、ソニー、太陽誘電、東芝、富士通研究所、富士電機、三菱電機、
村田製作所、リコー
一般社団法人
電子情報技術産業協会
Japan Electronics and Information Technology Industries Association
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