PowerPoint プレゼンテーション - 量子ビーム科学研究部門

(一般向け資料)
量子科学技術研究開発機構
プロジェクト「高分子機能材料研究」の横顔
「量子ビーム」
これからの水素社会を
下支え
燃料電池
どんな研究をしているのですか?
私たちのプロジェクトは、量子ビーム(電子線、ガ
ンマ線、X線、中性子線)を「創る」と「観る」ため
のツールとして利用し、水素を利用する燃料電池に不
可欠な電解質膜の開発に取り組んでいます。
燃料電池用電解質膜の役目は非常に重要でしかも過
酷な条件で使用されます。(イオンの流れ易さ(高イ
オン伝導性)と同時に性能の長期持続(高耐久性)が
求められます。)
私たちは、ラップのような素材に量子ビーム(電子
線やガンマ線)を照射して、別の性質をもたせること
ができる技術(放射線グラフト重合技術)により、耐
熱性や耐薬品性に優れる高分子材料(ラップのような
素材)にイオンが流れる性質をプラスした新しい電解
質膜を創っています。
また、合成した膜材料の中をどのようにイオンやガ
スが流れるか、流路のサイズや分布がどうなっている
かを知ることは、膜の性能向上を図る上でとても重要
です。そこで、量子ビーム(X線や中性子線)を用い
て、膜中の微細な構造を観察・解析してより優れた電
解質膜の開発に役立てています。
一緒に研究してます!
職員・博士研究員だけでなく、
地元の群馬大学の学生(連携大
学院生)や共同研究企業からの
協力研究員とともに、クリーン
な省エネルギー社会で求められ
ている新規膜材料の研究開発を
進めています。
膜合成では、臭いのきつい薬
品を扱ったり、精製などで苦労
もありますが、合成した膜材料
を用いた発電性能試験で、高出
力が得られたときは、ガッツ
ポーズ!さらに、成果が学術誌
に論文掲載されたときの喜びは
ひとしおです。(廣木章博記)
(ちょっとお勉強コーナー)「燃料電池」ってなぁに?
電子
酸素
水素
+
電極
燃料電池シス
H
テム図
電解質膜
電極
燃料電池は、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー源
として注目を集めています。その発電原理は、とてもシンプル!
燃料の水素は、電極(右図の左)でプロトン(H+)と電子に分か
れます。プロトンは、中央の電解質膜の中を移動し、もう一方の
電極で酸素と電子と反応することで、水が生成します。このとき、
電子は、外部の回路を流れるため、電気を取り出せます。
水
プロトン形燃料電池の作動原理
(一般向け資料)
~ 皆様の生活に役立てようとこんな研究しています ~
○燃料電池用電解質膜
• 世界最高レベルの発電性能を示す炭化水素系高分子
電解質膜を開発!
• 膜中の構造とイオン伝導性の相関性を明らかに!
13 nm
水
イオン伝導基
(1.8 nm)
イオン
チャンネル
ラメラ
結晶相
低加湿下でも市販の膜材料
(Nafion®) と同等の出力、且つ
破断強度(耐久性)向上を実現
8.4 nm
中性子/X線小角散乱の複合利用に
より、構造と特性の相関性を解明
• 従来品(フッ素系高分子電解質膜)に比べ、安価な
炭化水素系高分子を用いることで、低コスト燃料電
池の実現が期待されます。
問い合わせ先:国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子ビーム科学研究部門
高崎量子応用研究所 研究企画室
℡:027-346-9447 Eメール:[email protected]
☆お気軽にお問い合わせください☆。
(一般向け資料)
~ 私たちの実験の様子をちょっと紹介します ~
試作品の出来はこの装置で確認します。
今まで100回以上試験しました。
実験終わったら反省会だ!
研究は子供を育て
るようなものね!
←
学生の人材育成も行っ
ています。
施設を使ってもらい実
験指導もしています。
T君、燃料電池の研究
論文がんばってね!
注射器よ、いい子だから機嫌を直してね!
今回の出来はどうかな?
実験に使う電解質膜を切ってます。
小学校の頃から工作は得意だったよ。
活発な議論
(○▽◇##%%**じゃないかな。
いやいや@✖△●◇QSTだよ)
(一般向け資料)
最近のトピック
 放射線グラフト重合技術により作製した炭化水素系高分子電解質膜で、世界最高レ
ベルの発電性能を達成しました。本研究成果は、英国の王立化学会が発行する学術
誌 (J. Mater. Chem. A, 3巻) に掲載されました。(2015年9月)
 科学技術振興機構 (JST) の先端的低炭素化技術開発 (ALCA) に参画し、自動車
メーカーとともに、次世代燃料電池自動車の開発プロジェクトに取り組んでいます。
(プロジェクト期間:2015年10月~2019年3月末)
 所属する学生2名が、日本化学会の群馬地区研究交流発表会で優秀ポスター賞を受
賞しました。(2015年12月)
今後はどんな研究にチャレンジするのですか
近年、高価な白金に代わり、コバルトや鉄などの比較的安価な金属を触媒
として使用できる「アルカリ形燃料電池」が注目を集めています。このアル
カリ形燃料電池の実用化では、使用環境のアルカリ条件下で十分な耐久性を
もつイオン伝導性膜の開発が課題となっています。私たちのプロジェクト
チームでも、数年前からアルカリ形燃料電池用の電解質膜の開発をスタート
させ、放射線グラフト重合技術
表 プロトン形とアルカリ形燃料電池の比較
の特長を活かすことにより、高
プロトン形
アルカリ形
イオン伝導性の電解質膜を得る
水加ヒドラジン
ことに成功しています。今後は、
燃料
水素(気体)
(液体)
イオン伝導性の更なる向上と膜
触媒
白金
コバルト、鉄
の高耐久化を図るとともに、自
動車メーカーと協力してアルカ
使用環境
酸性
アルカリ性
リ形燃料電池自動車の実用化を
水酸化物イオン
膜内を移動
プロトン
目指します。
(OH-)
するイオン
(H+)
東京モーターショー2013で展示され
たアルカリ形燃料電池搭載自動車だよ