熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title 循環器・呼吸器・代謝性疾患における遺伝子多型の臨床 的意義と予防的応用に関する検討 Author(s) 守田, 和憲 Citation Issue date 2016-03-25 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/34861 Right 循環器・呼吸器・代謝性疾患における遺伝子多型の臨床的意義と予防的応用に関する検討 医療薬学専攻薬物治療学分野守田 和憲 【背景・目的】生活習慣病は、予防医学において最も重要な課題の 1つであり、その発症・ 進展には食事、運動、喫煙等の生活習慣に加えて遺伝因子が関与しており、遺伝情報を活用 した生活習慣病の効果的かっ効率的な予防と治療が期待される。本研究では糖尿病並びにそ の合併症、高血圧、冠動脈疾壱、（CAD）、腎機能低下、慢性閉塞性肺疾患（COPD）の予防に有用 l d e h y d ed e h y d r o g e n a s e 2 (ALDH2） 、②gamma-gluthamyltran φrase 1 な遺伝因子として、① a 、③h e p a t o c y t en u c l e a rf a c t o rIA(HNFJA） に着目した。以下にその背景と目的を示す。 (GGTJ） ①ALDH2は、飲酒に伴い生成されるアセトアルデ、ヒドをはじめ、外因性・内因性の活性アル デヒド代謝を司る酵素であり、各種生活習慣病との関係、が示唆される。一方ヒトでは、酵素 s 6 7 1）が存在し、飲酒行動の規定因子とされる。本研究では、 ALDH2 活性を欠損する ＊2アリル（r 遺伝子型が循環器疾患及び肺疾患に及ぼす影響を、飲酒や喫煙との関係と共に検討した。 ② GGTは正常値範囲内の上昇であっても、糖尿病や CADの発症と関連し、全身の酸化スト レス状態を表す有用な指標と考えられている。また、肺疾患においても、 COPD急性増悪時 に GGT値が上昇すると報告されている。本研究では、 GGT発現量を規定する GGTJ遺伝子 s 4 8 2 0 5 9 9 ）が循環器疾患及び肺疾患に及ぼす影響について、 GGT値と共に検討した。 型 （r ③HNFlAは肝臓や目撃臓に高発現し、戸細胞機能維持に関わる遺伝子の転写調節を行うことで、 インスリン分泌に関与する。インスリン分泌障害に関わる遺伝因子は東アジア人に特徴的な 非肥満者の 2 型糖尿病発症に影響すると考えられる。本研究では、 HNFJA 遺 伝 子 変 異 ( r s 1 1 6 9 2 8 8、r s 1 8 0 0 5 7 4、r s 2 4 6 4 1 9 6） が 2型糖尿病の発症・進展に及ぼす影響を、肥満との関係、 と共に検討した。 【対象】熊本大学生命科学研究部等倫理委員会、日本赤十字社熊本健康管理センター施設倫 理委員会、社団法人陣内会陣内病院施設倫理委員会の承認のもと、臨床情報と資料の提供に ついて文書による同意を得られた日本赤十字社熊本健康管理センターの人間ドック受診者 8 6 5名（男性 567名／女性 298名 、6 1 . 8土 1 2 . 3歳）と陣内病院で半年以上加療された 2型糖尿病患 8 3名（男性 245名／女性 1 3 8名 、 5 9 . 4土 1 1 . 0歳、観察期間 5 . 8土 2 . 5年）、熊本大学附属病院 者3 循環器内科で心臓カテーテル検査または治療を行い、冠動脈に 75%以上の狭窄を認めた CAD 患者 554名（男性 379名／女性 1 7 5名 、 6 9 . 3土 1 0 . 1歳）を対象とした。 r s 6 7 1 、 ） GGTJ ( r s 4 8 2 0 5 9 9 、 ） HNFJA 【方法】末梢血より抽出した DNA を用いて、 ALDH2 ( ( r s 1 1 6 9 2 8 8、r s 1 8 0 0 5 7 4、r s 2 4 6 4 1 9 6）の遺伝子多型を Taqmanp o l y m e r a s ec h a i nr e a c t i o n法により 判定した。高血圧、 CAD、COPD、耐糖能異常、糖尿病に及ぼす影響をロジスティック回帰 分析、推定糸球体鴻過量（eGFR ）に及ぼす影響を S t u d e n t’ st t e s t、糖尿病網膜症の発症率に及ぼ す影響を Cox回帰分析、 COPD、上腕圃足首脈波伝播速度（baPWV）高値（三 1750c m / s ）、血糖コ ントロール不良（HbAlc三8.0%）に及ぼす影響を一般化推定方程式により検討した。 / d a y以上 【結果】①人間ドック受診者において、 ALDH2*2アリル保有者で、は、飲酒量が 20g の群は非飲酒群に比べて高血圧擢患頻度が高かった［o d d sr a t i o( O R ) :2 . 1 8 p= 0 . 0 4 。 ］ 2型糖尿 ラ
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