パワーポイント2007(推奨)

数理言語情報論 第14回
2010年1月27日
数理言語情報学研究室 講師 二宮 崇
1
今日の講義の予定

文法開発 (後半)
文法開発の再解釈と展望
 コーパス指向文法


教科書

Yusuke Miyao (2006) From Linguistic Theory to
Syntactic Analysis: Corpus-Oriented Grammar
Development and Feature Forest Model, Ph.D
Thesis, University of Tokyo
2
文法開発の再解釈と展望
3
合理主義的文法の文法開発の難しさ
さて、いったい何が難しくて文法開発がう
まくいかなかったのだろうか?
 どこに落とし穴があったのか?

4
比較検討(1/2)

経験主義的文法開発と合理主義的文法開発の違い
文法作成方法
合理主義 人手
的文法
コーパスの役割 評価手段
生コーパス
定性的評価
補助的リソース
経験主義 自動
的文法
ツリーバンク
中心的リソース
定量的評価
5
比較検討(2/2)

言語学者と言語処理研究者が求める文法、コーパ
スの役割の違い
目的
言語学者 言語能力の法
則性の発見
文法
コーパス
適格文、非文を
区別するために
必要な規則
人間の言語能力
を調べるための
資料
言語処理 応用システムに コーパスを解析
研究者
有用な構文構 するための道具
造の自動解析
機械学習・統計学
習のためのリソー
ス。性能評価のた
めのリソース
6
合理主義的文法開発の落とし穴
(1/2)

コーパス軽視
S → NP VP
NP → DET N
NP → N
…
文法規則、辞書
文法開発の対象は、文法
規則と辞書。
コーパスはあくまで補助
的な検証の対象にすぎな
い
7
合理主義的文法開発の落とし穴
(2/2)

定量的評価の不足
ツリーバンクの作成が困難
 文法を変更するとその都度正解が変化

Penn Treebankのようなツリーバンクに対して評価
すれば?
Penn Treebankにおける構文木の解釈と文法
開発者の構文木の解釈が異なるため、Penn
Treebankで評価するのは文法を開発するのに
匹敵するほど困難
8
経験主義的文法と合理主義的文法の
歩み寄り
経験主義的文法
合理主義的文法
コンピュータ
・ツリーバンク開発
S → NP VP
NP → DET N
NP → N
…
文法規則、辞書
・ツリーバンクの詳細化、構造化
・ツリーバンクからの文法抽出
ツリーバンク
9
文法とツリーバンクの双対性
(1/3)

経験主義的文法の中の文法的知識
コンピュータ
ツリーバンク
学習
ツリーバンク
評価
学習手法と評価にだけ注目されがちだが、、、
ツリーバンクに文法的知識
・ツリーバンク作成指針の中に暗
黙的に
・構文木の構造から文法や辞書を
作成するのに十分な情報
精度をあげるために文法的知識を導
入
・最初から文法的制約と構造をツ
リーバンクに導入したほうがすっき
り
10
文法とツリーバンクの双対性
(2/3)

合理主義的文法でのツリーバンク
S
NP-1
こういう構文木
をつくりたいか
らtheyはこん
な辞書項目で
VP
they VP
VP
S
did n’t have
NP
VP
*-1 to
文法規則は
これとこれ
で
VP
choose
NP
this particular moment
この辞書項目と
文法規則を組み
合わせるとこん
な構文木ができ
る
11
文法とツリーバンクの双対性
(3/3)

経験主義的文法

ツリーバンクに含まれる暗黙の文法
 ツリーバンク作成の指針に含まれる文法的知識
 構文木の構造に含まれる文法的知識

合理主義的文法

辞書項目と文法規則をつくる際に、構文木を
想定
12
文法の3つのリソース

文法開発では3つのリソースを想定してい
る
文法規則
ツリーバンク
辞書項目
13
経験主義的文法と合理主義的文法を
超えて

三つのリソースを同時につくれば万事解
決?
S → NP VP
NP → DET N
NP → N
…
ツリーバ
ンクだけ
いただき
ます
ツリーバンク、
文法規則、辞書
14
合理主義的文法開発のジレンマ

ツリーバンクと文法の不一致
辞書
データと理論の不一致?
文法規則
S → NP VP
NP → DET N
NP → N
…
≠
作成したツリーバンク
導出されたツリーバンク
15
文法理論の恣意性


同じような機能・構造によって分類
観点・基準によって分類が異なる




HPSG
LFG
TAG
…
c.f. 分類学 (進化分類学, 分岐分類学, 表形分類学)
極端な話、百人いれば百の文法理論がありうる!
16
星座と文法理論
あそこの
星の並び
が蟹にみ
えるなぁ
17
まぁ、星座の話はおいといて、、、

違う基準・違う方法論でつくるツリーバンクはな
かなか一致しない
直感+アノテーショ
ンガイドライン
辞書と文法規則によ
る文法理論
18
文法が先かツリーバンクが先か?
ツリーバンク
文法な
んかい
らねー
よ
文法
S → NP VP
NP → DET N
NP → N
…
不一致が生じた
ときにどちらを
修正すべきか?
どちらにあわ
せればいいの
だろうか?
どちらを先に
開発すべき
か?
19
文法を先につくる

文法がツリーバンクを説明
辞書と文法規則によ
る文法理論
・ツリーバンクは文法に導出される副産物
・文を解釈するときの観点・基準を与えるのが文
法なのだから、ツリーバンクは文法に従うべき
20
ツリーバンクを先につくる

ツリーバンクが文法を説明
直感+アノテーショ
ンガイドライン
S → NP VP
NP → DET N
NP → N
…
自分の頭の中にある文法
解析結果をまず外在化
外在化されたツリーバン
クを説明できるように文
法を開発、導出
21
合理主義的文法と経験主義的文法
を超えて
22
ツリーバンクと文法の協調関係

文法開発ではツリーバンクの役割が重要




曖昧性解消モデルのための統計情報を提供する
文法の不備・矛盾・間違いを検出する
構文解析・文生成の性能を客観的に評価する
ツリーバンク開発では合理的な構造化が必要

文法理論による構文構造の明示化



性能向上のために文法的知識を断片的に導入


より複雑な構造のアノテーション・文法開発を容易にする
統語構造の一般化 (例、能動態と受動態)
最初から文法的制約と構造化を導入したほうが良い
ツリーバンクの一貫性の向上
23
ツリーバンクと文法の開発

文法評価のためのツリーバンク

PARC 700 Dependency Bank [King et al. 2003]



Penn Treebank Section 23 から無作為に700文を抽出
English XLE パーザで構文解析し、人手で正解の
f-structure を選択
XLE パーザと Collins パーザを客観的に比較
[Kaplan et
al. 2004]



構文解析時間は Collins パーザが速い
構文解析精度は XLE パーザの方が高い
文法開発のためのツリーバンク


ツリーバンキング (文法が先の文法開発)
コーパス指向文法開発 (ツリーバンクが先の文法開発)
24
ツリーバンキング (文法が先)


文法開発過程にツリーバンク開発を組み込む
生コーパスを構文解析し、人手で正解を選択

Redwoods [Oepen et al. 2002], Hinoki [Bond et al. 2004]
編集
文法規則
辞書
検証
開発者
正解選択
ツリーバンク
構文解析器
生コーパス
25
ツリーバンキングの利点



効率的・系統的にツリーバンクが開発できる
ツリーバンクを曖昧性解消モデルの学習データと
して利用する [Toutanova et al. 2002]
ツリーバンク開発を通して、文法の不備・矛盾・
間違いを発見できる
文法規則
ツリーバンク
辞書項目
26
再考:辞書とツリーバンクの関係
品詞 動詞
主語 < >
目的語 < >
品詞 動詞
主語 <1 >
目的語 < >
品詞 名詞
1 主語 < >
目的語 < >
品詞
動詞
品詞
they 3 主語 <1 >
目的語 <2 >
3
副詞
修飾 3
主語 < >
目的語 < >
品詞
did
目的語 < >
品詞 動詞
主語 <1 >
目的語 <4 >
have
n’t

動詞
2 主語 <1 >
ツリーバンクがあれば、
葉ノードを収集すれば
辞書項目が得られる
品詞 動詞
4 主語 <1 >
目的語 < >
品詞 動詞
品詞 動詞
主語 <1 >
5 主語 <1 >
目的語 <5 >
目的語 < >
to
品詞 動詞
品詞 名詞
主語 <1 > 6 主語 < >
目的語 <6 >
目的語 < >
choose
this particular moment
27
ツリーバンク > 辞書
ツリーバンクがあれば辞書は得られる
 ツリーバンクの方が辞書より情報が多い

文法の不備・矛盾・間違いが検出できる
 統計情報が得られる

文法規則
ツリーバンク
辞書項目
28
コーパス指向文法開発
(ツリーバンクが先)

辞書の代わりにツリーバンクを作る


CCG [Hockenmaier et al. 2002], HPSG [Miyao et al. 2004]
辞書項目はツリーバンクから収集する
編集
文法規則
ツリーバンク
検証
辞書
文法開発者
辞書項目
収集器
29
コーパス指向文法開発の利点
ツリーバンクと辞書が同時に得られる
 ツリーバンク開発を通して、ツリーバンク
や文法規則の不備・矛盾・間違いを発見で
きる

文法規則
ツリーバンク
辞書項目
30
どうやってツリーバンクを作るの
か?
Penn Treebank を再利用し、文法規則に合
致するように変換
 文法開発=文法規則に合致するようにツ
リーバンクを編集する過程

HEAD verb
SUBJ < >
COMPS <
>
S
NP
HEAD noun
COMPS < >
VP
NL is ADVP
HEAD verb
SUBJ <1 >
COMPS < >
1 SUBJ < >
VP
officially making
HEAD verb
SUBJ <1 >
COMPS <2 >
NL
NP
the offer
HEAD verb
HEAD verb
2
HEAD verb
SUBJ <1 >
COMPS < >
HEAD verb
HEAD noun
SUBJ <1 > 4 SUBJ < >
3 SUBJ <1 > SUBJ < >
COMPS < >
COMPS <2 > COMPS < > COMPS <4 >
MOD
3
is
officially making
the offer
31
文法自動抽出との違い (1/3)

目標
文法自動抽出: なるべく人手を介在させず、す
でにあるリソースからいかに楽をして文法を
獲得できるか
 コーパス指向: なるべく人手を介在させて、い
かに良いコーパスをつくれるか(=良い文法
をつくれるか)


開発過程
文法自動抽出:全自動なので、アルゴリズム
ができれば数時間から数日
 コーパス指向: 手作業で半年から数年

32
文法自動抽出との違い (2/3)

品質管理
文法自動抽出: 抽出された文法を主に評価
 コーパス指向:

 ツリーバンク、文法規則は人間が管理する
 文法規則によるツリーバンクの構造化


ツリーバンクの品質が必然的に検証される
得られる辞書は文法規則に従うことが保証される
文法規則
文法規則
コーパス指向文法開発
文法自動抽出
ツリーバンク
ツリーバンク
辞書項目
辞書項目
33
文法自動抽出との違い (3/3)

品質管理の例 (Head Feature Principle)
HEAD verb
SUBJ <3 >
COMPS < >
VP
HEAD noun
<>
4 SUBJ
COMPS < >
SPR < >
NP
VBG
making
DT
the
NN
offer
HEAD verb
SUBJ <3 >
COMPS <4 >
making
1
HEAD det
HEAD noun
SUBJ < >
SUBJ < >
COMPS < > 2 COMPS < >
SPR <1 >
the
ツリーバンクの句構造が文法的制約を
満たしているかチェックされる
offer
34
HPSG ツリーバンク の開発

Penn Treebank の構造をHPSG理論に基づ
く構造に変換する

木構造変換・素性の追加
 下位範疇化、受身、命令形・疑問形、時制、格、量
化、control/raising、 small clause、長距離依存、
関係節、tough 構文、自由関係詞、並列構造、外置
変形、倒置、挿入、同格、引用、etc.

HPSG の文法規則を適用

文法規則やツリーバンクの不備・矛盾・間違
いは、制約違反として検出される
35
辞書・ツリーバンク開発の概要
S
NP
VP
VP
NL is ADVP
NP
officially making
HPSG 表現
へマッピング
the offer
HEAD verb
SUBJ < >
COMPS <
>
HEAD noun
SUBJ < >
COMPS < >
head-comp
HEAD verb
is
COMPS < >
1
HEAD verb
SUBJ < >
head-comp
head-mod
HEAD adv
HEAD verb
SUBJ <1 >
COMPS < >
1 SUBJ < >
HEAD verb
SUBJ < >
HEAD verb
HEAD verb
SUBJ <1 >
COMPS <2 >
NL
1
HEAD noun
SUBJ < >
COMPS < >
officially making the offer
>
辞書項目収集
HEAD noun
subject-head
>
HEAD verb
SUBJ < >
COMPS <
>
文法規則適用
HEAD verb
NL
make:
HEAD verb
SUBJ < HEAD noun
CONT 1
HEAD noun
COMPS < CONT
2
make’
CONT ARG1 1
ARG2 2
3
HEAD verb
HEAD verb
SUBJ <1 > SUBJ < >
COMPS <2 > COMPS < >
MOD
3
is
2
HEAD verb
SUBJ <1 >
COMPS < >
HEAD verb
SUBJ <1 > 4
COMPS <4 >
officially making
HEAD noun
SUBJ < >
COMPS < >
the offer
36
助動詞・control/raising

不飽和構成素を補語としてとるようにする
S
S
NP-1
they
1 NP-1
VP
VP
n’t
VP
they
S
have
NP
did
n’t
VP
VP
choose
NP
3
SUBJ < 1 >
to
VP
choose
SUBJ < 2 >
VP
have
VP
*-1 to
SUBJ < 2 >
=
did
VP
VP
SUBJ < 3 >
NP
this particular moment
this particular moment
37
長距離依存・関係節
NP
REL < >
SLASH < >
NP 2
SBAR
the energy and ambitions WHNP-3
1 REL < 2 >
REL <2 >
SLASH < >
S
that NP-2
SLASH <1 >
VP
reformers wanted
SLASH: 移動した項を表
す
 REL: 関係詞と先行詞の関
係を表す

SLASH <1 >
S
SLASH <1 >
NP
VP
*-2 to
SLASH <1 >
VP
SLASH <1 >
reward NP
*T*-3
38
HPSGのカテゴリへマッピング

(非)終端記号を素性構造へマッピング
NN
HEAD: noun
AGR: 3sg
VBZ
HEAD: verb
AGR: 3sg
VFORM: finite
TENSE: present
(普通名詞)
(三単現動詞)
39
具体例

“NL is officially making the offer”
HEAD verb
SUBJ < >
COMPS < >
S
NP
NL
HEAD noun
SUBJ < >
COMPS < >
VP
VP
VP
is officially making
the offer
HEAD verb
SUBJ <1 >
head-comp
HEAD verb
NL
NP
subject-head
head-comp
head-mod
HEAD verb
SUBJ <1 >
HEAD verb
HEAD adv
HEAD verb
HEAD noun
SUBJ < >
COMPS < >
is
officially
making
the offer
40
文法規則の適用

“NL is officially making the offer”
HEAD verb
SUBJ < >
COMPS < >
HEAD noun
SUBJ < >
COMPS < >
subject-head
HEAD verb
SUBJ <1 >
head-comp
HEAD verb
NL
head-comp
head-mod
HEAD verb
SUBJ <1 >
HEAD verb
HEAD adv
HEAD verb
HEAD noun
SUBJ < >
COMPS < >
is
officially
making
the offer
41
文法規則の適用

“NL is officially making the offer”
HEAD verb
SUBJ < >
COMPS < >
HEAD noun
1 SUBJ < >
COMPS < >
HEAD verb
SUBJ <1 >
COMPS < >
HEAD verb
SUBJ <1 >
COMPS <2 >
NL
HEAD verb
HEAD adv
3 SUBJ <1 >
COMPS <2 > MOD 3
is
officially
HEAD verb
2 SUBJ <1 >
COMPS < >
HEAD verb
HEAD noun
SUBJ <1 > 4 SUBJ < >
COMPS <4 >
COMPS < >
making
the offer
42
複雑な例
HEAD noun
SUBJ < >
COMPS < >
SPR < >
1
the
head
NP
HEAD noun
<>
2 SUBJ
COMPS < >
SPR <1 >
arg
NP
HEAD noun
SUBJ < >
COMPS < >
SPR <1 >
HEAD det
SUBJ < >
COMPS < >
SBAR
prices
HEAD verb
SUBJ < >
COMPS < >
SLASH <2 >
head
arg
the prices WHNP-1
S
head
arg
VP
0 NP
head
we were
head
arg
VP
arg
3
arg
charged *-2*T*-1
HEAD verb
SUBJ < >
COMPS < >
REL <2 >
HEAD noun
SUBJ < >
COMPS < >
we
HEAD verb
SUBJ <3 >
COMPS < >
SLASH <2 >
HEAD verb
HEAD verb
SUBJ <3 > 4 SUBJ <3 >
COMPS < >
COMPS <4 >
SLASH <2 >
were
charged
43
辞書項目の収集

HPSG構文木の葉ノードは、辞書項目の実
例
HEAD verb
SUBJ < >
COMPS < >
HEAD noun
1 SUBJ < >
COMPS < >
HEAD verb
SUBJ <1 >
COMPS < >
HEAD verb
SUBJ <1 >
COMPS <2 >
NL
HEAD verb
HEAD adv
3 SUBJ <1 >
COMPS <2 > MOD 3
is
officially
HEAD verb
2 SUBJ <1 >
COMPS < >
HEAD verb
HEAD noun
SUBJ <1 > 4 SUBJ < >
COMPS <4 >
COMPS < >
making
the offer
44
HPSG文法の評価実験

HPSG ツリーバンクから収集した辞書項目を評価




未知の文に対する被覆率
ツリーバンクのサイズと被覆率の関係
Penn Treebank Section 02-21 (39,832文) をHPSG
ツリーバンクに変換し、辞書項目を収集
テストデータ:Section 23 を HPSG ツリーバンク
に変換したもの (2,299 文)
45
被覆率と構文解析精度

被覆率: 99.8%


構文解析に成功した文の割合
構文解析精度: 適合率 90.44%,再現率 90.19%

述語-項関係の精度
ARG1
he
ARG2
girl
saw

強意の被覆率: 84.4%

構文森が完全一致の構文木を含む文の割合
46
被覆率
テストデータ中の辞書項目を文法が含ん
でいる割合を測定
 文中の全ての辞書項目が被覆されていれ
ば文が被覆されていると判定

未知語処理なし
未知語処理あり
辞書項目単位
96.52%
99.15%
文単位
54.7%
84.8%
47
ツリーバンクのサイズ vs. 被覆率
100
被覆率(%)
80
60
40
辞書項目の被覆率
文の被覆率
20
0
0
10000
20000
文数
30000
40000
48
まとめ (1/3)

合理主義的文法


人手による文法規則と辞書の開発と中心とした文法開発
合理的な利点



問題点




言語学的な妥当性
複雑な構造、深い構造の記述が容易
網羅性と一貫性のトレードオフ
曖昧性解消の先送り
性能評価の問題
経験主義的文法


ツリーバンクを中心とした文法開発
経験的な利点





文法とツリーバン
クの両方を開発す
ることが重要!
網羅性
一貫性
機械学習・統計学習が容易
評価も容易
問題点



正解の客観的基準が存在しない
深い構造・複雑な構造の品質管理は困難
自動的な文法抽出の妥当性
49
まとめ (2/3)

違う基準・違う方法論でつくるツリーバンクはな
かなか一致しない
経験主義的文法開発
合理主義的文法開発
直感+アノテーショ
ンガイドライン
辞書と文法規則によ
る文法理論
50
まとめ (3/3)

コーパスと文法の両方を開発


経験主義的文法と合理主義的文法の双方の利点
理論(=文法)とデータ(=ツリーバンク)をい
かに一致させるか?

ツリーバンキング(文法が先の文法開発)



コーパス指向文法開発(ツリーバンクが先の文法開発)




文法規則や辞書を優先し、ツリーバンクを開発
例: Redwoods, Hinoki, PARC 700 Dependency Bank
ツリーバンクを優先し、文法規則や辞書を開発
文法的知識をツリーバンクとして外在化
例: CCGツリーバンクからCCG文法、HPSGツリーバンク
からHPSG文法
講義資料
http://www.r.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/~ninomi/mistH21w/cl/
51
参考文献
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64
レポート課題

課題(いずれか一つ)

言語学、パージングもしくは機械学習に関する論文を一つ以上
読んで内容をまとめ、考察を加えよ。ただし、論文は次の国際
会議から選ぶこととする。





授業内容でよくわからなかった箇所を教科書やスライドを頼り
に例題を作りつつ内容をまとめ、考察せよ




NLP系の国際会議: ACL, NAACL, EACL, COLING, EMNLP
機械学習系の国際会議: ICML, NIPS, COLT, UAI, AIStats
人工知能系の国際会議: IJCAI, AAAI
データマイニング系の国際会議: KDD, SDM, ICDM
例: CCGやHPSGで簡単な文法を紙の上に書き、紙の上で構文解析
例: 正規分布の混合分布に対するEMの導出
例: エントロピー最大化によるパラメータ推定とパラメトリック形式
の最尤法によるパラメータ推定が一致することを確認
授業内容に関連する内容を発展させた内容を調査もしくは考察


例: 最大エントロピー法のスムージングのための正規分布の事前分布
例: 準ニュートン法について調べる
65
レポート課題
A4で4ページ以上
 日本語か英語
 締切: 2010年2月17日(水曜)
 提出先



工学部6号館 1F 計数教務室
レポートには所属、学籍番号、名前を記入
66