Sexual selection on wing interference patterns in Drosophila melanogaster N. Katayama, J. K Abbott, J. Kjærandsen, Y. Takahashi, and E. I Svensson. (2014) Proceedings of the National Academy of Sciences. 111: 15144-15148 片山なつ 日本女子大学・理学部 Wing interference patterns (WIPs) 膜翅目や双翅目に属する小 さな昆虫の翅は、二層膜干 渉による構造色をもつ。 明るい背景では見えないが、 背景が暗いと明確な色が認 識できる。 種 間 や 雌 雄 間 で WIPsに 違 い がみられる。 Fig.1. Wing interference patterns in D. melanogaster. Three representative WIPs found among the 34 DGRP lines and a WIP of LHM outbred line. 疑問:WIPsの生物学的意義は? 目的 キイロショウジョウバエにおいて、 WIPs が 性 選 択 を 受 け て い る か 検 証 す る メ ス は オ ス の 翅 の WIPs に 対 し て 好 み を も つ か 。 暗い背景において、その好みはより明確になるか。 メ ス の WIPsに 対 す る 好 み を 調 べ る た め 、 DGRP近 交 系 統 の オスを用い、白背景と黒背景 でメスの交尾行動を観察した。 黒背景 白背景 交配実験 1. LHMメスとDGRP系統のオスのペアをバイアルに入れる。 2. 交尾までの時間を計測する。 3. 交尾までの時間を補正して、各系統のオスの魅力 の 指 標 で あ る 変 数 ”attractiveness” を 得 る 。 4 . 黒 背 景 で の att を 白 背 景 で の att の 残 差 を 用 い て 、 WIPs の 色 と att 残 差 の 関 係 を 検 定 す る 。 メスはオスの翅のWIPsに対し好みをもつ 残 差 attractiveness に 対 す る 彩 度・色 相・明 度 の 効 果 を 調 べ た 。 より彩度が高い鮮やかな翅をもつ系統がモテた。 黄色や青よりもマゼンダに近い翅の魅力が高かった。 キイロショウジョウバエにおいて、 WIPs は 配 偶 者 選 択 に お け る オ ス の シ グ ナ ル として機能する。 彩度は高くなるほど魅力が高くなる方向性選択が働く。 色相に対しては、特定の色が好まれる安定化選択が働く。 ➡それぞれ異なる選択が検出された。 WIPs は 翅 の 厚 さ に よ っ て 決 定 さ れ て い る 。 マゼンダは用いた近交系統の翅の中で中間的な形質である。 ➡飛翔能力など他の要因に対する自然選択も考えられる。 WIPs は ハ エ 類 に お い て 選 択 を 受 け る 形 質 で あ る と 考 え ら れ、他の形質とも関連した進化的研究が期待される。
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