γ線AGNの系統的モニター観測

γ線電波銀河NGC1275のVLBI観測
永井 洋
(国立天文台)
Contents
• NGC1275/3C84のバックグラウンド
• Fermiによるγ線放射の検出と、VERAを用いた
VLBIモニター観測(Nagai+ 2010)
• VLBA 43GHzを用いたジェットの固有運動の詳
細研究 (Suzuki, Nagai, & Kino et al. submitted
to ApJ)
• GENJIプログラムの紹介
X-ray image of NGC1275
•ペルセウス銀河団のcD銀河 (z=0.0176)
Optical image of NGC1275
•“cooling-core” cluster.
•Seyfert 1.5
•電波源3C84として有名
Pedler+ 1991
40 pc
10 kpc
50 kpc
Radio image (DRAGNs/Leahy+)
VSOP 5GHz
Vermeulen & Taylor 1996
5 pc
pc-数10kpcスケールにわたっ
て複数のローブ構造
間欠的な活動?
Asada+ 2006
gamma-ray and radio lightcurve of 3C84
COS-B
γ-ray
Fermi error circle
Kataoka+ 2010
Fermi
EGRET
Radio
Abdo+ 2009 (Corresponding author: J. Kataoka)
10年のタイムスケールでγ線と電波の強度変動が相関 -> 電波
増光領域とγ線発生領域が同一!?
CenA
M87
10 kpc
1 kpc
•3天体とも近傍のFRI
•リカレントの兆候
•内側には若い電波源
NGC1275
1 pc
Nagai et al. 2010, PASJ
Observation date is denoted by year/(day of the year)
C1に対するC3の相対速度~ 0.2c (Γ~1)
C1
C2
C3
1 pc
•電波増光は中心1 pc以内に起因
•新たな成分C3の出現
Nagai et al. 2010, PASJ
C3のC1に対する相対速度
•C3の速度はΓ~1
•減速の兆候??
分解能・FFAの問題でさらなる検証
が必要
•One-zone SSC model
Γjet~1.8
Θjet~25 deg
•Deceleration model
Γjet~ 10 -> 2
Suzuki, Nagai, & Kino et al. 2011 submitted to ApJ
•最高分解能を持つVLBA@43GHzのデータ解析
•より増光初期にさかのぼって、ジェットの速度を調査
•観測装置:VLBA(米国)
•観測周波数:43GHz (~0.3 mas)
•データ:2002年1月-2008年11月
の全28エポック
•“スナップショット”のデータの
ため、サイドローブの影響によ
る位置推定の系統誤差が含ま
れている可能性がある
•近接するエポック(~1週間)
の観測データを比較して、成
分の位置ずれを評価 -> 位置
測定の誤差とする
C3の位置変化
•0.1c -> 0.47 c
•Subpcスケールで加速
•Nagai+2010で論じたようなsuperluminal -> subluminalの減速は見れず
•依然としてsub-relativistic
C3がγ線源だと想定した場合、VLBIで測定した物理量を考慮した
one-zone SSCモデルでSEDを再現できるか?
Fermiが初めてγ線を検出した2008年8月頃の速度 0.44c (Γ=1.19, δ=1.65)
サイズ:1.9×1017 cm (実際の測定値を若干チューニング)
C3の22-43GHz間のスペクトル指数 α~-0.9 (optically thin)
Abdo+2009ではγmin~100 -> 22-43GHzはLECよりも低周波だったが、観測
と合わないので、γmin~1でフィット
LEC
γmin=1
γmax=7.5×104
s=1.2
B=0.37 G
今回VLBAで測定されたフラックス
ちょうどSSAピークのあたり ⇔ αobs ~-0.9
まとめ
• Subpcスケールにおけるジェットの加速を検出
(0.1c-0.48c)
• 測定された速度・電波強度・サイズに基づいて
SSCフィットを試みたが、43GHzにおけるスペクト
ル指数がα~0になり、観測されたC3のスペクトル
(α~-0.9)と矛盾する
• C3の1-zone SSCで観測されたγ線光度を説明する
のは困難
• γ線源はC1に埋もれている??
– 将来のサブミリ波VLBIに期待
– ALMAを使った準備研究を検討中
GENJIプログラムの紹介
GENJIプログラムとは
• GENJI=Gamma-ray Emitting Notable-AGN Monitoring
by Japanese VLBI
• VERAを用いた、高頻度
の活動銀河核ジェットモニ
ター観測
– 観測周波数:22GHz(典
型的分解能~1ミリ秒角)
– 8天体
– 1天体あたり、約1~2週間
に1回の頻度で観測
背景
• Fermiγ線望遠鏡、チェレ
ンコフ望遠鏡の登場によ
り、AGNの新たな多波長
研究時代の幕開け
– 900を超えるAGNでγ線を
検出
– 新たなAGN種族からのγ線
の発見
Fermi.
H.E.S.S.
MAGIC
VERITAS
γ線源の所在はどこか?
ジェットの下流?
電波コアの上流?
電波コア?
ねらい
γ線AGNの系統的モニター観測
1. 電波コアの変動とγ線変動の関係
 変動が同期 ⇒γ線放射領域は電波コアの中にある
 電波がdelay ⇒放射領域が光学的に厚い
 変動が無相関 ⇒放射領域が空間的に異なる(多層
構造など)
2. ジェットの下流あるいは広がった領域における
フレア成分の有無(e.g., M87 におけるHST-1)
3. ジェットの固有運動と、γ線放射から期待される
ローレンツ因子との関係
観測概要
• VERAの“フリンジファインダー”としてGENJI天
体を観測 -> ~5分×6スキャン/観測
• 8天体 -> 1天体あたり~2週間の頻度
• 2010年11月からスタート
結果
DA55、DA406:新沼
3C84:永井、日浦(北大)
M87:秦(総研大)
PKS1510-091:小山(東大)
NRAO530、3C454.3:秋山(東大)
NRAO530、3C454.3
Akiyama+ in prep.
• γ線フレア直後のフォローアップに成功
• 22GHz帯は緩やかな反応 ⇒ γ線放射領域は
22GHz帯では光学的に厚い?
• 新たなジェット成分の噴出は未同定。さらなるモ
ニター観測が必要。
3C84
Fermiによるγ線検出に先だって、電波
増光・新たな成分の噴出を確認
(Nagai+ 2010)
Nagai+ in prep.
他波長との共同研究が進行中 -> Stay tuned!
近赤外線:水野+ (鹿児島大)、可視光・X線:山崎+ (広島大)、TeV-γ線:高見+ (MPIfP)
PKS1510, DA55, DA406
PKS1510
DA406
DA55
まとめ
NGC1275を中心に、電波観測の観点から見た多波長研
究への展望・現時点での問題点を紹介
•NGC1275のC3成分について、VLBI観測で求められた、速度、サ
イズ、明るさ、スペクトルを用いると、1-zone SSCでSEDを再現す
るのは難しい
より根元にγ線源が存在?
1-zoneの破綻?
•GENJIプログラムの紹介:他のブレーザーでも同様の研究を展
開