証券化とは何か 証券ゼミナール大会 2012年12月14日~15日 証券化ブロック 講師 福光 寛(成城大学経済学部教授) 証券化とは何かいくつかの定義方法の存在 • 間接金融の直接金融への移行 相対型から市場型へ シンジケートローンなど市場型間接金融 含意:相対型条件から市場型条件への移行 • 資産の証券化 ABS、MBSなど 含意:すでに存在する不動産や貸付債権などの流動化 • 事業の証券化 LBO、MBO、PFIなどで応用 含意:今後発生するCFをどう見込むか • 投資の証券化 REITなど投資信託投資法人の導入 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2012 2 証券には2つのタイプがある • 収益が確定的なもの 例示 固定利付債券 解釈 他人資本にとどまり自己資本としてのリスクを負担していない。 • 収益が不確定なもの 例示 株式 解釈 自己資本としてのリスクを負担している • 証券の特徴:同一権利内容のものに細分できる(分割可能性)また譲渡で きる(譲渡可能性、売買可能性)。発行側からは資金調達。購入側からは資 金運用。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2012 3 募集にも2つのタイプがある • 私募private placement 証券化の多くはこの私募によるものだったと 考えられる。 • 公募public offering Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2012 4 これらの定義に共通していた要素とは何か • 証券化するCFを特定していること(担保資産を特定したノンリコース型 であること) • リスクに見合ったリターンの追及(背景にある政策的低金利問題) • 特定することで生まれるメリット 権利義務関係の透明化 • 格付け機関の関与 • オフバランスシート化の追及 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2012 5 見直される証券化 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2012 6 格付け機関への 批判 • 投資家の判断で大きかった存在(格付け機関への依存) • 異なる投資対象を同じ表記で示す矛盾 • 繰り返された突然の格下げ • スキームの遠隔化、複雑化 • 収入源となる証券化を意図して拡大したという批判を浴びる Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2012 7 オフバランスシート化の挫折 • 証券化はオフバランスシートのため。あるいはオフバランスシートが可能であ るため、過大なリスク取り入れが行われたとの批判。 • オフバランスシート化は、企業活動の実態を過少に示すとの反省。 • 投資家にとっては、オフバランスシートでない方がより安全という考え方の拡 大。→カバードボンド。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2012 8 証券化の復活 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2012 9 低金利下の運用対象としての見直し進む • 不動産投資で復活の兆し(REIT 不動産ファンドなど 今後は国 外での展開が加速が見込まれる)。 • 公共事業における予算制約 大規模公共事業の必要性 → 多種多 様なPFIが急速に拡大する可能性。 • 事業会社の業務内容再編の動き あるいは株価下落そのものが企業再 編:M&Aをもたらし証券化手法による資金調達の拡大につながる。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2012 10 注意すべき 証券化の制約 • コベナンツファイナンス(CF使途の制約 財務上の条件の厳守 Co C=Change of Control条項など)を事業展開上の制約とみる動き もある Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2012 11
© Copyright 2024 ExpyDoc