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第7回
自己株式(その1)
1
本日のテーマ
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「自己株式」の意義
合意による自己株式取得手続
その他の自己株式取得手続
取得された自己株式(金庫株)の地位
2
総論
I. 自己株式の意義
1. 広義の自己株式
会社が自社の発行した株式を再度取得する場合の取
得された自社の株式
⇒広義の自己株式は取得原因や取得方法を問わない
2. 狭義の自己株式
株主との合意によって取得された自社の株式
3
II. 広義の自己株式取得における弊害と必要性
1. 弊害
 資本充実・維持を害し債権者を害するおそれがある(出
資の払戻しにあたる)
2. 必要性の有無
① 株主の利益保護のために取得が必要な場合(株式買取
請求)
② 株式の内容として取得が予定されている場合(所得条
項付株式、取得請求権付株式等)
③ 第三者の行為に付随して、非自発的に取得する場合
(配当として受領、組織再編の相手方が保有する自社
株の取得等)
④ 会社の便宜のための取得(合意取得、株主管理のため
の取得等) ⇒必要性は低い
4
III. (広義の)自己株式にかかる規制
1. 規制手法
①
②
③
④
数量規制
目的規制 ⇒①②はH13商法改正で撤廃
手続規制
財源規制
2. 手続規制の基本的な考え方
 任意取得(合意取得)の場合には、①機関決定の適切
性、②株主平等、③配当手続規制、の3点を考慮
 強制取得の場合には、強制される株主の保護を考慮
5
3. 財源規制の基本的な考え方
 株主保護のために必要な取得は財源規制なし。ただ
し株式の変動にかかる買取請求については取締役に
賠償責任
 それ以外は財源規制あり。出資の払戻しは許されない
ことから、財源は分配可能額に限定
4. 取得した自己株式に対する規制
① 議決権の歪曲を防止するための規制
② 処分時における新株発行規制潜脱の防止
6
*取締役会非設置会社では株主総会決議
**取締役会非設置会社では取締役の決定
自己株式取得許容事由一覧
取得事由
取得許容根拠
行為根拠
手続規制
財源規制
株
式
内
容
取得請求権付株式
会155④
166
なし
効力不発生
取得条項付株式
会155①
107Ⅱ③イ
なし
効力不発生
全部取得条項付種類株式
会155⑤
171
総会決議
あり
買
取
請
求
株式の変動/併合にかかる買取請求
規27⑤
116,182の4
なし
賠償責任のみ
組織再編等にかかる買取請求
規27⑤
469,785,797,806
なし
なし
単元未満株式買取請求
会155⑦
192Ⅰ
なし
なし
会155③
156以下
別掲
あり
譲渡制限株式の先買い
会155②
138①ハ②ハ
取締役会*
あり
相続人等に対する売渡請求
会155⑥
176
なし
あり
所在不明株式の競売に代わる取得
会155⑧
197Ⅲ
取締役会**
あり
端数株式の競売に代わる取得
会155⑨
234Ⅳ
取締役会**
あり
無償取得
規27①
なし
なし
N/A(出捐なし)
他社の配当、残余財産分配として取得
規27②
N/A
(勝手に交付
される)
N/A
N/A(出捐なし)
なし
なし
N/A(出捐なし?)
7
合意による取得
株
主
管
理
他社の組織再編等の対価として取得
そ
の
他
他社発行の取得条項付株式、全部取得
条項付種類株式の対価として取得
他社の新株予約権の対価として取得
事業全部の譲受け、合併、吸収分割に
よる他者からの承継
権利の実行に必要不可欠
規27③イ~ハ
規27③ニホ
規27④
会155⑩~⑫
規27⑥⑦
規27⑧
自己株式取得と財源規制
行為根拠
財源規制
根拠規定
規制(しない)理由
株
式
内
容
取得請求権付株式
166
効力不発生
166Ⅰ但
コントロールできない
取得条項付株式
107Ⅱ③イ
効力不発生
170Ⅴ
コントロールできない
全部取得条項付種類株式
171
あり
461Ⅰ④
取得しなければよい
買
取
請
求
株式の変動にかかる買取請求
116,182の4
賠償のみ
464
株主保護と財源規制の調整
組織再編等にかかる買取請求
469,785,797,806
なし
―
株主保護
単元未満株式買取請求
192Ⅰ
なし
―
株主保護
156以下
あり
461Ⅰ②③
取得しなければよい
譲渡制限株式の先買い
138①ハ②ハ
あり
461Ⅰ①
第三者に取得させればよい
相続人等に対する売渡請求
176
あり
461Ⅰ⑤
取得しなければよい
所在不明株式の競売に代わる取得
197Ⅲ
あり
461Ⅰ⑥
競売すればよい
端数株式の競売に代わる取得
234Ⅳ
あり
461Ⅰ⑦
競売すればよい
合意による取得
株
主
管
理
※ここに掲載されていない取得については会社から出捐がない(よく
考えると損失を観念できる可能性のあるものもあるが)、または他
者(他社)から交付される場合が多いので財源規制になじまない
8
狭義の自己株式取得(合意取得)
I. 合意取得の意義
1. 合意取得
 個別の株主と会社の合意より会社が取得
2. 合意取得の法的性質
 会社と譲渡株主の間の純粋な取引行為
 自己株式の承継取得は理論的には問題なく可能であり、
規制は政策的な理由による
 現在では合意取得は剰余金の配当の一種として扱う
9
II. 合意取得の功罪
1. 弊害
① 資本充実・維持を害し債権者を害するおそれがある(出
資の払戻し)
② 一部の株主にのみ売却機会が与えられ株主平等を害
する
③ 議決権が歪曲され、経営陣の会社支配に用いられる
④ 相場操縦、インサイダー取引に用いられる
2. メリット
① 株主に対する直截的な利益還元の手段
② 市場の流通株式数を適正に保てる(=株価維持)
③ 買収防衛策として使える
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III. 合意取得に対する規制
1. 規制の基本的な考え方
①
②
③
④
資本充実の要請に対しては財源規制で対応
株主平等については手続規制で対応
議決権歪曲に対しては議決権の停止で対応
配当の一種なので少なくとも配当と同様の決定手続き
2. 財源規制の基本的な考え方
 株主保護のために必要な取得は財源規制なし。ただし
株式の変動にかかる買取請求については取締役に賠
償責任
 それ以外は財源規制あり
11
IV. 合意取得の手続規制
1. 基本
①授権(取得数上限、対価額上限、期間〔1年以内〕)
②個別の取得決定
取得態様
ミニ公開買付け
特
相対
定
か の 市場価格
ら 株 相続人等
取主
子会社
得
市場取引
条文
授権
156- 株主総会
158
特別決議
160
161
決定
通知公告
売主追加請求
取締役会
全株主
N/A
あり****
株主総会
特別決議*
取締役会
特定の株主
なし
なし
162
163
取締役会**
代表取締役**
なし
なし
165
取締役会***
代表取締役***
なし
なし
* 譲渡株主は議決権行使ができない(会160Ⅳ)
**取締役会非設置会社においては株主総会普通決議で授権し取締役が決定
***定款の定めが必要。定款の定めのない取締役会設置会社(および取締役会非設置会社)
においては株主総会普通決議で授権し、(代表)取締役が決定
****売主追加請求権は定款で排除可能(164Ⅰ)。ただし定款変更には、対象となる株式を有
するずべての株主の同意が必要(同Ⅱ)
12
2. 売主追加請求手続
i.
株主への通知(会160Ⅱ、規28)
株主が売主追加の議案提案権を有することの通知
通知時期は招集通知発送とリンク(会299参照)
① 招集通知が2週間以前(公開会社):2週間前
② 招集通知が1週間前~13日前:招集通知発送時
③ 招集通知が当日~6日前:1週間前まで
④ 招集手続の省略(会300)の場合:1週間前まで
ii. 株主からの売主追加請求(会160Ⅲ、規29)
a.
b.
←株主提案権(会304)の特則と同時に株主平等原則の具体
化
上記①の場合:5日前まで
上記②~④の場合:3日前まで
※a.b.いずれも定款で締切延長可
13
IV. 合意取得にかかる財源規制
① 合意取得は剰余金の配当の一種として配当財源規制
に服する(会461Ⅰ②③)
② 財源規制違反の合意取得の効果については議論が分
かれているが、多くの学説は、譲渡株主は、無過失で
あっても受領した対価の全額を返還すべきであるとする
(後述)
14
合意取得以外の取得
I. 会社法上問題となりうる取得
① 取得請求権付株式の取得(会166-167)
② 取得条項付株式の取得(会168-170)
③ 全部取得条項付種類株式の取得(会171-173)
④ 相続人等に対する売渡請求(会174-177)
⑤ 株式買取請求(会469等)
⇒それぞれ制度理解が必要(株式買取請求が最頻出)
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取得請求権付株式
1. 意義

株主からの取得請求によって、会社が自動的に当該株
式を取得
2. 取得請求権

取得請求権行使に期限・条件を付すことは可能
①
②
取得請求権の行使期間を予め定款で規定
請求権行使を一定の条件に絡めることも可能
3. 対価
① 当該会社の株式(種類株式の場合のみ)
② 当該会社の社債、新株予約権、新株予約権付社債
③ ①②以外の財産
16
4. 取得手続
i.
ii.
株主が請求権を行使する株式の(種類と)数を明らかに
して取得を請求
請求の日に会社は株式を取得。
5. 財源規制

対価の額(自社の株式以外)が分配可能額を超える場
合には、取得請求は効力を生じない
※当該請求全部が無効(分配可能額超過部分だけが無効になるの
ではない)
 会社と(元)株主間は不当利得で調整
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取得条項付株式
1. 意義

一定の条件が整うと自動的に当該株式を会社が取得
※取得条項を付すには当該株式を有する株主全員の同意(会110)
2. 取得事由

一定の事由が生じた日に取得
①
②
③
確定した日付の到来
ある特定の事実の発生
会社が別に定める日の到来
※一部株式を取得する場合にはその旨を定款に記載。発行済株式
の全部を取得できるか否かは争い
3. 対価
① 当該会社の株式(種類株式の場合のみ)
② 当該会社の社債、新株予約権、新株予約権付社債
③ ①②以外の財産
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4. 取得手続
i.
取得条件が会社が別に定める日の場合には、会社によ
るその日の定め(会168Ⅰ)
※取締役会設置会社は取締役会、非設置会社は株主総会(定款で
別段の定めが可能)
※この場合、対象株主・質権者に通知・公告
ii.
「一定の事由が生じた日」に会社は自動的に会社は株
式を取得。
※上記iの場合には通知・公告後2週間経過が必要
5. 財源規制

対価(自社の株式以外)の額が分配可能額を超える場
合には、当該取得は効力を生じない
※当該取得全部が無効(分配可能額超過部分だけが無効になるの
ではない)
 会社と(元)株主間は不当利得で調整
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株式買取請求
I. 株式買取請求権の意義
1. 会社法制定以前の意義
① 会社の基礎的変更における離脱の機会の保障
② 総株主の同意を緩和することに対する補償
2. 会社法制定後の意義


会社の基礎的変更のほか、株主の重大な地位の変動
に際して離脱の機会を保障
株主総会決議との関係が切り離された
II. 株式買取請求権が与えられる場面
①
②
③
④
株式の内容の変更(会116)
事業譲渡(会467以下)
組織再編
株式併合で端数が生じる場合、単元未満株式
20
I. 株式買取請求権の付与
1. 株式買取請求権が与えられる場面
①
②
③
④
株式の内容の変更(会116)
事業譲渡(会467以下)
組織再編
株式併合で端数が生じる場合、単元未満株式
2. 株式買取請求権が与えられる株主
①
今の会社から追い出される株主(消滅会社、完全子会社)
②
他の会社から財産を承継する会社の株主(存続会社、承継会
社、完全親会社)
③
他の会社に財産を移転する会社の株主(分割会社) 〔例外あ
り〕
株式の内容の変更の場合には変更される株主
株式併合により端数が生じる株主(端数部分)、単元未満株主
④
⑤
21
3. 株式買取請求権が与えられない株主
① 組織再編等において切り離す財産が僅少である場合
 事業の一部譲渡(会467Ⅰ②括弧書き参照)、会社分割に
おいて譲渡・分割対象が分割会社の総資産の1/5以下の
場合(会785Ⅰ②)
② 組織再編等において払い出す対価が僅少な場合(簡易手続)
 簡易事業譲渡における譲受会社株主(会469Ⅰ②)、簡易
組織再編手続で総会決議が省略される存続会社、承継会
社、完全親会社の株主(会785Ⅰ②、797Ⅰ但)
③ 組織再編等を主導する株主
 略式手続における特別支配会社の株主(会469Ⅱ②括弧、
785Ⅱ②括弧書き等)
④ 総株主の同意を要求される場合
 吸収型組織再編において対価として持分が交付される場合
(会785Ⅰ①)、新設型組織再編において持分会社が新設さ
れる場合(会806Ⅰ①)
⑤ 残余財産分配によるべきである場合
 事業の全部譲渡と同時に解散する場合(会469Ⅰ①)
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株式買取請求手続一覧(現行)
単元未満株式買取請求は省略
条文
対象者
株式の内容
の変更
株式併合
事業譲渡
吸収型
組織再編
新設型組織再編
116,117
182の4,182の5
469,470
785,786,797,798
806,807
変更対象株主
端数を
生じる株主
(端数部分)
簡易手続会社
株主・特別支配
会社以外
簡易手続会社
株主・特別支配
会社以外
全株主
①議決権行使可能株主は反対の意思を予め通知し、決議に反対した者
反対株主
の要件
②議決権行使のできない株主は全員
③総会決議→〕
通
知
〔→省略時はすべての株主
期日
当該行為の効力発生日の20日前まで
内容
当該行為をする旨
方法
通知または公告
総会決議後2週間以内
当該行為をする旨と相手方の商号・住所
①公開会社か、総会決議を経た場合には通知または公告
②上記①以外の場合は通知
請求期間
効力発生日の20日前から効力発生日の前日
通知・公告の日から20日以内
価格決定
申立期間
効力発生日後30日以内に協議が
調わなければその後30日以内
設立後30日以内に協議が
調わなければその後30日以内
代金支払
効力発生日後60日以内
設立後60日以内
効力発生
効力発生日
赤字:H26改正での変更点
23
株式買取請求手続一覧(改正前)
単元未満株式買取請求は省略
条文
対象者
反対株主要件
株式の内容の変更
事業譲渡
吸収型組織再編
新設型組織再編
116,117
469,470
785,786,797,798
806,807
変更対象株主
全株主
簡易分割会社以外
全株主
①議決権行使可能株主は反対の意思を予め通知し、決議に反対した者
②議決権行使のできない株主は全員
③総会決議省略時はすべての株主
期日
通
知
内容
方法
当該行為の効力発生日の20日前まで
当該行為をする旨
当該行為をする旨と相手方の商号・住所
①公開会社か、総会決議を経た場合には通知または公告
通知または公告
②上記①以外の場合は通知
買取請求期間
効力発生日の20日前から効力発生日の前日
価格決定
申立期間
効力発生日後30日以内に協議が
調わなければその後30日以内
代金支払時期
効力発生日後60日以内
買取効力発生
総会決議後2週間以内
効力発生日
消滅会社/完全子会社
・・・効力発生日
それ以外 ・・・代金支払日
通知・公告の日から20日以内
会社成立後30日以内に協議が
調わなければその後30日以内
会社成立後60日以内
効力発生日(新会社成立日)
24
IV. 株式買取請求手続
1. 「反対株主」
i.
ii.
規定
A)
対象となる行為が株主総会決議によるものの場合、議決権を
行使できる株主はあらかじめ会社に反対を通知し、総会で反
対の議決権行使をすることが必要
B)
対象となる行為について総会で議決権行使をできない株主、
あるいは当該行為について総会決議が要求されない場合には、
特段の行為は不要
論点
 当該株主総会の基準日後株主について、この者を「議決権行使
ができない株主」として扱ってよいかどうかについては議論があ
る(肯定:東京地決H25.9.17H25重判商3〔価格決定〕)
 さらに、当該株主総会後に株式を取得した者をどうするかも問題
になるが、こちらは否定説が多数
25
2. 手続
 対象となる株主は規定の日までに買取を求める株式
数を明らかにして会社に買取請求(次期改正で、株券
発行会社については請求時に会社に株券を提出)
 買取価格の協議が調えば、効力発生日後60日以内
に会社は請求株主に代金支払い(それ以降は遅延損
害金発生)
 買取価格の協議が調わない場合には、効力発生日後
30日以内に裁判所に価格決定の申立て
 価格決定後に会社は代金支払い(決定が効力発生日
から60経過後であれば遅延損害金発生)
 株式買取りの効力発生時期は、対象となる行為の効
力発生日(H26改正前はバラバラだったが統一)
26
V. 価格の算定方法
1. 総論


改正前商法・・・「決議ナカリセバ有スベキ価格」
現行会社法・・・「公正な価格」
2. 組織再編・事業譲渡における価格決定方法
A) プラスのシナジーが発生する場合

B)
請求株主は企業価値の評価に不満がある(自社が不当に低く
評価されていると感じている)のだから、行為によって生じるで
あろうシナジーを含む適切な企業価値を算定し、それを元に買
取価格を決定(シナジー反映価格)
企業価値が低下する場合

請求株主はそのような行為自体に反対しているのだから、行
為が行われなかったと仮定して算出した企業価値を元に買取
価格を決定(ナカリセバ価格)
27
3. 価格決定
A) 当事者が独立当事者か否か
B)

独立当事者であれば基本的にシナジーは適切に分配されてい
ると推認(請求株主側に証明責任)

独立当事者でなければ会社側がシナジーが適切に分配されて
いることを証明
組織再編等によって企業価値が低下するか

企業価値の低下(あるいは企業価値算定の不公正による)株
主の価値の低下)については会社側が証明責任を負う(企業
価値、株主価値が低下していないことを疎明。ただし上記(A)に
留意)

企業価値の低下は、当該会社の株価下落と市場のインデック
スの下落率の比較で判断
※組織再編等が公開買付けに引き続いて行われる(いわゆる
二段階買収)場合には、買取価格は公開買付価格を基準と
することが多い
28
取得された自己株式の地位
29
I. 金庫株の地位
1. 自益権および共益権の扱い
権利
有無
条文
理由
剰余金配当請求権
なし
453
配当の繰延べ防止
残余財産分配請求権
なし
504Ⅲ
分配の循環防止
新株引受権
なし
202Ⅱ
自己株式増加防止
なし
186Ⅱ
同上
あり?
182
争い有り
株式併合
あり?
184Ⅰ
自己株式比率上昇防止
組織再編等における対価の交付
(抱合せ株式)
なし
749Ⅰ③,
753Ⅰ⑦
自己株式増加防止
議決権
共
益 議決権を根拠とする監督是正権
権
それ以外の監督是正権
なし
308Ⅱ
議決権歪曲防止
自 株式無償割当
益
権 株式分割
なし
意味がない
なし
意味がない
30
2. 自己株式取得によるその他の変動
i.
ii.
発行済株式総数

発行済株式総数は(消却をしない限り)変動しない

ただし、少数株主権の要件の算出においては、自己株式が
発行済株式総数から除外される場合がある(会854Ⅰ②イ)
議決権数

通常は、議決権比率の計算の分母からは除外される(会
309Ⅰ「議決権を行使することができる株主の議決権」)

例外的に、特別支配会社・特別支配株主の判定の場合に
は分母に算入
II. 金庫株の処分
1. 株式の消却
⇒詳細は次回
2. 自己株式の処分
⇒新株発行で
31
III. 自己株式の会計処理
1. 自己株式取得
① 支払った取得対価が資産の部から減少
② 取得した自己株式は資産の部に計上せず、資本の控除
項目(マイナス)として表示(計算規76Ⅱ柱書き、⑤)
スタート時点
自己株式を100,000で取得
資産
1,500,000 負債
600,000
資産
現金
1,000,000 借入金
600,000
現金
900,000 借入金
600,000
500,000 純資産
900,000
その他
500,000 純資産
800,000
資本金
350,000
資本金
350,000
資本準備金
350,000
資本準備金
350,000
その他
資本剰余金
50,000
その他
資本剰余金
50,000
その他
利益剰余金
150,000
その他
利益剰余金
150,000
その他
1,400,000 負債
自己株式
600,000
△100,000
32
2. 自己株式と剰余金の配当
① 剰余金の計算においては自己株式は仮に資産計上す
る(実際には計算規則で[その他資本剰余金+その他
利益剰余金]で計算)
② 分配可能額計算時に自己株式の帳簿価格を控除
自己株式取得と分配可能額
資産
1,400,000 負債
600,000
現金
900,000 借入金
600,000
その他
500,000 純資産
800,000
資本金
350,000
資本準備金
350,000
その他
資本剰余金
50,000
その他
利益剰余金
150,000
自己株式
△100,000
剰余金(会446、計算規149)
←分配可能額計算時に剰余金
から控除(会461Ⅱ③)
33
3. 自己株式の処分
① 受領した処分対価が資産の部に計上
② 処分した自己株式が資本の控除項目から削除され、処
分差益・差損はその他資本剰余金となる(計規14Ⅱ①)
※消却時はその他資本剰余金から自己株式の帳簿価格を引く(同24Ⅲ)
自己株式取得中
資産
自己株式を170,000で売却
1,400,000 負債
600,000
資産
1,570,000 負債
600,000
1,070,000 借入金
600,000
500,000 純資産
970,000
現金
900,000 借入金
600,000
現金
その他
500,000 純資産
800,000
その他
資本金
350,000
資本金
350,000
資本準備金
350,000
資本準備金
350,000
その他
資本剰余金
50,000
その他
資本剰余金
120,000
(+70,000)
その他
利益剰余金
150,000
その他
利益剰余金
150,000
自己株式
△100,000
34