生存圏研究所 大気圏 精測診断分野(津田研) 情報学・通信情報システム専攻地球電波工学講座 地球大気計測分野 教授: 津田敏隆 特定准教授: 林寛生 助教: 古本淳一 特定助教(GCOE) 佐藤一敏 外国人客員教授: Dennis Riggin (USA) 研究員 特定研究員: 矢吹正教 特定研究員: 新堀淳樹 外国人研究員: N.V. Rao (India) 非常勤研究員: 橋口典子 秘書: 鹿田祥子、吉岡佐知子 津田 林 古本 佐藤 矢吹 新堀 津田研でやっている研究とは? 電磁波(電波・光)や音波が大気中を伝播する際に起こる現象(散乱、屈折・ 遅延、放射等)を活用して、独創的な大気計測技術を開発しています。 国内・海外の拠点観測および衛星観測で得られる大気環境データを収集・解 析するシステムの研究に取り組んでいます。 近年の卒業研究テーマ 【大気エアロゾル・雲の研究】 H22卒論タイトル 「大気境界層におけるウインドプロファイラレーダーの風速推定誤 差に関する研究」 「大気環境長期変動解析のための統計検定パッケージに関する 研究」 H21卒論タイトル 「GPS電波の大気伝搬遅延を用いた可降水量の時空間変動特 性に関する研究」 H20卒論タイトル 「GPS掩蔽観測におけるデータ分布特性に関する研究」 「443MHzウインドプロファイラ・RASS観測にメソ気象モデルを 併用した水蒸気プロファイルの推定手法の開発」 来年度の卒業研究の概略 1. 精密衛星測位による大気環境計測(GPS 気象学): 衛星測位電波の伝搬誤差を活用した大気計測を開発します。準天頂測 位衛星「みちびき」を活用して集中豪雨等の早期警戒監視システムを開 発します。 2. 大気リモートセンシング法の開発: 生存圏(大気圏・生活圏)の環境変動、異常気象、健康影響に関係する 風・気 温・大気質(塵、大気組成)を精密計測するために、電波・音波・光 による複合地上観測システムを開発しています。 Radio Acoustic Sounding System (RASS):気温 レーザーレーダー(ライダー): エアロゾル、水蒸気など 3. 大気環境バーチャル情報拠点構築: 地上観測、衛星観測等で生み出される多種多様な大気環境データの流 通および 利用を促進するシステム(バーチャル情報拠点) を構築します。 データの効率的な検索・取得を可能にするメタ情報データベース、可視 化・解析を手助けする統合解析ソフトウェアの開発を進めています。 GPS気象学 測位誤差(GPS電波が大気中を伝播する際の遅れ)を逆用して大気情 報(水蒸気)を知ります。 研究の一例 One person’s NOISE is another’s SIGNAL GPS掩蔽の研究の一例 (H22 修論) GPS掩蔽法:小型低軌道(Low Earth Orbit; LEO)衛星から見てGPS衛星が地平線に 没する際に、大気層を通過するGPS電波をLEO衛星で受信して気温や水蒸気を測定 10000km2あたり のデータ数 0.025 0 -80 -40 0 40 80 Latitude 軌道傾斜角70度 10000km2あたり のデータ数 0.018 0 -80 -40 0 40 Latitude 軌道傾斜角30度 80 電波と音波を併用して気温を計測する 電波・音波複合観測(RASS) 大出力の音波を上空に発射する 音速 音波が作る屈折率変動でレーダー電波が散乱 レーダー受信信号のドップラーから音速測定 温度と音速の関係から気温高度分布が求まる MUレーダーを用いて観測された前線内部の 気温、風速微細構造観測 暖気 レーダー 数少ない、全天候型の連続観測手段で、本研究 室でMUレーダーを用いて開発され、世界に展開さ れつつあります。 寒気 RASSシステムの国内外への展開 1.3GHz ウィンドプロファイラ 信楽・MUレーダー 合肥 信楽 ラサ 沖縄 インド ガダンキ インドMSTレーダー インドネシア・ 名護降雨観測施設 コトタバン 赤道大気レーダー 沖縄・大宜味村の400MHz-WPR RASSの高鉛直分解能化技術の開発 より高い鉛直分解能でのRASS観測を行う新し い手法を開発しています。 レンジ ゲート 出力電力 拘束高度 ビーム幅 レーダー レーダー波数 複数の周波数を用いたRASS観測データを 組み合わせることで従来より優れた気温観測を実現 黒実線:RASSイメージング結果 赤1点破線:ラジオゾンデ観測結果 大気レーダーの高度観測手法の開発 (H22 卒論) モノスタティック法 バイスタティック法 ・1台のWPRで観測を行う。 ・複数のWPRで観測を行う。 ・探査領域 : 2つの領域の重なり合う部分 ・2方向の視線風を同一の領域から求める ・3ビーム法 空間非一様性の影響大 ・5ビーム法 水平方向の非一様性に よる影響を受けにくい 観測高度[m] 空間代表性の向上 LES(Large Eddy Simulation)データに より現実的な風速場 を数値計算 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 風速推定 誤差[%] -5 0 5 10 15 ライダー(レーザー・レーダー) レーザ光を大気中に送出し、大気物質からのレーザ散乱光を高い 時間分解能で受光することにより、距離に応じた大気物質の分布を 計測する装置 物質ごとに特有な散乱を計測することで、様々な大気物質を計測す ることが可能となる 大気物質からの レーザ散乱光 レーザ 受光・データ 処理装置 大気物質 望遠鏡 ライダー観測風景 【大気エアロゾル・雲の研究】 信楽MU観測所におけるライダー観測 80 気温 中間圏 50 成層圏 水蒸気 エアロゾル/雲 10 雲 ガス-粒子転換 532 nm 有機物 雲過程 エアロゾル 対流圏 532 nm 355 532 1064 nm 3 1.5 0.1 高度(km 人為起源 Telescope Mirror (cm) ダスト 海塩起源 25 φ 30 φ 3波長ミー ライダー 35 φ H2O ラマン ライダー 83 φ レイリー・ラマン ライダー 国内外での観測拠点 信楽MU観測所 (34.8N, 136.1E) RISH ガダンキMSTレーダー観 測所、インド(13.5N, 9.2E)ISRO/NARL 沖縄亜熱帯大気計 測技術研究セン ター(26.7N, 128.1E9) NICT 赤道大気レーダー(EAR), インド ネシア(0.2S, 100.3E), RISH and LAPAN 超高層大気観測ネットワーク スバールバル トロムソ ISレーダー 流星レーダー オーロラ観測 ISレーダー 流星レーダー MFレーダー 飯館・女川観測所 EISCATレーダー アイスランド オーロラ観測所 (2点) 地磁気観測所 (3点) 北海道HFレーダー (観測範囲) 惑星シンクロトロン電波望遠鏡 飛騨天文台 太陽磁場活動望遠鏡 赤道大気観測所 フラックスゲート磁力計システム 赤道大気レーダー Equatorial Atmosphere Radar SuperDARNレーダー 昭和基地 MAGDAS観測点 ペルー国立イカ大学 SuperDARNレーダー2台 MFレーダー オーロラ観測 地磁気多点観測網 昭和・女川ELF 同時観測 フレアモニタ望遠鏡 大気環境バーチャル情報拠点構築 京都大学(RISH・理学研究科)、名古屋 大学、九州大学、東北大学、国立極地 研究所による大学間連携プロジェクト 多様かつ膨大な量の 観測データが各研究 機関に分散して存在 H22卒論テーマ メタデータ(メタ情報) のデータベースで横 断検索を可能に メタデータのデータベースを 構築してネット上で公開 分野を横断したデータ の総合解析による新し い研究を促進 観測データの可視化・ 解析ツールの開発 宇宙圏 電波・光を利用した 新発想の大気圏計測法を開発 大気圏 地球環境変化を精密計測し、 環境情報を分析・発信する。 森林圏・生活圏 持続発展可能な社会 (Sustainability)の構築に貢献 津田研まとめ ◎ 研究対象/手段 電波・光・音波を用いた大気計測 地上: レーダー、レーザー・レーダー、RASS など 衛星: GPS大気計測、衛星放射計 など 野外実験(信楽、沖縄、青森、インドネシア…) 国際共同研究(米、インド、インドネシア…) 地球大気環境情報データベースシステム 国内外の観測・研究ネットワークの強化 ◎ 社会的な波及効果 環境変化(温暖化)、異常気象の監視・早期警戒と予測 ◎ 身につくこと 先端機器のハードウェア開発、データ解析技術 地球環境変化に関する基礎知識
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