セラミド合成酵素ファミリーによる2-ヒドロキシセラミドの合成:脂肪酸鎖長

セラミド合成酵素ファミリーによる2-ヒドロキシセラ
ミドの合成:脂肪酸鎖長に基づく基質特異性
2-Hydroxy-ceramide synthesis by ceramide
synthase family: enzymatic basis for the preference
of FA chain length
-Yukiko Mizutani et al. J. Lipid Res. 2008;49:2356-2364
2015/08/03 M1 羅
霄霖
皮膚におけるセラミド
LCB:
スフィンゴシン
ジヒドロスフィンゴシン
フィトスフィンゴシン(14-16)
6-ヒドロキシスフィンゴシン(17)
R
FA:(哺乳類 C14-26)
組織 C16,C24
皮膚や脳 2-OH-FA(5,6)
皮膚 ω-OH-C30-36/C18:2-FA
14. Breimer, M. E et al. Lipids. 1975;10: 17–19.
15. Flamand, N et al. J. Chromatogr. B Biomed.
1994;656: 65–71.
16. Bouhours, D et al. Glycobiology.1999;9: 875–886.
17. Robson, K. J et al. J. Lipid Res.1994;35: 2060–2068.
セラミド合成に関する酵素
CERAMIDE
-by aacrjournals

DES1 スフィンゴ塩基C4位不飽和化酵素

DES2 スフィンゴ塩基C4位の水酸化酵素

FA2H 脂肪酸C2位の水酸化酵素

CerS1/LASS1 C18

CerS2/LASS2 C22,24

CerS3/LASS3 ≥C18

CerS4/LASS4 C20,22,24

CerS5/LASS5 C16

CerS6/LASS6 C16
23. Venkataraman, K., C et al.J. Biol. Chem. 2002;277: 35642–35649.
24. Guillas, I et al.J. Biol. Chem.2003; 278: 37083–37091.
25. Riebeling, C et al.J.Biol.Chem.2003;278:43452–43459.
26. Mizutani, Y et al.Biochem. J. 2005;390: 263–271.
27. Mizutani, Y et al.Biochem. J. 2006;398: 531–538.
28. Laviad, E. L et al.J. Biol. Chem. 2007;283: 5677–5684.
目的
そこで、

セラミド合成酵素により、2-ヒドロキシセラミドを産
生するか?

基質が2-ヒドロキシアシルーCoAではないか?

各セラミド合成酵素が対応する基質は何によって異なる
か?
について確認した。
産物
基質
酵素
酵素基質複合体
酵素産物複合体
ヒトケラチノサイトの分化によるFA2Hの制御

A
NHEK細胞 (0,3,6,9 days)→RT-PCR→電気泳動
(終端分化マーカー)

ヒトケラチノサイト分化により、FA2Hの遺伝子発現量が増加させた。
ヒトケラチノサイトの分化によるCerSの制御

B NHEK細胞(0,3,6,9 days)
↓
リアルタイムPCR
ヒトケラチノサイト分化により、
CerS3の遺伝子発現量が増加させた。
CerSによる2-OH-CERsの合成(1)

A
Upper band: C22:0, C24:0, C24:1-CERs
Low band:C16:0- and C18:0-CERs(27)
HEK 293T細胞
↓
( pcDNA3 FA2H,FA2H/DES2)
トランスフィクション(3 days)
↓
3HDS添加(3h)
↓
脂質抽出
↓
TLC
HEK 293T細胞において、
FA2Hにより、2-OH-CERsを合成した。
FA2H/DES2により、2-OH-phyto-CERsを合成
した。

(27) Mizutani, Y et al. Biochem. J. 2006; 398: 531–538
CerS3による2-OH-CERsの合成(1)

FB1は過剰産生されるCerSの活性を阻害せず、
内因性CerSの活性の阻害剤である。(23)
B
HEK 293T細胞
↓
( pcDNA3 FA2H,CerS3,FA2H/CerS3)
トランスフィクション(3 days)
↓
FB1(-/+)処理
↓
3HDS添加(3h)
↓
総脂質抽出
↓
TLC
CerS3+FA2H→ 2-OH-CERs
(23)Venkataraman, K et a. J. Biol. Chem. 2002;277: 35642–35649
CerS3による2-OH-CERsの合成(2)

C
FB1(-)
( pcDNA3FA2H, FA2H/CerS3)
トランスフィクション
↓
HPLC/MS
HEK 293T細胞において、
CerS3により、中長鎖2-OH-CERsを合成した。
CerSによる2-OH-CERsの合成(2)

D HEK 293T細胞→ ( pcDNA3 FA2H,CerS1-6/FA2H)トランスフィクション(3
days) →FB1(-/+)処理→ 3HDS添加(3h)→総脂質抽出→TLC
各CerSにより、特定な鎖長の2-OH-CERsを合成した。
(2-OH-アシルCoAに対する基質特異性はヒドロキシアシルCoAと類似ことが推測で
きた。)
CerS1による2-OH-C18:0-CERsの合成(1)
HEK 293T細胞
↓
( pcDNA3 CerS1, 6)トランスフィクション
↓
3HDS/ DS/no-OH-C14,16,18,20:0-CoA,
2-OH-C18:0-CoA添加(15min)
↓
総脂質抽出
↓
TLC

A
CerS1+2-OH-C18:0-CoA→ 2-OHCERs
CerS1による2-OH-C18:0-CERsの合成(2)
↓

3H
DS,DS,2-OH-C18:0CoA添加(15min)
↓
Bligh&Dyer法
↓
HPLC/MS
2-OH-C18:0-CoAとその構造異性体はCerS1の基質である。
CerS2,5による2-OH-CERsの合成


A HeLa細胞→RT-PCR→電気泳動
B
HeLa細胞
↓
(siRNA CerS2,5)
トランスフィクション(3 days)
↓
RT-PCR
↓
電気泳動
HeLa細胞において、CerS2,5の遺伝子
発現量がより多い。
CerS2,5による2-OH-CERsの合成
HeLa細胞
↓
(pcDNA3 FA2HとsiRNA CerS2,5,2/5)コトラ
ンスフィクション (3 days)
↓
3HDS添加(3h)
↓
総脂質抽出
↓
TLC

C
HeLa細胞において、
長鎖脂肪酸CoAに特異的のCerS2,4が短鎖脂肪
酸CoAに特異的のCerS5より多く存在していた。
CerS2/5ノックダウンすると、長鎖短鎖-セ
ラミドが減少した。
CerS2,5による2-OH-HexCERsの合成

D
HeLa細胞
↓
(pcDNA3 FA2HとsiRNA CerS2,5)
コトランスフィクション (3 days)
↓
Bligh&Dyer法
↓
HPLC/MS
HeLa細胞において、
CerS2ノックダウン→長鎖2-OH-HexCERs↓
(C22,24)
CerS5ノックダウン→短鎖2-OH-HexCERs↓
(C16)
まとめ
•FA2h,CerS3がケラチノサイトの分化に関与する。
•各CerSが、
CerS1→C18
CerS2→C22,24
CerS3→≥C18
CerS4→C20,22,24
CerS5→C16
CerS6→C14,16
特定な鎖長をもつ2-OH-FA-CoAと基質特異性的に反
応して、特定な鎖長をもつ2-OH-CERsを産生する。