NFCを用いた 登山者通過記録システム 政策・メディア研究科 CI 修士課程2年 三部 剛義(学籍番号:81125304) [email protected] 主査:村井純 副査:中村修,斉藤賢爾 1 研究の 問題提起 提案 設計と 技術的課題 評価と 今後の話 補足 スライド 研究の問題提起 要求と提案する手段 登山特有の通信に関する問題点 2 要求と提案する手段 要求:登山者がどこにいるかを知りたい 主な用途は救助 現状の手法 (アナログ) (デジタル) 今の不満点:精度が粗い(山の内外ぐらい) 手段:登山者の通過記録を収集するシステム 通過記録:いつ,どこを通過したかの記録 複数の場所でデータを取りたい D C 平成23年度の遭難者データ(全国) E 参考リンク:平成23年中における山岳遭難の概況 3 遭難者数:2,204人 内死者,行方不明者:275人 F B A 登山特有の通信に関する問題点 通常なら,携帯電話用のアプリケーションを用い ることで解決する(GPSロガー等) 登山中は通信する際に通常以上の電力消費が発生 し,かつ充電の手段が限られている そもそも通信ができない場合も多い 本研究では,消費電力の少ないNFCを利用する 携帯電話の通信手段 通信手段 消費電力 遠距離通信 インター ネット 4 電話回線 × Wi-Fi × Bluetooth △ NFC ○ 提案 「ゲート」を用いた解決策と要件 低コストな「サブゲート」の提案 サブゲートの役割 5 「ゲート」を用いた解決策と要件 登山道に「ゲート」を複数設置して通過記録を得る NFCで携帯電話と通信する インターネット 有線で外部に通過記録を発信する 機材としては駅の改札が近い ゲートを設置する際の問題点 ハードやインフラの設置,維持コスト 市街地に設置するより割高になってしまう 天候,動物による故障リスク 要件 登山道に配置した ×(共通)導入,維持コストが少ない ゲートから通過記録を 発信する ○(登山者)電力消費が少ない 6 ×(山)壊れにくいorリカバリーしやすい 低コストな「サブゲート」の提案 中間点のゲートを別な装置「サブゲート」に置き換える NFCリーダ/ライタではなくNFCタグとして使う 携帯電話がNFCリーダ/ライタとして振舞う インターネット 電源や通信のインフラを持たない ハードとしても安価(400円未満) 実際のNFCタグ 数十バイト~数キロバイトの容量があり NFCリーダ/ライタで読み書きできる サブゲートの使い方 通過した登山者のIDを蓄積する 7 登山道に配置した ゲートとサブゲート 後から来た別の登山者に蓄積したIDを複製して渡す インター ネット ゲート 登山者α,βの サブゲート通過記録 ※ pptx版のみ動きます サブゲートの役割 通過記録のリレー サブゲートに自分の通過記録を残す 自分or他人がその記録をゲートまで運ぶ ゲートからインターネットに送信する 登山者β 登山者α 登山者αの サブゲート通過記録 サブゲート 8 登山者αの 登山者βの サブゲート通過記録 サブゲート通過記録 <登山者αの現在地> サブゲートと 頂上にあるゲートの 間にいるらしい 設計と技術的課題 NFCタグ特有の問題点 NFCタグ内のデータ配置案 今回使用するハードウェア 9 NFCタグ特有の問題点 記憶容量の制限 だいたい数十バイト~数キロバイト 下位レイヤの規格や実際の製品によってかなり異なる NFCタグの固有IDが8バイト 電力の制限 NFCタグは,リーダ/ライタからの電力で動作する 処理量が多くなると,電力供給源となる携帯電話の 負担が大きくなる 10 NFCタグ内のデータ配置案 通過記録を蓄えるリングバッファを構築する 管理 管理 1人目 4人目 2人目 更新 3人目 2人目 3人目 最新データエリア番号を 3から1に変更する 一番古いデータエリアに 新しいIDを上書きする 管理用の領域に保存する情報 蓄積できる人数と,今の最新データ番号 通過記録の内容 NFCの固有IDは8バイト 時間や緊急状態のフラグを追加するかもしれない 11 今回使用するハードウェア NFCリーダ/ライタ Android タブレット NFCタグ 異なる数種類を用意 Linuxマシン 対象 ハードウェア 開発言語 登山者が使用 携帯電話用アプリ タブレット Java 山に設置 Java ネット上 12 実装物 ゲート タブレット サブゲート NFCタグ数種 管理サーバ Linuxマシン C 評価と今後の話 • 要求の再確認 • 本研究とDTNとの関係 • 予定している評価項目 • 今後のスケジュール 13 要求の再確認 性能,コスト面での要求 登山者の通過記録が○○分後までには欲しい 時間については検討,議論が必要 設置する山や登山ルート,天候によって異なる 設置や維持に費やすコストを減らしたい 出来るだけサブゲートの割合を増やしたい ポイント:情報伝達にDTN的な要素がある 複数の登山者に情報を複製して運ばせる 大きな遅延が発生する可能性がある 14 本研究とDTNとの関係 [Delay- and Disruption- Tolerant Networking] 本研究の情報伝達のモデルは,DTNと似た部分がある 特に「情報伝達に大きな遅延がある」という点 遅延=他人が拾う+ ゲートまで運ぶ 遭難者 サブゲート ゲート 他の登山者 15 管理サーバ 最初に伝えるまでに 掛かった時間が遅延 予定している評価項目 シミュレータを実装,もしくは性能を数式化し 検証を行う+実地(山)での動作テスト 変化させるパラメータ ゲート,サブゲートの配置 登山者の人数 評価項目 登山者の情報が得られるまでの遅延 DTN的な情報伝達が失敗した回数と頻度 設置コスト(金銭,手間) 16 今後のスケジュール 10/20 設計 実装:ゲート 実装:サブゲート 実装: 携帯電話用アプリ 11/1 11/15 11/30 学事イベント ※1 題目変更締切(最終) 12/12/14 ※2 論文提出締切 13/1/11 ※3 最終試験(発表) 13/1/31, 2/1 実装:管理サーバ 論文執筆(構成) 12/1 12/15 13/1/11 1/31 or 2/1 実験・評価 論文執筆 発表資料 17 発表はここまでです 補足スライド 今回見送ったアイディア 通信手段について サブゲートの動作モデル 18 補足スライド 今回見送ったアイディア • NFCタグを登山者が利用した場合 • 登山とSNS 19 NFCタグを登山者が利用した場合 NFCタグを登山者が持つケースも一応ある 電子マネーカードがそのまま使える 管理サーバ しかし,タグ同士では通信できないのでサブゲー トが利用できない 山 ゲート (タグorリーダ/ライタ) サブゲート (タグのみ) 携帯電話 (タグorリーダ/ライタ) 可能 可能 FeliCaカード (タグのみ) 可能 不可能 登山者 20 登山とSNS 本提案では,登山者はNFCの固有IDで識別される これを利用したSNS的なサービスが考えられる 登山者ランキング(たとえば標高の合計) 「あなたとよくすれ違う登山者」 スケジュールを共有し,土産屋の在庫調整を補助 21 補足スライド 通信手段について • 通信手段の比較 • NFCの似たような運用例 22 通信手段の比較 23 携帯電話の 通信手段 伝達距離 通信速度 (上り) 備考 電話回線 数百m~数km 86Mbps (LTE 4×4 MIMO) 電波状況が悪いor圏外だと 特に電力消費量が増える Wi-Fi 10m~99m 54Mbps (11a,g) 通信相手を探す作業を 自動にすると 電力消費量が増える Bluetooth 約10m 58Kbps (2.0+EDR) NFC 数cm 212Kbps (FeliCa) 電源を持たないカードにも 採用される程に省電力 NFCの似たような運用例 スタンプラリーや勤怠管理など,その場にいたこ とを証明する為にNFCが用いられる NFC QUEST NFC + スタンプラリー + RPG 勤怠管理アプリ NFC Time Card Android端末をNFCリーダとした勤怠管理システム 簡単なシステムの構成 全体管理サーバ 1台 【NFCリーダ+小規模なコンピュータ】複数個 前スライドでの「ゲート」はこれ 24 補足スライド サブゲートの動作モデル • 動作モデル(1/10 - 10/10) • 本提案の注意点 25 サブゲートの動作モデル (1/10) モデルの状況設定 携帯電話を持った登山者α,βがいる αはβのいくらか先を歩いている サブゲートAとゲートBを順番に通過する 管理サーバにはゲートBのみ接続している 登山者α 登山者β 進行方向 + ゲートB 26 サブゲートA インターネット上の 管理サーバ サブゲートの動作モデル (2/10) 1人目のデータ登録 登山者αの携帯電話が持つNFCの固有IDを登録 注:実際のNFC固有IDは8バイト 掲示板に自分の名前を書き込むイメージ ID: 1a2b3c4d 登山者α 登山者β 進行方向 サブゲートAの記憶内容 09:20 1a2b3c4d new + ゲートB 27 サブゲートA サブゲートの動作モデル (3/10) サブゲートの記憶内容を複製 登録されている全ての記録を携帯電話にコピー 携帯電話αの記憶内容 09:20 A 1a2b3c4d new 登山者α 登山者β 進行方向 サブゲートAの記憶内容 09:20 1a2b3c4d + ゲートB 28 サブゲートA サブゲートの動作モデル (4/10) ゲートBに通過記録を報告 サブゲートの記録も同時に報告 ゲートBは全通過記録を管理サーバに送信 携帯電話αの記憶内容 09:20 A 1a2b3c4d 登山者α 登山者β 進行方向 + 管理サーバ 29 ゲートB ゲートBからの送信内容 09:20 A 1a2b3c4d new 09:30 B 1a2b3c4d new サブゲートA サブゲートの動作モデル (5/10) 2人目のデータ登録 登山者βの携帯電話が持つNFCの固有IDを登録する サブゲートにIDが2つ登録された ID: 11223344 登山者α 登山者β 進行方向 サブゲートAの記憶内容 09:40 1a2b3c4d 09:20 11223344 new + ゲートB 30 サブゲートA サブゲートの動作モデル (6/10) サブゲートの記憶内容を複製する 自分と,先にサブゲートを通過した別の登山者αの 情報を取得する 登山者α 登山者β 携帯電話βの記憶内容 09:20 A 1a2b3c4d new 09:40 A 11223344 new 進行方向 サブゲートAの記憶内容 09:20 1a2b3c4d 09:40 11223344 + ゲートB 31 サブゲートA サブゲートの動作モデル (7/10) ゲートBに通過記録を報告する サブゲートの記録も同時に報告する ゲートBは全通過記録を管理サーバに送信する 登山者α 携帯電話βの記憶内容 09:20 A 1a2b3c4d 09:40 A 11223344 登山者β 進行方向 + 管理サーバ 32 ゲートB ゲートBからの送信内容 09:20 A 1a2b3c4d new 09:40 A 11223344 new 10:10 B 11223344 サブゲートA new サブゲートの動作モデル (8/10) 登山者αが先を歩き続けた場合 登山者α 33 ゲートBからの送信内容 09:20 A 1a2b3c4d 09:30 B 1a2b3c4d 携帯電話αからの報告 09:20 A 1a2b3c4d 09:40 A 11223344 10:10 B 11223344 携帯電話βからの報告 登山者β + ゲートB サブゲートA サブゲートの動作モデル (9/10) 登山者αが区間A-Bで登山者βに抜かされた場合 ゲートBからの送信内容 09:20 A 1a2b3c4d 09:40 A 11223344 10:10 B 11223344 登山者β 34 サブゲートAでβの前に 居た人を抜かしたらしい 携帯電話βからの報告 登山者α? + ゲートB サブゲートA サブゲートの動作モデル (10/10) もし自分が行方不明になっても,どのサブゲート まで進んだかを,他の登山者が報告してくれる ただ,休憩などと遭難の判別はできない αは地点Bまで 私の前にいた 地点Cより手前で αとすれ違った ※地点Dより先に αの記録はなかった 複数の情報を 統合すると 区間C-Dにαが いる可能性が高い 35 F E D 遭難者? α C B A 本提案の注意点 遭難したかどうかの判断は難しい 「長時間移動していない」までしか判断できない 写真撮影や食事など,停止する理由はいくつかある リアルタイムな情報発信はできない サブゲートを通過した記録は,それを拾った誰かが ゲートを通過するまで送信されない 36
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