地域住民の要介護化予防支援体系の構築

平成24年度 社会貢献プロジェクト
~地域住民の要介護化予防支援体系の構築~
田中喜代次(体育系・教授)
大藏 倫博(体育系・准教授)
藪下 典子,根本みゆき(体育系・研究員)
小澤多賀子(スポーツ医学・博士課程)
< 目的 >
茨城県大子町各地域内での要介護化予防支援に,運動を中心とした認知機能低
下抑制を含む要介護化予防教室の展開を加え,アドバイザーによる要介護化予防
支援体系を確立させること
大子町人口 20,063名
大子町
男性 9,877名
袋田の滝
 大子町と筑波大学は平成20年7月より「国立大学法人筑波大学と大子町との連
携・協力に関する協定書」に基づき,精力的に連携事業に取り組んでいる.
 要介護化予防に必要な運動・食事指導などを網羅した独自のボランティア用取得
カリキュラムを展開し「だいご健康アドバイザー」を養成してきた.
女性 10,186名
高齢者人口(65歳以上)7,292名
高齢化率:35.5%(県内1位)
高齢化率の推移と比較
大子町
茨城県
全国
(%)
40.0
34.6
35.1
35.5
35.8
22.7
23.1
35.5
30.0
21.0
つくば市
20.0
20.7
21.6
22.0
21.1
< 概要 >
22.5
22.8
23.4
10.0
0.0
平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
< 今年度の主な活動 >
①新たなアドバイザーの養成
警戒区域などに伴う住民の避難状況(平成23年12月22日現在)
「だいご健康アドバイザー」の増員を目的に,認知機能低下予防を含む要介護化予防
カリキュラムに基づき,アドバイザーの養成をおこなった.
②アドバイザーのスキルアップ研修会の開催
平成21年度および今年度養成された合計53名のアドバイザーを対象に,認知機能低
下予防を含む要介護化予防カリキュラムに基づきアドバイザーの技能向上を目指した
「スキルアップ研修」を開催した.
① 新たな「だいご健康アドバイザー」の養成
1.対象者および募集方法
3.研修修了後の質問紙調査結果
表8 研修後の知識の活用場面
■対象:大子町住民(一般公募)
■参加人数:26名(男性5名,女性21名)
■年齢:40~60歳
■参加者の職業:食生活改善推進員,シルバーリハビリ体操指導士,運動指導者,民
生委員,保育士など,すでにボランティア活動をおこなっている人やボランティア
活動に興味がある人
2.研修内容
図1 . 平成2 4 年度
だいご 健康ア ド バイ ザー養成研修日程
おも な内容
「研修で学んだ知識をどこで役立てたいですか(複数回答)」
人 (%) ※
1
自分自身の健康づくり
22
(91.7 )
2
地域での集まりやボランティア活動
19
(79.2 )
3
家族の介護予防
12
(50.0 )
4
友人へのアドバイス
11
(45.8 )
5
その他
1
(4.2 )
※
表6 研修参加の理由
回答人数に対する割合
ねら い
○開講式・ オリ エ ン テ ーショ ン
○大子町の現状を 知ろ う
○講演「 健康ア ド バイ ザーに必要な生活習慣病予防の基礎知識」
○自分の体力を 知ろ う ( 体力測定)
●生活習慣病や介護予防に関する 基礎知識を 習得する
●特定健診や要介護原因など に関する 大子町の現状を 知る
●簡易体力測定を 行い、 自身の健康状況や体力を 知る
○じ ょ う ずな支援への導き
○生活習慣病予防の食事支援
○運動体験
「この研修に参加した理由を教えてください(自由記述)」
グループ化した回答
人
(%)
・ 誘われたから
8
(33.3 )
●生活習慣病予防のための食事のし かたを 理解する
●食生活支援のポイ ン ト を 習得する
・ 地域のために活動したいから
6
(25.0 )
・ 自分のために学びたいと思ったから
5
(20.8 )
第3 回
○生活習慣病予防の運動支援
○講演「 健康ア ド バイ ザーに必要な介護予防の基礎知識」
●生活習慣病予防に効果的な運動方法を 理解し 、 実践する
●運動支援のポイ ン ト を 習得する
・ 健康づくりに関する知識を身につけたい
5
(20.8 )
第4 回
○介護予防の食事支援
○食事支援のポイ ン ト ・ 支援体験
○口腔ケア のポイ ン ト
●介護予防のための食事のし かたを 理解する
●食生活支援のポイ ン ト を 習得する
●口腔ケア のポイ ン ト を 紹介し 、 実技を おこ なう
第5 回
○介護予防の運動支援
○運動支援のポイ ン ト ・ 支援体験
●介護予防に効果的な運動方法を 理解し 、 実践する
●運動支援のポイ ン ト を 習得する
第6 回
○コ ミ ュ ニケーシ ョ ン スキルを 高めよ う
○ア ド バイ ザー活動について考えよ う ( グループ ワーク )
●良好な信頼関係を 構築で き る よ う 会話のし かたを 学びま す
●活動内容や役割分担など について検討する
第1 回
第2 回
補講
○認定試験に向けた補講
●こ れま での研修で習得し た内容を 再確認する
認定
試験
○筆記によ る 認定試験
○講演「 地域における 健康づく り 支援の提案」
○閉講式、 認定証授与
●認定試験を おこ なう こ と で、 ア ド バイ ザーと し ての自覚・
自信を 深める
●今後の活動計画を 周知する
表7 研修に参加しての感想
「この研修に参加しての感想をお聞かせください(択一)」
人
(%)
15
(62.5 )
1
非常に有意義だった
2
有意義だった
9
(37.5 )
3
どちらでもない
0
(0.0 )
4
有意義でない
0
(0.0 )
5
まったく有意義でない
0
(0.0 )
② アドバイザーのスキルアップ研修会の開催
参加者の感想
平成2 4 年度 だいご 健康ア ド バイ ザースキルア ッ プ 研修
第1 回
第2 回
第3 回
第4 回
日程
内容
5 月1 6 日
( 水)
○地域で広めたい楽し い運動( 講話・ 実技)
○ア ド バイ ザー活動の充実( グ ループ ワーク・ 発表)
※グループ ご と のテ ーマに合わせたプ ロ グラ ムの企
画・ 立案、 発表、 ディ スカ ッ ショ ン
8 月2 4 日
( 金)
○転倒予防のための運動・ 栄養・ 心がけ
( 講話・ 実技)
○介護予防運動の実際( グ ループ ワーク・ 実習)
※各グループ にて教室プ ロ グラ ムの作成・ 指導
発表・ 全体ディ スカ ッ ショ ン
1 0 月1 7 日
( 水)
○若さ 保持に向けたア ド バイ ス( 講話・ 実習)
○健康づく り 運動の実際( グ ループ ワーク・ 実習)
※各グループ にて教室プ ロ グラ ムの作成・ 指導
発表・ 全体ディ スカ ッ ショ ン
2 月2 0 日
( 水)
○健康セルフ チェ ッ ク のすすめ( 講話・ 実習)
○こ れから のアド バイ ザー活動( グ ループ ワーク)
※各グループ にてディ スカ ッ シ ョ ン 、 全体で の情報
交換
○ア ン ケート
楽しく指導ができるよ
うになったと思う
他のアドバイザーの活
動がヒントになった
新しい知識や
運動を身につ
けられた
参加者への配慮
について勉強で
した
教室で自信をもって話しが
できるようになった
<今後の展望>
本養成研修を通してアドバイザー自らの元気長寿の実現に向けた生活習慣病や要介護化
予防に関する実践的な知識や取り組みを学ぶとともに,自身だけではなく他者,地域の健康
づくりへの支援についても関心と意欲を高められたと考えられる.アドバイザーが大子町の健
康支援の担い手の一つとして,大子町の住民同士で支え合う健康づくりシステムの発展に向
けて大いに活躍していくために,住民と行政(関連組織を含めて)よる継続的な協働の働きか
けが重要である