Dirk Helbing, Illés Farkas, Tamás Vicsek SIMULATING DYNAMICAL FEATURES OF ESCAPE PANIC NATURE, VOL407, pp.487-490, 2000. 2016年5月21日 藤田研究室 13K1102 伊織 瞳 背景 • 集団のふるまいの中で最も損害が大きいものは、パニッ クによって集団が逃げ回る現象である 集団内でぶつかったり、人の踏みつけが発生する • パニック時の行動は予測しにくい • 歩行者の行動モデルを用いて、パニックのメカニズムと、 群衆中の非協調的な行動による避難妨害について研究を 行う 1 方針 • 著者らによるForce modelを使用 歩行者を粒子にたとえた、力学的なモデル • モデルのパラメータを変化させ、歩行者の動きを観察する 2 force model • 歩行者iの時間tでの速度変化は、次の3つの力によって 与えられる 𝑑𝒗𝒊 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝑑𝑡 𝒇𝒊𝒋 + 𝑗(≠𝑖) 𝒇𝒊𝒘 𝑊 歩行者jと距離を 保とうとする力 望む歩行速度に 戻ろうとする力 𝑚𝑖 :歩行者iの質量 壁Wと距離を 保とうとする力 W 𝒗𝒊 :実際の速度 𝑚𝑗 𝑚𝑖 𝒗𝒊 𝑣𝑖0𝒆𝟎𝒊 3 force model • 歩行者iの時間tでの速度変化は、次の3つの力によって 与えられる 𝑑𝒗𝒊 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝑑𝑡 望む歩行速度に 戻ろうとする力 𝑚𝑖 :歩行者iの質量 𝒗𝒊 :実際の速度 𝒇𝒊𝒋 + 𝑗(≠𝑖) 𝒇𝒊𝒘 𝑊 歩行者jと距離を 保とうとする力 壁Wと距離を 保とうとする力 W 𝑚𝑗 𝑚𝑖 𝒗𝒊 𝑣𝑖0𝒆𝟎𝒊 3 force model • 歩行者iの時間tでの速度変化は、次の3つの力によって 与えられる 𝑑𝒗𝒊 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝑑𝑡 望む歩行速度に 戻ろうとする力 𝑚𝑖 :歩行者iの質量 𝒗𝒊 :実際の速度 𝒇𝒊𝒋 + 𝑗(≠𝑖) 𝒇𝒊𝒘 𝑊 歩行者jと距離を 保とうとする力 壁Wと距離を 保とうとする力 W 𝑚𝑗 𝑚𝑖 3 force model • 歩行者iの時間tでの速度変化は、次の3つの力によって 与えられる 𝑑𝒗𝒊 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝑑𝑡 望む歩行速度に 戻ろうとする力 𝑚𝑖 :歩行者iの質量 𝒗𝒊 :実際の速度 𝒇𝒊𝒋 + 𝑗(≠𝑖) 𝒇𝒊𝒘 𝑊 歩行者jと距離を 保とうとする力 壁Wと距離を 保とうとする力 W 𝑚𝑗 𝑚𝑖 3 force model • 歩行者iの時間tでの速度変化は、次の3つの力によって 与えられる 𝑑𝒗𝒊 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝑑𝑡 𝒇𝒊𝒋 + 𝑗(≠𝑖) 𝒇𝒊𝒘 𝑊 望む歩行速度に戻ろうとする力 𝑚𝑖 :歩行者iの質量、 𝑣𝑖0 :望む歩行速度、 𝒆𝟎𝒊 :進行方向、 𝑣𝑖0 𝑡 𝒆𝟎𝒊 𝑡 − 𝒗𝒊 𝑡 𝒇𝒊 = 𝑚𝑖 𝜏𝑖 𝑚𝑗 𝒗𝒊 :実際の速度、 𝑚 :歩行者iの質量、𝑣 0 :望む歩行速度、𝒆𝟎 進行方向 𝑖 𝑖 𝒊 𝜏𝑖 :望む速さに戻るために必要な時間 𝒗𝒊 :実際の速度、𝜏𝑖 :望む速さに戻るために必要な時間 4 force model • 歩行者iの時間tでの速度変化は、次の3つの力によって 与えられる 𝑑𝒗𝒊 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝑑𝑡 𝒇𝒊𝒋 + 𝑗(≠𝑖) 𝒇𝒊𝒘 𝑊 歩行者jから離れようとする力 反発力 摩擦力 𝑚𝑖 :歩行者iの質量、 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 W 𝒇𝒊 𝑣=0 :望む歩行速度、 𝐴𝑖 exp 𝒏𝒊𝒋 + 𝑘𝑔 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 𝒏𝒊𝒋 + 𝜅𝑔 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 ∆𝑣𝑗𝑖𝑡 𝒕𝒊𝒋 𝑖 𝐵𝑖 𝑚 𝒆𝟎𝒊 :進行方向、 心理的な力 𝑗 物理的な力 𝒗𝒊 :実際の速度、 𝑔 𝑥 :歩行者が触れ合っていない場合、値を0とする関数 𝜏𝑖 :望む速さに戻るために必要な時間 5 force model 𝑑𝑖𝑗 = 𝒓𝒊 − 𝒓𝒋 : 歩行者間の距離 • 歩行者iの時間tでの速度変化は、次の3つの力によって 𝑟𝑖𝑗 = 𝑟𝑖 + 𝑟𝑗 : 𝑖と𝑗の半径の和 与えられる 𝒓𝒊 − 𝒓𝒋 𝑑𝒗𝒊 𝒏𝒊𝒋 = : 歩行者𝑗から𝑖への正規化ベクトル 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝒇𝒊𝒘 𝑑𝒇𝑖𝑗𝒊𝒋 + 𝑑𝑡 𝐴𝑖 ,𝑗(≠𝑖) 𝐵𝑖 : 固定値 𝑊 𝑟𝑖𝑗 歩行者jから離れようとする力 i 𝑑𝑖𝑗 𝑚𝑖 :歩行者iの質量、 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 W 𝒇𝒊 𝑣=0 :望む歩行速度、 𝐴𝑖 exp 𝒏𝒊𝒋 + 𝑘𝑔 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 𝒏𝒊𝒋 + 𝜅𝑔 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 ∆𝑣𝑗𝑖𝑡 𝒕𝒊𝒋 𝑖 𝐵𝑖 𝑟𝑖 𝑚 𝒆𝟎𝒊 :進行方向、 心理的な力 𝑗 j 𝑟𝑗 𝒗𝒊 :実際の速度、 𝜏𝑖 :望む速さに戻るために必要な時間 6 force model 𝑑𝑖𝑗 = 𝒓𝒊 − 𝒓𝒋 : 歩行者間の距離 • 歩行者iの時間tでの速度変化は、次の3つの力によって 𝑟𝑖𝑗 = 𝑟𝑖 + 𝑟𝑗 : 𝑖と𝑗の半径の和 与えられる 𝒓𝒊 − 𝒓𝒋 𝑑𝒗𝒊 𝒏𝒊𝒋 = : 歩行者𝑗から𝑖への正規化ベクトル 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝒇𝒊𝒘 𝑑𝒇𝑖𝑗𝒊𝒋 + 𝑑𝑡 𝐴𝑖 ,𝑗(≠𝑖) 𝐵𝑖 : 固定値 𝑊 1 歩行者jから離れようとする力 𝑦= 𝑥 i 𝑒 𝑚𝑖 :歩行者iの質量、 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 W 𝒇𝒊 𝑣=0 :望む歩行速度、 𝐴𝑖 exp 𝒏𝒊𝒋 + 𝑘𝑔 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 𝒏𝒊𝒋 + 𝜅𝑔 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 ∆𝑣𝑗𝑖𝑡 𝒕𝒊𝒋 𝑖 j 𝐵𝑖 𝑟𝑖 𝑚 𝒆𝟎𝒊 :進行方向、 心理的な力 𝑟𝑗 𝑗 𝒗𝒊 :実際の速度、 𝜏𝑖 :望む速さに戻るために必要な時間 二人の距離が遠い程値が小さい 6 force model • 歩行者iの時間tでの速度変化は、次の3つの力によって 体の圧力に逆らう力 与えられる。 𝑘: 定数 𝑑𝒗𝒊 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝑑𝑖𝑗 = 𝒓𝒊 − 𝒓𝒋 : 歩行者間の距離 𝑑𝑡 i 𝒇𝒊𝒋 + 𝑗(≠𝑖) 𝒇𝒊𝒘 j 𝑊 𝑟𝑖𝑗 = 𝑟𝑖 + 𝑟𝑗 : 𝑖と𝑗の半径の和 𝒓𝒊 − 𝒓𝒋 𝒏𝒊𝒋 = : 歩行者𝑗から𝑖への正規化ベクトル 𝑑𝑖𝑗 歩行者jから離れようとする力 𝑚𝑖 :歩行者iの質量、 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 W 𝒇𝒊 𝑣=0 :望む歩行速度、 𝐴𝑖 exp 𝒏𝒊𝒋 + 𝑘𝑔 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 𝒏𝒊𝒋 + 𝜅𝑔 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 ∆𝑣𝑗𝑖𝑡 𝒕𝒊𝒋 𝑖 𝐵𝑖 𝑚 𝒆𝟎𝒊 :進行方向、 𝑗 反発力 𝒗𝒊 :実際の速度、 𝑔 𝑥 :歩行者が触れ合っていない場合、値を0とする関数 𝜏𝑖 :望む速さに戻るために必要な時間 7 force model 歩行者iとjの間で発生する摩擦力 2 𝑑𝒗 𝒕𝒊𝒋 = (−𝑛𝑖𝑗 , 𝑛1𝑖𝑗𝒊):接線方向 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝒇𝒊𝒋 + 𝒇𝒊𝒘 𝑡 ∆𝑣𝑗𝑖 = (𝒗𝒋 −𝑑𝑡 𝒗𝒊 ) ∙ 𝒕𝒊𝒋 :接線速度差 𝑗(≠𝑖) 𝜅:定数 𝑊 j i 𝑑𝑖𝑗 = 𝒓𝒊 − 𝒓𝒋 : 歩行者間の距離 𝑟𝑖𝑗 = 𝑟𝑖 + 𝑟𝑗 : 𝑖と𝑗の半径の和 𝑚𝑖 :歩行者iの質量、 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 𝑣𝑖0 :望む歩行速度、 𝒇𝒊 =𝟎 𝐴𝑖 exp 𝒆𝒊 :進行方向、 𝐵𝑖 W 𝒏𝒊𝒋 + 𝑘𝑔 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 𝒏𝒊𝒋 + 𝜅𝑔 𝑟𝑖𝑗 − 𝑑𝑖𝑗 ∆𝑣𝑗𝑖𝑡 𝒕𝒊𝒋 𝒗𝒊 :実際の速度、 𝑚𝑗 摩擦力 𝜏𝑖 :望む速さに戻るために必要な時間 𝑔 𝑥 :歩行者が触れ合っていない場合、値を0とする関数 8 force model • 歩行者iの時間tでの速度変化は、次の3つの力によって 与えられる 𝑑𝒗𝒊 𝑚𝑖 = 𝒇𝒊 + 𝑑𝑡 𝒇𝒊𝒋 + 𝑗(≠𝑖) 𝒇𝒊𝒘 𝑊 壁Wから離れようとする力 𝑚 :歩行者iの質量、 𝑖 →歩行者jから離れようとする場合と同様に考えられる 𝑣𝑖0 :望む歩行速度、 𝑟𝑖 − 𝑑𝑖𝑤 𝒆𝟎𝒊 𝒇 :進行方向、 = 𝐴 exp + 𝑘𝑔 𝑟𝑖 − 𝑑𝑖𝑤 𝒏𝒊𝒘 𝒊𝒘 𝑖 𝐵𝑖 +𝜅𝑔 𝑟𝑖 − 𝑑𝑖𝑤 𝑣𝑖 ∙ 𝒕𝒊𝒘 𝒕𝒊𝒘 𝑚𝑗 𝒏𝒊𝒘 𝒕𝒊𝒘 𝒗𝒊 :実際の速度、 𝜏𝑖 :望む速さに戻るために必要な時間 𝑑𝑖𝑤 :壁Wとの距離, 𝒏𝒊𝒘 :法線方向,𝒕𝒊𝒘 :接線方向 𝑑𝑖𝑤 9 パラメータ設定 • 質量𝑚 = 80𝑘𝑔 (サッカーファンの平均) • 半径𝑟 = [0.25𝑚, 0.35𝑚] (サッカーファンの平均) 0 • 望む歩行速度𝑣𝑖 (最大値):5𝑚𝑠 −1 ~10𝑚𝑠 −1 • ただし部屋を退出する際: 0 ≈ 0.6ms −1 (落ち着いた状態) 0 • 𝑣𝑖 ≲ 1.0𝑚𝑠 −1 (ふつうの状態) 0 • 𝑣𝑖 ≲ 1.5𝑚𝑠 −1 (緊張状態) となる 0 • ボトルネックの通過:0.73人/𝑠, ドア幅1𝑚,𝑣𝑖 ≈ 0.8𝑚𝑠 −1 • 𝑣𝑖 • 望む速さに戻ろうとする時間𝜏𝑖 :0.5𝑠 = 2 × 103 𝑁, 𝐵𝑖 = 0.08𝑚 • 定数:𝑘 = 1.2 × 105 𝑘𝑔𝑠 −2 , 𝜅 = 2.4 × 105 𝑘𝑔𝑚 −1 𝑠 −1 • 固定値:𝐴𝑖 10 実験:ボトルネックの通過 • 15 × 15𝑚の部屋から幅1𝑚のドアを通って退出する 0 が1.5𝑚𝑠 −1 より大きい場合、ラッシュが発生し、出口 に固まる • 𝑣𝑖 0 • 速く動こうとする(𝑣𝑖 を増やす)と、退出スピードが遅 くなる 総 退 出 時 間 T(s) T(s) 退 出 時 間 望む歩行速度𝑣0 (𝑚𝑠 −1 ) 200人の退出時間(s) けが人の数 望む歩行速度𝑣0 (𝑚𝑠 −1 ) 11 結論 • 歩行者モデルのパラメータを変化させることにより、パ ニックメカニズムの要因を発見することができた 望む歩行速度 身体の相互作用における摩擦効果 群衆化 • 今後行うこと • 完全なデータや、ビデオの追加により、モデルの定量 的なテストを行う • 作成したモデルと別のモデルの比較を行う 12 実験(準備):煙の充満した部屋からの脱出 • 歩行者は煙で視界を遮られ、出口の位置が分からない。 • 各歩行者iは、個人の進行方向𝒆𝒊 か、周辺の歩行者jの進行 方向の平均< 𝒆𝟎𝒋 𝑡 >𝑖 か、それらを混合した進行方向の選 択を行う。 • パラメータpにて重みづけを行う。 𝒆𝟎𝒊 𝑡 = 𝑁𝑜𝑟𝑚[ 1 − 𝑝𝑖 𝒆𝒊 + 𝑝𝑖 < 𝒆𝟎𝒋 𝑡 >𝑖 ] 11 実験:煙の充満した部屋からの脱出 • 90人の歩行者が、煙の充満した15 × 15𝑚の部屋から脱 出しようとする。 • 個人のふるまいだけ⇒偶然出口を見つけた。 • 他の人についていく(集団化)⇒集団が同じ方向に向か い、出口が混雑。片方の出口が使用されない。 • 脱出戦略として、両者を混合させるのが良い。 12 パニック状態で逃げる際の特徴 1. 通常より早く動こうとする。 2. 移動、特にボトルネックの通過が不統一となる。 3. アーチ状になる現象や、詰まる現象が観測される。 4. 全体の動きに向かう傾向がみられる。 5. 代わりの出口は見逃される。あるいは、有効に使わ れない。 6. 押し始める。人同士の相互作用が自然と荒くなる。 7. 混雑が形成される。 8. 詰め込まれた群衆の中で、4450𝑁𝑚−1 にもなる危険な 圧力が発生する。 9. 落下物やけが人などの障害物によって、逃避がさらに 遅くなる。 8
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