20151222予算・積算学習(みよし市)

日時:2015年12月22日(火) 13:30~16:30
場所:みよし市役所3階 研修室4・5
実施:みよし市・NPO法人あいちNPO市民ネットワークセンターの協働事業
協働によるまちづくり職員力UP研修
予算・積算
特定非営利活動法人ボランタリーネイバーズ
税理士
中尾
さゆり
理事・相談事業部長
自己紹介:中尾 さゆり
税理士、評価士、准認定ファンドレイザー
 特定非営利活動法人ボランタリーネイバーズ

理事、相談事業部長(NPO相談、あいちモリコロ基金担当)
認定特定非営利活動法人NPO会計税務専門家ネットワーク 理事
 NPO法人会計基準協議会 専門委員
 内閣府 NPO法人の会計の明確化に関する研究会
*その他、助成金等の審査員・運営委員を歴任


情報発信・連絡先

http://blog.canpan.info/sally_nakao/

facebook、twitter 中尾さゆり で検索してください
e-mail [email protected]

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©Nakao Sayuri
2015/12/22
本日のお品書き~
会計を巡る「分かり合えなさ」を理解する
1.さまざまな会計のルールと専門家の役割
2.市民活動団体、NPO、NPO法人特有の会計・税務
(1)事業費と管理費、事業管理費と管理費
(2)勘定科目
(3)税金(法人税、消費税)
(4)人件費
ボランティア、役員報酬・給与、報酬・諸謝金・外注費
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©Nakao Sayuri
2015/12/22
1.さまざまな会計のルール

簿記 Bookkeeping
【作成すべき財務諸表(決算書)】
 個人事業:損益計算書、貸借対照表(青色申告の場合)
 株式会社:貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表(会社
法、詳細は企業会計原則、○○に関する会計基準、などに規定あり)
 NPO法人:活動計算書、貸借対照表、財務諸表の注記、財産目録(NPO法人会計
基準)
 市民活動団体、NPO:きまりはないが、収支計算書を作成していることが多い
*その他、補助金・助成金・委託事業ごとに、特別目的の財務諸表の提出を求めら
れることもある
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©Nakao Sayuri
2015/12/22
NPO法人会計基準とは
NPO法人会計基準
外部に対する会計報告書の作成指針
 目的
1.この会計基準は、以下の目的を達成するため、NPO法人の財務諸表及び財産
目録(以下、「財務諸表等」という)の作成並びに表示の基準を定めたものである。
(1)NPO法人の会計報告の質を高め、NPO法人の健全な運営に資すること。
(2)財務の視点から、NPO法人の活動を適正に把握し、NPO法人の継続可能性を
示すこと。
(3)NPO法人を運営する者が、受託した責任を適切に果たしたか否かを明らかにす
ること。
(4)NPO法人の財務諸表等の信頼性を高め、比較可能にし、理解を容易にすること。
(5)NPO法人の財務諸表等の作成責任者に会計の指針を提供すること。
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©Nakao Sayuri 2015/12/22

専門家の役割:税理士
税理士登録者数
全国:75,645人
名古屋税理士会:4,452人
東海税理士会:4,338人
(2015.11末)
税理士の使命
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、 納税義務者の信頼にこたえ、租税に
関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命としています(税理士法第1条)。
税理士の業務
税理士は、他人の求めに応じ、以下の業務を行います。
(1)税務代理
税務官公署(国税不服審判所を含む。)に対する税法や行政不服審査法の規定に基づく申告、申請、請求、不服申立てなど税務調査や処分
に対する主張について代理、代行することです。税理士は、税務代理をする場合においては、依頼者から委任状をいただき、税務官公署に提
出しなければなりません。
税務調査の立会も重要な仕事です。税務代理をする場合、税務官公署の職員と面接するときは、税理士証票を呈示しなければならないことに
なっています。
(2)税務書類の作成
税務官公署に提出する申告書や申請書等の書類を作成することです。
申告書など税務書類を作成して税務官公署に提出する場合は、その書類に署名押印をしなければなりません。
(3)税務相談
税務官公署に対する申告や主張、陳述、申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずることです。
(4)会計業務
税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を行います。
(5)租税に関する訴訟の補佐人
租税に関する訴訟において訴訟代理人(弁護士)とともに出頭・陳述し、納税者を 支援します。
この税務代理、税務書類の作成、税務相談の業務は、有償、無償を問わず、税理士でなければできません。
また、税理士でない者は、「税理士」「税理士事務所」又はこれらに類似する名称を用いてはならないことになっています。
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©Nakao Sayuri
2015/12/22
専門家の役割:公認会計士
日本公認会計士協会 登録者数
全国:28,120人
東海会:1,925人
(2015.11末)
公認会計士の使命
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、
会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。(公認会計士法
第1条)

公認会計士の業務内容
公認会計士は、開業登録をしたのちに監査・会計の専門家として、独立した立場において「監査証明」を主たる業務とし、「会計」、「税務」「コン
サルティング」の業務を行っている公認会計士もいます。

公認会計士監査とは
資本市場に参加する企業は、投資家に経営内容を伝えるために財務情報を公開します。これを情報公開(ディスクロージャー)と言います。
このとき経営者は、正しい情報を説明する責任(アカウンタビリティ)を負っていますが、自ら作った情報の正しさを自らが証明することはできま
せん。そこで企業は、独立した第三者に証明を依頼します。この独立した第三者が公認会計士であり、公認会計士が判断するために行う検証
を「監査」と言います。監査の結果は、「監査報告書」として企業に提出されます。
公認会計士監査は、その内容を検証して、「適正」か「不適正」かを判断した結果を報告するという意味で、保証業務であると言われています。
金融商品取引法では、すべての上場会社に公認会計士監査を義務づけています。公認会計士が企業の財務情報を検証し、その正しさを保
証することによって、投資家は安心して投資活動を行うことが可能になるのです。
また、法律等で監査が義務づけられているのは上場企業だけではありません。学校法人や労働組合、政党、独立行政法人など、その財務
諸表の適正性を保証することが求められている事業体や団体等は、各種の法律等で監査が義務づけられています。
このように公認会計士監査は、公共の利益を擁護するためにさまざまなところで機能しています。

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©Nakao Sayuri
2015/12/22
【別紙1】活動計算書見本 参照 (1)事業費と管理費
 事業費とは、NPO法人が目的とする事業を行うため
 管理費とは、
に直接要する人件費やその他の経費をいいます。
・ある事業を遂行するために支出した人件費
・Tシャツ等の売上原価(仕入れや製作費)
・チラシやポスターの印刷費
・講師への謝金
・会場の賃借料
NPO法人の各種の事業を
管理するための費用
・総会及び理事会の開催運
営費
・管理部門に係る役職員の
人件費
・特定の事業の寄付金の募集のためのファンドレイジン
グ(資金調達)費等
*事業部門と管理部門に共通する経費がある場合に
は、そのうち事業を行うために要した経費として合理的
に算出された金額との合計額になります。
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・管理部門に係る事務所の
賃借料及び水道光熱費等
をいいます。
http://www.npokaikeikijun.jp/
guideline/qa/q14-1/
©Nakao Sayuri
2015/12/22
事業費と管理費、事業管理費と管理費
直接事業で使用したことが
明らかな経費
(例)講座の講師謝金
事業費
事業費
事業管理費
管理費
間接的に使用した経費
(例)企画、関係者の調整・コー
ディネート・報告書作成、会計報
告などに関する人件費
事業費のことを直接費、管理費のことを間接費と呼ぶ場合もあり、
実務上の定義が統一されているとは言えない状況にある。

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©Nakao Sayuri
2015/12/22
(2)勘定科目 別紙2、3参照

別紙3:NPO法人会計基準勘定科目(活動計算書)
行政の勘定科目とNPO法人会計基準の勘定科目例比較例
行政の予算科目例
NPO法人会計基準 別表1-活動計算書の科目
給料、職員手当等、賃金、
共済費
報酬、報償費
役員報酬、給与手当、臨時雇賃金
法定福利費、退職給付費用、通勤費、福利厚生費 雇用関係
の有無
業務委託費、諸謝金に該当すると考えられる
旅費
旅費交通費、車両費
需要費(消耗品費、燃料費、食糧費、印刷製本費、光熱
水費、修繕費、賄材料費、飼料費、医薬材料費)
消耗品費、車両費、会議費、印刷製本費、水道光熱費、
修繕費、雑費)
役務費(通信運搬費、保管料、広告費、手数料、筆耕翻
訳料、火災保険料、自動車損害保険料)
通信運搬費、賃借料、支払手数料、業務委託費、諸謝金、
保険料)
委託料
業務委託費
使用料及び賃借料
地代家賃、賃借料
備品購入費
消耗品費、什器備品(資産計上し、減価償却)
人件費/物件費
参考:統一的な基準による地方公会計マニュアル
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©Nakao Sayuri
2015/12/22
(3)法人税・消費税
税務上の任意団体(人格のない社団等)の扱い
(法人でない社団の範囲)
1-1-1 法第2条第8号《人格のない社団等の意義》に規定する「法人でない社団」と
は、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないも
ので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有して統一された意志の下にそ
の構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、次に掲げるようなものは、これに含
まれない。 (以下、略)

(人格のない社団等についての代表者又は管理人の定め)
1-1-3 法人でない社団又は財団について代表者又は管理人の定めがあるとは、当
該社団又は財団の定款、寄附行為、規約等によって代表者又は管理人が定められて
いる場合のほか、(以下、略)。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/01/01_01.htm

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©Nakao Sayuri
2015/12/22
NPO法人の法人税の納税義務
~法人税の収益事業の判定
・NPO法人の法人税は、原則非課税・収益事業課税
租税法律主義
・法人税で収益事業に該当しなければ、県税・市税の減
免が受けられるケースがほとんど。
NPO法人が実施する事業であっても、法人税上の「収益事業」に該当すれば、所得に対して法
人税が課税されます。
NPO法上の「その他の事業」が、法人税法上の「収益事業」であるわけではありません。つまり、N
PO法上は「本来事業」であっても、法人税法上「収益事業」に該当することがあるのです。
(例)
法人税\NPO
特定非営利活動に係る事業
法
(本来事業)
収益事業
その他の事業
法人税法の対象となる事業
非収益事業
法人税法上、収益事業は「販売業、製造業その他政令で定める事業で、継続して事業場を設
けて営まれるもの」と規定されています(法人税法第 2 条第 1 項 13 号)
。
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©Nakao Sayuri
2015/12/22
販売業・製造業その他政令で定める事業
1)物品販売業
2)不動産販売業
3)金銭貸付業 4)物品貸付業
5)不動産貸付業
6)製造業
7)通信業
8)運送業
9)倉庫業
10)請負業 11)印刷業
12)出版業
13)写真業
14)席貸業
15)旅館業 16)料理店業その他の飲食店業
17)周旋業
18)代理業
19)仲立業
20)問屋業 21)鉱業
22)土石採取業 23)浴場業
24)理容業
25)美容業
26)興行業
27)遊技所業
28)遊覧所業
29)医療保健業 30)技芸教授業 31)駐車場業
32)信用保証業
33)無体財産提供業 34)派遣業
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©Nakao Sayuri
2015/12/22
技芸教授業の「技芸」とは?
継続性
洋裁、和裁、着物着付け、編物、手
芸、料理、理容、美容、茶道、生花、
演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵
画、書道、料理、工芸、デザイン(レ
タリングを含む)、自動車操縦、小
型船舶(総トン数5トン未満の沿岸
小型船)の操縦のことをいう(法人
税法施行例第5条第1項第30号)。
*限定列挙


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収益事業は「継続して事業場を設
けて営まれるもの」と定義されてい
ますので、例えば「1年に1回のバ
ザー」などは「物品販売業」に該当
していても、「継続性がない」と判断
されれば「非収益事業」となります。
©Nakao Sayuri
2015/12/22

非課税規定

法人税法については、さまざまな非課税規定があ
ります。 例えば、上記34業種の事業に従事する
障害者等がその事業に従事する者の総数の半数
以上を占め、かつ、その事業がこれらの者の生活
の保護に寄与しているもの については法人税は
課されません。
例:身体障害者、知的障害者、精神障害者、年齢
65歳以上の者、母子福祉団体が行う一定のもの


また、実費弁償による事務処理の受託等につい
ても一定の手続きを要件に、収益事業とならない
規定が設けられています(法人税基本通達1-1
-11)
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©Nakao Sayuri
2015/12/22
消費税の納税義務
NPO法人の消費税は、基本的に普通法人と同じ。
但し、本則課税・国等の特例あり
NPO法人であっても、国内において事業として対価を得て行う資産の譲渡等 を
行う場合には納税義務者となります。
□前々事業年度の課税売上高が1千万円超→納税義務あり
↓該当しない場合
□前事業年度の上半期の課税売上高が1千万円超(給与等による判定も可能)
↓→該当する場合、納税義務あり
納税資金の
↓該当しない場合
確保が重要
□納税義務なし

年度
2013年度
課税売上
1000万円超
納税義務
16
2014年度
2015年度
2016年度
2017年度
1000万円以下
1000万円超
納税義務あり
納税義務なし
©Nakao Sayuri
2015/12/22
2018年度
課税売上とは?
課税売上
・販売
・貸付け
・サービスの提供一般(多くの委託事業)

非課税
・介護保険サービス等

不課税(対価性のないもの)
・会費、寄付金、助成金・補助金

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©Nakao Sayuri
2015/12/22
(4)人件費
ボランティア、役員報酬・給与、報酬・諸謝金・外注費
「なぜ?」「いくらくらい?」「払い方は?」
労務・税務上、「有償ボランティア」は
定義されていません。法律に沿った
区分に引き直して考えます
実費弁償なのか?
実費弁償
旅費交通費など
提不要
実費相当額なのか?
役員としての対価?
役員報酬
労働者としての対価?
請負・外注
・諸謝金
給与手当
給与所得の源泉徴収
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外注・謝金しての対価?
報酬→
一定の場合10.21%の源泉徴収
©Nakao Sayuri
2015/12/22
(4)人件費
税務/労務・・・給与と報酬
給与・雇用
報酬・請負
契約形態
雇用契約(民法623)
請負契約(民法632)
所得税
給与所得の所得税(源泉徴収税額表 一定の場合、所得税(原則10.21%)
による)→一定の場合、年末調整
→個人で確定申告
消費税(本則課税)
仕入税額控除ができない(不利)
仕入税額控除ができる(有利)
労働保険や社会保険
該当
該当しない
最低賃金
愛知県820円/時(2015.10-)
ー
詳細は名古屋市委託事業で作成した、
「NPOの会計・税務・労務を支援する専門家のための知恵袋」P.17-22をご覧ください。
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©Nakao Sayuri
2015/12/22