オンライン・ソーシャルメディア・リサーチハンドブック 概要紹介 著:レイ・ポインター 訳:GMOジャパンマーケットインテリジェンス 実施日:2012年3月5日(月) はじめに 本書の購読対象 知識を広め、自分のプロジェクトにおける方法論としてインターネットや ソーシャルメディアの活用を拡大したいと望んでいるマーケットリサー チャー オンライン調査やソーシャルメディアリサーチの分野における専門家で、 自分の経験を新たなベストプラクティスと比較したいと望んでいる人 マーケットリサーチの依頼者で、現在活用することのできるリサーチ手法 において、実現可能なこととその限界について、理解したいと望んでいる 人 本書補足ページ: http://hosmr.com/ 2 目次 第I部 オンライン定量調査 オンライン定量調査の概要 ウェブサーベイシステム オンラインサーベイの設計 パネルおよびデータベースの利用 オンラインサーベイの運用 第II部 オンライン定性調査 オンライン定性調査の概要 オンラインフォーカスグループ 電子掲示板グループとパラレル・インデプスインタビュー 他のオンライン定性調査の手法とまとめ 第III部 ソーシャルメディア リサーチツールとしての参加型ブログ オンラインリサーチコミュニティ ブログおよびバズマイニング その他のソーシャルメディアのトピック 3 目次 第IV部 特定分野の調査 専門的なリサーチ分野 ウェブサイトリサーチ リサーチの手法とアプローチ マーケットリサーチのビジネス 第V部 マーケットリサーチの最新動向 新しいマーケットリサーチ(NewMR) トレンドとイノベーション 本書の要約 4 第I部 オンライン定量調査 オンラインマーケットリサーチが最大の影響を与えたのは定量調査領域に おいて。 2009年 ESOMAR Gloal Market Reserch Reportによると、2008年までのオ ンライン定量リサーチの割合は、リサーチ全体の20%、金額にして65億$。 対して、電話による定量調査が18%、対面調査が12%、定性調査14%。 調査内容に関しては、オンラインと非オンラインで相違はほとんどない。 この章では、定量調査のオンラインリサーチの解説と、非オンラインリサー チとの違いについての記述が中心だった。 5 第I部 オンライン定量調査 オンライン定量調査で、対象者にコンタクトとる方法として、以下6項目を挙 げる。 ①オンラインアクセスパネル ②クライアントデータベース(顧客名簿的なもの) ③マーケティングデータベース ④クライアントパネル ⑤ウェブサイト訪問者 ⑥リバーサンプリング 6 第I部 オンライン定量調査 リバーサンプリング? リアルタイムサンプリングとも言う。 パネルやコミュニティへの参加を選択した一部の集団からでなく、 サンプリングの必要性に応じたその都度、調査への参加依頼をするこ と。ほぼランダムサンプリング。 例:バナー広告、ポップアップ、SNSのインタラクションデバイス… 7 第I部 オンライン定量調査 オンラインと非オンラインリサーチの問答いくつか… 非オンライン調査の現行の質問は、すべてオンラインで尋ねることができる のか? →対面や電話でのアンケートには、自然想起で回答を求めたあとに、 助成想起で再度回答を求める場合がある。 例えば、ブランドに関して、回答を求めたあとに、得られた回答をリスト 化し、次に助成想起のブランドリストに対して、回答を求めるといったも の。 インタビュアーが同席していれば、ここでの不完全な回答は追加質問 で補うことが可能だが…。 この点でオンライン調査のもつ制約を意識する必要がある。 8 第I部 オンライン定量調査 オンライン・非オンライン調査について、同母集団に同じ質問を尋ねたら、 同じ結果が得られるような 信頼性の向上が課題。 第Ⅰ部には、その他、オンライン定量調査の必要性や調査設計・その運用 手法といった記述があった。 9 第Ⅱ部 オンライン定性調査 定性調査の歴史。 1990年代後半から10年の間に支配的な手法となった。 対して、定性調査全体に占めるオンライン定性調査の割合は微々たるもの に過ぎなかったが、この状況に変化の兆しが見えてきている。 ESOMARのデータを見ると、世界的にオンライン定性調査は定性調査の 4%ほど。 10 第Ⅱ部 オンライン定性調査 オンライン定性調査特有の手法は以下7項目。 ①オンラインフォーカスグループ ②電子掲示場グループ ③Eメールグループ ④仮想世界 ⑤パラレルインデプスインタビュー ⑥定量調査の定性的な詳細説明 ⑦グループの物理的な遠隔観察 これらの手法は、同時性アプローチと、非同時性アプローチと大別される。 11 第Ⅱ部 オンライン定性調査 ①オンラインフォーカスグループ →専用のチャットソフトを使い、対象者をサイト誘導してのディスカッション。 ②電子掲示場グループ →対象者の時間に合わせて回答を収集する。 ③eメールグループ →MEG(モデレーテッドe-mailグループ)は、e-mailを通じたグループディスカッション ④仮想世界 →SecondLife等。 ⑤パラレルインデプスインタビュー →同時に複数の対象者と実施可能なインタビュー ⑥定量調査の定性的な詳細説明 →アンケートの自由回答項目等 ⑦グループの物理的な遠隔観察 →ビデオストリーミング、アイトラッキング等 12 第Ⅱ部 オンライン定性調査 オンライン定性調査、海外調査の課題 ・現地パートナー不在のため、文化的、世代間問題への理解が不足す る ・オンライン訂正プロジェクトには翻訳コストが高い・国際版のシステム では、英語対応のみで完結されない場合もある ※ESOMAR2009 Global Market Researchによるとリサーチの49%は欧州、 30%は北米で14%がアジア太平洋地域で実施されている。 その他、各調査手法ごとに、「設計手法、望ましい参加者数、プロジェクト期 間、活動サイクル、契約条件、インセンティブの計画、インタラクションのフ レームワーク、参加者のリクルート、グループのモデレーション、インサイト の抽出報告、オンラインでの適不適な状況」等の解説が記載されている。 13 第Ⅲ部 ソーシャルメディア この章は、ソーシャルメディアやWeb2.0とマーケットリサーチへの影響につ いて記述している。 加えて、以下4項目の「既存のWebツール、設計手法、各適用事例や将来 の展望」について触れている。 ①リサーチツールとしての参加型ブログ ②オンラインリサーチコミュニティ ③ブログおよびバズマイニング ④他のソーシャルメディアのトピックまとめ 14 第Ⅲ部 ソーシャルメディア ①リサーチツールとしての参加型ブログ →参加者には頻繁に貢献的な作業が求められ、リサーチャーにとっては会話の展開とイ ンサイトの抽出に向けて参加者へのサポートが必要になる。 業務に携わるリサーチャーに要求される時間は、コストの主な要因となる。 参加者のブログ経験は浅いことを前提にしたシステム設計が求められ、十分なインフラとサ ポートが必要になる。 参加型ブログはトピックを理解するための効果的な方法。参加者への日常 生活の調査により状況が浮かび上がり、インサイト(消費者行動への洞察) の抽出が容易になる。 通常のプロジェクトでは8人~60人の参加者が動員され、作業期間は1週間 から4週間にわたる。 15 第Ⅲ部 ソーシャルメディア ②オンラインリサーチコミュニティ →マーケットリサーチの世界で最も急成長を遂げている手法、そのリサーチ売上高はすで にオンラインフォーカスグループと掲示板グループと合わせた額を超えている。 オンラインリサーチについては以下の特徴がある。 ・短期コミュニティは特定のリサーチニーズに関係しており、他のアドホック手法の代替手 段としても有効・長期コミュニティは常時進行する顧客とのディスカッションであり、固定費が高 額になる(一般的には数十万$)が、プロジェクトが1件増えても追加費用を抑えて、反応も早く することができる。 ・オンラインリサーチコミュニティがそれ自体によって、マーケットリサーチの表面的な部分 を変化させることがなくてもディスカッションやリスニングといったアイディアは、将来のマーケッ トリサーチにおける重要な部分になると想定される。 16 第Ⅲ部 ソーシャルメディア ③ブログおよびバズマイニング 強み:ブログやバズマイニングから生じるトピックは顧客自身の言葉であるという確実性がある。 弱み:話題に上がらないと効果が得られない。 インターネットで一般的に入手可能な情報は増加し続けていて、ブログマイ ニング用のツールの改善は期待される。 ただし、膨大な情報を扱うコストとその解析に人出を要するため、コストの 低下は困難。 17 第Ⅲ部 ソーシャルメディア ④他のソーシャルメディアのトピックまとめ マーケットリサーチにおけるソーシャルメディアの活用が急成長している理 由は主に以下の2点。 1:人々とコンタクトをとるための、彼らの生活に関するインサイトを得るための多くの方法 が利用可能であること 2:従来のマーケットリサーチが、迅速かつ行動につながるインサイトを生み出すというビジ ネスニーズへの対応が立ち遅れたという 認識の高まり 18 第Ⅲ部 ソーシャルメディア オンラインフォーラムやコミュニティ、市民リサーチャー、参加者ブログ等の エスノグラフィーリサーチといった手法はすべて定性調査に利用可能なツー ルの幅を広げる。 しかし、オンラインリサーチコミュニティ、コミュニティ対応パネル、ブログお よびバズマイニングは、すでに定性・定量双方の領域において競合状態に ある。 19 第Ⅳ部 特定分野の調査 この章では、リサーチャーやリサーチ発注者の特定のニーズ、グローバル リサーチ、B2Bリサーチ、WebサイトリサーチやDIYリサーチについて、以下 4つの視点で検討している。 ①専門的なリサーチ分野 ②ウェブサイトリサーチ ③リサーチの手法とアプローチ ④マーケットリサーチのビジネス 20 第Ⅳ部 特定分野の調査 ①専門的なリサーチ分野 グローバルリサーチ、B2Bリサーチ、公共セクターでのリサーチを取り上げ、 背景、メリット、デメリット等について記述している。 インターネット活用のメリット ・低コストおよび迅速なリサーチ ・より多くの質問に対応が可能が可能(定量調査) ・対象エリアの拡大が可能(定性調査) ・国際的な議論が可能(ソーシャルメディア) 潜在的な落とし穴 ・調査事項のチェック、ローカライズする現地リサーチ会社の欠如 ・リサーチ結果が現実よりも標準化される恐れ ・英語への依存、自由回答の回避、すぐ実現できるものへの固執 21 第Ⅳ部 特定分野の調査 ②ウェブサイトリサーチ ウェブサイトリサーチには幅広い手法が用いられるが、主なアプローチは以 下のものがある。 ・訪問者のプロフィールや満足度を測定するポップアップサーベイ ・ウェブサイト訪問者の量や行動を調べるウェブアナリティクス ・ユーザのウェブサイトに対する認識を調べるアカンパニードサーフィン ・ウェブサイト開発のアイディアを調べるフォーカスグループ ・ユーザビリティ、アクセス性、性能を評価するプロフェッショナルレビュー ウェブサイトリサーチ分野に従事するマーケットリサーチャーにとっての課 題は、トラフィックレベル、クリック数、遂行率等の測定可能なレベルの引き 上げと、対象者との密接な関係、支持、参加意識といった問題を調査する こと。 22 第Ⅳ部 特定分野の調査 ③リサーチの手法とアプローチ ここでは「マーケティング科学、予測市場、複合目的リサーチ、審議型リ サーチ、DIYリサーチ」といったリサーチ手法を取り上げ、その理論や主な 手法、課題等を記述している。 ④マーケットリサーチのビジネス 「リサーチャーネットワーク、リサーチの新たな形態、新たな競争者、リサー チビジネスの変化、アウトソーシングとオフショアリング、システムのセキュ リティと信頼性、オンラインレポーティング、品質面と倫理面」の項目を取り 上げている。 23 第Ⅳ部 特定分野の調査 ④マーケットリサーチのビジネス リサーチの新たな形態では、下記7項目について記述している。 ・ウェブアナリティクス ・ウェブサイトリサーチ ・非同時的な手法→ ・ブログおよびバズマイニングによるリサーチ ・ソーシャルリサーチおよび協働的リサーチ ・eエスノグラフィー ・Weリサーチ 24 第Ⅳ部 特定分野の調査 ・ウェブアナリティクス →誰がどのサイトを利用しているか、そこで何をしているか、どのくらいの頻度で訪問してい るか、を測定する。 ・ウェブサイトリサーチ →ウェブサイトの改善方法、利用者の考え、または利用者は誰かといったことを調べる ・非同時的な手法 →電子掲示板グループや、オンラインリサーチコミュニティ等 ・ブログおよびバズマイニングによるリサーチ →人々の対話に耳を傾ける ・ソーシャルリサーチおよび協働的リサーチ →オンラインリサーチコミュニティの利用等 ・eエスノグラフィー →オンラインのやり取りを通じて人々の暮らしを探る ・Weリサーチ →例えば、ブログ、ウェブカム、携帯電話を用いて、参加者が自分たちにまつわる話を記録 するための支援を行う。 25 第Ⅴ部 マーケットリサーチの最新動向 この章では、現時点で明らかになってきた動向や、今後数年間にわたって 主流になりうる考えた方を記述している。 NewMR(Maeket Research)という考え方 ・大半のマーケットリサーチではランダムサンプリングを前提とすることがで きず、行動経済学やニューロサイエンスの発展により、従来のリサーチにお ける一部の質問が無効なことを判明したという認識をもとにした新パラダイ ムの模索 ・マーケットリサーチにおけるインサイトを得る手段としてのソーシャルメディ アの採用 26 第Ⅴ部 マーケットリサーチの最新動向 NewMRの手法 ・ブログおよびバズマイニング ・MROC(オンラインリサーチコミュニティ) ・予測市場 ・eエスノグラフィー ・記号論 ・WEリサーチ(リサーチャーと一緒に、または彼らの代わりに調査対象 者の参加を促す調査アプローチ) その他、ソーシャルネットワークとマーケットリサーチ、イノベーションコミュ ニティ、協働的定量調査、モバイルリサーチ等のトレンド情報を記載。 27 以上 28 ご清聴有難うございました。
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