ウォール街のランダム・ウォーカー ―8~14章― 小佐野唯 新しい投資

ウォール街のランダム・ウォー
カー
―8~14章―
小佐野唯
第8章 新しいジョギング・シューズ
―現代のポートフォリオ理論―
 新しい投資テクノロジー
「現代ポートフォリオ理論(MPT)」
株式をどのように組み込めばポートフォリオのリ
スクが最小になるかを教えてくれる
分散投資によってより高いリターンを実現しながら
リスクを低減することが可能
リスクこそ株式の価値を決める
 株式市場は新しい情報を速やかに織り込む能力に
長けている
 市場の先行きの予測・魅力的な銘柄を選びあてる
ことは難しい
→市場に打ち勝つためには
×優れた透視力
◎より大きなリスクをとること
リスクのみがどの銘柄のリターンがどの程度市場平
均を上回るのかを決め、株式の価値を決める!!!
リスクとは?
 投資のリスクとは、証券の期待したリターンが実
現しない可能性(特に、値下がりの可能性の大き
さ)
 リスクを測る尺度は?
→将来のリターンの変動性または散らばり具合
→リターンの分散または標準偏差として定義
投資家はより大きなリスクをとることによって、よ
り高いリターンを得てきた!!!〈ハイリスク、ハ
イリターン〉
リスクを減らす学問-現代ポートフォリオ理論
-
 現代ポートフォリオ理論の主要なテーマ
リターンの目標が与えられた時に、リターンを犠牲
にせずにリスクを低下させる
〈分散投資〉
一つの証券に投資するのではなく、複数の証券に分
散して投資することにより、リスクを低減できる
→市場とマイナスの相関関係にある資産
第9章 リスクをとってリターンを高める
長期的により高いリターンを得る唯一の方法
=より高いリスクを受け入れること
では、完全なリスクの尺度は存在するか?
→しない
どんな尺度も、個別株式やポートフォリオに対する
様々なシステマティック・リスク(リターンの変動
性のある部分)の影響を十分にはとらえられていな
い
将来のリスク・リターンを確実に予測することはで
きない!
第10章 行動ファイナンス学派の新たな挑戦
 新しい金融経済学「行動ファイナンス」
市場株価
常にあやふやなもので、株価が過剰反応することは
例外的なことではなく、むしろいつもそうである
投資家
合理的に期待される行動から規則正しいパターンで
逸脱し、非合理的な売買の間には強い相関関係があ
る
→投資家は完全に合理的に行動するという前提を否
定
行動ファイナンス派の主張
 投資家の非合理的な行動をもたらす要因
①自信過剰②偏った判断③群れの心理④損失回避願
望
さらに、アービトラージは機能しない
※「アービトラージ」
同一の財が二つの市場で異なる値段で売買されている時、一物二価の状態をう
まく利用して利益を上げる行為
株価は効率的市場の下で成立するであろう水準から
著しく乖離することも大いにありうる
→しかし、こうした可能性に関してはこれまでの教
訓と比べると議論の余地がある
第11章 効率的市場理論に対する攻撃は
なぜ的外れなのか
効率的市場理論に様々な反証
→しかし、どれも的外れ…
リスク調整後で超過リターンが得られるような投資
機会が明らかに存在する
↓
同時に多数の投資家がそうした機会にいち早く行動
するため、超過リターンはやがて消滅
一貫して平均を上回り続けることは不可能であ
る!!
第12章 インフレと金融資産のリターン
株式リターンの決定要因
〈長期〉
①足下の配当利回り
②今後の一株当たり利益、
配当の成長率
〈短期(1~数年)〉
③市場の評価水準の変化
(株価配当倍率、株価収
益率)
長期平均の株式投資の総リター
ン=投資時点の配当利回り
+その後の配当の期待成長率
株式は原理的にインフレ・ヘッジが利いている
→インフレの進行がそのままマイナスの影響を及ぼさない
債券リターンの決定要因
〈長期平均〉
購入時の「複利最終利回
り」で近似される
 〈満期まで保有しない場
合〉
 金利の変化が大きく影響
インフレは致命的な悪影響を及ぼす!!!
まとめ♡
 株価の短期的な予測はできない
 一方、長期的な投資見通し、債券・株式のリター
ンの予想は妥当
→長期的な投資方針を立てるべき!!!
第13章 投資家のライフサイクルと投資戦略
 人生の各ステージにおいて
株式・債券・不動産・マネーマーケット商品といっ
た
「アセット・ミックス」
をバランスの良いものにすることが重要!
⇒投資の総リターンの90%はアセット・ミックス
によって決まる!!
アセット・アロケーション(資産配分)の5つの基準
1.リスクとリターンは正比例する
2.リスクは投資期間に依存する
3.ドル・コスト平均法はリスクを効果的に低減す
る
4 .リバランスによってリスクを減らしリターンを
高める
5 .リスク選好とリスク許容度を区別する
3つの基本原則
 1.特定の具体的ニーズに対しては具体的な資金
源が必要
 2.自分のリスク選好をわきまえること
 3.規則的に長期に積み立てる
ライフサイクルに合わせた投資
 古代からある考え方
「三分法」=財産の三分の一ずつを
土地・商品(事業)・流動資産
の形で保有するべきだという考え
→このようなアセット・ミックスを現代風に改善
20代ならば株式や外国株など、比較的リスクの高
いものに比重を高くして、年を取るにつれてリスク
の高い投資の割合を減らす、など
第14章 ウォール街に打ち勝つための三つのアプロー
チ
 ウォール街の3つの歩き方
①思考停止型の人
→インデックス・ファンドを買う(最もおすすめ)
②手作り型の人
→有望銘柄を自分で探す
③専門家任せの人
→専門家(プロの投資マネージャー)を雇う
インデックスファンド戦略
インデックス・ファンド(消極投資)は
・積極運用されるファンド平均よりも一貫して高い
リターン
・取引コストと税金が最小限
・運用成績が予測しやすい
・運用成績の評価が簡単
・比較的少額の投資で広範な分散投資が可能
→どんな場合でも、ポートフォリオの少なくともあ
る部分はインデックス・ファンドに振り向けるべ
きである