資料2-3 (2)石綿排出等作業の作業実例と留意事項 ③アミューズメント施設の解体工事事例について (石綿含有建材の使用状況調査) 平成28年6月17日 堺市環境局環境保全部環境対策課 山本 謙悟 1. 主な経緯① アミューズメント施設 ◎ ◎ ◎ 昭和50年代に建築された堺市内のアミューズメント施設 30年以上、地域に親しまれてきたが、数年前に閉店 取り壊しがなく、廃墟化、ボヤ騒ぎも発生し、 周辺住民の間で問題になる 1 1. 主な経緯② 住民 ① 事前周知が ないまま 解体工事が 始まり不信感と 不安が広がる ② 苦情 ・石綿飛散 ・法令違反 の有無 行政 アミューズメント施設 ③ 現地確認 ・不適正な事前調査を現認 ⇒事前調査の実施を指導 ・苦情内容を説明 ⇒自主的な周知を求める 購入 解体関係者 C 下請 B A 発注者 元請 不動産業者 2 1. 主な経緯③ 住民 行政 ⑥ 法令遵守の確認 ・除去作業方法の事前審査 ・作業前の養生等検査 ・適正処理の確認 ④ 住民への周知 ・説明会の実施 ・ビラを投函 ・戸別訪問 ・掲示板の設置 ⑤ 事前調査の実施 ・分析検査 ⇒ 吹付け石綿有り 届出書の提出 ・特定粉じん排出等作業実施届出書 ・石綿濃度測定計画届出書 除去作業の完了報告 アミューズメント施設 購入 解体関係者 C 下請 B A D 発注者 石綿除去業者 元請 不動産業者 ◎ 住民対応と吹付け石綿の除去工事のため、工期に大幅な遅れが発生 3 2. 建物の概略 立面図 2F 平面図 天井裏 2F 1F < アミューズメント施設の建物概要 > ・建築 ・建築構造 ・階数 ・延べ床面積 昭和50年代 鉄筋コンクリート(RC)造 2階建て 約6000m2 WC 1F 平面図 守衛室 ボイラー室 4 3. 事前調査(当初) 立面図 2F 平面図 天井裏 2F 1F WC ケイカル板 < 事前調査 > ・事前調査の方法は目視のみ ・設計図書がない ・不動産情報に吹付け石綿使用無しと記載あり 1F 平面図 守衛室 波板スレート ボイラー室 < 調査結果 > ・目視による調査の結果、石綿使用は2箇所 ①守衛室の屋根及び外壁の波板スレート ②2階トイレの天井ボード(ケイ酸カルシウム板第1種) なお、いずれも目視のため「みなし」で石綿含有と判断 5 4. 現地確認(行政) 2F 平面図 立面図 折板吹き付け材(ひる石) 天井裏 折板吹き付け材(ひる石) 石膏ボード 2F 1F < 現地確認 >(石綿含有が疑われる箇所と建材) ① 天井の下地材(石膏ボード) ② ボイラーの配管保温材 ③建物両端にある鋼板吹き付け材(ひる石) WC 1F 平面図 守衛室 ボイラー室 配管保温材 < 適正な事前調査の指示 > ・設計図書がなく建材製品名が不明なため 石綿含有率等の分析(JIS A 1481)による調査 6 5. 石膏ボード < 石膏ボード > 特性 用途 : : 断熱・遮音性が高い 室内の壁、天井の下地材 <石綿含有石膏ボード> 製造期間 : 昭和45年~昭和61年 製造割合 : 上記期間の石膏ボード全体の約1% 石綿の種類 : 白石綿(クリソタイル) 石綿のレベル: レベル3(非飛散性、石綿含有成形板) < 石綿含有の判別方法 > 石膏ボードの厚みと裏面に表示する 製品名及び防火材料認定番号から判別可能 引用: アスベスト調査.NET (HP) 7 6. 配管保温材 < 配管保温材 > 用途 : ボイラー、化学プラント等、熱を発生する部分に使用、 用途は熱を搬送するための保温 < 石綿含有保温材 > 製造期間 : 石綿の種類 : 石綿のレベル: 保温材の種類: 昭和55年頃まで 主に茶石綿(アモサイト)※熱による収縮が少ないため 主にレベル2(飛散性、保温材) 石綿含有けい酸カルシウム保温材 石綿含有けいそう土保温材 など 引用:国土交通省 「目で見るアスベスト建材(第2版)」(平成20年3月) 例 配管保温材 8 6. 配管保温材 <配管エルボ> L字のように曲がった配管部 <配管エルボの石綿含有保温材> 配管エルボは高温になりやすく、グラスウールの保温材が隙間なく巻くことが できないなどの理由から石綿含有保温材がよく使用されている。 ⇒ 直管の石綿含有保温材に比べ様々な施設で使用されている。 引用:国土交通省 「目で見るアスベスト建材(第2版)」(平成20年3月) 例 配管エルボの保温材 9 7. 吹き付けバーミキュライト < 吹き付けバーミキュライト(ひる石)> 含水ケイ酸塩鉱物等を主成分としたものを加熱することにより、 薄い無数の層が数十倍に膨張したもの 特性:軽く断熱性、吸音性に優れている 用途:主に内装用仕上げ塗装として使用(教育施設、公共施設の天井仕上げ材等) ⇒しかし、当事例では、折板の裏打ち仕上げ材として吹き付けられていた。 <石綿が含有する吹き付けバーミキュライト(ひる石)> 製造期間 : 石綿の種類 : 石綿のレベル: 昭和63年頃まで 白石綿(クリソタイル) レベル1(飛散性、吹付け石綿) 引用:国土交通省 「目で見るアスベスト建材(第2版)」(平成20年3月) 天井 ひる石吹付け(近景) 引用:国土交通省 「目で見るアスベスト建材(第2版)」(平成20年3月) 天井 ひる石吹付け 10 8. 事前調査(再調査結果) 立面図 折板吹き付け材(ひる石) 天井裏 2F 平面図 折板吹き付け材(ひる石) 2F 1F WC ケイカル板 < 再調査の結果 > ①守衛室の屋根及び外壁の波板スレート ②2階トイレの天井ボード (ケイ酸カルシウム板第1種) ③建物両端にある鋼板吹き付け材(ひる石) 1F 平面図 守衛室 波板スレート ボイラー室 11 9. 石綿除去に係るリスクコミニケーション 石綿の除去工事に関心が高まっている。 工事に対して不安を感じる問合わせも増加。 周辺住民へ事前に周知することが大切に。 < 環境省の動向 > ◎ 石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションのあり方を検討 ◎ リスクコミニケーションのガイドラインを作成する予定 内容 ・基本的な考え方 ・進め方 事前調査の実施方法 事前調査結果を伝える住民の範囲及び時期 情報伝達の手段等 ・情報提供内容 < 事前周知 > ◎実施方法 ◎実施時期 ①説明会 ②戸別訪問 工事着手前の早い時期に ③チラシ配布 ④回覧板 など ※石綿がなぜ飛散しないのかを丁寧に伝えること 12 10. 留意点 < 当事例を踏まえた留意点 > ◎事前調査で石綿含有建材を見落とさないために・・・ 1) 目視調査者は、石綿の適切な知識を有する者に ⇒建築物石綿含有建材調査者制度の活用を 2) 調査範囲を安易に絞り込むことなく、網羅的な調査が必要 ⇒同フロアであっても複数箇所で調査を 3) 設計図書及び目視調査で明らかにならない場合は、分析検査を ⇒石綿の含有がないものと「みなす」ことはできない ◎周辺住民に不安を広げないために・・ 1)解体工事着手前の早い時期に丁寧に事前周知を実施すること 13
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