ネットワークトポロジを考慮した 効率的なバンド幅推定手法 長沼翔 高橋慧 斎藤秀雄 柴田剛志 田浦健次朗 近山隆 (東京大学) 1 背景 • バンド幅マップを得ることはますます重要に – ネットワークの管理、運用のため – 広域分散アプリケーションの最適化のため 8 10 3 A S B 7 8 10 5 9 C D E バンド幅マップの例 F 2 背景 • バンド幅マップを得ることはますます重要に – ネットワークの管理、運用のため – 広域分散アプリケーションの最適化のため 8 10 3 A S only 3!? B 7 8 10 5 9 C D E F 3 背景 • バンド幅マップを得ることはますます重要に – ネットワークの管理、運用のため – 広域分散アプリケーションの最適化のため 8 8 Throughput = 10 3 A S B 7 10 5 9 C D E F 3 source : (A) destinations : others パイプラインを用いたブロードキャスト 4 背景 • バンド幅マップを得ることはますます重要に – ネットワークの管理、運用のため – 広域分散アプリケーションの最適化のため 8 A S 4 3 3 B 1 C D 5 E5 F source : (A) destinations : others A Stable Broadcast Algorithm [Kei Takahashi et al, CCGrid2008] 5 背景 • バンド幅マップを得ることの難しさ – ネットワークの深部の情報が得られない • 既存の1対1推定ではボトルネックリンクしか得られないことがほとんど – 多大な時間と手間を要する • ホスト数N に対して推定すべき組み合わせはO(N2) バンド幅マップ 8 10 3 A S B 7 従来方法で得られるバンド幅マトリクス 8 A B 10 5 9 C D E C F D E F A B C D E F - 3 7 8 5 8 - 3 3 3 3 - 7 5 7 - 5 9 - 6 5 - 目的 • バンド幅マップを得る為の新たな手法の提案 – 正確 • ネットワーク深部まで把握できる – 高速 • 高いスケーラビリティを持つ – ユーザレベルで実行可能 • root 権限を必要としない • 機器や規格に依らない 7 8 発表の流れ • • • • • 背景と目的 既存手法の紹介 提案手法の紹介 実験と評価 まとめ 9 1対1の推定を基調とした手法 • Iperf など (Streaming method) – 10 sec データを送受信,送れたデータサイズを10 sec で割る • ○ 正確でばらつきの小さい結果 • × ボトルネックリンクの値しか得られない • Pathchar など (One-Packet method) – パケットの伝送時間をキュー待ち,機器の遅れ,転送時間に分けて考え, 沢山の観測データから転送時間のみを抽出し,バンド幅を算出する • ○ 負荷が小さい • × 不正確でしかもばらつきが大きい,スイッチが介在すると測れない,測定時間が長い, root 権限が必要など • Nettimer など (Packet-Pair method) – 二つのパケットを連続送信し,受信側で到達時間の差を見,それから間の リンクのバンド幅を推定する • ○ Pathchar より高速 • × 不正確でしかもばらつきが大きい,ボトルネックリンクの値しか得られない 10 Network Weather Service • 各ホストにデーモンが置かれる – 各ホスト間の全体全で推定を自動に行う • 結局、得られるものはバンド幅マトリクス – 手間は省けるが、バンド幅マップの様な詳細 な情報は得られない – スケールしない ? 11 perfSONAR • SNMP を用いたネットワーク監視ツール – 高速であり、バンド幅マップの様な詳細な情報も 得られる • ただし機器や規格に依存する – SNMP 非対応の機器 – perfSONARプロトコルの標準化 • 得られるバンド幅の値は定格値 – ユーザレベルではあまり実用的ではない 12 発表の流れ • • • • • 背景と目的 既存手法の紹介 提案手法の紹介 実験と評価 まとめ 13 問題設定 • 木構造ネットワーク上に、バンド幅マップを 構築する – 入力はトポロジ、出力はそれの全リンクにバンド幅の 値を割り当てたバンド幅マップ • トポロジは既知とする – トポロジは高速に推定可能 • 4 クラスタ,256 ノードの推定に16 秒 – Shirai et al. A Fast Topology Inference (HPDC 2007) • リンクのバンド幅は上下対称とする – 一般の場合にも適用可能 14 提案手法 • 基本はIperf – 1対1を推定対象の単位とするのではなく、 1スイッチ + 3ノードで1セット(基本セット) を推定対 象の単位とする • トポロジを基本セットに分解して考え、それらを 葉部からボトムアップ式に並列に推定を進める 15 全体的な処理の進み方 16 個々の基本セットの推定 B A Link C 基本セット 1 スイッチに3 ノード(ホスト,スイッチ等)が接続されたネットワーク 一般のネットワークは基本セットの連続である 17 個々の基本セットの推定 a A B a A Link a A a a B Link a C b C b B b B c C Link a A b C Link 基本セットのバンド幅マップは,4 ケースしかない ( a < b < c としてよい) 個々の基本セットの推定 4 ケースのバンド幅マップ x A B Link C 各ケースで期待される、1 対 1 もしくは 1 対 2 のバンド幅推定結果 a < 19b < c 個々の基本セットの推定 j A i j B Link i k C jk 基本セットの推定 完了 (i<j<k) 各ケースで期待される、1 対 1 もしくは 1 対 2 のバンド幅推定結果 a <20 b < c 個々の基本セットの推定 一般の場合の推定手順 B x A Link C • 1 対1 推定を三種類行う。 – If 二種の異なる値が観測された • 1 対2 推定を二種類行う。 – If 異なる値が観測された » case 4 – Else if 等しい値が観測された » case 3 a<b<c – Else if 三つとも等しい値が観測された • 1 対2 推定を三種類行う。 – if 二種の異なる値が観測された » case 2 – Else if 三つとも等しい値が観測された » case 1 21 基本セットは決定できたが… 22 セットまでの経路にボトルネックリンクがあると、結果が誤る ネットワーク深部 (エンドホストから離 れた位置にある基本セット)では、束ね たストリームを用いる 23 提案手法の特徴 • 詳細なバンド幅マップの推定が可能 – 基本セット、ストリームの束という考え方を組 み合わせることで実現 • 高速でスケーラブル – 干渉・競合を気にせず、各セットを葉部分から 並列に推定を進めることができるため • root 権限は不要、ネットワーク機器の設定 変更なども不要 24 発表の流れ • • • • • 背景と目的 既存手法の紹介 提案手法の紹介 実験と評価 まとめ 25 実験結果 • 先に提案した手法を利用した、バンド幅 マップ推定ツールを実装した • 11 クラスタ、352 エンドホストで構成される、 実際の広域分散環境上で実行し、120 秒 程度でバンド幅マップが得られた 26 実験環境 hongo@東大 85 hosts imade@京大 31 hosts 15 14 14 14 14 14 suzuk@東工大 37 hosts 31 37 kyoto@京大 36 hosts hiro@広島大 6 mirai@未来大 6 hosts 36 11 hosts 15 okubo@早大 15 hosts 11 11 kyushu@九州大 keio@慶應 11 hosts 10 hosts 10 11 kobe@神戸大 11 hosts 16 19 16 19 48 10 chiba@NII 129 hosts 28 29 推定精度 実験環境の全リンクについて, 実際に負荷をかけて確かめたスループットに対する実験結果の比と, そのような比の値をとったリンクの出現頻度 推定時間 発表の流れ • • • • • 背景と目的 既存手法の紹介 提案手法の紹介 実験と評価 まとめ 32 まとめ • 正確かつ短時間にバンド幅マップを推定す る手法を提案した. • 実際の分散環境上で実験を行い,その精 度を検証し,またスケーラビリティの高さを 確認した. – 11 クラスタ,352 ホストの環境で120 秒程度 今後考えられる課題 • 一般的なネットワークの適用 – 非ツリー – 非対称なリンク • ストリームを流す方向も制御して、そこに2 本のリ ンクがあるとして推定を進める など 34 35
© Copyright 2025 ExpyDoc