β-Carotene-9’,10’-Oxygenase Status Modulates the Impact of Dietary Tomato and Lycopene on Hepatic Nuclear Receptor-, Stress-, and Metabolism-Related Gene Expression in Mice Hsueh-Li Tan, Nancy E. Moran, Morgan J. Cichon, Ken M. Riedl, Steven J. Schwartz, John W. Erdman Jr., Dennis K. Pearl, Jennifer M. Thomas-Ahner, and Steven K. Clinton β-カロテン-9’,10’-オキシゲナーゼの状態は、食事由来のトマトとリコピンがマウスの 肝臓の核内受容体、ストレス、代謝の関連遺伝子の発現に及ぼす影響を調節する。 2015年 8月3日 U4 西尾安都佐 背景と目的 トマト リコピン 吸収 肝臓 NAFLD 小腸 (1) 抑制 NASH 酸化ストレス (1) Nutrients. 2013;6:124–62. (2) Hepatology. 2010;51:1820–32. (2) 肝不全 肝細胞がん 背景と目的 ・トマト、リコピンの摂食が防御機能の活性化に関わっている。 抗酸化酵素の 発現 脂肪肝 脂質の 過酸化 ト マ ト リ コ ピ ン 増加 抑制 抑制 (3),(4) 肝臓の 炎症性サイトカイン 前癌病変数 mRNA発現量 肝細胞の 激増 減少 減少 抑制 減少 減少 抑制 (3),(5) (4) ・リコピンは転写調節や細胞内シグナル伝達経路に影響している。 (6) (3) Mol Nutr Food Res. 2012;56:1665–74. (5) Nutr Res Pract. 2013;7:26–33. (4) Int J Cancer. 2010;126:1788–96. (6) Am J Clin Nutr. 2012;96:1173S–8S. 背景と目的 食糧 (48), 79-93,2010-03 リコピン、代謝物 影響 (7)-(11) 核内受容体、PPARs, LXR, NRF2 を含む転写経路 抑制 アポ-10’-リコペン酸 (12) (7) J Nutr. 2006;136:932–8. (8) J Nutr Biochem. 2012;23:8–17. (9) Int J Cancer. 2008;123:1262–8. 肝発がん (10) Mol Cancer Ther. 2005;4:177–86. (11) Food Chem Toxicol. 2010;48:2670–4. (12) Cancer Prev Res (Phila). 2013;6:1304–16. 背景と目的 仮説 ・トマト、リコピン含飼料を与えたマウスの肝臓におけるリコピン、リコピン異性体、 アポリコペナールの濃度は Bco2 の遺伝子型に影響される。 ・トマトはリコピンより幅広い影響力を持つ。 ・仮説の検証を行う。 ・Bco2 によるリコピンの代謝物が肝臓の生化学的プロセスに及ぼす影響と その機構の解明に取り組む。 実験方法 ・ 3週齢の雄マウス66匹を以下の6グループに n=11 で割り当てて3週間飼育 遺伝子型 野生型 Bco2 飼料(一日おきに与える) 半精製飼料(コントロール) × -/- 10% トマト粉末含 0.25%リコピンビーズ含 ・3週間後、CO2で屠殺 肝臓を採取 液体窒素で凍結 心臓穿刺で 血液を採取 -80℃で保存 組織診断用に処理 実験1 血漿・肝臓中のリコピン濃度変化の検証 ・HPLCを用いて血漿・肝臓中のリコピン濃度を測定した。 血漿・肝臓中ともに Bco2-/-で野生型より濃度が上昇した。 シス型リコピンも血漿・肝臓中ともに Bco2-/-で野生型より濃度が上昇した。 シス型リコピンについては、 リコピン摂食でトマト摂食より 濃度が上昇した。 実験2 肝臓のBcmo1, Bco2 の遺伝子発現の検証 ・RT-PCR で肝臓でのBcmo1, Bco2 の遺伝子発現量を測定した。 Bcmo1 の発現量はBco2-/-で 野生型より多くなった。 →摂食による変化は見られず。 Bco2 の発現量は飼料によらず、 野生型では一定であり、 Bco2-/-では測定されなかった。 実験中の飼育で Bcmo1, Bco2 の 発現に変化がなかったことがわかる。 実験3 核内受容体、共役因子、ストレス・代謝関連遺伝子の受ける影響 ・RT-PCRで核内受容体、共役因子、ストレス・代謝関連遺伝子の発現量を測定した。 飼料により、19の核内受容体関連遺伝子と30のストレス関連遺伝子に影響が見られた。 トマト:31 リコピン:19 共通:16 →これらの遺伝子中ではトマトはリコピンより多くの遺伝子に影響を与えることがわかる。 実験3 核内受容体、共役因子、ストレス・代謝関連遺伝子の受ける影響 ・RT-PCRで核内受容体、共役因子、ストレス・代謝関連遺伝子の発現量を測定した。 種々の遺伝子で飼料、遺伝子型、及び両方の影響が確認された。 実験4 IPAを用いたトマト、リコピンの効果の解析 トマト、リコピンの影響を受ける体内の経路を IPA を用いて解析した。 16の経路でトマト・リコピンの効果が大きく出た。 うち14の経路でトマトの効果の方が大きかった。 Bco2の遺伝子型による影響は ほぼ見られなかった。 実験5 肝臓のTG濃度とPPARγの発現量の測定 ・TGアッセイキット(Cayman Chemical 社製)を用いて肝臓のTG濃度を測定した。 Bco2の遺伝子型にかかわらず、トマト・リコピン摂食グループで濃度は低くなった。 実験5 肝臓のTG濃度とPPARγの発現量の測定 ・RT-PCRでPPARγの発現量を測定し、3’3-シアノベンジジンでPPARγを染色した。 RT-PCRで得られた数値、 染色による目視ともに トマト・リコピン摂食グループで の発現が抑制されていた。 実験6 飼料・肝臓中のアポ-リコペナールの測定 ・破砕した肝臓からの抽出物を調整してUHPLCに供し、 分取後、質量分析計のm/zを切り替えて同定、定量した。 アポ-リコペナールは飼料中にも確認された。 濃度は飼料によって差があったが、鎖長の長いものはリコピンで多く見られた。 肝臓ではBco2-/-のトマト、リコピン摂食グループで比較的濃度が高かった。 実験6 飼料・肝臓中のアポ-リコペナールの測定 ・肝臓中のリコピン濃度とアポ-リコペナールの線形関係を導き出した。 アポ-6’,アポ-12’-リコペナールの濃度は アポ-8’-リコペナールのものと比較すると、 リコピン濃度と強い相関があることがわかった。 アポ-6’-リコペナールの濃度は食事、 アポ-8’-リコペナールの濃度は食事と遺伝子型、 アポ-12’-リコペナールの濃度は遺伝子型に 依存することがわかった。 まとめ ・トマト、リコピン含飼料を与えたマウスの肝臓におけるリコピン、リコピン異性体、 アポリコペナールの濃度は Bco2 の遺伝子型に影響されることがわかった。 ・リコピンのみの摂食に比べ、トマトの摂食は多くの核内受容体関連遺伝子、 ストレス関連遺伝子、転写因子のシグナル伝達経路等に影響した。 →仮説に矛盾しない。 ・Bco2 の存在下では、総リコピン、シス型リコピンの比、アポリコペナールが増加する。 ・リコピンは Bco2 の存在に依存して核機能発現のダウンレギュレーションを行うが、 トマトは依存しない。
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