話題①

2015年3月17日(火)
特別企画シンポジウム「批判的思考と教育」
高等学校理科教育における
クリティカルシンキングの導入
都立新宿山吹高等学校
大野 智久
はじめに
なぜクリティカルシンキングなのか?
話題①
実践にあたって大切にしたいこと
話題②
授業実践での導入例
話題③
授業の全体像における位置付け
最後に
理科を学ぶ意義
はじめに
現状
クリティカルシンキングは重視されている?
原因 「なぜ?」思考
導入しない?導入できない?なぜ?
想定される結果 「だから何なの?」思考
重要性と緊急性は?今解決すべき課題なのか?
高校教育現場の現状
• 単位だけ取れればよい生徒
• 受験対策を望む生徒
• 学びの意欲の高い生徒
多くの生徒に共通するキーワードは・・・
「わかりやすく」「興味を持てるように」
≒教育のエンタメ化?(エデュテイメント)
※「考える」ことを楽しめる生徒もいる
観察・実験の現状
•
•
•
•
•
時間の不足
「レシピ実験」の定番化
「探究活動」への抵抗
財政的余裕の欠如
能力・ノウハウの不足
→クリティカルな思考を養うための
観察・実験が実施されない
考えられる原因
• 大学受験対策の要請
• 「○○教育」の弊害
• 暗記中心の授業・テスト
→「わかりやすく、コンパクトに」という流れ
できないのは学校・教員の責任という空気
想定される結果
• 「大学受験」重視の弊害
適切な学びが保障されない可能性
• 他責傾向→他責社会
• 「絶対解」のない世界への不適応
これらはすべて喫緊の課題である
クリティカルシンキングの必要性
• 「受動」から「能動」へ
• 「個別の知識・理解」から「汎用的スキル」へ
• 「絶対解」から「納得解」へ
そのためには・・・
自分の目で見て、自分の頭で考える
話題①
実践にあたって
大切にしたいこと
大切にしたいこと
自分の目で見て、自分の頭で考える
• 自分の目で見る
=鵜呑みにしない「つっこみ力」
• 自分の頭で考える
=納得解へのプロセス
行動の4段階
①できないことがわからない
②できないことがわかる
③意識すればできる
④意識しなくてもできる
大きな
転換
理解の4段階
①わからないことがわからない
②わからないことがわかる
③わかった気になる
④本当にわかる
大きな
転換
大きな
転換
考える材料①主体性について
「自主性」
VS
「主体性」
どちらも能動的ではあるが・・・
• 自主性・・・「期待されるもの」で行動
• 主体性・・・「自らの基準」で行動
=クリティカルな思考
考える材料②「考える」こと
• 何のために考えるのか?
• 何のために考えさせるのか?
• 考えさせればそれでいいのか?
• 考えるためには何が必要か?
「知識偏重」から「思考偏重」へ??
「考える」ことで何を達成したいのか?
考える材料③内発的動機付け
「~ねばならない」 VS 「~したい」
外発的動機付け・・・報酬、罰で行動
make them think critically
内発的動機付け・・・内的な欲求で行動
let them think critically
話題②
授業実践での導入例
授業の基本構造
●テーマ・目的
目指すべきゴール
●課題
ゴールに向かうための道しるべ
●発展課題
創造性、思考の深化
「目的」の定型文
• 知る = know
understand
• わかる =
explain
• 説明できる =
• 考察する =
think
クリティカル思考を促すために
• 教科書の活用
• 個別の学び・協働的な学び
• 振り返りシートの記入
→「つっこみ力」と「納得解」
• 「目的」と「評価」の一致
→生徒への強いメッセージ
「自由」な学びの時間・空間
• 学びのセーフティーネット
• 集団で広げる、個人で深める
• 「問の創造」とその探究
あらゆる可能性を保証する「場」
発展①ディスカッション課題
• 年に数回設定
ex)生態系の保全、遺伝子検査
• 多様性から価値観の相対化へ
• 単眼的思考から複眼的思考へ
• 「わかる」ではなく「知る」「考察する」
発展②「授業作成」の課題
• 「テーマ」と「目的」の設定
• 「課題」と「補足資料」の作成
• 「確認テスト」の作成
「幹」と「枝」の区別
多様な視点の獲得
発展③個人でのプレゼン
• 情報収集・情報整理・プレゼン技術
• 「聞く」から「聴く」へ
• 「つっこみ力」と建設的批判
• 脱「あさって俺俺ソクラテス」
※生産的な対話とは何か?
発展④プロジェクト型の学び
「ビジョン」と「ゴール」に基づく
※ゴールは「提案型の成果物」
• 集団としての納得解
対話の重要性、「折り合い」の経験
• 様々なキーコンピテンシーの獲得
観察・実験の工夫
①確認実験(一般則→結果)
②発見実験(結果→考察→一般則)
③仮説検証実験(仮説の設定)
④探究活動(問の創造)
探究活動の流れ
観察
疑問
仮説
結論
実験
科学的思考スキル
観察
主観→客観
疑問
仮説
結論
実験
科学的思考スキル
観察
疑問
定性→定量
結論
仮説
実験
科学的思考スキル
「関係性」
の発見
観察
異同関係
グルーピング
相関関係
因果関係
疑問
結論
仮説
実験
話題③
授業の全体像における
位置付け
全体像は
マインドマップを参照
最後に:理科を学ぶ意義
選択可能性
(能力・法)
知識・概念の獲得
(受動的・能動的)
科学的思考
科学的スキル
クリティカル思考
自分の目で見て
自分の頭で考える
価値観
多様性・相対化
意思決定
行動選択
多眼的思考
メタ思考
情報発信について
①個人のHP
• 授業プリントや各種資料の公開
生物「を」教える視点 生物「で」教える視点
http://biologymanabiai.jimdo.com/
②Facebook
https://www.facebook.com/tomohisa.ohno.79
「ペンギンのイラスト」の大野智久です。