関西経済復権に向けて 小林ゼミ はじめに 現在、我が国の経済は東京への過密と他地 域の衰退が進展している。関西地域は長きに わたって経済活動における中心的な役割を果 たしてきたが、その比重は相対的に低下して きている。 歴史的背景を踏まえた上で、関西の経済・ 社会を産業と地域面から分析し、その特徴や 課題を抽出した。関西のポテンシャルを最大 限活かし、競争力を持った地域に成長していく ための方向性を探る。 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 我々の分析 地域構造分析 関 西 産業構造分析 関西の競争力強化に向けた提案 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 目次 【衰退の要因を探る】 1、関西の地域構造分析 2、関西の産業構造分析 【関西復権に向けた提案】 3、中小企業をどう活かすか 4、大規模産業の発展に向けて 【まとめ】 5、関西の今後 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 一章 関西の地域構造分析 ~多極分散型発展のあり方を探る~ 関西は多極分散型発展が可能 多極分散型発展とは・・・ • 「ある地域において、都市規模が多極に分 散し、各都市で住民の利益が最大であるこ とが、地域全体の利潤最大になる。」 多極分散型発展のメリット • 広域内全体で相乗効果をもって発展できる • 一極集中の弊害を回避できる →次の最適都市規模の推定で証明 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 一極集中の弊害とは • 一極集中の弊害 – 地価の高騰とそれに伴う生活コストの上昇 – 通勤、住宅等生活利便性の悪化 – 防災面でのリスク – 環境汚染 • 他都市への影響 – 少子高齢化の促進 – 雇用機会の偏在化 – 税収の偏在化 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 最適都市規模の推定 点B:10単位×100人=1000単位 ↓ 点E:5単位×500人=2500単位 ↓ 人口の増加・経済成長が 頭打ち、都市間の移動コ スト減の現在 今後:10単位×100人×5都市= 5000単位 最小可能 都市規模 都市の負 担費用が 最小規模 住民の利潤 が最大規模 A 最小可能都市規模 B C D E 純便益最大都市規模 市場均衡都市規模 一人あたり費用最低都市規模 社会的最適都市規模 都市の利潤 が最大規模 最大可能 都市規模 個々の都市が、社会的最適規模(E)を目指すの ではなく、純便益最大都市規模(B)において、 その住民一人あたりの純便益の最大化を志向す ることにより地域全体としての便益を最大化する ことが可能になる。 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 最適都市規模推定の追加研究課題 • 市場メカニズムを原則とした経済活動の 中で、E点⇒B点への政策的な誘導は可能 か。 • B点にしたところで、経済活動の弱体化に よる税収、雇用減等の副作用へはいかに 対処するのか。 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 発展実現にむけて • 関西地域の都市構造を把握する必要がある – 地域分析 • 時代の流れを読み解く – 海外事例との比較 • 関西全体での発展を目指すために必要な解 決策への提言 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 地域分析 • 分析手法 – 地方(関西についは各都道府県)ベース(人 口、面積、地価、教育施設、病院、経済状況、 労働者の就労産業、製造業の生産性) – 都市雇用圏ベース(人口、面積) – 三都市(大阪市、神戸市、京都市)ベース KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 地方別分析 北海道、東北、関東、中部、関西(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、 和歌山県)、中部、四国、九州についてのデータを収集・分析。 • 人口 – DID人口20.23%(大阪が10.01%)、関東への人口集中 • 面積 – 全国の8.34%(可住地7.86%) • 地価 – 関東の商業地価が突出 • 教育施設 – 学生が多い • 病院 – 病院率が低い • 経済状況 – 総生産では関東、中部に次ぐ – 関西内の商業販売額は大阪に集中 • 労働者の就労産業 – 卸売り業へ特化 • 製造業の生産性 – 一般機械、電気機械、衣服、飼料・飲料等に関して強み KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 都市雇用圏分析 都市雇用圏とは・・・ 近年人口の移動が都道府県をまたぎ、正確な「都市」の状況分析が困難に なっている。そのため、人口の流出入を基にした、より実態的な地域区分を 行った都市圏のことである。 出典:日本の都市圏設定基準(金本良嗣・徳岡一幸) • 関西地方における都市雇用圏は7つ – 福井、京都、舞鶴、大阪、神戸、姫路、和歌山 この7つの集積はどのように機能しているのか? それぞれの特徴を生かし、相乗効果をもって発展できているのか? 3都市(大阪、神戸、京都)分析 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 大阪市 現状(特徴等)と問題点 ・中小企業(製造業)が多い ⇒グローバル化による海外移転 産業 対策 ・行政サービスの実現 ・経済的合理性を持った 環境の実現 ・本社機能の移転 二重の空洞化 情報力 ・中央官庁がない ・情報のグローバル化に遅れ KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY ・関西-関東をつなぐ情 報インフラ ・価値の高い情報の創出 神戸市 現状(特徴等)と問題点 対策と取組 産業 ・外資系企業多い ・海運、機械、造船、鉄鋼中 心の産業 ⇔運輸、通信業、不動産業の製造業構 成比増加=ソフト化・サービス化 ・神戸医療産業都市構想 ⇒医療産業クラスター作り ・次世代スーパーコンピューター ⇒研究開発の効率化、新製 品開発の創出 観光 ・他都市に比べて特化している 暮らし ・土地価格に開きがある ⇒様々なニーズに対応 ⇕ ・交通網の不整備 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY ・ネットワーク網の整備(イ ンフラの連携、渋滞緩和) 京都市 現状(特徴等)と問題点 産業 教育 観光 ・ベンチャー精神⇒独立的な 企業が多い ↓ 本社機能を置く大企業が多い ・技術系製造業(先端産業)が 多い 取組 ・大学コンソーシアム京都 …大学との産学連携と先 端産業に活力を ・人口に大学数・短期大学数全国第 一位 ・集客力、観光産業における 経済波及効果と合わせて他 都市より特化している KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY ・京都ブランドを活かす取 組 …京都のイメージアップ とそのための情報発信 分析結果と関西のポテンシャル • 人口 • 行政 • 経済 • 本社 • IT • 金融 • 外資 • 交通 東京 関西 一極集中 多極分散 等 が東京に集中している。 • 大阪・神戸・京都の個性ある 3都市がある。 • その3都市が関西という地域 内に分散している。 • それぞれの都市に強み(弱 み)がある。 • 多極分散の地域構造は存在 するが、理想的な多極分散 型の発展を実現できていない。 • 各地域間での連携が求めら れる。 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 海外事例 韓国 イタリア • 一極集中 • ソウル • 地域間格差是正の取り組み実 施中 • 中央行政機関の一部を大田 へ移転 • 多極分散 • ローマ、ミラノ、ナポリ、トリノ、 パレルモ、ジェノバ… • インパナトーレ • 第三のイタリア • 中小零細企業による牽引 ブラジル オーストラリア アメリカ ドイツ 世界的にも、一極集中を回 避する傾向にある 関西が 学ぶもの 大阪、神戸、京都といった関西の各地域の特定分野 をある程度集積させ、地域間でソフトハード面でも包 括的なネットワークシステムを確立させる多極分散型 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY 解決策への提言 関西には、7つの雇用都市圏や3つの大都市が 多極分散 ある! 多極分散のポテンシャルを生かすことで、競争力 強化を図るべき! そのためには、連携=「繋げるネットワーク」が必 要! 具体的にどのような連携が提案できるの か? • →3章「インパナトーレ」 • →5章「インフラ整備」 KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY
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