財務管理論前期(13)

Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
財務管理論
第13回 六重苦 民主党政権下の混乱から安倍
政権へ 法人税実効税率の引き下げ 財源問題
移転価格税制 租税回避地対策税制
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六重苦
• 電力不足などを背景に経団連が2011年頃より主張
• 例 経団連 (2012年5月15日成長戦略の実行と財政再建の
断行を求める)
• 円高、高い法人税、自由貿易協定の遅れ、電力供給の不安、
厳しい排出ガス規制、厳しい労働規制 → 2010年に民主党
政権は法人税減税には着手したがほかはビジョン描けず。
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民主党政権: 沖縄で米国と対立 尖閣で中国と対立
など外交で孤立 無能を露呈
• 2009/08/18 45回総選挙 480 民主308 自民119
• 2009年8月の総選挙で民主党が勝利。鳩山政権成立へ(09
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年9月)。政治家主導は名ばかり 官僚を使いこなせず政策決
定プロセス不透明化。
沖縄の基地問題をめぐり 従来の日米合意を否定したことか
ら 鳩山―民主党は米国との信頼関係損なう(日米関係は最
悪状態に)→ 外交の連続性を放棄 無能を露呈
2010年6月。鳩山が辞任。管が消費税10%に言及。
2010年7月。参院選で民主党敗北。
2010年9月 尖閣で中国人船長逮捕事件 処理に失敗(日中
冷却化へ 日中合意を無視 民主党の右翼体質が露呈)→日
中関係も戦後最悪へ突入
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民主党:国民を裏切った、史上最低の政権運営
野田は平然と公約違反 日中険悪化を選択
• 2010年12月 管首相が法人税の5%引き下げ指示
• 2011年3月 東日本大震災
• 2011年8月 管が外国人献金問題と大震災後の対応批判受
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け退陣
2012年8月 野田が党の選挙公約に反する消費税増税法案
可決成立させる。 野田:自身の売名行為に終始
2012年9月 野田が日中合意、中国政府の抗議を無視して尖
閣諸島国有化を強行(日中関係は戦後最悪に)。
2012年11月 野田が下野を決断(野田は消費税増税を実現
した首相として名を残そうと個人的売名行為に奔走)
2012/1216 46回総選挙 480 自民294 民主57
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安倍政権
経済重視姿勢で国民の支持稼ぐ
• 2012年12月16日46回衆議院選挙 475 うち自民294 61.9%
• 2012年12月 第二次安倍政権発足
• 2013年 追加的財政支出で景気回復
• 2013年4月 量的質的金融緩和(金利は上がらないという安
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心感形成に成功)→円安・株高
2013年7月21日 参議院選挙 242 うち自民115 47.5%
(改選121 内自民65 53.7%)
2014年1-3月期 消費増税前の駆け込み需要
2014年4月以降 消費税引き上げ マイナス成長へ
実質金利マイナス広がりインフレ加速が懸念される
2014年12月14日47回衆議院選挙 475 うち自民293
61.7% 民主 73
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法人税引き下げの財源案について
• 経済財政諮問会議で10%引き下げ(アジア主要国なみ2
5%)の提言 税収減は年5兆円規模 海外企業は税率の低い
国に工場移設 検討されている財源案
• 財界は慎重(海外に比べ厳しい法人税制)
• 赤字の欠損繰越の縮小(現在は9年 黒字額の8割まで また
法人事業税の4分の3 にも適用 8割としたのは法人税を
4.5%下げた13年3月からでそれまでは全額控除) 2.3兆円
(11年度)。受取配当非課税制度の縮小 (子会社などから)1
兆円 租税特別措置0.9兆円
• 資本金1兆円超に外形標準課税導入済み2004 この外形標
準課税拡大 消費税率を10%でなく12%にする案 など
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15年度税制関連法の成立 2015/3/31
• 2015年度税制改正 法人税制引き下げ
国税としての法人税 25.5% →23.9%に1.6%下げる
2016年度から2年かかけて実効税率(約35%)を20%台目
指す
中小企業年収800万以下 19%→15%の特例の2年延長
消費税引き上げ時期の延期確定
2015.10→2017.4
消費税の経緯 1989年度 3%で導入
1997年度 5%に引き上げ
2014年度 8%(15/10 10%の予定)
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法人課税
• 法人税(国税) 実効税率約35%
営利法人 課税
公益法人 本来事業非課税 収益事業に軽減課税
公共法人(地方公共団体 国立大学 NHK 日本政策投資銀
行 など) 非課税
• 事業税(地方税)・法人住民税(地方税) 学校法人、宗教法人
などの公益法人が収益事業を行わない場合は非課税
• 法人実効税率とは、国税に地方税を合わせたもの。議論する
ときは東京都の法人実効税率を使うことが多い。
• 2015年度からの引き下げ方針(約35%から1%引き下げで
4700億円必要 最終的に20%台に下げるには3兆円程度
必要) 2020年度 政策経費を税収+税外収入でどこまでま
かなっているか=PBプライマリーバランスの回復
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安倍政権 の税制政策
• 2013.10 消費税率引き上げを判断
• 2014.4 消費税率8%に引き上げ→景気悪化
• 2014.6 経団連会長 法人税 25% へ引き下げを求める
• 2014.6 成長戦略骨格(骨太の方針)固める 数年で法人税実
•
•
•
•
効税率を20%台まで引き下げ目指す 来年度から開始。
Corporate Governance Codeの策定
2014.6 安倍首相がドイツを目指すと発言29%台
(35.64→29.59% 6%の引き下げ 20%台1%5000億円 約
3兆円の税源探し)
2014.11 消費税引き上げ時期の延期・軽減税率導入へ
2014.12 軽減税率(食料品新聞雑誌など)導入の判断の期限
2014年12月14日47回衆議院選挙 475 うち自民293
61.7% 民主 73 15.4%
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2015年度税制大綱
• 法人税率の引き下げ
高収益企業に減税効果
•
法人実効税率34.62⇒2.51%引き下げ32.11%
• 法人事業税の所得部分への課税率引き下げ
•
• 外形標準課税の拡大(法人事業税の外形標準課税税率引き
上げ) 赤字企業の負担増える(対象は資本金1億円超の2
万3000社) 中小企業への適用拡大は見送り
• 繰り越し欠損金制度の縮小
• 配当金の損益不算入見直し
• 租税特別措置見直し
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海外の視点
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カート・キャンベル、マイケル・グリーン 日
経2013・5・30
• 国税の法人税は25.5%.高いのは地方税の為とも指摘されて
いる。
• 税率を変更しなくても欠損金の繰越期間の緩和で一定の効果
がある。
• 欠損金の繰越期間9年に延長(2011年度税制改正)・・・英
独仏 香港 シンガポールで無制限。米国でも20年。・・・延長
で投資意欲高めるべき。
• 法人税の繰り戻し還付 資本金1億円以下の企業で1年の
み。・・・すべての企業に2年にしては。
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法人地方税についての減税
土井丈朗氏 日経2013/2/1
• 地方税(法人住民税 事業税)の20%を占める。公共サービ
スの便益は人間だから法人課税は地方税制になじまない。
• 超過課税が地方税法で認められ全都道府県が法人住民税ま
たは事業税を超過課税している。超過税率の廃止、地方税法
での制限税率引き下げが望ましい。
• また、固定資産税は土地にかけるべき。場所を動かせる設備
に対する応益課税ではない。固定資産税は収益の足かせ。
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実効税率の引き下げ
• 2013年1月現在 国際競争ではイコール・フィッティング重要
• 米国約41%(連邦分は38%から28%に引き下げの方針)
• ドイツ約30%
• 英国23%(2015年4月より20%に引き下げ)
• 中国25%
• 韓国24.20%
• 研究開発減税にも違い:中韓は手厚い
• しかし1%の引き下げで数千億円の減収。11年度の法人税
税収は9.4兆円
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税率が高いというけれど納税回避では?
• 7割の企業は法人税を払っていない。欠損法人であるため
(2009-2010年度73%近い)。→ 外形標準課税の強化を求
める案(生産性低い企業に退場求める意味もある)もある。高
いから払わないのだろうか?零細企業では給与支払いがあ
れば、企業が赤字でも文句を言う人はいない。所得税率が法
人税率より低いので、零細企業では会社を赤字化して個人段
階で税を払っている・・・
• 利益がある企業も節税に取り組んでいる。租税回避地(タック
スヘイブン)の利用。原則は企業の施設がある場所(事務所
工場)で課税される。ネット企業への課税のかけ方が問題の
一つとして指摘されている。
• → こうした企業行動は避けがたいから消費課税という意見も
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海外発ネット配信の課税問題
• アマゾンなどから購入する書籍ソフトウエアは現在消費税非
•
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•
•
•
課税。海外のサーバー経由のため。
日本の企業でも海外の子会社が海外にサーバーを置いて配
信すれば非課税になる。
恒久的施設PEルール 場所 範囲
参考 ネット消費 店舗はショールーム化(必要なもののバー
コード読み取り)して収益低下 半面 物流配送拠点としての
重要性増すとも。
海外旅行 DVDレンタル 音楽ソフト 家電 衣料品 食料品
→ 書店 CDショップなど実店舗の減少
重要性をます物流(物流施設整備 倉庫・・現在は補助的施
設扱い) 決済
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海外からのデータ提供に対する課税問題
• 倉庫を根拠に課税しても
• 電子書籍はなお非課税との指摘
• 2015年度税制改正で手当て
• 役務の提供場所→役務の提供を受けるものの所在地
• 2015年10月より 海外からのデータ取引(提供)に対しても消
費税を課税することになった。
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国際課税ルールの原則と問題
• 本社所在地(親会社)がどこか
子会社の所得(配当)に対する課税は源泉地でのみという考
え方が広がっている。所得は各地に割り振られた機能の結果。
• 企業活動の拠点となる物理的施設がどこか
企業活動は物理的施設の所在と切り離されつつある(例 ソ
フトの開発 電子商取引)。
• 所得配分についての独立企業原則
第3者市場が存在しない場合、独立企業原則の判断はむつ
かしい
青山慶二「国際課税ルールの見直し 電子商取引の扱いに
課題」日経2013-09-19 をベースに書き直した。
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企業側からみると
tax planning
• 節税対策tax planning
• 国際的に行うことは
• Global tax planning
• International tax planning
• と呼ばれる。
• 税額を以下に減らすか。課税所得をいかに減らすか。→ 違
法でないのであれば追求するのは自然かもしれない。しなけ
れば株主から批判受けるかも。
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Global tax planning
• 多国籍企業は税率の低い(優遇制度のある)国に利益を移し
•
•
•
•
•
•
て課税額を圧縮しようと努めている。
本社(持株会社)を税率に低い国に移動させる
特許などを本社(持株会社)に帰属させる
本社には技術指導料、利子などの名目で資金が流れる
納税額を抑えることで手元のキャッシュフローを高くする。
子会社から高く仕入れる。
子会社と金融取引をする。
• 納税を減らすことは株主にとっての収益性を高める観点から
は正しい
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安倍政権の提案
1)設備投資の即時償却
• 1)新規に設備投資した企業に即時償却認める案を検討(米
国で2011年導入)
• 東日本大震災復興支援減税で先例あり
• 2012年度の設備投資は日本企業の62兆円(63兆円) 20
07年度の8割程度の水準。
→ 成長戦略ではこれを70兆円台に乗せることを計画
• 他方企業が持つ現金預金残高は過去最高の225兆円(201
3年3月末)。
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野田民主政権:政府税制調査会
2011/10/4
• 被災した被災地の自治体が復興計画を策定 認定をうけるこ
とで優遇税制適用
• 特区での設備投資 初年度に全額償却できる(100%償却か
投資額の15%を法人税額から控除かを選択する) 被災者
雇用すると人件費の10%を法人税額から差し引ける
• いずれも上限は法人税額の全体の2割まで
• 新設企業の法人税原則5年間ゼロ化できる
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安倍政権:設備投資を減税で促進。
2014年度税制改正検討事項13/06
• 1)即時償却制度の導入を検討(3割償却あるいあるいは3%
税額控除13/01から前進 来年度改正大綱)。
• 2)欠損金 従来 翌年度に繰り越して法人税負担を圧縮可。
設備廃棄と同時に設備等する企業に対して前年度法人税の
還付を検討。
• 3)研究開発 支援制度(直近3年の平均を超える研究開発費
売上高の10%を超える研究開発費 などについての法人税
控除制度 2013年度までに時限措置)の延長を検討(控除限
度額2割から3割へ)。
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設備投資減税か 法人税率か
• 設備投資減税 → 製造業に限定している側面がある
→ 法人税収のうち製造業の比率は低下
している(1991年度37.7% 2011年度28.6%) サービス
業 小売り業など非製造業の比率上昇
• 税率引き下げ → 新規産業にも減税の恩恵まわりやすい
→ 個別の減税措置でなく税率引き下げを優先するべきとの
議論もある。
•
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ラッファー曲線
• お椀型(縦軸に税収 横軸に税率)になる(アーサー・ラッ
ファー:レーガノミックスを支えた経済学者としてしられる)。税
率が下がっても税収は増える(法人税パラドックス 逆説 欧
州主要国で1997年から2007年 法人実効税率は平均10%
下がり GDPに占める法人課税税収は2.9%から3.2%に
あがった・・・国別にはこれが成立しない時期がある)。税率は
高いと企業は納税(稼ぐ)意欲を失う。
• 法人税は消費課税や資産課税にくらべてGDP成長率ニマイ
ナス効果大きい。
• アメリカは税率は高いが企業は国際的なs税制の違いや、ス
トックオプションを利用した節税をしている。そのため税収に占
める法人税収の比率は、日本が米国より高い。
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• 海外利益をどう考えるか 子会社が稼いだ利益の配当として
の還流
• 課税があると企業は海外に利益を積み上げる
• 還流を促して・・・設備投資に回るかどうか 配当や自社株買
いに回るのではないか
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課税逃れの有名企業
英仏独などで問題視された
• スターバックス 税逃れ企業として有名 英国で1998年以来
累計30億ポンド売り上げながら(スイス オランダに利益を移
転) 納税は860万ポンド → 批判をうけ2013年から2年
かけて2000万ポンド支払で当局と合意
Double Irish with Dutch Sandwitch
• アップル アイルランドを利用した節税が話題
• グーグル 低率国(アイルランド)を利用して節税 イギリスの
ほか豪州でも問題視
• アマゾン 低率国(ルクセンブルグ)を利用して節税
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二重非課税問題
• 米国:設立地アメリカの会社に課税 アイルランド法人に課税
•
•
•
•
•
せず
アイルランド:主な事業所が海外登記の場合は課税せず:管
理支配地域主義
さらに
本社設立地をバミューダなどタックスヘイブンとするとどうかそ
もそも非課税なので ダブルアイリッシュ:Googleのケース
⇒双方とも課税しない 二重非課税問題
⇒そこで主な事業所がタックスヘイブンの場合は課税する
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タックスヘイブン
• 租税回避地
• 所得や資産を移すことで法人税支払節約
• 対策 タックスヘイブン税制1978年導入 税率が低い国の外
国子会社の所得を日本の本社の所得と合算して課税する
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個人レベル
• 海外移住者 金融資産の売却益に課税しない国(シンガポー
ル、香港、スイスなど)に移れば非課税になる
• マイナンバー制度(2015年10月導入) 予定では2018年から
新規口座開設時に適用。すでに2003年から開設時に本人確
認義務化。
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スターバックス
global tax planningの事例(1)
• 英国法人: 企業全体の納税額を抑える
•
•
•
•
•
コーヒー豆をスイス法人経由から割高で仕入れる
スイス法人が利益
製法やブランド使用料をオランダの欧州本社に収める(知的
財産価格:評価困難を悪用)
オランダ本社が利益
結果として法人税率の高い英国の利益を圧縮する。30億ポ
ンドの売上。納税は860万ポンド。2012年10月のロイター
の報道で話題に。その移転価格操作が国際的に指弾された。
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アップル
global tax planningの事例(2)
• 低税率(12.5%をアイルランド当局との交渉で実質2%以下
に圧縮)のアイルランド子会社(販売会社)に利益を移転。G全
体の実効税率を25%に圧縮。違法ではないがdirty。
• 2009-2012年の間に740億ドルの現金をアイルランドに
蓄積。これを米国に戻すことは拒否(戻せば多額の税金 米
国の連邦法人税は35%)。
• 2013年5月21日 米上院公聴会で批判受ける
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移転価格税制 transfer pricing
• 本社と海外子会社との取引について、グループ外の通常取引
に使う価格に換算して課税所得を確定する仕組み。所得の移
転により納税額が減ることを防ぐ。
• アジア各国 つまり 日本の工場の進出先でも制度の整備が
進む。つまり所得の流出にアジア諸国も神経質になっている。
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企業にとり二重課税のリスク
• 技術使用料が絡む場合は その価格の妥当性が問題にされ
ている。一般的な取引価格との違いがある場合は問題になる。
• 本来は税率の高い国からの利益の持ち出しといった節税行
為の取り締まりだったがそれにとどまらない。
• 海外子会社が高い値段で支払うなら、子会社の利益を日本の
親会社が取っている形。逆に低い価格で支払うなら、子会社
に利益を移転していることになる。
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判断原則:独立企業間原則
arm’s length rule
• 仲間意識 → 事業の採算性不明確に
租税回避
•
グループ内企業の力関係
•
業績不振会社への支援 → 親会社の株主には損失
市場原理を無視した活動は企業の競争力損なう
• 海外事業の採算性を明確にするうえでも独立企業間原則によ
るべきという考え方がある。
•
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租税回避地対策税制
Tax heaven 対策税制
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基本的な仕組み
• 税率が20%以下の国地域で設立された外国子会社などの所
得を、日本の本社の所得と合算して課税(外国での課税分は
控除)。現地に工場をもつなど一定の基準を満たした場合は
適用除外。
• 1978年度導入(25%以下)。その後2010年度の税制改正
で20%以下に対象を狭めた。18%にさらに下げることを検討。
背景は各国税率引き下げの加速。2013年1月タイが20%。
英国は2013年3月に、15年4月に20%に引き下げると決定。
税制が企業の国際進出を阻害しているとの指摘。
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企業の海外進出をどう考えるか
• 各国の税率が下がりタックスヘイブン税制適用対象企業が増
えると、すでに進出している企業で税負担が急増する懸念も
でている。タイが13年1月に20%に引き下げ 英国が15年4
月に20%まで引き下げることを決定。
20%の税率が早くも現実と合わなくなっている。→18%に下
げることを政府は検討中(2013年6月現在)。
多国籍企業の課税逃れが各国政府がともに頭を悩ます問題
であることも事実。租税回避が目的でない海外進出まで阻害し
ていると経済産業省は主張している。
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演習
• 法人税率はどうあるべきかについて論じなさい。
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