カナダの経済事情

《2グループ》
窪田潤
藤林直哉
吉田光希
新國雅
仁
高田彩佳
目的と結果
Q,なぜカナダは財政赤字の状態から財
政黒字の状態まで立て直すことがで
きたのか?
A,財政再建をすることで財政黒字国に
なれた。
カナダの累積債務問題
1970年代以降の景気低迷(ニクソン・
ショック)の中で歳出拡大に伴う国債費増
大などにより、1991年以降のG7各国の中
でイタリアに次いで累積債務残高の対GD
P比が高い水準となった。
この問題に取り組んだのが1993年11月に
発足したクレティエン政権であり、「3年以
内に財政赤字の対GDP比を3%以内に抑
える」という目標をもとに財政立て直しを
進めていった。
財政再建の流れ
①プライマリー・バランスの赤字解消
②プライマリー・バランスの黒字拡大
③予算収支の赤字縮小及び解消
④予算収支の黒字拡大
⑤黒字の一部を債務支払いに充てる
このようにして財政を建て直した。
財政再建で行ったこと
・歳出の削減
公務員の削減
仕事の民営化
補助金の削減
サービスのエージェンシー(外局)
化
・税収の確保
政府支出の推移
歳入を増加させる政策はほとんどとっておらず、
歳出削減を主要指針としていたため、横ばいの増加
をしている。
2,000,000
2,000,000
1,800,000
1,800,000
1,600,000
1,400,000
所得
政府支出
1,600,000
1,400,000
1,200,000
1,200,000
1,000,000
1,000,000
800,000
800,000
600,000
600,000
400,000
400,000
200,000
200,000
0
0
この後の単位も全
て100万$であ
消費関数モデル
不景気・歳出削減などにより失業率は増加し、
フィリップス曲線からは、失業率が上昇することで
賃金水準が下がり、消費は減少することがわかる。
1,950,000
1,950,000
1,750,000
1,550,000
1,750,000
所得
消費
1,550,000
1,350,000
1,350,000
1,150,000
1,150,000
950,000
950,000
750,000
750,000
550,000
550,000
350,000
350,000
1990年~2012年の消費関数
C=74,518+0.81Y
消費関数モデル
政府歳出を抑えることで累積債務の返還に努め、
政府の債務残高の減少によって国民は将来の重い増
税などに対する過度な貯蓄思考やめさせ、消費を促
すものと考えるとする。
そうした場合の新しい消費関数のモデルは、
C=C0+C1Y-C2(Δnet_debt)
と考えられる。
Δnet_debt =今年の純債務残高-前年の純債務残
高
財政再建時に考えられるIS曲線の動き
r
IS₁IS₂
r₂
r₁
0
LM₁
E₂
E₁
Y₁ Y₂
Y
実証分析
①財政再建に取り組む際に政府支出を抑える。
②政府支出を抑えた分、累積債務の償還・利払いに当
てる。
③国民は将来の財政に対して安心を持ち始める
④国民の過度の貯蓄は止まり、消費が促される。
回帰式:GDP=a+b(Δnet_debt)
GDPの推移
GDP
2,000,000
1,800,000
1,600,000
1,400,000
1,200,000
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
純債務残高の推移
純債務残高
70.00
60.00
50.00
40.00
30.00
20.00
10.00
0.00
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
純債務残高前年比の推移
Δ純債務残高
10.00
8.00
残高の増加
6.00
4.00
2.00
0.00
1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
-2.00
-4.00
-6.00
残高の減
少
GDPと純債務残高前年比
2,000,000
1,800,000
y = -3811.3x + 1E+06
R² = 0.0019
1,600,000
1,400,000
1,200,000
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
-6.00
-4.00
-2.00
0
0.00
2.00
4.00
6.00
8.00
10.00
実証分析の結果
推計結果
GDP=1E+06-3811.3(Δnet_debt)
となり、財政赤字が1単位(100万$)減ると、G
DPは38億1130万$増えるらしいことがわかっ
た。
まとめ
目的:財政赤字の国であったカナダがどのようにして
財政
黒字になったのかを見る。
モデル分析(仮説):アレシナレポートで述べられて
いるが、政府が財政赤字問題へ取り組むことは国民を
消費に促す要素であると考えれば、モデルに何かしら
の関係がある
実証結果(実証):実際にGDPと純債務残高とを見
た時、赤字が減るときにGDPが増えるようにはなっ
ていたが、R2がほぼ0であり、正しいとは言えな
まとめ
分析結果からの政策的含意:
税収を上げることで歳入を確保するのではなく、政
府支出を抑えることで歳出を減らすのがカナダの財政
再建であった。
実際に補助金や公的事業などの政府支出を増やすこ
となく、1990年代の増え続ける累積債務問題を乗
り切ることができた。
財政を建て直す手段として、まず歳出を削減するこ
とは有効な手段であるということがわかった。