人工知能(AI)と職業について 高橋 律 人型ロボット「ペッパー(Pepper)」 • 2014年6月5日、ソフトバンク発表 • 人工知能を搭載し、人の感情を理解するロボットを 2015年2月から、19万8000円で一般販売 • 音声認識、表情の認識検出技術のほかに、モーター 、センサーを組み合わせ1000以上の要素技術が詰ま っている 人工知能を搭載した人型ロボット • 常時ネットワークに接続されているので、インターネット上の様々な情報 に自らアクセス • 最新のニュースや天気、株価などを教える • 膨大な会話データベースとも連携 • 幅広い話題に答えてくれる • クラウド・ネットワークと連携することで、これまでのロボットができな かったような情報活用が可能 • 人によりそうロボットとしての可能性が広がる クラウドAI ペッパーは1台だけで自律学 習を行うわけではなく、イン ターネット上の「クラウドAI」に 接続することで、他のペッパー が記録した情報も取り入れ、 学習を加速する 人工知能(AI)が搭載され、 人の笑顔や反応を記録し て分析することで、どのよ うな行動を取れば良いか を自立学習して行動する NEC、クラウド連携ロボ「PaPeRo」 • 2013年11月、NEC • クラウド連携機能を備える家庭用小型ロボット 用アプリケーション開発やサービス提供を行う パートナー企業の募集を始めた。 センサーで収集した各種データ • クラウド上での複雑な画像認識や音声合成 • 人と会話したり、店舗で客を応対したりといったことが可 能 • SNSとの組み合わせによる高齢者の見守りサービス ビッグデータ分析を基に判断や計画立案 • 将来の予測を有効に活用するためには、予測結果に基づいた最適な戦略や 計画を立案・実施することが重要 • 人手による判断には規模や正確性に限界 • 従来の技術では、多数の予測により誤差が累積し判断が不正確になること で予期せぬ大きな損失が発生 • 多数の予測式の関係性を考慮した膨大な組み合わせから最適な判断を導き 出す計算が膨大になるため、ソフトウエアでの実現が困難 人間の神経構造を模したニューラルネッ トワーク • 人間のニューロンが学習によってシナプスの結合強度を変 化させるように、学習する過程で重みづけを変化さる • 最適な値を出力するように調整することで、精度を高めて いく ニューラルネットワークを何層にも重ね る試み • 3層以上にすると精度が向上しないという問題 • 正解と予測とのズレから重み付けを修正していくが、ネットワークが深す ぎて重み付け調整が届かなくなってしまう ディープラーニングの自己符号化機 • 出力層と入力層のどちらにも学 習させたいデータの正解例を読 み込ませる • 学習させたいデータを表す特徴 量として、よりたくさんの情報を 持っている特徴量を作り出す • 隠れ層を2つと比べてデータの 数を敢えて小さくし、特徴量を 徐々に圧縮していく ディープラーニングの多層学習 • 圧縮された特徴量を持つ隠れ 層は、次の層においてまた出 力層及び入力層として用いら える • 間にある隠れ層において特徴 量は圧縮され、さらに数は少な くなるが学習させたいデータを 正確に表現する特徴量が得ら れる • これを何回も何回も重ねて行う ことで、最終的に特徴量として ベストなものだけが残る 従来のアルゴリズムが踏み込めなかった 領域へ • コンピュータにたくさんのデータに関するパラメータ(特徴量) を学習させ、未知データを分類させる • アルゴリズムで特徴量の圧縮を行うという形でヒトと同じよう な学習を可能にした Googleがコンピュータに猫を認識させた • 2012年、YouTubeの動画からランダムに 選んだ大量の画像データをディープラ ーニングによってコンピュータに読み 込ませ、猫の特徴量を示すネットワー クを構築することができた • 教師なし学習なので、コンピュータは その特徴量が示すものを「猫」と分か っているわけではない • 学習で、最終的に残ったのが猫を示す 画像だった。つまり、猫という概念を 示すものを抽出することに成功した 人工知能(AI) 「予測型意思決定最適化技術」 • 2015年11月2日、日本電気株式会社 • ビッグデータ分析を高度化する人工知能技術の1つ • 予測に基づいた判断や計画をソフトウェアが最適に行う • ビッグデータに混在する多数の規則性を発見する「異種 混合学習技術」などを用いた予測結果に基づいている • 従来は人間が行っていた戦略や計画の立案といったより 高度な判断をソフトウェアで実現する 「異種混合学習技術」 • 予測の「典型的な外れ方」 (予測誤差)のパターンを 独自のアルゴリズムで分析 • その結果を数理最適化技術 と融合して、「外れ方」を 勘案した上で最適化 • これにより、予測が外れて も損失が発生するリスクが 低く、安定して高い効果が 出せる計画を算出可能にし た。 水の運用管理 • 水需要の予測値に対して、運用者の経験に基づいた浄水、貯水、配水計画 が行われている • 過剰造水による水廃棄が多い、非効率なポンプ運転によって電力コストが 高い、需要の過小評価による計画変更が頻繁に発生するといった課題があ った • AIを適用したところ、最大で電力コストを20%削減し、かつ需要の過小 評価による計画変更回数を1/10に削減することが可能との試算が得られた 。 水需要予測に基づく配水計画で浄水・配 水電力を20%削減 ビルのエネルギー需要を予測 • 大林組の技術研究所本館 • 過去2年間の電力使用量、空調に用いた熱量(温水熱量/冷水熱量)、気象、営 業日、日付、在籍者数などの各種データ • 将来の電力使用量および熱量を予測 • ビッグデータに混在する多数の規則性を自動で発見するというNECの異種混合学 習技術を活用 • 技術研究所本館で収集した膨大なデータから「冬期営業日の昼間」「夜間」「祝 日」などで異なる規則性を自動的に発見 • 24時間後や1カ月後などの電力使用量・熱量を、人手による複雑なデータ分割作 業を行うことなく予測 需要予測と管理で電力を2割削減 柏の葉スマートセンター あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」 • 人間が行う仕事の約半分が機械に奪われる • 衝撃的な予測をするのは、英オックスフォード大学でAI(人工知能)な どの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授(2014.11) 『Google Car』のような無人自動運転車 • コンピューターの技術革新がすさまじい勢いで進む • これまで人間にしかできないと思われていた仕事がロボットなどの 機械に代わられる • Google Carが行き渡れば、タクシーやトラックの運転手は仕事を失う 約47%の仕事が自動化 • 機械によって代わられる人間の仕事は非常に多岐にわ たる • 米国労働省のデータに基づいて、702の職種が今後ど れだけコンピューター技術によって自動化されるかを分 析 • 今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事 が自動化されるリスクが高い 仕事のスキル機械が自動化できるかをテク ノロジーの発展トレンドを考慮して調査 • コンピューター化の障壁となりうる9つの仕事特性を抽出 • たとえば、手先の器用さ、芸術的な能力、交渉力、説得力など—、 702の職種を評価 • これまでロボットはルーチン的な作業しかできないとされてきた • ここ10年間におけるロボットの能力向上は目覚ましい • ロボットが完全に人間の知性を手に入れるにはあと少なくとも50年 はかかると言われている • その過程で、多くの仕事が機械の脅威にさらされることがわかった ロボット市場は'20年には約3兆円、'35年に は10兆円程にまで達する • 日本におけるロボット市場は直近では9000億円ほど • 2014年10月日本のIT見本市『CEATEC』で、人間相手にラリーをする 卓球ロボットなどが披露された • 最近では携帯大手ソフトバンクが、人間相手に会話をする世界初の 感情認識パーソナルロボット『Pepper』を発表 ビッグデータをコンピューターが処理し、非ルー チン作業をルーチン化することが可能になる • 米国のニューヨークメモリアルスローンケタリングがんセンターが、米 IT大手のIBMと協業している「医療診断」の事例 • ワトソンというIBMの人工知能型コンピューターを活用して、60万件 の医療報告書、150万件の患者記録や臨床試験、200万ページ分の 医学雑誌などを分析 • コンピューターが患者個々人の症状や遺伝子、薬歴などをほかの患 者と比較することで、最良の治療計画を作ることに成功 法律の分野でもコンピューターがすでに活 用 • 裁判前のリサーチのために数千件の弁論趣意書や判例を精査する • 米ソフトウェア大手シマンテックのサービスを利用すると、2日間で57 万件以上の文書を分析して分類することができる • 弁護士アシスタントであるパラリーガルや、契約書専門、特許専門 の弁護士の仕事は、すでに高度なコンピューターによって行われる ようになった センサー技術が発展し、人間にしかなかっ た認知能力を備えた機械が活躍 • カタールの首都ドーハやブラジルのサンパウロ、中国の北京などで は、水道のパイプやポンプにセンサーを設置 • センサーが水道管の漏れをチェックし、水漏れを40~50%削減するこ とに成功 • 機器の不具合を観察する作業員は必要でなくなる • センサー技術がさらに普及すれば、患者の状況を観察する医療ス タッフの仕事がいらなくなる 警官の人数も減らせる • 街頭や歩道などにセンサーが張り巡らされ、音や映像を記録するこ とによって警官の人数も減らせる • 人間は休憩や睡眠をとる必要があるので、観察が中断する • センサーは常に見張りができる • 人間は集中力の低下や人それぞれに思考のムラがある • ビッグデータを分析するコンピューターにはそのようなデメリットがな い • 機械のほうが人間よりすぐれた仕事をする可能性すらある ビッグデータによる情報分析、センサーによる認 識能力で人間以上の「判断力」を持つコンピュー ターが出現 • アップルのスマホは、人間が「東京の週末の天気は?」と話しかける と、それを認識し、天気予報を画面上に映し出す • 米国では、コールセンター業務を人間に代わって行える音声応答シ ステムも開発され、従来に比べ60~80%のコストが削減 • 金融業界では、人間のトレーダーよりも大量かつ迅速にコンピュー ターがプレスリリースや決算資料を分析し、投資判断を下すのが日 常的 • ウェブ上に顧客が情報を入力するだけで、コンピューターのファイナ ンシャル・アドバイザーが顧客にあった資産運用アドバイスを行う サービスもスタート 教育の現場では、無料オンライン講義 『MOOCs』が急成長 • 学生のディスカッションでのやり取り、課題を勤勉にこなすレベル、 講義を視聴しているペース、そして最終的成績などについての莫大 なデータが集まる • こうした情報を利用すれば、人間に代わってコンピューターの講師が、 個々の学生に応じた講習や評価ができる • 卒業後の就職適性も導き出すことができる • その技術を人材採用に適用すれば、各企業の人事部の作業はいま よりずっと効率化できる Massive Open Online Courses (MOOCs) 技術進歩が人間の領域とされてきた認知能 力を要する幅広い仕事を機械化する • 病院ロボットが食事や処方箋を患者ごとに自動的に輸送したり、手 術を行ったりする • スペインの食品加工メーカーでは、ベルトコンベアーで運ばれてくる レタスをロボットが測定し、品質基準に満たないレタスを選り分けて いる • 米GE社は、風力タービンを登ってメンテナンスをするロボットを開発 汎用ロボット『バクスター』 • 人間がロボットの腕などを動かして仕事を憶えさせる ことで、パターンを暗記してその作業を自動的に行え る • 値段は約2万ドル(約210万円)ほどで、産業用ロボット が平均して10万~15万ドルする中にあっては安価 • ロボットが普及するにつれて、大量生産によって値段 は下がり、10年以内に平均して5万~7万5000ドルほ どの値段で買えるようになる ロボットやコンピューターはクリエイティブな 作業には向いていない • 人間は機械にできる仕事は機械に任せて、より高次元でクリエイティ ブなことに集中できるようになる • 人間が新しいスキルや知性を磨けば、これまで以上に輝かしい『クリ エイティブ・エコノミー』の時代を切り開いていける • 高次元でクリエイティブなスキルを身につけられなければ、失業者に 転落するリスクが大きい AIがヒトラー礼賛 • 米マイクロソフト社がインターネット上で一般人と会話させた人工知 能(AT)が、ヒトラーを肯定するような発言をするようになり実験が中 止された(2016.3) • AIは「Tay(テイ)」と名付けられ、ツイッターで会話を重ねるうちに悪 意のある学習の結果、差別的な発言を繰り返すようになった • 深層学習や機械学習により、AIは急速に人間に近づいている • 囲碁ソフトは優れた棋士が対戦した棋譜という良質の″教科書″を大 量に読み込んで棋力を得ていく • 優れた棋士がいなければ人工知能も強くならず、「ソフト(AI)が人間 を超えた」と単純には言えない • http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40925?page=4
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