すぐわかる「教職員定数をめぐる議論のポイント」 この資料は、教職員定数についての文部科学省の考え方のポイントをまとめたものです 論点① 公立の小・中学校の「教職員定数」は、どのように決まっているのですか? 公立小・中学校の教職員定数は、「子供の数に応じて算定される定数(基礎定数)」と、「学校現場が 直面している課題に対応するために特別に算定される定数(加配定数)」で構成されています。 【基礎定数】 ・学級担任、校長、 教頭など 子供の数に応じて配置される教員 (基礎定数:63.0万人) 教職員定数 (69.4万人) ※1学級の児童生徒数の上限:小1は35人、 小2以上は40人 【加配定数】 学校現場が直面する課題に 対応するため配置される教員 (加配定数:6.4万人) ・いじめ・不登校、 特別支援教育、 少人数教育への対応 論点② 少子化にもかかわらず、子供の数ほど教職員数が減っていないのは、 どうしてですか? 「平成になって子供の数が約3割減っているのに、教職員定数は約1割しか減っていない」 との意見がありますが、本当ですか? 文部科学省の考え方 子供の数は減少する一方、障害のある子供やいじめ・不登校などきめ細かなサポートが必要な ケースが増えているからです ・ 発達障害などの特別支援教育、いじめ・不登校への対応など、学校が直面する課題に応えるためには、 きめ細かな指導が求められており、そのためには教職員が必要です ※例えば、特別支援学校では1学級の上限を6人とするなど、きめ細かな指導が必要です 小・中学校の児童生徒が減少する一方、特別な支援を要する児童生徒数が急増 (小・中の児童生徒数) (特別支援学校・学級在籍者数) 16,000,000 1600万人 250,000 25万人 14,000,000 1400万人 V220,000 1200万人 12,000,000 19万人 190,000 10,000,000 1000万人 160,000 16万人 800 万人 8,000,000 13 万人 130,000 現状の教員数では、特別な指導のニーズに 対応できません ○日本語指導が必要な 外国人児童生徒が急増 22万人 6,000,000 600 万人 ○そのうち、16%の子供は 日本語指導を受けられて いない 1.5倍 26,693人 受けていない 4,199人 (16%) 100,000 10 万人 H1 H3 H5 H7 H9 H11 H13 H15 H17 H19 H21 H23 H25 小・中学校の児童生徒数 特別支援学校 特別支援学級在籍者数 18,404人 平成16年度 日本語指導を 受けている 22,494人 (84%) 平成26年度 もし教職員定数を計画的に削減すれば、特別なサポートを必要とする子供への対応が 困難になります 初等中等教育局財務課 (代表)03-5253-4111 論点③ 今後も、子供の数の減少とあわせて、教職員も減らすべきではありませんか? 「子供が減っているのだから、加配教員も削減すべき」との意見がありますが、学校現場が 困りませんか? 文部科学省の考え方 子供の減少に伴い、基礎定数は今後も減少する見込みです。一方、これからの学校は、 ①昔より多様化し、対応が難しくなっている教育課題に対応するとともに、 ②主体的・協働的な学び(アクティブ・ラーニング)を充実させていく必要があります。 このため、教職員(加配定数)等も戦略的に充実させていくべきです ① アクティブ・ラーニングへの転換を 進めるため、定数の充実が必要です 【従来の教育】 受け身型・暗記重視 アクティブ・ラーニングへの転換 (課題解決型の主体的・協働的 な学習) 一人の教員が 一斉・一方向授業 ・課題解決力、創造性、 コミュニケーション力 ・ICTを活用した教育 ・ 授業の準備、カリキュラムの開発、 ② 多様な教育課題への対応のため、 定数の充実が必要です ・ 特別なサポートを必要とする子供が急増する 一方で、加配定数の改善が足りていない現状です 218:障害のある子供の数 (普通学級在籍者) 220 200 177:暴力行為の発生件数 180 160 145:日本語指導が必要な 外国人の子供の数 120:加配定数 140 児童生徒の学習評価など、きめ細かな 指導が求められています 120 (H16年度を100とした場合) 100 最新調査年度 H16 子供の学習集団を小さくするなど、これまでに ない学習体制へ刷新するために、教職員定数の 充実が必要です H16年度 一人一人の状況に応じた教育を行うために、 教職員定数の充実が必要です 論点④ 日本の教育条件は諸外国と比べて恵まれているのですか? 「日本の小・中学校は、『教員1人あたりの子供の数』などで比較すると、諸外国に引けを とらない」との指摘がありますが、本当ですか? 文部科学省の考え方 日本の教員は、授業以外にも様々な業務を抱えており、国際調査で、最も忙しいとの結果が出ています。 そのため、学校の業務をより効率的に行う努力をするとともに、教職員定数の充実が必要です。 ・多くの業務を抱え、忙しい学校現場の実態を考えると、日本の教育条件は諸外国と比べて恵まれている訳では ありません。むしろ、直面する課題に対応するための教職員定数の改善が必要です (参考)日本の教員1人当たり児童生徒数 小学校 17.7人(OECD平均15.3人) 欧米の教員は授業に特化、日本の教員は 授業以外にも様々な業務を担当しています 日本 イギリス (授業以外の業務が6割) (授業以外の業務が3割) 研修等 3% 学校運営等 17% 生徒指導、 部活動、保 護者対応等 37% 研修等 5% 授業 22% 授業準備・ 成績処理 21% 学校運営等 12% 授業 生徒指導、 38% 保護者対応 等 13% 授業準備・ 成績処理 32% 中学校 14.1人(OECD平均 13.5人) 日本の教員の勤務時間は、国際調査で参加国中で 最長です V <1週間あたりの勤務時間> (時間) 勤務時間の合計 授業 授業計画 課外活動(スポーツ・文化) 事務作業 同僚との共同作業/話し合い 学校運営業務 8.7 7.1 2.1 7.7 5.5 2.9 3.9 2.9 3.0 1.6 17.7 19.3 38.3 53.9 34カ国/地域 中で最長 日本 参加国平均 (出典)OECD TALIS2013年調査結果報告書
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