4-3「就労アセスメントについて」 - 国立障害者リハビリテーションセンター

障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス
就労移行支援事業
事
業
概
要
就労継続支援A型事業
就労継続支援B型事業
就労を希望する65歳未満の障害者で、
通常の事業所に雇用されることが可能
と見込まれる者に対して、①生産活動、
職場体験等の活動の機会の提供その
他の就労に必要な知識及び能力の向
上のために必要な訓練、②求職活動
に関する支援、③その適性に応じた職
場の開拓、④就職後における職場へ
の定着のために必要な相談等の支援
を行う。
通常の事業所に雇用されることが困難
であり、雇用契約に基づく就労が可能で
ある者に対して、雇用契約の締結等に
よる就労の機会の提供及び生産活動の
機会の提供その他の就労に必要な知識
及び能力の向上のために必要な訓練等
の支援を行う。
通常の事業所に雇用されることが困難であ
り、雇用契約に基づく就労が困難である者
に対して、就労の機会の提供及び生産活
動の機会の提供その他の就労に必要な知
識及び能力の向上のために必要な訓練そ
の他の必要な支援を行う。
(利用期間:2年)
(利用期間:制限なし)
(利用期間:制限なし)
① 就労移行支援事業を利用したが、
企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動
を行ったが、企業等の雇用に結びつ
かなかった者
③ 企業等を離職した者等就労経験の
ある者で、現に雇用関係の状態にな
い者
① 就労経験がある者であって、年齢や体力の
面で一般企業に雇用されることが困難となっ
た者
② 50歳に達している者又は障害基礎年
金1級受給者
※ 市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認
められた場合に限り、最大1年間の更新可能
① 企業等への就労を希望する者
対
象
者
③ ①及び②に該当しない者で、就
労移行支援事業者等によるアセス
メントにより、就労面に係る課題等
の把握が行われている者
報酬
単価
711単位(平成27年4月~)
519単位(平成27年4月~)
519単位(平成27年4月~)
※ 利用定員が21人以上40人以下の場合
※ 利用定員が21人以上40人以下の場合
※ 利用定員が21人以上40人以下の場合
事業
所数
3,127事業所
3,086事業所
9,866事業所
(国保連データ平成27年12月)
(国保連データ平成27年10月)
(国保連データ平成27年12月)
30,580人
55,279人
206,965人
(国保連データ平成27年12月)
(国保連データ平成27年12月)
(国保連データ平成27年12月)
利用
者数
1
一般就労への移行者数・移行率の推移(事業種別)
○ 就労系障害福祉サービスから一般就労への移行者数は、毎年増加しており、平成25年度では約1
万人の障害者が一般企業へ就職している。
○ 一方で、一般就労への移行率を見ると、就労移行支援における移行率は大きく上昇しているものの、
就労継続支援A型では微増にとどまっており、就労継続支援B型では横ばいとなっている。
<一般就労への移行者数の推移>
12,000
10,920
<一般就労への移行率の推移>
30.0%
27.2%
10,001
24.9%
10,000
2,737 25.0%
7,717
2,647
8,000
20.1%
20.2%
3.6%
3.7%
1,742 20.0%
6,000
4,403
4,000
2,000
0
3,000
1,276
517
96
1,111
3,293
681
669
142
1,801
528
1,122
209
2,544
5,675
2,307
296
1,606
840
1,473
16.4%
15.0%
12.1%
463
5,881
4,570
10.0%
6,441
10.0%
3,310
5.0%
2.0%
0.0%
就労移行支援
就労継続支援A型
就労継続支援B型
旧授産施設・福祉工場
【出典】社会福祉施設等調査
2.4%
1.4%
就労移行支援
2.2%
2.2%
1.1%
2.9%
2.5%
1.4%
4.6%
4.9%
3.7%
1.6%
就労継続支援A型
3.5%
1.4%
1.6%
就労継続支援B型
4.5%
4.1%
1.6%
全体
2
就労継続支援(A型・B型)からの就職者数(平成25年度)
○ 就労継続支援事業について、1年間に1人も一般企業への就職者が出ていない事業所
は、A型事業所で約7割、B型事業所で約8割となっている。
【就労継続支援A型】
3人
3.7%
4人 5人以上
1.3%
1.4%
2人
7.8%
【就労継続支援B型】
3人 4人
2人
1.4% 0.6%
3.9%
5人以上
0.5%
1人
14.1%
1人
17.6%
0人
68.2%
0人
79.5%
【出典】厚生労働省障害福祉課調べ
3
障害者の就労支援とアセスメント
○ 障害者が、その能力を最大限に発揮して働くことができるように
するためには、
① 障害者がそれぞれに最も適した「働く場」(一般就労、就労継続
支援事業所(A型・B型)など)に円滑に移行できるようにするた
めの支援
② 障害者がそれぞれの「働く場」で安定して働き続けられ、働く力
を伸ばしていけるようにするための支援
が必要。
○ こういった支援は、支援対象者の就労能力や生活の状況を踏まえ
て行われる必要があるため、支援の開始にあたって、支援対象者の就
労面や生活面に関する情報をアセスメントにより把握しておくことが
不可欠。
○ アセスメントにより把握された情報は、一連の就労支援が行われ
る中で、各機関によって共有・更新され、長期間にわたって活用され
る。
※ 「各支援機関の連携による障害者就労支援マニュアル」より抜粋
4
モデル事業報告書
就労アセスメントの活用に向けて
就労アセスメントを
活用する目的
障害のある人が地域で自立した生活を送るための基盤として、就労支援は重要
であり、以下の支援を行うことが必要です。
● 障害のある人が自分自身の「働く力」を最大限に発揮できるように支援するこ
と。
● 障害のある人が自らのニーズを実現できるように支援機関が協力して支援す
ること。
働く意欲のある障害のある人の特性や能力を最大限活かすことができるような支
援を行い、最も適した「働く場」に円滑に移行していくためには、障害のある人自身
の将来的な成長の可能性も含めてアセスメントを行い、そのためのアセスメント実
施体制を構築することが重要です。
就労アセスメントは障害福祉サービスが「利用できる」「できない」を決める単なる
手続きではなく、利用者のニーズの実現とそのための支援体制の構築に活用して
いきます。
就労アセスメントの実施体制の構築等について取りまと
めていますので、ご参照ください。
「各支援機関の連携による障害者就労支援マニュアル」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_k
aigo/shougaishahukushi/service/shurou.html
5
就労アセスメントの活用に向けて
モデル事業報告書
就労アセスメントの基本的考え方
「働く力」と「生活の力」は並行はしません。
就労アセスメントは、一般就労の可能性を一定の基準を設けて「判定」するものではあ
りません。
就労アセスメントの
働く力が
誤った考え方
とてもある
暮らす力がとて
もある
それぞれの人のニーズに応じた、
働く力を最大限発揮できる場の検討
暮らす力に
サポートが
必要
非就職
就職
(一般就労)
高い
働く力
暮らす力
働く力に
サポートが必要
低い
モデル事業実施センターから、次の意見がありました。
○ 就労アセスメントは、できないことを見つけるためのものではなく、本人
の「伸びしろ」や本人にとって必要な「配慮」事項を把握するために行う
もの
○ できない部分にばかりに着目すると、「働ける」、「働けない」という評
価に終わってしまう恐れがある
○ 就労アセスメントは、サービス等利用計画作成のための就労面のアセスメ
ントとして行われるものであり、アセスメント結果が適切に反映・活用さ
れるよう、利用者に必要な支援を明らかにするもの
それぞれの人に応じた働き方を踏まえてアセスメントを行うこと、どのス
テージの人も必要なサポートがあれば働くことができる可能性があると考え
6
各支援機関の連携による就労支援のイメージ
就労移行支援事業所等が就労面のアセス
メントを実施
就労アセスメント
※ B型事業を利用する場合は必須
A型・B型事業所で働くこ
とが適している者はA型・
B型で継続的に就労
就労面のアセスメント結果や特別支援学
校等(※)からの情報を踏まえ、相談支援
事業所がサービス等利用計画を作成
サービス等利用計画の作成
事業所は生活の安定や能力
向上に向けた支援を実施
障害福祉サービス
を利用しなくても
一般就労への移行
が可能な者につい
ては一般就労への
移行を支援
就労継続支援事業所
(A型・B型)
A型・B型事業利用者のう
ち一般就労への移行が可能
となった者については一般
就労への移行を支援
(※)「特別支援学校等」は高
等学校及び中等教育学校
の後期課程を含む。
就労移行
支援事業所
一般就労
一般就労の継続が困難となった者
についてはA型・B型事業への円
滑な移行を支援
一般就労へ移行した者についても、生活面の支援
が必要な場合は関係機関が連携して支援を実施
7
各支援機関の連携による支援の流れ
特別支援学校の卒業生がB型事業所又は就労移行支援事業所の利用を経て一般就労に至った場合を
例にとって各支援機関の連携による支援の流れを示すと、以下のようになります。
就労アセスメントの実施
○ 就労移行支援事業所等が、面談や作業観察によるアセスメントを行い、支援対象者の就労面の情報(作
業能力、就労意欲、集中力等)を把握。※ 上記アセスメントを「就労アセスメント」と呼びます。
サービス等利用計画の作成
○ 相談支援事業所が、就労移行支援事業所等から提供された就労面の情報(アセスメント結果)と特別支
援学校から提供された「個別の教育支援計画」等の生活面の情報を踏まえ、サービス等利用計画を作
成。
安定した就労と働く力の向上に向けた支援
○ B型事業所又は就労移行支援事業所が、サービス等利用計画に沿った個別支援計画を作成し、利用者の
安定就労に向けた生活面の支援及び就労能力の向上に向けた支援を実施。
モニタリングの実施と一般就労への移行に向けた支援
○ 相談支援事業所が定期的にモニタリングを実施し、利用者の就労能力や希望の変化を把握。利用者が一
般就労を目指せる状態になっている場合、B型事業所又は就労移行支援事業所、各支援機関が連携して
一般就労への移行を支援。
職場定着支援及び一般就労の継続が困難となった場合の対応
○ 一般就労への移行後も、必要に応じて各支援機関が職場定着支援を行うほか、一般就労の継続が困難と
なった場合はA型・B型等への円滑な移行を支援。
※ 平成27年3月16日厚生労働省障害福祉課事務連絡「各支援機関の連携による障害者就労支援マニュアル」より抜粋
サービス等利用計画の作成
○ 相談支援事業所は、
① 就労移行支援事業所等から提供された就労アセスメントの結果
② 特別支援学校等から提供された「個別の教育支援計画」等の生活面の情報
③ 相談支援事業所みずからが実施したアセスメントの結果
を踏まえ、適切なサービス利用に向けたサービス等利用計画を作成します。
○ 相談支援事業所がサービス等利用計画を作成する際には、支援対象者の将来の一般就労への移
行も視野に入れた長期的な視点が必要です。(「各支援機関の連携による障害者就労支援マニュアル」17ページ参照)
○ 相談支援事業所は、サービス等利用計画とともに、支援対象者に関する情報(上記①~③)
を、本人の同意を得た上で、支援対象者が利用するサービス事業所に提供します。
安定した就労と働く力の向上に向けた支援
○ 支援対象者が利用するサービス事業所は、相談支援事業所から提供された利用者に関する情報
を活用し、サービス等利用計画に記載された目標(将来の一般就労への移行など)を実現するた
めの個別支援計画を作成します。
○ また、この情報は、サービス事業所が能力向上や安定就労のための支援を行う際にも活用しま
す(例:就労アセスメント結果と現在のアセスメント結果を比較することにより、利用者の能力
向上の程度や支援を強化すべき項目を把握する等)。
○ サービス事業所が利用者に支援を行っていく中で、利用者の就労能力や生活状況等に変化がみ
られた場合は、相談支援事業所から提供された利用者に関する情報に新たな情報を追加・更新し
ていきます。
9
モニタリングの実施と一般就労への移行に向けた支援
○ 相談支援事業所がモニタリングを実施する際には、サービス利用開始前のアセスメント結果
と、サービス事業所が追加・更新した利用者に関する情報を活用します(例:利用開始前の情報
とサービス事業所が追加・更新した情報を比較し、長期的な目標の実現への進捗状況を確認する
など)。
○ 利用者が一般就労への移行を目指す準備が整った場合は、サービス事業所は、相談支援事業所
や就労移行支援事業所、障害者就業・生活支援センター、ハローワーク等と連携して、一般就労
への移行に向けた支援を行います。
職場定着支援及び一般就労の継続が困難となった場合の対応
○ 一般就労に移行した者に対して就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターが職場定
着支援を行う際にも、利用者に関する情報を活用します。
○ 職場定着のために障害福祉サービスの利用が必要な場合や、一般就労の継続が困難となった者
がA型事業所やB型事業所に移行する場合に、相談支援事業所がサービス等利用計画を作成する
にあたっても、それまでに蓄積された利用者に関する情報を活用します。
10
B型事業利用希望者の利用相談から利用後までの流れ
○
就労アセスメントが必要な者が就労継続支援B型事業の利用を希望する場合
のサービス利用相談から利用後までのおおまかな流れは以下のとおりです。
相談支援
事業所
利
用
希
望
者
が
市
町
村
窓
口
へ
相
談
相
談
支
援
画め就
案の労
のサア
作ーセ
成ビス
スメ
等ン
利ト
用の
計た
市町村
就労移行支援
事業所
暫
決定
定支
給
① 就労アセスメン
ト
② 評価結果まとめ
就労移行支援事業所による
アセスメントに係る暫定支給決定
就労移行支援事業所による
アセスメントが困難な場合
相談支援事業所が就労移行
支援事業所または障害者就
業・生活支援センターに連絡
し、就労アセスメントの実施
について調整。
障害者就業・生活
支援センター
① 就労アセスメン
ト
② 評価結果まとめ
相談支援事業所は、就労ア
セスメント結果を参考に、利
用者のニーズを踏まえた適
切なサービス利用のための
相談支援を実施。
相談支援
事業所
相
談
支
援
画利B
案用型
のの事
作た業
成め又
のは
サ就
ー労
ビ移
ス行
等支
利援
用事
計業
アセスメン
トや相談支
援の結果、
一般就労を
目指す場合
や他の障害
福祉サービ
ス等の利用
も想定され
ます。
相談支援
事業所
市町村
支
給
決
定
事業
利用開始
モ
ニ
タ
リ
ン
グ
B型事業又
は就労移行
支援事業の
利用に係る
支給決定
相談支援事業所は、ア
セスメント結果を参考に
しつつモニタリングを実
施。「一般就労の希望が
ある」「一般就労の可能
性がある」場合は、障害
者就業・生活支援セン
ター等と協力し、一般就
労への移行支援を実
施。
11
B型事業または就労移行支援事業利用までの流れの詳細
○
利用相談から就労移行支援事業所によるアセスメントを経て、就労継続支援B型事業
または就労移行支援事業の利用開始に至るまでの流れの詳細は、以下のようになります。
①
利
用
者
就労系障害福
祉サービス(B
型事業等)の利
用希望者が市
町村窓口で相
談。
市
町
村
市町村は就労ア
セスメントを受け
るために就労移行
支援事業所の利
用が必要であるこ
とを説明し、就労
移行支援事業の
利用申請をしても
らう。
相
談
支
援
就
労
移
行
②
③
④
⑤
利用者が市町村に
アセスメントのため
の暫定支給決定に
係るサービス等利
用計画案を提出。
市町村は相談
支援事業所で
就労アセスメン
ト実施のための
サービス等利用
計画案を作成し
てもらうよう申請
者に指示。
相談支援事業
所が就労移行
支援事業所と
連絡をとり、就
労アセスメント
実施のための
調整を行う。
市町村は就労
アセスメントの
ための暫定支
給決定を行う。
サービス担当者
会議はこのとき
までに実施して
おいてください。
相談支援事業
所は就労アセ
スメントのため
のサービス等
利用計画案を
作成して利用
者に交付。
就労アセスメント
相談支援事業
所は就労アセス
メントのための
サービス等利用
計画を利用者に
交付。
就労移行支援
事業所が就労
アセスメントを
実施。
B型事業を
利用する場合
モニタリング
相談支援事業所は
就労アセスメントや
通常の調査(障害の
状況や家庭状況、利
用者の意向など)の
結果を勘案して最適
なサービス種別を相
談・提案。
就労移行支援事
業所はアセスメ
ントの結果を取り
まとめて相談支
援事業所に提出。
⑥
⑦
⑧
利用者はB型
事業の利用に
ついて市町村
窓口に申請。
利用者は市町村
にB型事業利用
のためのサービ
ス等利用計画案
を提出。
市町村は相談支
援事業所でB型
事業利用のため
のサービス等利
用計画案を作成
してもらうよう申
請者に指示。
市町村はサー
ビス等利用計
画案を参考に
支給決定を行
う。
サービス担当者会
議はこのときまでに
実施しておいてくだ
さい。
相談支援事業
所はB型事業
利用のための
サービス等利
用計画案を作
成して利用者に
交付。
相談支援事業
所はB型事業
所のサービス
等利用計画を
利用者に交付。
引き続き就労移行支援事業
を利用する場合
就労移行支援
事業の本利用
開始。
12
就労アセスメントの実施に向けた体制整備
○
就労アセスメントが各地域で円滑に行われるようにするためには、関係機関が連
携体制を構築し、地域全体で取り組むことが不可欠です。その際には、以下のよう
な流れで取り組むことも有効です。
①
アセスメント体制構築に向けた検討会の設置
・ 自治体と協議会が中心となり、相談支援事業所や就労移行支援事業所、障害者就業・生活支
援センター、A型・B型事業所、特別支援学校等、病院等の関係機関が参加する検討会を設置。
②
勉強会の開催
・ 検討会において、「各支援機関の連携による障害者就労支援マニュアル」及び「就労移行支
援事業所によるアセスメント実施マニュアル」等を活用し、勉強会を開催。
③ 地域の社会資源等の把
握
・ 地域の就労移行支援事業所のアセスメント実施可能件数、障害者就業・生活支援センターに
よる支援体制、アセスメント実施件数の見込み等を把握。
④
関係機関の役割分担や円滑な実施のための工夫の検討
・ 自治体が中心となり関係機関の役割分担を決めるほか、アセスメントの円滑な実施のための
工夫について検討。
⑤
アセスメント体制の改善
・ アセスメントを一定の件数実施した後、検討会において、連携にあたって課題となった点や
アセスメントの実施による効果等を共有し、アセスメント体制の改善策を検討。
13
相談支援事業所と一般就労を支援する機関との連携を
○ 就労アセスメントの結果は、各支援機関による一連の就労支援、相談支援事業所
によるサービス等利用計画の作成から一般就労への移行支援までの一連の就労支
援において活用されます。
○ 相談支援事業所がサービス等利用計画を作成する際には、支援対象者の将来の一
般就労への移行も視野に入れた長期的な視点が必要です。
一般就労に関する知識を持ちましょう。
・
利用者や保護者に対する的確なアセスメントや情報提供を行うため、一般就労に
関する知識や障害者雇用の現状、各地域における一般就労を支援する機関の配置状
況、地域の一般就労の事例や障害者雇用に取り組む地元企業等を把握しておくこと
が有効です。
・ 各都道府県において、企業理解の促進のための「就労支援セミナー」(都道府県
労働局実施)、就業支援に必要な基本的知識等を得るための「就業支援基礎研修」
(障害者職業センター実施)などが開催されていますので、ご活用ください。
一般就労を支援する機関との連携体制を構築しましょう。
・
一般就労への移行を促進するためには、福祉施策と雇用施策の連携が重要です。
一般就労を支援する機関として、各地域には、障害者就業・生活支援センター、
ハローワーク等があります。各機関の役割や特徴を把握しておくとともに、各機関
に対して相談支援事業所の役割も伝え、一般就労をめざせるようなった利用者に対
して、連携して支援を行っていきましょう。
14
就労アセスメントの取組事例①
①
就労アセスメントの取組の経緯
○ 26年度から市主導で実施体制を整備
・ 27年度には市の取組を基に周辺の3市5村共
通のスタイルで実施
・ 市内には就労移行支援事業所は1所のみ
・ 自治体、就労移行支援事業所、特別支援学
校、相談支援事業所との協力体制の構築
・ 手続きの詳細の確認(スケジュールや共通
様式の使用等)
②
対象者の取りまとめ(学校→行政)
学校・行政による保護者への説明(支給決定、就労ア
セスメント等)・計画相談支援の調整(行政主導)
③ 打合せ(アセスメントの流れや日程調整等)
④ 移行支援事業所が特別支援学校を訪問し、作業や学校
内での様子等を見学
⑤ 各自治体にて受給者証の発行手続き
⑥ 事前情報の提出(学校・保護者→移行支援事業所)
⑦ 移行支援事業所による本人、保護者等に対する説明会
(契約、アセスメントの実施場所やスケジュールの確認
等)
⑧ 就労アセスメント実施
①
②
④ 実施状況、メリットや課題
③ 就労アセスメントの実施
○ 日程(3日間、夏期休暇中に実施)
・ オリエンテーション、福祉センターでの清
掃作業、組立作業、民間企業での封入作業等
○ 留意点
・ ストレングスの視点を大事にし、可能性を
引出し、本人のセールスポイントを見つける
・ 就労アセスメントを複数の職員で行い、複
数の視点で確認
○ アセスメント結果シートに取りまとめ、相談
支援事業所が開催する「モニタリング会議」に
て、移行支援事業所が必要に応じて、直接結果
を説明
就労アセスメント実施までの流れ
27年度12月現在 市内の当該移行支援事業所において
10名実施(うち1名は市外在住者。前年度4名実施)
・ 全て特別支援学校高等部在学者
・ 10名のうち1名が移行支援事業を利用予定
○ メリット
・ 第三者の視点でアセスメントを行うことができる
・ 本人の強みに焦点を当てて、フィードバックするこ
とにより、就労意欲や就労可能性が高まる
・ 各支援機関による長期的なチーム支援体制を整える
ことができる
○ 課題
・ アセスメントの精度を高めるため、アセスメント手
法の検討や職員のスキル向上が必要
○
15
就労アセスメントの取組事例②
①
就労アセスメントの取組の経緯
○ 25年11月から2市2町共通のスタイルで
実施
○ 自治体、就労移行支援事業所、特別支援
学校、相談支援事業所との協力体制の構
築(説明会の開催等)
○ 手続きの詳細の確認(受給者証の発行
等)
③ 就労アセスメントの実施
○ 日程(基本連続3日間、9時~4時)
1日目 日程・ルール説明、作業評価
2日目 作業評価
3日目 作業評価、反省会
○ 結果の取りまとめは職員間で丁寧にすり
合わせ、事実と予測を区別し、根拠を記
す
○ 反省会(本人・保護者、移行支援事業所、
学校、相談支援事業所も可能な限り参
加)感想聴取、アセスメントシート報
告・写しを手交、質疑、意見交換
○ アセスメントシート提出(移行支援事業
所→自治体、相談支援事業所)
②
就労アセスメント実施までの流れ
① 対象者の取りまとめ(学校→自治体・移行事
業所)
② 日程調整(学校→移行支援事業所)
③ 各自治体にて受給者証の発行手続き
④ 個人調査書提出(学校→移行支援事業所)
⑤ 契約
⑥ 就労アセスメント実施
④
実施状況、メリットや課題
○ 27年度前半 11名実施
・ 特別支援学校9名、在宅2名
(H25:20名、H26:26名実施)
○ メリット
・ 短期間でも変化を実感できる人が多い
・ 「環境が整えば働ける」ことを再確認
・ 再アセスメント希望者が多く、伸びる
可能性への期待があることを共有
○ 課題
・ 市町、各機関のアセスメント等の考え
方や実践の相違
・ アセスメント結果をどう活かすか
・ アセスメント実施困難な場合の対応
16
各地域で行う専門コース別研修等における
「就労アセスメント」の説明ポイント
「就労アセスメント」は、
➀ 長期的な支援を行っていく上で、一般就労の移行
の可
能性も視野に入れた就労面に関するニーズや情報を
把
握する
(就労移行支援を利用した結果、一般就労が可能
かどう
かを見極めるものではない)
② 相談支援事業者が作成するサービス等利用計画や
障
害福祉サービス事業所等が作成する個別支援計画に
反
映させ適切な支援につなげる
というものです。
17
(参考)
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービ
ス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実
施上の留意事項について」(平成18年10月31日 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通
知 最終改正 平成27年3月31日)(抄)
第二 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福
祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準別表
介護給付費等単位数表(平成18年厚生労働省告示第523号。以下「報酬告示」という。)
に関する事項
1.通則
(7)定員超過に該当する場合の所定単位数の算定について
⑥ 利用者数の算定に当たっての留意事項
④及び⑤における利用者の数の算定に当たっては、次の(一)から(四)までに
該当する利用者を除くことができるものとする。(以下、略)
(一)~(三) 略
(四) 3の(5)の①の(三)に規定する一時的にアセスメントを受ける場合の就
労移行支援の利用者
3.訓練等給付費
(3)就労移行支援サービス費
③ 就労定着支援体制加算の取扱い
(五)報酬告示第12の3の就労定着支援体制加算について、就労移行支援事業所に
おいて、暫定支給決定により就労系障害福祉サービスの利用に係るアセスメン
トを行った後、一般就労した者については、当該加算の算定の対象に含まない
ものとする。
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(参考)「里親に委託されている児童が保育所へ入所する場合等の取扱いについて」(平成11年8月30日児家第50号
厚生省大臣官房障害保健福祉部障害福祉課長、児童家庭局家庭福祉課長、保育課長連名通知 最終改正 平成28
年3月31日)(抄)
5 里親及びファミリーホームに委託されている児童、児童養護施設に入所している児童又は母子生活支援施
設に入所している母が、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型(以下「就労移行支援等」
という。)を受ける場合の取扱いについて
ア 取扱い
里親及びファミリーホームに委託されている児童、児童養護施設に入所している児童又は母子生活支
援施設に入所している母について、就労移行支援等を受けることが必要と認められる場合は、当該児童
等につき、里親及びファミリーホームに委託又は児童養護施設及び母子生活支援施設に入所しているこ
とが、就労移行支援等を受けることを妨げないものとする。なお、その取扱いについては、下記に留意
されたい。
①、②及び③ (略)
イ 費用の支弁(支給)
① (略)
② 就労移行支援等に係る費用の支給
里親及びファミリーホームの委託児童又は児童養護施設の入所児童が就労移行支援等を受ける際の費
用については、措置の扱いとなることから「やむをえない事由による措置を行った場合の単価等の取扱
いについて」(平成18年11月17日障障発1117002523号)に基づき、「障害者の日常生活及び社会生活を
総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する
費用の額の算定に関する基準」に準じて算定した額とする。(以下、略)
ウ 費用の徴収
① (略)
② 就労移行支援等に係る費用徴収
里親及びファミリーホームに委託されている児童又は児童養護施設に入所している児童については、
徴収を免除し、母子生活支援施設に入所している母については、通常の利用と同様に原則障害者の日常
生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第28条第2項に基づき就労移行支援等に要した費用の
額等に応じ、算定された額を就労移行支援等事業所に支払うこと。
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(参考)「就労継続支援B型の利用に係るアセスメントの取扱いについて」
(平成28年3月8日 障害保健福祉関係主管課長会議資料)
8 障害者の就労支援の推進等について
(1) 障害者の就労支援の推進について
④ 就労継続支援B型の利用に係るアセスメントの取扱いについて
平成27年度から、特別支援学校卒業者等が就労継続支援B型を利用する場合、原則とし
て、就労移行支援事業所等によるアセスメントを受けることとなっている。
当該アセスメントは、約6割の特別支援学校卒業生が卒業後に障害福祉サービスの利用
に至っていること、就労継続支援B型事業所から一般就労へ移行する利用者が2%にも満
たないことといった現状を踏まえ、一般就労への移行の可能性も視野に入れた就労継続支
援B型の利用など、長期的な就労面に関するニーズを把握するために実施するものである。
しかしながら、障害者のこうした可能性を考慮せず、就労継続支援B型の利用を前提とし
た形式的なアセスメントを実施している事例など、アセスメントの趣旨が理解されていない取
扱いがみられるところである。
ついては、就労継続支援B型の新規利用者の就労面に係る課題等が適切に把握され、
就労の知識及び能力の向上のために必要な訓練や支援が適切に提供されるよう、アセスメ
ントの趣旨を理解いただき、一般就労に関する支援ノウハウを有している就労移行支援事
業所等において、適切にアセスメントが行われるよう周知徹底をお願いしたい。
なお、アセスメントの実施にあたり、就労移行支援事業所でアセスメントを行うことが障害
者の負担となる場合は、施設外支援により、障害者が通所しやすい場所(利用者が在籍し
ている特別支援学校内など)で実施することが可能である。
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