四日市市における取り組み 四日市市においては、高齢者やその家族の総合相談窓口として、24時間相談可能な在宅介 護支援センター(以下在支)を市内に26ヶ所整備し、各地域のネットワークや実態把握など高 齢者福祉の地域拠点として展開してきた。 平成18年の介護保険制度改正においては、今までの経緯を踏まえた上で、市の保健福祉計 画において、在支の機能を最大限に活用するために、3ヶ所(北・中・南)の地域包括支援セン ター(以下地域包括)を在支の基幹的なセンターと位置づけ、そのサブセンター・ブランチとして 在介を機能させること、各地区の地域性に配慮しつつ地域のネットワーク作りを強化していくこ とで、地域の高齢者等の自立と安心を支えるための地域包括ケアシステムの構築化を目指し ている。 【四日市市の概況】 ●総人口 312,106 中 ●高齢者数(高齢化率)75,774人(24.3%) ●要介護認定者数 12,561人 ・要支援1・2 4,289人 ・要介護1~5 8,272人 平成27年4月1日現在 北 四日市市の区域設定 区域名称 南 四日市南地域包括支援センター(青山里会) + 在支(ブランチ9ヶ所) 日常生活 圏域 地区 人口 約10万人 約3千人~ 約2万人 センター 地域包括 在支 要支援1 2,468 要支援2 1,821 要介護1 2,763 要介護2 1,649 要介護3 1,419 要介護4 1,374 要介護5 1,067 四日市市南地域包括支援センターの担当圏域情報と職員配置 四日市市南地域包括支援センター 担当圏域情報 30,000 40.0% 27,963 23,954 25,000 28.0% 18,117 20,000 15,000 17,930 21.1% 19.3% 35.0% 33.9% 32.7% 31.9% 30.0% 25.7% 25.0% 21.9% 20.0% 19.2% 10,897 15.0% 10,000 5,395 5,000 0 6,708 6,404 3,821 3,443 4,770 2,796 2,091 1,043 人口 4,639 1,572 10.0% 3,303 1,054 高齢者数 (65歳以上) 高齢化率 5.0% 0.0% <四日市市南地域包括支援センター職員配置> ①包括支援事業 管理者1名、主任介護支援専門員2名、社会福祉士1名、保健師1名 ②介護予防支援事業 介護支援専門員4名、社会福祉士3名 ③介護予防事業 作業療法士1名、看護師1名、事務員1名 ④認知症地域支援推進員 看護師1名(認知症ケア専門士) 四日市市の課題集約プロセスイメージ 四日市市には、個別課題を地域の課題へ、地域 の課題を四日市市の課題として集約していくプロ セスの構築を目指している。 ⑤全市レベル地域ケア会議 ①スクリーニング 地域関係者・団体からの困りごと・ニーズを在支が スクリーニングする。 • 活用会議: ・四日市市長寿まちづくり懇話介 ・地域包括支援センター連絡会 ・包括・在介合同会議 ④日常生活圏域レベル地域ケア会議 課 題 抽 出 ( 政 策 形 成 ) • 活用会議: ・プラットホーム会議 ・医療・介護ネットワーク会議、 ③地区レベル地域ケア会議 • 活用会議:・地域ネットワーク会議 ・在宅介護支援センター運営推進会議 ②個別レベル地域ケア会議 ①スクリーニング フ ィ ー ド バ ッ ク ( 地 域 ・ 個 人 へ 還 元 ) ②個別レベル地域ケア会議 個別レベル地域ケア会議は、地域包括、在支が 運営しており個別ケースから地域の課題を抽出す るため随時開催することとなっている。 ③地区レベル地域ケア会議 個別レベルの地域ケア会議で出た課題を集約す る場として地区レベル地域ケア会議がある。地区 レベル地域ケア会議は、地域ネットワーク会議と在 宅介護支援センター運営推進会議を活用し、在支 が運営している。 ④日常生活圏域レベル地域ケア会議 日常生活圏域レベルの地域ケア会議では、医療 職と福祉職が「顔の見える関係づくり」による円滑 な連携の実現を目標とした医療・介護ネットワーク 会議や在宅介護支援センター連絡会を活用する。 会議の調整は、地域包括支援センター。 ⑤全市レベルの地域ケア会議 日常生活圏域の地域ケア会議であげられた課題 を行政が運営している全市レベルの地域ケア会議 へと集約し、政策形成へとつなげていく。 プラットホーム会議への取り組み 現在も各地域包括支援センター単位 (日常生活圏域)で、4ヶ月に一回の ペースで、プラットホーム会議(他圏域 名称:地域ブロック会議)を開催してい る。 プラットホーム会議は、地域包括と各 在支職員及び行政職員で構成されてお り、必要な情報交換を行いながら在支・ 地域包括・行政が共通認識や目的を持 ち、それぞれの役割を考えながら、地 域包括ケアに取り組むことが重要であ ると考え取り組んでいる。⇒平成18年7 月からは、各部ブロック間の取り組みや 意識などで格差が生じないよう北・中地 域包括も参加し圏域間の共有を行う。 (1)構成メンバー ・地域包括支援センター職員 ・各在宅介護支援センター職員 ・市介護・高齢福祉課職員 ・他圏域の地域包括支援センター職員 合計15名~20名 (2)協議内容 ・行政、各包括、在支センターから の連絡事項 ・包括、在支との連携に関する協 議や意見交換 ・処遇困難事例に関する検討など プラットホーム会議の現状 今までのプラットホーム会議は、一つの大き なテーブルを全出席者が囲むように座るロの 字型の会議あったが、前回より近隣地区或い は、課題、テーマ別にグループ分けによる課 題検討を行い、最後は各グループで出た意 見を全員で共有する。 ⇒会議を重ねることで、在支・包括・行政の顔 の見える関係が出来て、関係者間の情報共 有が行われるという成果があった。 プラットホーム会議の課題 行政や関係機関の連絡報告事項の増大によ り日常生活圏域の会議としての課題抽出作業 や処遇困難事例等の時間が十分に確保するこ とが出来ていない。また、在支の業務量増大、 特に職員一人の在介は、日々ケース対応に追 われプラットホーム会議までに十分に課題を整 理できないという実態がある。 ⇒会議の目的・機能を再確認の上、会議の運 営の在り方を検討する。 ⇒包括としての在支に対する適切な後方支援 の在り方を検討する。 プラットホーム会議の機能 イメージ 地域 全市レベルの会議 ①四日市市長寿まちづくり懇話介 ②地域包括支援センター連絡会 ③地域包括支援センター・在宅介 プラットホーム会議 護支援センター合同会議 行政 全市レベルへ 提言・課題共有 地域包括支援センター プラットホーム会議 居宅介護支 援事業所 包括 自治会 老人会 医療機関 在宅介護 支援センター 在介 地区レベル 地域ケア会議 地域の 福祉関係 団体等 事業者 民生委員 困りごと 困りごと ニーズ ニーズ 地区課題 地区 課題 地区 課題 地区 課題 行政 日常生活圏域の課題 まとめ プラットホーム会議に求められる機能 四日市市には、段階的に課題を集約するしくみがあり、プラットホー ム会議では各地区からあげられた課題を共有・整理し全市レベルへ 提言するというしくみを動かしていくための機能がある。 しくみの中で重要になってくるのは、「地域の身近な相談窓口」とし て、地域住民や医療・福祉の関係団体等から寄せられる困りごと、地 域の課題を在支が課題集約していること。行政や地域包括へ直接相 談が入ることもあるが、その地域で起きていることは在支と共有して いる。 そして、在支が、地区レベル地域ケア会議等において、地区の課題 を整理後、日常生活圏域レベルの会議であるプラットホーム会議へ 各地区の課題が集められる。 プラットホーム会議では、各地区の課題を整理し全市レベルへ提言 するだけでなく、会議で検討したことを全市だけでなく地区へ戻すこと で、段階的な課題集約のしくみが円滑に動いてくる。地域包括が後方 支援或いは、協働し、共に地域の課題を考えていくことが、四日市市 の在支と包括の目指すべき関係であり、プラットホーム会議の在り方 を今後も在支と共に検討していきたい。
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