「技術者倫理」〔配布資料-3 〕事例報告・映像教材

日本工学教育協会
第13回ワークショップ「技術者倫理」
1 Dec., 2012
事例報告:
映像教材「ソーラーブラインド」の活用
栃 内 文 彦 /金沢工業大学基礎教育部
1
今日の発表では...
はじめに
「科学技術者倫理」での事例映像教材の活用:
「ソーラーブラインド」の紹介
まとめにかえて:「ソーラーブラインド」英語版の
作成とその活用
2
●はじめに
はじめに
「科学技術者倫理」での事例映像教材の活用:
「ソーラーブラインド」の紹介
まとめにかえて:「ソーラーブラインド」英語版の
作成とその活用
3
技術者倫理教育@KIT
1965年:開学.「人間形成」が建学綱領の一つ
2006年:「科学技術者倫理」開講
2008年:E-ラーニング・システム Agoraを導入
2010年:事例「ソーラーブラインド」導入
4
「科学技術者倫理」概要
3年次必修,2単位(90分 x 15週 + 自己点検授業)
成績評価の方針:
「すべきことを(それなりに)していれば,(それな
りの)成績に」
∵内面の倫理性は測定・評価困難(and/or すべきではない)
∵倫理的能力の涵養は長期的)
↓
受講姿勢(積極性)を重視・(敢えて)形式的に
5
「科学技術者倫理」概要(cont.)
受講姿勢(積極性)を重視・(敢えて)形式的に
課題 x 9:予習・復習として.原則,提出
すれば満点.内,3課題はAgora課題(そ
の内の2課題はグループ討議の予復習)
グループ討議 x 3:ケースメソッドによる
倫理的意思決定(直面している問題(事例)
の構造化分析)の演習.2回目のグループ
討議で「ソーラーブラインド」利用
期末試験:授業終了時での理解度をル
ブリック的に確認(事例の構造化分析)
6
E-ラーニングの導入
Agora
技術者倫理教育のためのE-ラーニング・システム
Webベース(インターネット・ブラウザでアクセス)
<http://www.ethicsandtechnology.com>
オランダの3工科系大学が共同開発
3TU Centre for Ethics and Technologyが管理
7
なぜAgora?
→Agoraは...?
技術者倫理教育に適したE-ラーニング・システム
の要件...
ユーザー(教員・受講者)の事務的な負担を
軽減してくれる
・教員:効率は向上
・学生:人による(負担感は残)
倫理的意思決定のスキル向上を促してくれ
る(単なる「マニュアル的対処法」ではだめ)
・構造化分析で効果あり
自学・自習を補助してくれる(倫理的スキル
の涵養はその人の問題)
・授業への適切な組込で効果大
8
Agoraにおける構造化分析
なぜAgora?
→Agoraは...?
1)事例の把握(Case description)
技術者倫理教育に適したE-ラーニング・システム
2)倫理的問題点の認識(Problem
の要件...
statement)
3)問題点の分析(Problem analysis): 事実
ユーザー(教員・受講者)の事務的な負担を
軽減してくれる 関係,関連する要因・条件,ステークホル
・教員:効率は向上
ダーなどの把握
・学生:人による(負担感は残)
4)行動案の設計(Options for action)
倫理的意思決定のスキル向上を促してくれ
5)倫理的妥当性の評価(Ethical
る(単なる「マニュアル的対処法」ではだめ)
evaluation)
・構造化分析で効果あり
6)省察(Reflection)
: 以上の考察の妥当性な
どの検討
自学・自習を補助してくれる(倫理的スキル
7)ディスカッション(Discussion): 受講者お
の涵養はその人の問題)
よび参加者間での意見交換
・授業への適切な組込で効果大
9
Better Agora, Better Final Exam.
70
65
Final Exam. Score
60
55
50
45
AY09
AY10
AY11
AY12(1H)
40
<20
20 - 24
25- 29
30
Agora Score (10 x 3 Exercises)
≥31
10
Better Agora, Better Final Exam.
Agora 高 得 点 者 → 期 末
試験でも高得点
「構造化分析」の繰り返し
→スキルが向上(解釈1)
意欲のある学生は,終始
一貫して高得点(解釈2)
70
65
60
55
50
AY09
AY10
45
AY11
AY12(1H)
40
<20
20 - 24
25- 29
30
≥31
「逆転現象」が見られる
「要領は良いが,やる気はそれほど高くない」学生?
Agoraを文字通り形式的にこなすだけで,スキル向
上に結びつかなかったか...
=「負担感」と併せ,今後の検討課題
11
●「科学技術者倫理」での事例映像教材の活用:「ソーラーブラインド」の紹介
はじめに
「科学技術者倫理」での事例映像教材の活用:
「ソーラーブラインド」の紹介
まとめにかえて:「ソーラーブラインド」英語版の
作成とその活用
12
3回の授業内グループ討議
「百万石F1グランプリ」 (梅津光弘氏作成の事例を,本
学岡部幸徳がアレンジしたもの)
第1・2回:セブン・ステップ・ガイド前(「倫理問題」体験)
「ソーラーブラインド」
第5・6回:セブン・ステップ・ガイド後
課外でAgoraを用いた予復習
この後ご紹介
「ギルベイン・ゴールド」
第10・11回:セブン・ステップ・ガイド後(メゾ視点)
課外でAgoraを用いた予復習
13
「ソーラーブラインド」(日本語版)
金沢工業大学 夢考房「技術者倫理教材
作成プロジェクト」製作(2009年)
2007年度「特色ある大学教育支援プログラ
ム」:「価値の共有による技術者倫理教育─行
動を設計する新教養教育─」 (2007-09年度,事
業推進担当者:札野順)
企画:本学 夏目賢一/監修:札野 順
原案:当時の本学3年次学生
制作:東映(株)京都撮影所
2010年度「科学技術者倫理」導入
企業倫理研修などにも活用
14
「ソーラーブラインド」討議の手順
課外[討議前]:各自で事例の把握(Agora上で予習)
↓
授業1:概要の確認→ビデオ視聴→グループ討議
↓
課外:グループ討議
↓
授業2:グループ討議(まとめ)→討議結果の発表・
フォローアップ→「グループ討議報告書」提出
↓
課外[討議後]:各自で考察の深化(Agora上で復習)
15
パッケージ化された教材
講義ノート (事例概要,考察・
検討のポイント,シナリオ)
提示資料(ppt)
DVD
グループ討議報告書(用紙)
課題(Agora)
16
講義ノート
17
グループ討議
報告書(表)
18
グループ討議
報告書(裏)
19
課題3(Agora課題)
実際の提示資料
ソーラーブラインド予習
第5・6回のグループ討議に備えよう
事実関係,ステークホルダー,価値などの把握(Step 1-3)
行動案の考案(Step 4)
 「ソーラーブラインド」のシナリオ,およ
び,グループ討議ですべきことは,それ
ぞれ『講義ノート』のpp. 165-71,およ
び, pp. 22-3参照.
 予習として課題3にかける時間の目安は
100分.電子的提出はまだしないこと!
 印刷するなどして,持参→グループ討議
の素材として活用
実際の提示資料
「科学技術者倫理」
第5-6回
討論:ソーラーブラインド
21
実際の提示資料
連結して出力アップ!
ブラインド
(ソーラーパネル)
家庭用コンセント
(補助用電源)
分電盤へ
コントロール・ユニット
家電製品
(設定パネル+パワーコンディショナー
+バッテリー+4個口コンセント)
家庭内電力システム
(オプション・要工事)
実際の提示資料
実際の提示資料
会社説明
実際の提示資料
スマートシステム電 クロスサイドエレクトロニ
器産業
クス(CSE)
さまざまな分野で用
いられるバッテリー
の製造を主な業務と
した中小企業
バッテリー制御技術
の小型化を進めてお
り,その技術力が評
価されてCSEからコ
ントロールユニット部
の製造を委託される
外資系企業
安価な液晶パネル開発で
業務を拡大
その技術を活用し,ソー
ラーパネルの分野に進出
安価な家庭向け製品とし
て「ソーラーブラインド」を
企画し,スマート電器と
TANAKAブラインドと共同
開発に乗り出す
25
登場人物(スマートシステム電器産業[1])
真田智也
コ ン ト ロ ー ル ユ ニ ッ ト 開 発 の
チームリーダー
ハードウェア担当(後輩の金城と)
石川直幸
開発課長,真田の上司
実際の提示資料
登場人物(スマートシステム電器産業[2])
細谷隆志
真田の先輩,年功序列的
にはリーダーになるべき存
在
プログラム担当(後輩の吉田と)
金城望
入社二年目の新米技術者
真田の直属の後輩
実際の提示資料
登場人物(CSE社,TANAKAブラインド社)
渡辺一郎
CSEのソーラーブライン
ド事業推進責任者
ローレンス・ウォーカー
CSEのジェネラルマネー
ジャー,渡辺の上司
田中明宏
TANAKAブラインドの担
当者,女性の部下ととも
に会議に出席
実際の提示資料
ソーラーブラインド開発日程
実際の提示資料
3月下旬:CSEでの三社会議(最初の場面)
プロジェクトのスタート
4月:各企業で製品開発に着手
翌年4月:試作品完成
生産ライン構築および製品テスト
8月:東南アジアで試作品に問題が発生
発熱の問題への対応
9月上旬:CSEでの三社会議(最後の場面)
製品発表の最終確認
9月下旬:製品発表
29
それでは,
実際の提示資料
ビデオを視聴してみましょう
金沢工業大学 夢考房 「技術者倫理教材作成
プロジェクト」: 『ソーラーブラインド』,2009.
12・13・14 - 30
あなたならどうしますか?
実際の提示資料
真田の立場になって…
誰に対して
何を
いつ
どこで
どのように
何のために
…行動すればいいのか,具体的に考えてみよう
31
実際の提示資料
(Intermission)
Any Questions, so far?
「科学技術者倫理」
32
実際の提示資料
(Intermission)
Let's begin!!
「科学技術者倫理」
33
実際の提示資料
(Intermission)
討議結果の発表
「科学技術者倫理」
34
実際の提示資料
視点を変えてみたら...(石川)
石川は上司としてどのように行動すべきだっ
たか?
「万が一があるのは仕方がない.何があって
も問題の起こらない機械なんてないんだ.結
局は,市場に出てから対応していくものなん
だよ…」という判断は?
「来週の社内会議で相
談」という対応は妥当?
遅すぎ?
35
実際の提示資料
視点を変えてみたら...(細谷)
細谷は先輩としてどのように行動すべきだっ
たか?
「我々だけで何とかしよう」という判断は?
その責任感や石川への配慮は適切か?
個人的感情が判断に影
響していないか?
36
実際の提示資料
視点を変えてみたら...(金城)
金城にはどのような行動の選択肢があった
だろうか?
経験の浅さゆえ,内部的に可能な手段が限
られている?
外部への公益通報の可
能性が相対的に大きくな
る?
37
実際の提示資料
視点を変えてみたら...(再び真田)
真田の立場から考えたとき...
暗黙のうちに,まわりは行動を起こさない
ことを前提として,自分だけが行動を起こ
す状況を考えていなかっただろうか?
自分が対応しかねているときに内部告発
が起これば,自分はどのように感じ,どの
ようにふるまうだろうか?
それは,社会からどのように評価される
だろうか?
38
実際の提示資料
視点を変えてみたら...(ユーザー)
ユーザーの視点を考慮しただろうか?
例:リスク評価
(一般論として)科学的・技術的に適切なリスク評価
困難
しかし,かなり適切になされている
そのことをユーザー(世間一般)に認識してもら
うための行動をとっているか?
↑この事例では...
ソーラーブラインドにまつわるリスクを評価する際,
ユーザーの視点を考慮しているか?
39
実際の提示資料
実際に事故が起こったらどうなる?
例えば,大阪や京都などで赤ちゃんがコントロー
ルユニットに興味を持って近づき,手や顔にやけ
どを負った...
社会の反応はどうだろうか?
フロリダとラスベガスで事故が起こったら?
そのとき,石川はどのように対応するだろうか?
隠ぺいの可能性(問題を知らなかったことにする)
不都合な(いい加減な)対応をしてしまったという自覚はある?
「何であのとき…」と,どの時点のことを後悔する
だろうか?
いつ,どこで,どのように行動すべきだったのか?
どのような倫理的感受性が必要とされるだろうか?
40
リスク管理
実際の提示資料
教科書pp. 188-91
 リスク
 事象の発生確率×潜在的損害(脆弱性)
発生が合理的に予測できる場合は「リスク」ではない
 不確実性・脆弱性(システミックなリスク)の拡大
 人口増加・都市への集中
 環境問題
 テクノロジーの変化
 社会構造(グローバル化・移動性・競争圧力)
 システムとしての対応が必要
リスク評価の難しさ
実際の提示資料
科学的な評価の難しさ
実世界の状態が正確に評価できない
モデルは単に過去の出来事…
災害を直線的な因果関係で評価しがち
長期的な影響やインパクトは考慮されない
人的要因は評価しにくい
社会的な意思決定の難しさ
価値観の違いによりコンセンサスが取れない
リスク認知への既得権益の影響
倫理的配慮
災害の件数
自然災害
 報告された死者数が10人以上
 報告された被害者数が100人以上
 国際支援の正式な要請がなされた
 緊急事態宣言が出された
実際の提示資料
技術的災害
OECDレポート(以下同)
http://www.oecd.org/dataoecd/20/23/37944611.pdf
災害の死者数(単位
自然災害
実際の提示資料
1,000人)
技術的災害
金銭的被害(単位 10億米ドル)
自然災害
実際の提示資料
技術的災害
製造物責任法(PL法)
実際の提示資料
教科書p. 121
 第一条(目的)
 この法律は,製造物の欠陥により人の生命,身体又
は財産に係る被害が生じた場合における製造業者
等の損害賠償の責任について定めることにより,被
害者の保護を図り,もって国民生活の安定向上と国
民経済の健全な発展に寄与することを目的とする.
 第二条(定義)
 この法律において「欠陥」とは,当該製造物の特性,
その通常予見される使用形態,その製造業者等が当
該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に
係る事情を考慮して,当該製造物が通常有すべき安
全性を欠いていることをいう.
 第三条(製造物責任)
 ...ただし,その損害が当該製造物についてのみ生
じたときは,この限りでない.
製品の長所が短所に…
実際の提示資料
長所
連結可能で発電量が増加
自動制御で不在モードに移行
家庭用コンセントからも電力を取り入れ
大がかりな工事が不要で,購入者が自
分でも簡単に設置可能
‖
こ れ ら の 長 所 が , そ
のまま安全管理上の
短所に…
47
量産化と歩留まり率
実際の提示資料
安定した製品特性
 理想的な試験データと量産化にともなうデータのばらつき
 企業として,どの程度の安全性を実現するべきか?
「100%安全」は原理的にありえない…
リスク評価
 不良品が0.01%まじる可能性があれば,そのリスクはどう
評価できるだろうか?
1万台を販売したら,1台は不良品になる.その1台で事故が起
こった場合の世間の反応はどうだろうか?
グローバル市場になれば…
 低コストでの大量生産が要求される ⇒販売目標台数
は?
 個別の使用環境の予測や迅速な対応がますます困難に
因果関係と相関関係
実際の提示資料
因果関係と相関関係の違い
高温多湿との関係
因果関係がはっきりしない中で,どの程度,予防的に
行動すべきなのだろうか?
どの程度の相関関係が認められたら,予防的に行動
すべきなのだろうか?
異常発熱の線引きとは?
どこが何度になれば,異常発熱と判断すべきなの
か?
「高温注意」という注意書きをして対処する!?
再現性がない場合,どのように判断すべきだろうか?
問題の発生場所
実際の提示資料
東南アジア工場が日本の工場なら判断
は変わっただろうか?
本製品は,まずは日米欧に売り出すが,
将来的にはコストカットしてBRICs諸国
に販路を拡大する予定…
コストを下げて,さらにさまざまな環境
で安全に使用できることが求められる
「ブラジル,ロシア,インド,中国」は,気
候だけを考慮しても「日米欧」よりかなり
厳しい
50
外資系企業
実際の提示資料
CSE社が中国系の外資系企業な
ら,印象は変わっただろうか?
インド系ならどうだろうか?
グローバリゼーション
「科学技術立国」としての日本の
アイデンティティやナショナリズム
の問題は?
51
実際の提示資料
各国企業の太陽電池セル生産量
(2008年まで)
 各国企業の拡大
メーカー
Q-Cells
国名
2008年生産量(MW)
独
570
米,独,マレーシア
504
Suntech
中
498
シャープ
日
473
Motech
台
384
京セラ
日
290
Baoding Yingli
中
282
JA Solar
中
277
SunPower
フィリピン
237
SolarWorld
米,独
221
三洋電機
日
210
TrinaSolar
中
210
Gintech
台
180
Solarfun
中
173
CanadianSolar
中
168
First Solar
その他
計
2266
6941
 日本企業はどのように事業
を展開するか
出典:『OHM』 2009.06(左右
とも)
人間関係
実際の提示資料
それぞれの個性は,判断にどう影響しただ
ろうか?
石川の家族(娘)と親しければ,行動は変わっただろ
うか?
石川が「うだつの上がらない小心者
のオヤジ」なら,行動は変わっただろ
うか?
金城が「キザッぽい若い男性社員」な
ら,行動は変わっただろうか?
行動の判断基準が個人の主観
に左右されていないだろうか?
人間関係によって行動が変化するこ
とが,倫理問題の本質的な難しさ…
53
実際の提示資料
「善人/悪人」は存在するのか?
 私たちは,その人の行動から善悪を判断しているに
すぎない.
 他人の心の中を知ることはできない.
 自分は,どれほど自分の心を知っているだろうか?
 心の中でどのように善いことを考えていても,行動がとも
なわなければ評価は得られない.
 行動は,人間関係やその他の環境など,関係性の
影響のもとで決まってくる.
 関係性の中で,誰もが「非倫理的」行動を取る可能性が
ある
実際の提示資料
スペースシャトル・チャレンジャー号事故
ソーラーブラインドの事例との共通点と相違点
高温多湿と寒冷
トップの会議による決断
組織における経営の論理
集団思考という問題
トヨタ・リコール問題
実際の提示資料
 ABS(アンチロックブレーキシステム)の制御プログラムが不適切なため、
ABS作動完了後の制動力が作動直前の制動力より低下することがある。
 そのため、ブレーキをかけている途中に凍結や凹凸路面等を通過してA
BSが作動すると顕著な空走感や制動遅れを生じることがあり、そのまま
一定の踏力でブレーキペダルを保持し続けた場合には運転者の予測よ
り制動停止距離が伸びるおそれがある。
http://www.mlit.go.jp/common/000057899.pdf
実際の提示資料
(Intermission)
Any Questions, so far?
「科学技術者倫理」
57
実際の提示資料
企業/組織で働く技術者の倫理的ジ
レンマ
経済原理(旧来の)
効率性原理
競争原理
組織の論理
倫理的価値
個人の道徳的価値
技術者としての職
能倫理規範
経営者/管理者
の権限
現場の技術者の権
限
公衆の安全,健
康,福利
雇用主・依頼主へ
の忠実さ
58
倫理問題への対策は?
実際の提示資料
倫理的な技術者が (倫理的であればあるほど)価値のバ
ランスで悩まなくてもよいようにするためにはどう
すればよいのだろうか?
選択肢
1)守るべきルールやマニュアルを整備し,組織も個人
もそれを守るようにする
2)企業内に監視システムを構築する
3)技術者の資格制度を整備する
4)その他
実際の提示資料
職場環境の改善,そのために.
価値のバランスで悩む倫理的な技術者が,き
ちんと倫理的な行動の出来る組織づくり...
科学技術者倫理(で重視する価値群)と整合
性のある企業倫理(価値群の明確化)の確立
‖
価値共有型の企業倫理プログラムの構築
60
実際の提示資料
価値共有型企業倫理プログラム
組織が重視する価値が明確化され
その価値を利害関係者 (ステイクホルダー)間で共有
するための対策が有効に実施され
構成員が共有された価値に基づいた価値判断と
意思決定を行うことができる態勢を作りあげるプ
ログラム
実際の提示資料
価値共有型企業倫理プログラム
1. 倫理綱領の策定
2. 経営トップおよび管理職の役割とリーダーシッ
プ
3. 倫理担当役員,実務責任者の任命と専任部署,
委員会の設置・運営
4. コミュニケーションの推進
5. 教育・研修の実践
6. 相談報告窓口(ヘルプライン等)の設置と運営
7. モニタリングの定例実践
8. 経営倫理と広報
教科書pp. 169-70
課題3(Agora課題)
実際の提示資料
ソーラーブラインド復習
討議と授業内容を踏まえ,考察を深めよう
「予習」で把握した事実関係,ステークホルダー,価値など
についての考察(Step 1-3の再検討)
行動案の倫理的妥当性の分析(Step 4-7)
 復習として課題3にかける時間の目安は
140分(予習と併せて,240分)
 すべての設問に答え,電子的に提出す
ること(印刷の必要なし)
パッケージ化された教材
講義ノート (事例概要,考察・
検討のポイント,シナリオ)
提示資料(ppt)
DVD
グループ討議報告書(用紙)
課題(Agora)
64
●まとめにかえて:「ソーラーブラインド」英語版の作成とその活用
はじめに
「科学技術者倫理」での事例映像教材の活用:
「ソーラーブラインド」の紹介
まとめにかえて:「ソーラーブラインド」英語版の
作成とその活用
65
「ソーラーブラインド」世界進出!?
グローバル社会における技術者
倫理に関する実証的比較研究
─行動規範構築と教材開発─
 2012年度基盤研究(B):No. 24300274
 4年間(2012-15年度),¥780万
 研究代表者:栃内文彦
 研究分担者:札野 順
 連携研究者:西村秀雄・岡部幸徳・金光秀和・夏目賢
一・金 永鍾(以上,本学)
 研究協力者:Michael DAVIS(米,IIT)・ Ibo van de
POEL(蘭,TUD)・ Martin PETERSON(蘭,TUE)
66
研究の達成目標
1. 日米欧における技術者倫理教育の現況の調査を
通した,各地域の倫理綱領の特色および重視さ
れる価値の抽出
2. 各国の工科系学生がどのように意思決定をする
かについての実証的比較,および,以上から得
られる知見の分析を経た,各国における意思決
定のされ方についての共通点・相違点の明確化
「ソーラーブラインド」英
3. グローバル社会における技術者倫理の基本的行
語吹替え版と「ギルベイ
動規範の原案の提示 ン・ゴールド」を利用
4. グローバル社会における意思決定に見られる共
通点・相違点や国際的行動規範を学ぶことので
きる事例教材の開発
67
「ギルベイン・ゴールド」 vs 「ソーラー
ブラインド」
ギルベイン・ゴールド
アメリカ的
専門職としての意思決定
vs
ソーラーブラインド
日本的
組織ベース・状況依存の
意思決定
English version
Now available
on DVD
平成24年度
1)日・米・蘭の技術者倫理教育の内
容,学協会の倫理綱領の比較調査
・既存の研究成果の活用
・構築済の研究者ネットワークの活用
2)各国の工科系学生間における技術者としての
倫理的意思決定の差違に関する実証的比較
平成25年度
・米国で開発された既存
の事例「ギルベイン・
ゴールド」を用いた実
証的比較
・E-ラーニングシステム
「Agora」を活用して3
カ国で共通の課題とし
て実施
・「ソーラーブラインド」
を用いた実証的比較
・Agoraを活用して3カ国共
通課題として実施
特色,重視され
る価値などの抽
出・明確化
・1),2)から随時得ら
れる知見を踏まえた原
案素案の作成
・素案をたたき台として
の更なる検討
<知見の反映>
4)グローバル社会における技術者倫理を学ぶこ
とのできる事例教材の開発,開発手段の確立
平成26年度
技術者としての倫理的
意思決定に見られる共
通点・相違点の明確化
平成27年度
3)グローバル社会にお
ける技術者の国際的
行動規範の原案作成
・研究所で開発した事例「ソー
ラーブラインド」の英語版の
作成,Agoraへの搭載
・1),2)から随時得られる知見
を踏まえた事例教材案の作成
・Agoraなどを利用しての,教材
としての有効性の確認
原案の提示
<知見の反映>
<知見の反映>
・教材案の検討を経ての,内容の改善
・事例教材作成手順のマニュアル化
開発された事例,開発手段の公開
ご遠慮なくお問い合わせください!
栃 内 文 彦 (金沢工業大学)
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