風営法とクラブ摘発 1096514c 内田早紀 風俗営業等の規則及び業務の適正化等に 関する法律 「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育 成に障害を及ぼす行為を防止すること」を目的とする 敗戦後の1948年、欧米文化の流入が盛んになったことで乱 れはじめた風紀を正す目的で制定された この法律によって、深夜における営業が規制されるよう に なった。 また、クラブの原型とも言えるキャバレーやダンスホールが売春行 為の温床になっていたことから、これらの営業形態も風営法の対象 となったと言われている。当時はダンスも風紀を乱す可能性がある ものと見なされていたため、店内でダンスをすること自体も規制さ れるようになった 風営法に関する業種 昭和23年「風俗営業取締法」 昭和34年「風俗営業法等取締法」 昭和54年「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法 律」 風俗営業、性風俗関連特殊営業 ナイトクラブや飲食店 ※ビリヤード場、ダンス教室などは のちに除外された 性労働 この2つの違いとは!? 風俗営業に関する公的な認識 風俗営業「適正に営まれれば国民に憩いと娯楽を与える社会的に 必要な営業」 ⇔一方で国は国民の風俗営業を一般的に禁止している 「人間の欲望は際限がなく制限が難しい一方で、その欲望に つけこみ利益を得ようとするものが現実に多く存在するから」 だからこそ・・公安委員会に 許可申請書 、 届出書 を提出し なければならない!! 但し、許可を得た後も営業主体はその水準を満たすべく努力を 怠ってはいけず、「自主的な健全化のための措置」を講じるよう に風営法は求める 許可制 風俗営業 推奨すべき基 準の存在 欠格事由 適正営まれれ ば“健全” 風営法が適 応される業 種 届出制 性風俗関連 特殊営業 基準なし いかなる場 合でも不健 全 営業停止 事由 クラブとは 起源については、倉庫を改造して営業等、いくつかの説がある。日本で は80年代終盤に出現。 外部オーガナイザー(イベント主催者)、フリーDJをブッキング レコードはDJによる持ち込み 店舗、曜日毎にジャンルが変わる場合が多い 入場の際の服装チェックは、基本的に無し 入場料は500円(ドリンク代のみ)~3000円で、比較的安価 座席は自由で、空いていれば何処にでも座れる 風営法上の分類は「第五号・喫茶店、バー(甲)」。定義は「客に酒類 を提供する場所」営業時間の法的規制が無い代わりに、ダンスを主目的 としない店舗設計が必要。 大阪club JAWS ディスコとは 1960年代に一斉を風靡した娯楽施設“キャバレー”を起源にし、70年 代頃から出現 DJは店舗専属 レコードは店舗で所有 基本的に毎日オールジャンル。DJによる“喋り”が入る 入場の際の服装チェックが厳しい 入場料を3~4000円と高めにし、ドリンク&フードを多めにセット したスタイル。女性のみ安く設定されている場合が多い。 座席はお客さん毎に固定。オーダー品をテーブルまで運んでくれる 店も。 風営法上の分類は「第二号・ナイトクラブ」。定義は「店が酒類を 提供し、客を躍らせる娯楽施設」。営業時間は午前零時まで、照明 を一定基準以上の明るさに保つ等、法的規制が多く、認可もおりに くい。 クラブ営業が摘発される理由 クラブを営業するには 風営法の許可を取るために、人的要因、場所的要因、構造的要件 をクリアする必要がある 「床面積が一室につき66平方m以上あり、その客室床面積の5分 の1のダンススペースが必要」「客内の内部に見通しを妨げるよ うな設備を置かないこと」「客室内の明るさを5ルクス以上にす ること」 しかし許可を取ると、夜中の12時(地区によっては1時)まで しか営業できない 一番客足の増える時間帯に営業するため 深夜酒類提供飲食店営業として申請 平成23年度大阪府警による歓楽街総合対策 取組状況 検挙事例 風紀・風俗事犯の取り締まり の推進 街頭活動の強化 組織犯罪対策の推進 各種交通対策の推進 自治体、事業者、地域住民等 による主体的な取り組みの支 援 その他環境浄化に向けた対策 の推進 街頭防犯カメラ設置171台 (前年56台) 無許可で風俗営業を営んで いたクラブの摘発 7店舗4法人71人 (前年2店舗) バカラ賭博店頭の摘発 4店舗 (前年1店舗) 暴力団排除条例を適用した 暴力団幹部の検挙 幹部3人 (前年2人) 大阪市北区中崎西のクラブNOON 4月5日 無許可でクラブ営業をしたとし て風営法違反で摘発-曽根崎署 経営者、マネージャーなど計8人を逮捕 逮捕容疑 4日午後9時50分ごろ、店内にダンスス ペースを設け無許可に20人にダンスをさせ るなどをしていた 今年2月ごろ匿名の通報により3月に立ち 入り調査を行ったがその後も無許可営業 NOON NOON摘発に対して 「なぜダンスをするのに許可が必要なの か」 深夜営業でもない22時に摘発? ←12時までに店を閉め、 客席にもテーブルやイスを並べていた 活発なライブイベント バンドマン御用達の関西では名のある音楽 発信地だった 「どれだけNOONが音楽シーンに貢献してき たか警察は知ってるのか」 署名T V 「風営法におけるクラブ(ナイトクラブ、ダ ンスクラブ)の取扱の改善を求める署名」と 題された署名活動が行われており、すでに2 万人以上の署名が集まっている 摘発を巡る 市民の声 大阪における取り締まり強化の背景 なぜ今クラブ摘発なのか 苦情が募った結果 ここ4・5年で治安が悪化 店内での喧嘩、違法薬物の蔓延、店外での騒音 大阪都構想ナイトライフ特区計画 “カジノ誘致と同時にナイトクラブ・ダンスクラブなど のナイトシーンを公的に認める特区を設定し財源に” その特区の価値を高めるために、今あるナイトシーンを まっさらにする必要性 摘発の理由 薬物説 近隣通報説 方針説 取締怠慢改善説 京都での 動き 中村和雄 今年2月5日の京都市長選に立候補 自身のブログの中で大阪を中心としたクラブ摘発について 「過剰な取り締まりには抗議する」 「京都の若者文化の発展場所として重要」とコメント 京都ダンス規制法見直し連絡協議会準備会 京都府議会に国に働きかけるよう要請 全国的な署名活動 世界文化都市・京都にふさわしい施策を求める クラブの存在意義 クラブで営業活動をする人などの多くの雇用や消費を生み出す経 済市場 ex . ミ ュ ージ シャ ン やク リエ イタ ーの 創出 、音 楽産 業へ の貢 献 若者文化の創造拠点 ダ ン ス だ けで はな く 、音 楽、 映像 、フ ァッ ショ ンな ど様 々な 文化 の発 信基 地 ―国 際 的都 市 とし ての 重要な 要素 坂 本龍 一「 クラブ はサ ブカ ルチャ ーの ハブ (中継 点) 。音 楽、ダ ンス 、ア ート、 文学 、 I Tな ど多 くの分 野が つな がって いる 。ク ラブ文 化を 取り 締まる のは 時代 錯誤。 日本 文 化 破壊 と言 っても 過言 では ない 」 音楽を愛する者にとっての憩いの場 他者と交流するための集いの場 これを60年以上前の時代遅れの法律で規制していいの か?! 海外における事例 イギリス 1994 クリミナル・ジャスティス・アクト 野外でrepetitive beatsという特徴を持つ音楽を聴いている集 団を規制し、レイブを禁止する法律 アメリカ ex.カリフォルニア州 午前2時~6時までの間酒類の販売が禁止されているため、 多くのクラブも2時でクローズ サンフランシスコでは23時のピークが確立 ベルリン 政府によるクラブ活性化の支援 提言 深夜1時までの営業と23時ピークの ナイトシーンの確立 クラブ運営者たちによる事業者団体の創設 自分たちによるルールづくり 騒音対策、薬物対策 風営法の改案 →深夜酒類提供飲食店でのダンスの全面的禁止 +深夜酒類提供のための許可 売春防止とはかけ離れた観点からの法改正 論点 ダンスクラブは規制されるべきなのか これからの風営法はどうあるべきか 売春防止法と同列の扱いでよいのか? “音楽を楽しむ場”としてのクラブにも適応させ続ける? 関西地区のクラブの在り方について ナイトライフ特区は必要か? ではその他の地区は?(神戸・京都) 大阪の近年のクラブ取締り強化に関して 参考資料 大阪府警ホームページ 平成23年施策評価実施報告書 http://www.police.pref.osaka.jp/01sogo/hyoka/pdf/23kekka_05k anraku.pdf 現代日本における性風俗店営業の法的位置づけー風営法の規定に見 る「適法性」の検討ー お茶の水女子大学 人間文化創成科学論議 第13巻 2010年 熊田陽子 http://teapot.lib.ocha.ac.jp /ocha/bitstream/10083/50785/1/32_ 309-318.pdf 中村和雄ブログ http://neo-city.jp/blog/ The Fight For Osaka http://jp.residentadvisor.net/feature.aspx?1518 東京ディスコ80’S&90’S 著書:岩崎トモアキ 発行所:株式 会社K&Bパブリッシャーズ 2011年4月25日発行 風営法とクラブの深夜営業にかかわる公開質問状 http://nofueihou.blog.fc2.com/
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