ILC における国際協力 高エネルギー加速器研究機構 横谷 馨 2014/6/27 学術会議シンポジウム 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 1 ILCの歴史(1) • 最大の電子・陽電子円型コライダーLEP • 1周27km, 1989年運転開始、2000年209GeVまでで終了 • LEP建設中の1980年代半ばに各国で独立にリニアコ ライダーの開発開始 • それぞれ異なる加速技術・名称 • • • • • 日本 アメリカ ソ連 ドイツ CERN JLC NLC VLEPP TESLA CLIC • 1990年代後半になると、「世界に一つ」という機運 • 評価委員会の設置(peer review) 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 2 ILCの歴史(2) • 2004年に統一、”ILC”の 誕生 • 第三者委員会による検 討 • ICFA(International Committee for Future Accelerators)による決定 • 国際設計チームGDE (Global Design Effort) の設立(2005年夏) • アジア・北米・ヨーロッパが対等な形で参加 • 設計・開発作業をcoordinate 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 3 ILCの歴史(3) • TDR (Technical Design Report) • GDEは、2013年6月にTDRを正式に発表した • 5 volumes • 建設候補地一本化 2013年8月 • 日本の北上山地 • 建設に向けて新しい組織が発足 2013年2月 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 4 ILC のレイアウト 減衰リング 偏極陽電 子源 not too scale 偏極電子源 ビーム分配系、 検出器 陽電子主リナック Beam dump 電子主リナック 2014/6/27 学術会議シンポジウム 横谷 5 R&D時期の国際協力 • ILCに統一されるまでの長い歴史 • 各国ほぼ独立な開発研究 • 日米協力はほとんど当初からあり • 全体の(特に加速方式)設計は異なっていたが、技術的な共通部分は 大きい • 年1回程度の国際的ワークショップ • GDEによるcoordination • GDEそのものは資金を持たない • コモンファンドは年額1億円程度 • 開発資金は参加各国が出し、自国の研究に使う • GDE主導の設計・開発 • • • • 参加ラボのMoU 設計の統一 開発の問題点の指摘 年2-3回のワークショップ、頻繁な電話会議(各サブグループの会議をあわせ れば、おそらく毎日以上) • 文書の重要性 • 文書管理システムの導入 • 設計変更には正式な手続きがある • この役割はLCCに引き継がれる • 詳細設計が中心(残された開発項目は少ない) 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 6 開発研究における国際分担 • ILC加速器システムは高度にモジュール化可能 • 全体がいくつかの部分に分けられる(ビーム源、線形 加速器、減衰リングなど) • 各部分は同様な構造のユニットからなる • いくつかの、ピンポイント部品。たとえば • 減衰リングからビームを取出す高速キッカー磁石は時間ス ケールを決めれば独立した課題になる 日本で開発された • 衝突点に最近の磁石は、磁場勾配が強く細いものが必要 米国Brookhaven研究所で開発された • 加速部分は10メートル前後が単位になる • 各国が情報を共有しながら競争で開発 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 7 加速モジュールの開発 KEKでの試験加速器 STF 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 8 米国フェルミ研究所 CM-2 features all high gradient cavities (> 35 MV/m) Cryomodule is installed and cold. Commissioning has started – no results yet New 500 W 2K refrigerator operational M.Harrison, LCWS13 2014/6/27 学術会議シンポジウム 横谷 9 ドイツ FLASH Diagnostics Accelerating Structures Bunch Compressor 5 MeV 160 MeV Bunch Compressor 500 MeV sFLASH 1200 MeV Undulators Bypass FEL Experiments 315 m A.Yamamoto, Higgs Hunting 2013 2014/6/27 学術会議シンポジウム 横谷 10 S1-Global • 各国で作成された加速空洞 をひとつの容器(クライオス タット)に入れて統合試験 • 各空洞は仕様の異なる点を 含む (plug-compatibility) • 試験はKEKの STFにおいて、 2009-2010年 に行われた 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 11 ビーム収束技術 • 細いビームを作る実験のために、 ATF JLC時代にKEKで建設 Accelerator Test Facility • 基本的原理はILCでも同じ • 国際的MoUをつくって、国際組織と して推進している • 研究者養成機関にもなっている • 40人以上の博士が誕生 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 12 ATFに参加している代表的研究機関 - ATF International Collaboration 欧州原子核研究機構(CERN) ドイツ(Germany) 電子シンクロトロン研究所(DESY) フランス(France) IN2P3; LAL, LAPP, LLR イギリス(UK) Univ. of Oxford Royal Holloway Univ. of London STFC, Daresbury Univ. of Manchester Univ. of Liverpool Univ. College London イタリア(Italy) INFN, Frascati スペイン(Spain) IFIC-CSIC/UV ロシア(Russia) Tomsk Polytechnic Univ. 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 アメリカ(USA) SLAC国立加速器研究所 ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL) フェルミ国立加速器研究所(FNAL) ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL) ブルックヘブン国立研究所(BNL) コーネル大学(Cornell Univ.) ノートルダム大学(Notre Dome Univ.) 日本(Japan) 高エネルギー加速器研究機構(KEK) 東北大学 (Tohoku Univ.) 東京大学 (Univ. of Tokyo) 早稲田大学(Waseda Univ.) 名古屋大学(Nagoya Univ.) 京都大学 (Kyoto Univ.) 広島大学 (Hiroshima Univ.) 中国(China) 中国科学院高能物理研究所(IHEP) 韓国(Korea) ポハン加速器研究所(PAL) キョンプク大学(KNU) インド(India) Raja Ramanna Centre for Advanced Technology 13 先端加速器試験装置(ATF) Collaborators visiting ATF 5000 Oversea Institutes man-days 4000 3000 2000 1000 Domestic Institutes 0 JFY 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 Accelerator Test Facility, KEK 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 15 建設へ向けての国際協力 • まずは国内の体制作り • KEK中心にILC推進準備室の設立 • プロジェクトユニット • 推進統括ユニット • 政府・文科省との交渉 • これをILC pre-Labに発展させる • 各国政府との交渉はすでに 始まっている 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 ILC pre-Lab構想 16 ILC Lab • どのような組織がよいか、LCB(Linear Collider Board)で現在検討中 • 過去においても検討されている • PIP(Project Implementation Planning), CPDG • 法的基盤 • • • 研究所間の合意(MoU)に基づく組織 各国間の条約に基づく組織(これが望ましい) 有限会社 • 運営機構 • • 強いCouncilが必要 投票権 • 経済的基盤 • • • • WBS (Work Breakdown Structure)に基づく、in-kind contribution 分担比率 GDP比例ではない In-kindになじまない部分 ---- installation, テストなど Common Fund (>20%) • 雇用形式 • 各研究者のhome labとの関係 • 生産の体制 • • • • Hub Lab構想 世界の数か所にhub-labを建設し、それぞれの責任で部品組立・試験をおこなう ヨーロッパ・アメリカにはこれに近いものが存在する 日本でもプロトタイプを作っている 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 17 まとめ • リニアコライダーの開発は、各国個別にボトムアッ プではじまった • 2005年以来、研究所間のMoUにもとづいて国際 設計チームが結成され、そのコーディネーションに より、各国で開発作業が行われてきた • 今後は建設に向けての国際協力の枠組みが確立 される • 実際の建設にあたっては法的基礎をもつ堅固な 安定した組織が必要 2014/6/27 学術会議シンポジ ウム 横谷 18
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