電気通信事業法と電気通信サービス

第4章 LANとWAN
4.1
4.2
4.3
4.4
4.5
4.6
4.7
4.8
4.9
様々な通信サービス
伝送媒体
アクセスネットワーク
バックボーンネットワーク
LAN
インターネット技術
ネットワークの性能
ネットワークセキュリティ
電気通信事業法と電気通信サービス
4.9.1 電気通信関係法令の体
系
(1.1) 法令の体系
(1.2) 法令の構成
(1.3) 改正電気通信事業法の概要
(1.1) 法令の体系
(1)体系
基本法
サービス運営法
事業体組織法
条約
有線電気通信法(昭和28年)
電波法(昭和25年)
電気通信事業法(昭和59年)平成15年改訂に注意
有線放送電話に関する法律(昭和32年)
放送法(昭和25年)
有線テレビジョン放送法(昭和47年)
以下略
日本電信電話株式会社法(昭和59年)
放送大学学園法(昭和56年)
以下略
国際電気通信連合憲章及び国際電気通信連合条約(平成13年)
アジア・太平洋電気通信共同体憲章(昭和54年)
インテルサットに関する協定(昭和48年)
インマルサットに関する条約(昭和54年)
(2)各法令の目的
有線電気通信法
有線電気通信設備の設置・運用の基本
電波法
無線通信設備の設置・運用の基本
電気通信事業法
電気通信サービスの提供に関する諸条件
有線放送電話に関する法律 有線放送電話サービスの提供に関する諸条件
放送法
放送サービスの提供に関する諸条件,NHKの目的,組織
等
有線テレビジョン放送法
有線テレビジョン放送サービスの提供に関する諸条件
日本電信電話株式会社法 NTTの目的,組織等
放送大学学園法
放送大学学園の目的,組織等
国際電気通信連合憲章及び国際電気通信連合条約 ITUの目的,組織等
アジア・太平洋電気通信共同体憲章 APTの目的,組織等
インテルサットに関する協定 インテルサットの目的,組織等
インマルサットに関する条約 インマルサットの目的,組織等
(1.2) 法令の構成
法律
政令
憲法の定める方式に従って,国会で制定される国法
内閣によって制定され,法律を受けて具体的事項を定める。
「○○令」となっている。
省令
法律または政令を施行するために各省大臣が主任の行政事務につ
て発するもの。「○○規則」となっている。
告示
公的機関が決定事項等を公式に広く報せることをいう。一般に
「○○の件」という形で官報や法令集に掲載。
公告
企業が省令等の法令を受けて一般に周知するもの。企業名を付記
する。
契約約款 役務に関する提供条件を定め,許可を受けて企業が掲示する。
法令構成の例
法 律
電気通信事業法
政 令
総務省令
総務省告示
電気通信事業法
施工令
電気通信事業法
施工規則
電気通信主任
技術者規則
電気通信主任技術者選
任の範囲を定める件
工事担任者規則
工事担任者を要しな
い船舶または航空機
に設置する端末設備
端末設備等規則
(1.3) 改正電気通信事業法の概要
平成15年7月改正
① 電気通信回線設備の設置の有無に着目した従来の第一種電気通信事業者
及び第二種電気通信事業者の事業区分の廃止
② 参入・退出規制について許可制を廃止し,登録制/届出制への移行
③ インフラ構築の円滑化のために公益事業特権に係る認定制度の導入
④ 料金・契約約款規制の原則廃止(サービス提供条件の自由化)
⑤ 利用者保護ルールの整備(サービス提供に係る重要事項の説明義務,苦情
処理の義務など)
⑥ 事業者間における重要通信確保のためのルール整備
⑦ 端末機器の技術基準適合性を自ら確認する制度の新設
4.9.2 電気通信事業者法
(2.1) 総則
(2.2) 電気通信事業
(2.3) 端末設備の接続等
(2.1) 総則
(1)目的
〔第1条〕
この法律は,電気通信事業の公共性にかんがみ,
その運営を適性かつ合理的なものにするとともに,
その公正な競争を促進することにより,
電気通信役務の円滑な提供を確保するとともに
その利用者の利益を保護し,
もって電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り,
公共の福祉を増進することを目的とする。
(2)用語の定義
(以下,正式な条文についてはテキスト参照)
〔第2条〕
電気通信
: 有線,無線その他の電磁的方式により,符号,音響また
は映像を送り,伝え,受けること。
電気通信設備 : 電気通信を行うための機械,器具,線路その他の電気設
備。(通信を行うための設備全体の総称)
電気通信役務 : 電気通信設備で他人の通信を媒介したり,あるいは電気
通信設備を他人の通信の用に供すること。
電気通信事業 : 電気通信役務を他人の需要のために提供する事業。
この場合の「他人」とは,不特定利用者の申込みに対して
提供できることを示し,特定の利用者のみに提供する場
合は,これにあたらない。
電気通信事業者 : 電気通信事業を営むために登録を受け,届出を行った者
電気通信業務 : 電気通信役務の提供業務
電気通信役務の種類
〔施行規則第2条第2項〕
①音声伝送役務
: 4 kHz帯域の音声その他の音響を伝送交換する役務
でデータ伝送役務以外のもの。
②データ伝送役務 : 符号または影像を伝送交換する電気通信役務
③専用役務
:特定の者に電気通信設備を専用させる電気通信役務。
④特定移動通信役務 : 特定移動端末設備(事業法34条第1項で規定)と
接続される伝送路設備を用いる電気通信役務
⑤~⑧ 省略
義務,禁止事項,その他
①検閲の禁止(第3条)
②秘密の保持(第4条)
通信の秘密,事業に従事して知りえた他人の秘密の保持義務。
退職後も同じ。
③条約についての規定(第5条)
条約に別段の定めがあるときは,その規定による。
(2.2) 電気通信事業
(1)基本的事項(その1/2)
① 利用の公平(第6条)
不当な差別的取扱いの禁止
② 基礎的電気通信役務の提供(第7条)
適切,公平かつ安定な提供への努力
③ 重要通信の確保(第8条)
天災,事変その他の非常事態の発生の際の重要な通信の優先,一部業
務の停止,他の通信事業者との連携による重要通信の確保。
④ 電気通信事業の登録(第9条)
電気通信回線設備の規模および設置範囲が基準以上の場合,
総務大臣の登録を受ける必要がある。
登録を要しない電気通信事業も定められている(施行規則第3条第1項)。
⑤ 電気通信事業の届出(第16条)
第9条の登録を受けるべき者以外で電気通信事業を営む者は,
総務大臣に届け出なければならない(書類記載事項が示されている)
基本的事項(その2/2)
⑥ 電気通信設備の維持(第41条)
電気通信設備は総務省令で定める技術基準に適合しなければならない。
また維持しなければならない。さらに技術基準で確保されるべき事項が
明記されている。
⑦ 管理規定(第44条)
電気通信設備の管理規定を定め,事業開始前に総務大臣に
届けなければならない。
変更時も,遅滞なく変更事項を総務大臣に届けなければならない。
⑧ 電気通信主任技術者(第45条)
電気通信設備の工事,維持及び運用に関する事項を監督する
電気通信主任技術者を選任しなければならない。
電気通信主任技術者は,電気通信主任技術者資格者証の交付を
受けているものでなければならない。
(小規模な場合や総務省令で定める場合はこの限りでない)
(2)緊急に行うことを要する通信
(施行規則第55条)
■火災,集団的疫病,交通機関の重大な事故その他人命の関わる事態
① 予防,救援,復旧等に直接関係がある機関相互間
② 事態が発生し,または発生するおそれがあることを知った者と①の機関との間
■治安維持のため緊急を要する事項
① 警察機関相互間,海上保安機関相互間
② 警察機関と海上保安機関との間
③ 犯罪が発生し,または発生するおそれがあることを知った者と警察機関
または海上保安機関との間
■国や地方公共団体の選挙執行またはその結果に関して緊急を有する事項
選挙管理機関相互間
■災害,事変その他の災害に際して災害状況の報道を内容とするもの
新聞社等の機関相互間
■気象,水象,地象または地動の観測報告や警報等のうち緊急を要するもの
気象機関相互間
■水道,ガス等の国民の日常生活に必要不可欠な役務の提供,その他生活基盤を
維持するために緊急を要する事項
上記通信を行う者相互間
(3)登録を要しない電気通信事業
(施行規則第3条第1項)
① 端末系伝送路設備の設置区域が
市町村区域(指定都市の場合はその区の区域)を
越えないこと。
② 中継系伝送路設備の設置区間が
都道府県の区域を越えないこと。
(4)総務省で定める技術基準に確保されるべき事項
① 電気通信設備の損壊または故障により,電気通信役務の提
供に著しい支障を及ぼさないようにすること
② 電気通信役務の品質が適切であるようにすること。
③ 通信の秘密が侵されないようにすること。
④ 利用者または他の電気通信事業者の接続する電気通信設
備を損傷し,またはその機能に障害を与えないようにするこ
と。
⑤ 他の電気通信事業者の接続する電気通信設備との責任の
分界が明確であるようにすること。
(2.3) 端末設備の接続等
(1)端末設備の接続の技術基準(第52条)
利用者から端末設備をその電気通信回線設備に接続する旨の請求を
受けたときはその請求を拒むことができない。
( 接続が総務省令で定める技術基準に適合しない場合や,
その他の総務省令で定める場合を除く)
【技術基準で確保されるべき事項】(同2項)
① 電気通信回線設備を損傷し,又はその機能に障害を与えないようにする
こと。
② 電気通信回線設備を利用する他の利用者に迷惑を及ぼさないようにする
こと。
③ 電気通信事業者の設置する電気通信回線設備と利用者の接続する端末
設備との責任の分界が明確であるようにすること。
接続請求を拒める場合(施行規則第31条)
利用者から,
端末設備であって電波を使用するもの(別に告示で定めるものを除く)
及び
公衆電話機その他利用者による接続が著しく不適当なものの接続
の請求を受けた場合とする。
(2)端末機器技術基準適合認定(第53条)
【登録認定機関の役割と表示】
① 登録認定機関は,技術基準適合認定を受けようとする者からの
求めがあった場合,総務省で定めるところにより審査を行い,
求めのあった端末機器が総務省令で定める技術基準に適合して
いるときに限り技術基準適合認定を行う。
② 技術基準登録認定をしたときは,その端末機器に技術基準適合認定を
した旨の表示を付さなければならない。
③ 技術基準登録認定と紛らわしい表示を端末機器に付してはならない。
(3)総務大臣の妨害防止命令(第54条)
総務大臣は,
技術基準登録認定表示がなされている端末機器が,
他の利用者の通信に妨害を与えるおそれがある場合,
その端末機器による妨害拡大を防止するために
必要な処置を講ずべきことを命じることができる。
(4)技術基準適合自己確認等(第63条)
【対象】
電気通信回線設備を利用する他の利用者の通信に
著しく妨害を与えるおそれが少ないものとして総務省令で定めるもの
製造業者又は輸入業者は,その特定端末機器を
総務省令で定める技術基準に適合するものとして
その設計について自ら確認できる。
【第2項】
総務省令で定めるところにより検証を行い,
設計が技術基準に適合するものであり,
かつ,当該設計に基づく特定端末のいずれも
当該設計に合致するものとなることを
確保することができると認めるときに限り,
技術基準適合自己確認を行う。
(5)端末設備の接続検査(第69条)
電気通信事業者の電気通信回線設備に
技術基準適合認定が表示されている端末機器を接続したとき,
当該電気通信事業者の検査を受け,
その接続が技術基準に適合していると認められた後でなければ,
これを使用してはならない。(変更したときも同様)
【第2項】
端末設備に異常がある場合,電気通信事業者は利用者に
技術基準に適合するかどうかの検査を受けるべきことを
求めることができる。
利用者は正当な理由なくして,その請求を拒むことはできない。
【第3項】
第2項の検査に従事する者は,その身分を示す証明書を携帯し,
関係人に提示しなければならない。
事業法第69条の
端末設備の接続検査が不要なケース
(施行規則第32条)
① 端末設備を同一構内において移動するとき。
② 通話の用に供しない端末設備又は網制御に関する機能を有しない端末設備を増
設し,取り替え,又は改造するとき
③ 防衛省が,電気通信事業者の検査に係る端末設備の接続について,技術基準に
適合するかどうかを判断するために必要な書類を提出したとき
④ 電気通信事業者が,その端末設備の接続につき検査を省略しても技術基準に
適合しないおそれがないと認められる場合であって,検査を省略することが
適当であるとしてその旨を定め公示したものを接続するとき
⑤ 電気通信事業者が,総務大臣の認可を受けて定める技術条件に
適合していることについて登録認定機関または承認認定機関が
認定した端末設備を接続したとき
⑥ 専ら電気通信役務利用放送の受信のために使用される端末設備のとき
事業法第69条第2項の
利用者が電気通信事業者の検査を拒むことができるケース
(施行規則第32条第2項)
① 利用者の営業時間外及び
日没から日出までの間において
検査を受けるべきことを求めるとき
② 防衛省が,電気通信事業者の検査に係る
端末設備の接続について,
技術基準に適合するかどうかを
判断するために必要な書類を提出したとき
(6)自営電気通信設備の接続(第70条)
電気通信事業者は,電気通信事業者以外の者から自営電気通信設備を
電気通信事業者の電気通信回線設備に接続する旨の請求を受けたとき,
以下の掲げる場合を除き,その請求を拒むことができない。
① 自営電気通信設備の接続が技術基準に適合しないとき
② その自営電気通信設備を接続することにより,電気通信事業者の電気通
信回線設備の保持が経営上困難になることについて総務大臣の認定を
受けたとき
(7)工事担任者による工事の実施及び監督(第71条)
利用者は,端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは,
工事担任者資格者証の交付を受けている者に,
当該工事担任者資格者証の種類に応じ,これに係る工事を行わせ,
または実地に監督させなければならない。
ただし総務省令で定める場合は,この限りでない。
【第2項】
工事担任者は,
その工事の実施又は監督の職務を誠実に行わなければならない。
(8)工事担任者資格者証(第72条)
工事担任者資格者証の種類及び工事担任者が行い,
又は監督することができる端末設備若しくは
自営電気通信設備の接続に係る工事の範囲は,
総務省令で定める。
【工事担任者資格者証の交付】
(1) 工事担任者試験に合格した者
(2) 工事担任者資格者証の交付を受けようとする者の養成過程で,総務大臣が
総務省令で定める基準に適合するものであることの 認定をしたものを修了した者
(3) 前2号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると総務大臣が認定した者
工事担任者資格者証の返納(第47条の読み替
え)
総務大臣は,工事担任者資格者証を受けている者が
この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したときは,
その工事担任者資格者証の返納を命ずることができる。
【工事担任者資格者証の交付が行われない場合】
(第46条第4項の読み替え)
(1) 工事担任者証の返納を命ぜられ,その日から1年を経過しない者
(2) この法律の規定で罰金以上の刑に処せられ,その執行を終わり,
又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
(9)工事担任者試験(第73条)
工事担任者試験は,
端末設備及び自営電気通信設備の接続に関して
必要な知識及び技能について行う。
4.9.3 不正アクセス禁止法,
電子署名法
(3.1) 不正アクセス禁止法
(3.2) 電子署名法
(3.1) 不正アクセス禁止法
(1)目的(第1条)
「ID・パスワードの不正な使用」や「そのほかの攻撃手法」によって
アクセス権限のないコンピュータ資源へのアクセスを取り締まる法律
【目的】(第1条)
「電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る犯罪の防止及びアクセス制御
機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図り、もって高度情報通信社
会の健全な発展に寄与すること」(第1条より)
(2)用語の定義(第2条)(その1)
この法律において「アクセス管理者」とは、電気通信回線に接続している電子計算
機(以下「特定電子計算機」という。)の利用(当該電気通信回線を通じて行うもの
に限る。以下「特定利用」という。)につき当該特定電子計算機の動作を管理する
者をいう。
2 この法律において「識別符号」とは、特定電子計算機の特定利用をすることについ
て当該特定利用に係るアクセス管理者の許諾を得た者(以下「利用権者」という。)
及び当該アクセス管理者(以下この項において「利用権者等」という。)に、当該アク
セス管理者において当該利用権者等を他の利用権者等と区別して識別することが
できるように付される符号であって、次のいずれかに該当するもの又は次のいずれ
かに該当する符号とその他の符号を組み合わせたものをいう。
一 当該アクセス管理者によってその内容をみだりに第三者に知らせてはならないも
のとされている符号
二 当該利用権者等の身体の全部若しくは一部の影像又は音声を用いて当該アクセ
ス管理者が定める方法により作成される符号
三 当該利用権者等の署名を用いて当該アクセス管理者が定める方法により作成さ
れる符号
用語の定義(第2条)(その2)
3 この法律において「アクセス制御機能」とは、特定電子計算機の特定利用を自動的
に制御するために当該特定利用に係るアクセス管理者によって当該特定電子計
算機又は当該特定電子計算機に電気通信回線を介して接続された他の特定電子
計算機に付加されている機能であって、当該特定利用をしようとする者により当該
機能を有する特定電子計算機に入力された符号が当該特定利用に係る識別符号
(識別符号を用いて当該アクセス管理者の定める方法により作成される符号と当
該識別符号の一部を組み合わせた符号を含む。次条第二項第一号及び第二号に
おいて同じ。)であることを確認して、当該特定利用の制限の全部又は一部を解除
するものをいう。
(3)不正アクセス行為の禁止(第3条)
何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
2 前項に規定する不正アクセス行為とは、次の各号の一に該当する行為をいう。
(1) アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセ
ス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、
当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行
為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセ
ス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
(2) アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセ
ス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるも
のを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限され
ている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したア
クセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。
次号において同じ。)
(3) 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御
機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を
通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計
算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
(4)不正アクセス行為を冗長する行為の禁止(第4条)
何人も、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、
その識別符号がどの特定電子計算機の特定利用に係るものであるかを
明らかにして、又はこれを知っている者の求めに応じて、
当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び
当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。
ただし、当該アクセス管理者がする場合又は
当該アクセス管理者若しくは当該利用権者の承諾を得てする場合は、
この限りでない。
(5)アクセス管理者による防御措置(第5条)
アクセス制御機能を
特定電子計算機に付加したアクセス管理者は、
当該アクセス制御機能に係る識別符号又は
これを当該アクセス制御機能により
確認するために用いる符号の適正な管理に努めるとともに、
常に当該アクセス制御機能の有効性を検証し、
必要があると認めるときは速やかに
その機能の高度化その他当該特定電子計算機を
不正アクセス行為から防御するため
必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(3.2) 電子署名法
(1)目的(第1条)
この法律は、電子署名に関し、
電磁的記録の真正な成立の推定、
特定認証業務に関する認定の制度
その他必要な事項を定めることにより、
電子署名の円滑な利用の確保による
情報の電磁的方式による流通及び情報処理の促進を図り、
もって国民生活の向上及び国民経済の
健全な発展に寄与することを目的とする。
(2)用語の定義(第2条)
この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式そ
の他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、
電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録する
ことができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当
するものをいう。
(1) 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのもの
であること。
(2) 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるもの
であること。
2 この法律において「認証業務」とは、自らが行う電子署名についてその業務を利
用する者(以下「利用者」という。)その他の者の求めに応じ、当該利用者が電
子署名を行ったものであることを確認するために用いられる事項が当該利用者
に係るものであることを証明する業務をいう。
3 この法律において「特定認証業務」とは、電子署名のうち、その方式に応じて本
人だけが行うことができるものとして主務省令で定める基準に適合するものに
ついて行われる認証業務をいう。
(3)電磁的記録の真正な成立の推定(第3条)
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの
(公務員が職務上作成したものを除く。)は、
当該電磁的記録に記録された情報について
本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び
物件を適正に管理することにより、
本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が
行われているときは、真正に成立したものと推定する。