第一課 「まあまあ」にみる日本人の心 第一課 「まあまあ」に見る日本人の心 日本評論家。1925年10月13日、東京 都生まれ。 東京大学哲学科卒業後、東京大学大 学院社会学科修了。1949年 東京新 聞社入社、社会部記者となる。1953年 朝日新聞東京本社入社。学芸部記者、 『週刊朝日』副編集長、学芸部次長、 編集局編集委員などを歴任。1976年 朝日新聞社退社。以後、世界各国を歴 森本哲郎 (もりもと てつろう) 訪し、文明批評や旅行記、社会評論な どを発表する。 第一課 「まあまあ」に見る日本人の心 潇湘八景:相传为潇湘一带的湖南八处佳胜。为宋沈括《梦溪 笔谈·书画》中所描述。 潇湘夜雨——永州城东 平沙落雁——衡阳市回雁峰 烟寺晚钟——衡山县城北清凉寺 山市晴岚——湘潭与长沙接壤处的昭山 江天暮雪——橘子洲 远浦归帆——湘阴县城江边 洞庭秋月——洞庭湖 渔村夕照——桃源桃花源对岸白鳞洲 第一課 「まあまあ」に見る日本人の心 · 潇 湘 八 景 第一課 「まあまあ」に見る日本人の心 日本三景: 日本三景は以下の3つの名勝地を指す。全て海(沿岸)にあ る風景となっており、各々古くから詩歌に詠まれ、絵画に描 かれていた。 松島 … 宮城県宮城郡松島町を中心とした多島海。 天橋立 … 京都府宮津市にある砂嘴。 厳島(宮島) … 広島県廿日市(はつかいち)市にある厳島 (いつくしま)神社を中心とした島。 新日本三景: 1915年(大正4年)、日本三景にならって実業之日本社主催による新日本三 景の選定が行われた。全国投票の結果、以下の3つが選ばれた。 大沼(ポロトー) … 北海道亀田郡七飯町にある堰止湖(せきとめこ)。北 海道駒ヶ岳(こまがたけ)を借景する。 三保(みほ)の松原 … 静岡県静岡市清水区にある砂嘴。富士山および伊豆 半島を借景する。 耶馬渓 (やばけい)… 大分(おおいた)県中津市にある渓谷 第一課 「まあまあ」に見る日本人の心 第一課 <新しい言葉> 1.その「まあまあ」も感嘆詞としても使われるのだからなんともややこ しい。 なんとも ① (打ち消しの語を伴う)なにごととも。なにものとも。 ○なんとも言えない ○痛くもなんともない ② 何と言っていいか分からないほど程度が甚だしい様子。まことに。 ○なんとも申し訳ない 第一課 <新しい言葉> 2.まあまあ、そいつは飛んだ災難だったねえ。 飛んだ ①普通と違った。風変わりな。 ○飛んだ茶釜(ちゃがま/素敵な美人)。 ②大変な。思いがけなく重大な。 ○お前は飛んだことをしたね。 ○飛んだお笑いぐさだ。 第一課 <新しい言葉> 3.その海岸の景色が皆穏やかな内海に臨むこぢんまりとした浜だ。 こぢんまり (こは接頭語)小さいなりによく整っているさま。 ○こぢんまりした住みよい家。 ○こぢんまりと暮らす。 第一課 <新しい言葉> 4.日本人が名所や歌枕としてめでる風景は… 愛でる ①かわいがる。愛する。 ○初孫を愛でる。 ②ほめる。感嘆する。 ○桜を愛でる。 ○月を愛でて、歌をよむ。 第一課 <新しい言葉> 5.おそらくは日本民族が体験した太古の記憶が無意識のうちにこの ような景色をこの上なく美しく、懐かしい思いに誘うに違いない。 無意識 ①意識を失っていること。 ○無意識状態 ②あることをしながら、自分のしていることに気づかないこと。 ○無意識に鼻をこする。 第一課 <新しい言葉> 6.原始的な小舟をあやつってのその航海は、実に恐ろしい体験だった。 操る ①言葉を上手に使う。 ○英語を操る。 ②うまく扱う。 ○小舟を操る ③人形・機械・乗り物などを巧みに動かす。 ○人形を操る。 ④転じて、裏面にいて思い通りに働かせる。 ○世論(物価)を操る。 第一課 <新しい言葉> 7.荒海を乗り切ってこの列島にたどり着いた日本人、そして海に取り 巻かれながら生活を重ねてきた日本民族、当然日本人は海洋民族 になってしかるべきである。 乗り切る ①乗ったままで最後までゆく。 ②乗り越える。 ○船で大西洋を乗り切る。 ○早瀬(はやせ)を乗り切る。 ③転じて、難局を突破する。 ○危機を乗り切る。 ○数年来の経営不振を乗り切る。 第一課 <新しい言葉> 7.荒海を乗り切ってこの列島にたどり着いた日本人、そして海に取り 巻かれながら生活を重ねてきた日本民族、当然日本人は海洋民族 になってしかるべきである。 たどり着く ①道を尋ね求めて行きつく。 ②苦しみ悩みながら、ようやく目的地につく。 ○険しい山路をようやく山頂にたどり着く。 ○やっと結論にたどり着く。 第一課 <新しい言葉> 8.最終的には何らかの形で敵と妥協し、共存する道を探らねばならな かった。 探る ①(眼前に認められないものを)手足の感覚によって探し求める。 ○ ポケットを探ってタバコを出す。 ②未知の物事を観察したり調査したりする。 ○川をさかのぼって水源を探る。 ③様子や事情をひそかに調べる。 ○相手の意向を探る。 ④美しい景色などを尋ね求める。 ○古都の秋を探る。 第一課 <新しい言葉> 9.相手の言い分に安んじることでもあり、常に一定の限度を守ることで もある。 言い分 ①(その人の)言いたい事柄。言うべき箇条。主張。 ○双方のいい分を聞く。 ○いい分が通る ②不満。意見。 ○いい分があっても我慢しなさい。 第一課 <新しい言葉> 9.相手の言い分に安んじることでもあり、常に一定の限度を守ることで もある。 安んずる ①安らかになる。安心する。 ○やすんじて君に任せよう。 ②それに満足して不満に思わない。甘んずる。 ○小成にやすんずる。 第一課 <新しい言葉> 10.物事をはっきりさせれば、いやおうなく相手との食い違いが出てくる から。 否応なく 是非を言わせずに。いやでも無理に。「否応無しに」ともいう。 ○警官がいやおうなしに引っ立てる。 食い違い ①一致または一貫すべきものが合わせてみると、違うこと。 ○二人の考え方の食い違いをはっきりさせる。 ○主張が大きく食い違っている。 ②交差。 ○食い違い歯車。 第一課 <新しい言葉> 11.それに欺かれないために、うんと考え込むんですね。 欺く ①だます。 ○悪質商人に欺かれる。 ○甘言をもって人をあざむく。 ②(「…をあざむく」の形で)…と間違えさせる。…にひけをとらない。 ○昼をあざむくばかりの明るさ ○雪をあざむく白さ 第一課 <新しい言葉> 11.それに欺かれないために、うんと考え込むんですね。 うんと ①程度・分量の甚だしいさま。非常に ○うんともうけてやる。 ○うんと遠い ②力をこめるさま。 ○うんと力を入れなければ、高いところには持ち上げられない。 第一課 <新しい言葉> 12.私はえらく感心した。さすが一芸にひいでた名人の言葉である。 えらい ①優れている。人に尊敬されるべき立場にある。 ○偉い先生 ②普通あるべき状態より程度が甚だしい。 ○人がえらく集まった。 ③思いがけない。とんでもない。 ○こんな山の中で熊にでも出くわしたらえらいことだ。 ④苦しい。つらい。 ○坂道を登るのがえらい。 第一課 <新しい言葉> 13.これが日本人の基本的な精神の構えである。 構え ①身構え。身体のそなえ。殊に武道の姿勢。 ○正眼のかまえ ○上段のかまえ ②そなえ。 ○和戦両様のかまえ ③漢字の部首 ○くにがまえ ○門がまえ 第一課 <新しい言葉> 14.ともすれば肥大してゆく期待に対して、日本人は折に触れてはそれ を抑制する。 ともすれば ひょっとすると。どうかすると。放任しておくと、その傾向が助長され る様子 ○ともすれば悲観的になる。 ○ともすれば怠け心が起きる。 折に触れる ①その時の事情・場面によく調和する。 ②(「折に触れて」の形で)機会あるごとに。 ○折に触れて注意してきたのだが。 ○彼は折に触れて詩を作る。 第一課 <新しい言葉 > 是(これ)がまあ つひの栖(すみか)か 雪五尺 つひの栖(終の住処) 意味:死ぬまで住むことになる最後の家のこと 【通釈】 長い漂白の末に、ようやく帰り住むことになった故 郷だが、目前には積雪五尺、この雪の中でわが余生を過ごす のだなあ。 【出典】 吟詠教本 俳句・俳文 50才で信濃の国(長野県)に帰った一茶は、最後の家の主屋を全焼で 失なってしまいます。それからの一茶は、離れの土蔵に暮らすこと になったそうです。そして最期の時をその土蔵の中で迎えたと伝え られています。雪五尺は豪雪地に住む人々は1メートル50を超す雪 の中に命がけで住んでいるということを表しています。 第一課 <言葉の学習> 1.ともなく/ともなし ①「どこ・いつ・だれ・どちら」などの疑問詞を受けて、場所・人物・物などの、 「どの部分かは特定はできないが」という意味を表す。助詞が用いられ る場合は疑問詞の直後につく。 ○どこからともなくきんもくせいのいい香りが漂ってくる。 ○学生たちは夜遅くまで騒いでいたが、いつともなくそれぞれの部屋に 戻って行った。 ○2人はどちらからともなく走りよりかたく抱き合った。 ○誰言うともなく、彼のことを阿Qと呼ぶようになった。 ○喫茶店に流れる静かな曲を聞くともなしに聞いていたら、昔、恋人とい っしょに聞いた思い出の曲だとわかり、懐かしさで胸が一杯になった。 第一課 <言葉の学習> 1.ともなく/ともなし ②「見る、話す、言う、考える」のような、人間の意志的な行為を表す動詞 を受けて、その動作がはっきりした意図や目的なしに行われる様子を表 す。その前に「何、どこ」などの疑問詞を伴うことが多い。 ○彼は夕焼けの空を見るともなく、ただぼんやりと見つめていた。 ○電車の中で聞くともなしに隣の女子高校生たちの話を聞いていたが、 余りのどぎつさに唖然とした。 ○読むともなく週刊誌をめくっていると、なんと昔なじみのA君のことが載 っているではないか。 第一課 <言葉の学習> 2.~はともかく ①~はともかく(として) 「それを議論の対象からはずして」という意味。それよりも大事なことと して後の事柄を優先させて述べる場合に用いる。 ○学歴はともかく、人柄にやや難点がある。 ○奥さんはともかくとして、ご主人はとてもいい人だ。 ○細かいところはともかく全体的に見れば、うまくいったといえるのではな かろうか。 ○この景気では月給はともかく、ボーナスが出るかどうかはあやしいとこ ろだ。 第一課 <言葉の学習> 2.~はともかく ②ともかく V 意思的な行為を表す動詞を伴い、いろいろ議論するよりも、まずは実行 するという意味を表す。「とにかく」とも言う。 ○運動会は雨で中止になるかもしれないが、ともかく行ってみよう。 ○ともかく使ってみないことにはいい製品かどうかわからない。 ○ともかく、言われたことだけはやっておきました。 第一課 <言葉の学習> 2.~はともかく 「ともかく」と「とにかく」の区別: とにかく:表示不考虑细小的事情,不管内情如何,接受现实。 ○とにかく忙しくてご飯を食べる暇もない。 ともかく:表示“对于那件事情就不再前思后想了”,把那个话题仅作参 考,先优先其他的问题、话题。 ○こんなひどい雨ですから、旅行は中止になるかもしれないが、ともかく 用意だけはしておこう。 第一課 <言葉の学習> 3.~ての 動詞連用形+接続助詞「て」+格助詞「の」+体言、である。一般的に は、「の」のところに連体修飾語になる動詞が省略されていると見られて いる。 ○東日本大震災の影響を受けての対応についてご紹介いたします。 ○男女共同参画社会づくりに向けての全国会議が開催されている。 ○いうまでもなく人間は孤立して生きているのではなく、社会の中で生き てきた。すなわち 様々な困難に遭った時には、家族や地域によって支 えられてきた。社会連帯の形として は、古くから地域社会における相互 扶助があり、最近ではNPOのようなネットワーク...これは21世紀に向け ての社会保障だ。 第一課 <言葉の学習> 4.しかるべき 「しかるべし」からくる用法である。大辞林 (国語辞書)によると: ①もっともだ。当然だ。そうなる運命だ。 ○何事もしかるべき事と申しながら/平家 8 ②適当だ。その場にふさわしい。時宜(じぎ)を得ている。 ○いかさまにも今夜(こよい)首を刎ねられん事、しかるべうも候はず/平 家2 しかるべき方法で解決する。 ③そうしてもよい。そうすることができる。 ○しかるべう候はば、御ゆるされをかうぶて/平家 11 ④立派だ。すぐれている。身分がある。 ○しかる間、京よりしかるべき女車に乗りて参る/今昔 16 第一課 <言葉の学習> 4.しかるべき 活用形は以下のようである: 未然形 連用形 終止形 連体形 しかるべからず しかるべく しかるべし しかるべき ○皇位は一日も空しかるべからず。 ○彼が参加できるようしかるべく取り計らいます。 ○非常の時である。非常の策を用いてしかるべし。 ○しかるべき理由もなしに彼を逮捕する。 ○彼はあんなことをしたのだから非難されてしかるべきだ。 (=非難に値する) 第一課 <言葉の学習> 4.しかるべき 現代日本語では「しかるべき」はよく使われる。 ①そうあるのが当然である。 ○罰せられてしかるべきだ。 ②ふさわしい。適切な。 ○しかるべき人を仲に立てる。 ○しかるべき方法で解決する。 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない ①動詞未然形ないでもない 動詞の否定形を受け、そのような行為、認識が成立することもあると いう意味を表す。「言う、考える、思う、認める、感じる、気がする」など思 考や知覚にかかわる動詞が 用いられた場合は、「何となくそんな気 がする」といった意味を表す。 ○考えてみれば、彼の意見ももっともだという気がしないでもない。 ○自分にも悪いところがあったことは認めないでもない。 ○―日本料理の納豆はお好きですか。 ―食べないでもないが、あまり好きじゃありません。 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない ②Nがないでもない 主として意志や気持ちを表す名詞を受けて、そのような気持ちがまっ たくないわけではないという意味を表す。「名詞+も」が先にある場合は、 「Nもないではない」の形が使われることもある。 ○時には、1人になりたいと思うことがないでもない。 ○海外旅行をしたい気もないではないが、なかなかその時間がとれない。 ○娘は見合いで結婚するつもりがないでもないらしい。 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない 練習: なぜ、彼女はわたしに相談してくれなかったのだろう。わたしに相談して くれさえすれば、いくらでも力になった( )。彼女の立場を思うと分か らないでもないが、いまさらながら、悔やまれる。 ①ものの ②ものを ③ものだ ④ものか 山に登ったところ、山頂はホテルやおみやげ屋で町のようになっていた。 なぜ静かな山をそのままに( ①しかねない ③せずにはいかない )のだろうか。 ②しないでもない ④せざるをえない 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない 練習: 大人だって急に酒を飲むと死ぬことがある。子どもに酒を飲ませてはい けないのは( ) ①いえなくもない ②いうまでもない ③いわないほうがいい ④いわないでもない これはあなたの仕事だが、どうしても一人では間に合わないというなら ( )。 ①手伝うわけにはいかない ②手伝うはずがない ③手伝うにはあたらない ④手伝わないでもない 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない 練習: 誰もがお金を欲しがるが、あればあるほどいいと( ①いうはずがない ②いうものでもない ③いわないでもない ④いうまでもないことだ あの旅館のサービスときたら! 二度と( )。 ①行くものか ②行かないでおかない ③行かないでもない ④行こうにも行けない )。 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない ③~ずにはおかない 本人の意志にはかかわらず、そのような状態や行動が引き起こされ るという意味を表す。感情の変化や争いごとの発生などの自発的な作 用について言うことが多い。 ○彼の言動は皆を怒らせずにはおかない。 ○今のような政治情勢では国民に不信感を与えずにはおかないだろう。 ○この本は読む人を感動させずにはおかない。 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない 練習: 幼い子供といえども、罪を犯したからには罰を( ①与えるわけにはいかない ③与えるはずがない )。 ②与えないきらいがある ④与えずにはおかない あれほど注意したにもかかわらず規則に違反したのだから、学校側は 彼らを( )。 ①処罰されずにはおかない ②処罰せずにはおかない ③処罰されないではいられない④処罰しないではいられない 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない 練習: 今回新しく開発されたコンピューターのソフトは従来の情報社会に影響 を( )。 ①与えずにはいかない ②与えることを余儀なくされるだろう ③与えないではいられない ④与えずにはおかないだろう 山に登ったところ、山頂はホテルやおみやげ屋で町のようになっていた。 なぜ静かな山をそのままに( )のだろうか。 ①しかねない ②しないでもない ③せずにはおかない ④せざるをえない 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない ④~ないではおかない 他動詞の否定形や自動詞の使役「させる」の否定形に続いて、外部か らの強い力によって、本人の意志にはかかわらず、そのような状態や行 動が引き起こされるという意味を表す。本来書き言葉の表現なので、 「せずにはおかない」の形をとる方が一般的である。 ○この作品は読むものの胸を打たないではおかない。 ○彼女の言動はどこか私を苛立たせないではおかない。 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない ⑤~ないではすまない 動詞の否定形について、その行為をしないで、そのままにしておくこと はできないという意味を表す。マイナスの評価の事態を表すのが普通。 かたい表現。 ○知り合いに借りたキャンプ用のテントをひどく破ってしまった。新しいの を買って返さないではすまない。 ○こんなひどいことをしたんでは、お母さんに叱られないではすまない。 ○罪のない人々に、このような過酷な運命を強いてしまった。いつの日に か、その報いを受けないではすまないだろう。 第一課 <言葉の学習> 5.~ないでは(も)ない 練習: 彼のミスの後始末でみんな大変だった。あれだけ迷惑をかけたのだか ら、( )だろう。 ①謝らないこともない ②謝らないではすまない ③謝らないものでもない ④謝らずにはおかない 第一課 <言葉の学習> 6.~にしくはない 「しく」は「如く」「若く」とも書く。類似的な表現には「及ぶ」「肩を並べる」 「匹敵する」がある。「~にしくはない」は慣用的な言い方で、「~に及ぶ ものはない」「~に匹敵するものはない」意味。「しく」は打ち消しを伴って 用いられることが多い。 ○三十六計逃げるにしくはない。 ○子を知ること親に如かず ○隠喩に重大な価値を認めている哲学には、隠喩の分析を通じて迫る のにしくはない。 (高橋哲哉『逆光のロゴス』) ○涙にくれて 相擁 ( あいよう ) しながらも、再び 弟子がかかる企みを 抱くようなことがあっては 甚だ危いと思った飛衛は、紀昌に新たな目標 を 与えてその気を転ずるにしくはないと考えた。 (中島敦『名人伝』) 第一課 <言葉の学習> 7.~とはいえ 体言や文を受ける。結果が前の事実から予想されることとちょっと食い 違うという意味。書きことば的。 ○機械化が進み、便利な世の中になったとはいえ、働かないで遊んで暮 らせるわけではない。 ○通信販売に人気が集まっている。確かに便利なものであるとはいえ、 実際に品物を見ないことには、安心できそうもない。 ○毎日遅刻せずに会社に来るとはいえ、その仕事ぶりはひどいといった らない。 第一課 <言葉の学習> 7.~とはいえ 練習: 任務( )あの南極で長い冬を過ごすのは大変なことだろう。 ①といえば ②とばかりに ③とはいえ ④ともなく 都心( )、このあたりはまだ緑が多く残っていて鳥の声も聞こえる。 ①とはいえ ②とあって ③ときたら ④とあれば 第一課 <言葉の学習> 8.~つつ 文語接続助詞 ①同一の主体が一つの行為を行いながら、同時にもう一つの行為をする こと。書き言葉として用いる傾向が強い。 ○静かな青い海を眺めつつ、良子は物思いにふけっていた。 ○この会議では、個々の問題点を検討しつつ、今後の発展の方向を探っ ていきたいと思う。 第一課 <言葉の学習> 8.~つつ 文語接続助詞 ②相反する二つのことがらを結びつけるのに用いる。 ○冬休みの間、勉強しなければならないと思いつつ、毎日遊んで過ごし てしまった。 ○その言い訳はうそと知りつつ、私は彼に金を貸した。 ○「健康のために働きすぎはよくないのよ」と言いつつも、彼女は決して 休暇をとらないのだ。 ○設備の再調査が必要だと知りつつも、無視したことが今回の大事故に つながったと思われる。 第一課 <言葉の学習> 8.~つつ 文語接続助詞 ③~つつある 動作や作用がある方向へ向かって続いている状態。「つつある」は瞬間 変化を表す動詞を伴った場合、変化が生じて、それが完成する方向に 向かっているという意味。「~ている」は変化が完成した後の状態を表す。 ○地球は温暖化しつつある。 ○彼は今自分が死につつあることを意識していた。 第一課 <類語の学習> 1.「ないことはない/ないこともない」 语法分析:ない是否定,否定前面的こと、没有这事 直译:不是没有这事(有这事) ○私も留学していたことがありますから、あなたの苦労が分からないこと もありません。(1994年2级) 译: 因为我也留过学,所以你辛苦这事我也不是不明白。(你确实辛 苦) 做题策略:接续和下面两个语法点的区别重点在于不加名词 第一課 <類語の学習> 2.「ないではない/ないでもない」 接续:N + もないではない或者がないでもない 语法分析:ではない:不是的意思,是「ではありません」的简体 直译:不是不 ○彼女の今までの苦労を知っているので、留学が決まった時あれほど喜 んだ気持ちが分からないでもない。(1996年1级) 译: 因为知道他至今的努力,所以不是不理解她决定留学时无比喜悦 的心情。 第一課 <類語の学習> 3.「なくはない/なくもない」 接续:同前 语法分析:ない是否定,否定前面的なく、即否定的ない,は:是的意思。 直译就是:不是不...... ○ 山本さんは、ある日突然会社をやめてまわりをおどろかせたが、あの 人の性格を考えると、理解できなくはない。(2000年2级) 译:山本一天突然辞职了,确实让人吃惊,但是想想这人的性格,也 不是不能理解。 否定的是(不能理解) 做题策略:如果选项前面的动词是ない结尾是直接不考虑这个选项的。 第一課 <練習> 一、次の文の下線部を辞書で引いて日本語で説明した上、全文を中国語 に訳しなさい。 1.日本人の間で暗黙のうちに了解されている。 2.私は意表をつかれ、思わず「え、それはまた、どういうわけですか」と尋 ねた。 3.快晴というわけではないが、さりとて雨が降るほど悪くもない。 第一課 <練習> 二、文頭にあげた言葉の用法として、次の文の下線部ではどのように使わ れているか。意味かその用法を日本語で説明なさい。 <思い> 1.おそらくは日本民族が体験した太古の記憶が無意識のうちにこのよう な景色をこのうえなく美しく、懐かしい思いに誘うに違いない。 2.あらゆる存在に対する不信の思いに耐えられない自己を持て余してい たこともある。 3.汗と埃にまみれて熊本市の焼跡を走りながら私の心は締め付けられる 思いであった。 4.恋愛に憧れるのは、今の時代に始まったことではなく、いつの世でも変 わらぬ思いであるようだ。 第一課 <練習> 三、次の文中の( )に最も適切なものを一つ選びなさい。 1.彼女の今までの苦労を知っているので、留学が決まったときあれほど 喜んだ気持ちが( )。 ①分からなかった ③分かるものではない ②わからないでもない ④分かったものでもない 2.どうしても貸してくれというなら( )が、何に使うのかね。 ①貸すわけでもない ②貸すこともない ③貸さないでもない ④貸さないわけがない 第一課 <練習> 三、次の文中の( )に最も適切なものを一つ選びなさい。 3.あの患者は重い病気のため、一人では食事( )。 ①せずにはおかない ②せしめるほどだ ③だにとっている ④すらできない 4.あの戦争から50年以上がたつというのに、今も世界のあちこちで争い が絶えない。地球全体が病気にかかっているようで、将来を( ①心配せずにはいられない ②心配するものではない ③心配するべきではない ④心配せずにはおかない )。 第一課 <練習> 三、次の文中の( )に最も適切なものを一つ選びなさい。 5.私の不注意で祖父の大切な花瓶を壊してしまったのだから、( ①謝らないですむ )。 ②謝らないではおかない ③謝らないではすまない ④謝らずにはおかない 6.わざとじゃなかった( ①とばかりに )けがをさせたのだから謝るべきだ。 ②とはいえ ③として ④とあって 7.いい病院に入院させるなら、もしかして父の病気が治らない( ①ことでもない ②こともない ③なくもない ④ものはない )。 第一課 <練習> 四、次の中国語を日本語に訳しなさい。 1.“你的意思是说考上北京大学的可能性一点儿没有吗?”“那 倒也不是没有。只是我想除非很努力,否则不可能考上。 (二重否定/よほど) 2.在日常生活中,面对困难多亏了亲人和朋友的鼓励我们才没有 胆怯。因为有了这个武器,尽管人生道路上充满了坎坷,我们仍 能欣然度过。 (~を前に/~ずにすむ) 第一課 <練習> 四、次の中国語を日本語に訳しなさい。 3.明知道母亲的病已经没治了,可我还是愿意相信奇迹会发生。 (~つつ) 4.我现在上班的公司工资就不谈了,工作很累人。我最近常常想, 从各方面来看我是不是不适合做现在的工作呢? (~はともかく)
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