カード操作を取り入れた文書 作成支援ツールの開発と評価 システム演習C 論文購読 0311998162 森山了一 論文の内容 文書作成過程における文書産出を促すこ とを目的とした文書作成支援ツール「Card Processor」の開発と評価 (日本教育工学会論文誌 1998年10月8日 受理 堀井俊洋 藤谷哲 赤堀侃司) 動機 ワープロはカット&ペースト機能により文書の草 案を組織化することが可能 →しかし、操作は煩雑で非効率 ワープロの機能にない(弱い)のは 草案の生成、草案の組織化、目的の設定 の文書作成支援 これらワープロに足りない支援を補うツール 「Card Processor」を開発 Card Processorとは カードメタファを利用した文書作成支援 ツール カード操作をおこないながら文書を作成す るインタフェースを使うことによって発散的 にアイデアを入力し、視覚的に整理するこ とができる 従来の発想支援ツールとの相違 KJ法を取り入れた発想支援ツール …「KJエディタ」「D-ABDUCTOR」 共同作業を支援する発想支援ツール Card Processorは 個人の範囲で発想・整理し、文書作成を行 う過程を支援するツール (ワープロの機能補完) Card Processorの開発 Visual Basic 5.0にて作成 「文書入力モジュール」「カード操作モ ジュール」「文書編集モジュール」から構成 Card Processorの機能(1) 入力ウィンドウに文書を書き込み、改行をおこな うと、カード化されて画面上に表示される ・入力ウィンドウは空欄になる ・カード・カード群(後述)は無限に作成できる →書き出したいアイデアを次々にカード化してい くことが可能 簡単なマウス操作で、いつでもカードをディスプ レイ上に自由に二次元配置できる Card Processorの機能(2) カード同士をある程度近づけると連結した 「カード群」にすることができる ・カード群単位での移動が可能 ・画面の有効利用のため、「重ねる」「束ね る」といったアクションを用意 Card Processorの機能(3) カード群をダブルクリックすると、全カード の内容を一覧表示することができる ・一行が1枚のカードに対応 ・ウィンドウサイズは可変 ・カード、一覧表示シートいずれかの内容 を更新すると、もう一方に反映される Card Processorの評価 -実験方法 大学生・大学院生 計8人が25分ずつ 「A:お気に入りの町紹介」 「B:休日の過ごし方」についてそれぞれCard ProcessorとMicrosoft Word97(ワープロソフト) を用いて文書作成 実験後、「文書作成におけるカードを用いたイン タフェースの有用性に関して」と、「Card Processorの操作性/使用感について」のインタ ビューを実施 Card Processorの評価 -被験者の感想 カードを用いたインタフェースの有用性に関して 「文書の構造が視覚的に分かりやすい」 「アイデアが出しやすい」 Card Processorの操作性に関して 「とても使いやすいインタフェース」 「カード操作への習熟や慣れが必要」 Card Processorの使用感 「書き出しは、文章の構造を考えて書かなくても いいので楽であるが、後で組み立てるのに時間 がもっと欲しかった」 Card Processorの評価 -文字数・トピック数の比較結果 トピック数 文字数 Card Processorの評価 -内容評価の比較結果 A:書き出したい話題が多く書かれている か? B:テーマに沿った文が書けているか? C:タイトルに各テーマ名をつけてもよいか? D:滑らかでつながりのある良い文章か? E:全体的にまとまりのある文章か? F:印象的な文章内容だったか? Card Processorの評価 -内容評価の比較結果 Card Processorの評価 -作業過程の比較結果 全作業時間に対する推敲時間の割合の平均 Card Processor: 30% Microsoft Word: 12% Card Processorを使うと、全作業時間に対し て推敲時間を占める割合が高くなる (=積極的な推敲作業が行われている) 結論・考察 Card Processor: 「多くの話題が表現できていて、テーマに沿った 文章が出来上がる」 →「草案の生成」「草案の組織化」「目標の設定」 を支援している Microsoft Wordのほうが「全体的にまとまりがあ る」と評価されたことについて: Card Processorではカード操作による推敲作業 に時間を取られてしまい、文章の校正が十分に おこなえなかったのでは?
© Copyright 2024 ExpyDoc