湖畔の岩に、ひざを抱えて腰を下ろしている男が一人。残り雪の反射に目

また、それでもなお、 与えられた道を自分
なりに精一杯歩み続ける人の姿が、いかにい
とおしきものであるかということでもあった。
カメラを持った語り部は、知らず知らずのう
ちにその人たちと同じ目になっていた。
另外,即使如此依然在被賦予的道路上,
用自己的方式持續盡力地走下去的人的姿
態,是多麼地惹人憐愛。用相機說故事的
人,在不知不覺中變成了和他們一樣的眼
神。
容易に周りの人たちを寄せつけようとせず、
心の内を語ろうとしない彼らが、ビリーを
自らの世界に招じ入れ、心を開き、命の記
録を撮らせた。
不隨便與周圍的人接近,不說出自己心裡
話的他們,把比利帶入自己的世界裡,向
他敞開心房,並讓他拍下了他們生命的紀
錄。
彼らが受けている言われなき偏見と差別、そ
して人権侵害。「憎むべきはエイズであり、
エイズと共に生きる人たちではありません」
と語る写真家の静かな憤りが、通訳として傍
らに立つ私にもひしひしと感じられた。
他們所承受不合理的偏見與歧視以及人權
侵犯。攝影師語中充滿著沉靜的憤怒,說
「我們該憎恨的是愛滋而不是與愛滋並存
的人們」,作為口譯而站在旁邊的我也深
刻地感受到他的憤怒。
それはビリーの言葉であると同時に、何百万
と言われる世界中のエイズという十字架を背
負った人たちからの静かなメッセージでもあ
った。過酷な運命によって、排他的な社会に
よって、一度切り捨てられたが故に、生きる
ことの意義を真正面から見据えるよりほかな
かった人々。
比利的那句話同時也是來自世界上幾百萬
名背負著愛滋的十字架的人們沉默的聲音。
因為曾被殘酷的命運及排他的社會拋棄過
的緣故,所以只能從正面去看待活著的意
義的人們。
それでも、すべてを受け入れ、許し、前向
きに精一杯生きる彼らの勇気とすう高さ。
それが伝えられるのはビリーをおいてほか
にはない、強くそう思いながら、私は通訳
を続けた。
即使如此,接受這一切、去原諒、積極地
活下去的他們的勇氣與崇高。我一邊深深
地認為能把這傳達出去的除了比利之外絕
無他人,一邊繼續我的口譯。
ビリー˙ハウード。人間を見つめ続け、生を
考え続けていた一人の写真家が、会場に集ま
った人々の魂に語りかけた。HIV感染、エイ
ズの問題は、いつしか聴衆ひとりの命への問
いかけとなり、生まれ、生き、そして、死ぬ
という人間の根源の問題として受け止められ
た。
比利哈瓦得。持續關注著人類,持續思考著
生命的一名攝影師,對著聚集在會場的人們
的靈魂說話。HIV感染、愛滋的問題,不知不
覺成了每一位聽眾的生命的問題,也被認為
是出生、生存及死亡的人類根本的問題。
ビリーの写真が語りかけるものが、そして、
今は亡き静寂の世界の主人公たちからのメ
ッセージが、語り部の口を通して会場の人
々の心に刻み込まれた。
比利透過照片所要訴說的,以及現從在死
亡寂靜世界的人們所要傳達的訊息,透過
說故事的人的嘴巴,深深的刻印在會場中
每個人的心中。