実習の前に… 黒田研の実習では、ファイルをダウンロードしても らうことが多くあります。 まずは、下記のホームページを開いてください。 http://kurodalab.bi.s.utokyo.ac.jp/class/Summer/2013 →直打ち または ①Googleで「東京大学黒田研究室」検索 ②黒田研のH.P.に入り、http://kurodalab.bi.s.u-tokyo.ac.jp/ 以下をclass/Summer/2013に変更 実習アウトライン 現象の特性 微分回路、積分回路、プローブ特性、 アナログデジタル変換、メモリ、振動現象 これらはシンプルな分子ネットワークの 組み合わせで生まれる! 前向き制御(フィードフォワード) 後向き制御(ポジティブ、ネガティブ フィードバック) 実習アウトライン プローブの問題 微分回路、積分回路 Tempo ral rate Ras 分子で作るメモリ アナログデジタル変換 リズムと周波数応答 シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 4日目 時間パターンに対する選択的応答 5日目 スイッチ応答とメモリ 6日目 振動現象 シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 4日目 時間パターンに対する選択的応答 5日目 スイッチ応答とメモリ 6日目 振動現象 2. Circuit Engineering Genetic Circuits 準備体操 生化学反応の基本的なふるまい 1次反応; 例;タンパク質などの分解,放射性同位元素の崩壊 x 分解 dx x dt x A0 e t 1 0.9 0.8 0.7 0.6 x(t) x ただし、t = 0のとき、x=A0 0.5 0.4 0.3 ポイント Memoryless property その時その時でいつも同じ。履歴を引きずらない 0.2 0.1 0 0 2 4 6 8 10 Time 6 t 2. Circuit Engineering 準備体操 Genetic Circuits 生化学反応の基本的なふるまい 逐次1次反応;leaky integrator(漏れ積分器) 1次反応に外部入力(ステップ刺激)を加える Integrator Leak (積分器) (漏れ) I x 分解 dx Ix dt ただし、t = 0のとき、x = 0 t x I (1 e ) x(t) I 空気抵抗を考えた場合の自由落下の式と同じ。 0 穴のあいたバケツに水を一定速度で入れるのとも同じ。 t 7 生化学反応は漏れ積分で近似できる A B AB kf A kb AB time dAB kfA(1 AB) kbAB dt ifA Kd dAB kfA kbAB dt time ただし 、 AB B 1 シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 4日目 時間パターンに対する選択的応答 5日目 スイッチ応答とメモリ 6日目 振動現象 2008 ノーベル化学賞 緑色蛍光蛋白質の発見と開発 細胞 組織 個体 生体を生きたまま非侵襲に染色、可視化できる 望みの部位だけ可視化できる 蛋白質の発現等を定量できる シミュレーション演習 狙い 2日目 プローブと信号 Ca2+プローブのダイナミックレンジ 時定数 Transient and sustainedのどちらをひろうか。 (decoupling, coupling) 図と説明 Ca2+イメージング (膵臓ランゲルハンス島) グルコース刺激した膵臓ランゲルハンス島のカルシウム応答 • すべてのカルシウム応答が見えている? • 生体内のカルシウム応答(<100nM,数十 マイクロ秒) Ca 2+プローブと反応速度定数 -バイオプローブ‐ Ca2+ インパルス刺激(※50msec幅の矩形波を仮定) 50ms 0.5Hz 1Hz • 2Hz プローブの応答はカルシウム濃度の変化を正しく反映している? ⇒必ずしもカルシウム波形が正確に反映されているわけではない プローブを使う際は応答速度に注意する。 シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 4日目 時間パターンに対する選択的応答 5日目 スイッチ応答とメモリ 6日目 振動現象 細胞運命決定機構:増殖と分化のスイッチ 現象を分子に帰着せさることができない! ERKの時間波形が異なるだけで異なる現象を制御 Phosphorylated ERK (%) 一過性 ERK 活性化 EGF or NGF EGF 増殖 100 80 60 40 20 0 0 エンコード NGF PC12 cells (precursor of neuron) Phosphorylated ERK (%) Time 10 20 30 40 50 60 Time (min) 持続性 ERK 活性化 分化 100 80 60 40 20 0 0 10 20 30 Time (min) 40 50 デコード 60 RasとRap1によるERK活性の制御 EGF Phosphorylated ERK (%) Transient ERK activation 100 80 60 40 20 0 0 10 20 30 40 50 60 Time (min) NGF Phosphorylated ERK (%) Sustained ERK activation 100 80 60 40 20 0 0 10 20 30 Time (min) 40 50 60 不活性化機構が違いを生み出す ! Ras 微分回路 GEFi TrkA pR GAPi Rap1 積分回路 GEFi TrkA pR SOS GEF Rasi Ras Ras GAP RasGAP pR dependent C3G GEF Rap1i Rap1 Rap1 GAP (constant) Rap1GAP pR independent 実験結果からモデルのパラメータを決める y y f (t ) + + + + + f (t ) k=a k=a k=b k=b t t < + + + + シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 4日目 時間パターンに対する選択的応答 5日目 スイッチ応答とメモリ 6日目 振動現象 細胞運命決定機構:増殖と分化のスイッチ 現象を分子に帰着せさることができない! ERKの時間波形が異なるだけで異なる現象を制御 Phosphorylated ERK (%) 一過性 ERK 活性化 EGF or NGF EGF 増殖 100 80 60 40 20 0 0 エンコード NGF PC12 cells (precursor of neuron) Phosphorylated ERK (%) Time 10 20 30 40 50 60 Time (min) 持続性 ERK 活性化 分化 100 80 60 40 20 0 0 10 20 30 Time (min) 40 50 デコード 60 RasとRap1によるERK活性の制御 EGF Phosphorylated ERK (%) Transient ERK activation 100 80 60 40 20 0 0 10 20 30 40 50 60 Time (min) NGF Phosphorylated ERK (%) Sustained ERK activation 100 80 60 40 20 0 0 10 20 30 Time (min) 40 50 60 RasとRap1経路の特性の違い Receptor GEF GAP Ras Growth factors t Receptor GEF Rap1 GAP ERK ERK 速い活性化と遅い不活性化 不活性化が一定 Encoders Ras t 刺激の速さに応答:微分回路 Rap1 t 刺激の強さに応答:積分回路 Sasagawa, S. et al, Nat. Cell Biol. 2005, 7 (4), 365-373 Ras のシンプルモデル Rasのシンプルモデル Receptor GEF GAP Ras GAP ERK GEF 速い活性化と遅い不活性化 incoherent FeedFowared Loop (iFFL) →時間変化を捉える! q < 1: GEF が早い q > 1 : GEF が遅い Ras のシンプルモデル Receptor GEF GAP Ras ERK 速い活性化と遅い不活性化 incoherent FeedFowared Loop (iFFL) →時間変化を捉える! q < 1: GEF が早い q > 1 : GEF が遅い ランプ刺激:刺激の速度を変えよう 刺激のスピードとqの関係に着目! ステップ GAP stimulation (const.) GEF r: (rate of pR) ランプ stimulation (1 e rt ) Ras 刺激の速度に対する一過性ERKの応答 EGF 刺激 Rasのシステムは刺激の速度(強度ではない)を捉えていた。 EGF Phosphorylated ERK (%) 持続性ERKの活性化 100 80 60 ? 40 20 0 0 10 20 30 40 50 60 NGF Phosphorylated ERK (%) Time (min) 100 ? 80 60 40 20 0 0 10 20 30 40 50 60 Time (min) Inactivation is constant NGF刺激の速度を変えてみると NGF stimulation NGFの最終濃度(強度) → 持続性ERKの活性化 Rap1とRasのシンプルモデル 違いはたった一つ SOS Ras:さっきと同じ GEF GEFi TrkA pR GAPi Rap1 GEFi TrkA pR Rasi Ras Ras GAP RasGAP 刺激依存 C3G GEF Rap1i Rap1 Rap1 GAP (constant) Rap1GAP 刺激非依存 RasとRap1の定常状態 Ras Ras Rap1 1 1 pR 1 pKe 1 p pR pR Rap1 (1 Ke) pR Ke 1 1 1 Ke 0.1 0.01 Ras 0.001 0.001 0.01 1 pKe 0.1 pR 0.1 0.01 1 1 10 100 1 1 Ke Rap1 Ras 1 Rap1 0.001 0.001 0.01 0.1 pR pR Ke 1 10 100 RasとRap1経路の特性の違い ステップ ランプ パルス 刺激 t t 速い、遅い時間成分 t 速い時間成分 遅い時間成分 Ras-like system (微分回路) Rap1-like system (積分回路) t t t t t t 刺激の時間パターンに情報が入っていた! 活性化ERKの時間情報デコーディング Growth factor 刺激の時間情報 Ras/Rap1 Encoder 広い意味での周波数応答 ERK ERKへのエンコード Decoder1 ON gene A Decoder2 OFF gene B OFF gene A 増殖 ベースの変動で増殖したくない ON 下流でのデコード gene B 分化 異なる現象(増殖と分化) ノイズで分化したくない TAKE HOME MESSAGE 分子は媒体 分子自体は情報ではない! 分子は媒体 電磁波 周波数、振幅 空気振動 音楽、ニュース 分子やネットワークは媒体 →情報を伝えるもの 成長因子 時間波形 シグナル分子波形 分子の「変動パターン」が情報細胞増殖 →分子ネットワークの上を伝わるもの 細胞分化 シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 4日目 時間パターンに対する選択的応答 5日目 スイッチ応答とメモリ 6日目 振動現象 大腸菌lacオペロンの双安定性 • 大腸菌は糖の濃度 を記憶する • ポジティブ・フィード バックで記憶する • 協調作用 Ozbudak et al. (2004) Nature 記憶(Hysteresis)のある(ない) スイッチ応答 記憶ありスイッチ (ポジティブフィードバックなし) 記憶なしスイッチ (ポジティブフィードバックなし) 20 x 10 -3 0.8 15 y (LacY-GFP) y (LacY-GFP) 0.7 10 5 0 0 20 40 60 80 100 time 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 ヒステリシスなし -5 0.6 120 0 ヒステリシスあり 0 20 40 60 80 100 time 120 シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 4日目 時間パターンに対する選択的応答 5日目 スイッチ応答とメモリ 6日目 振動現象 ネガティブフィードバックのみ Repressilator 入力 Repressilator Michael B. Elowitz & Stanislas Leibler ,2000,Nature 39 ポジティブ+ネガティブフィードバック Action potential (活動電位) Hodgkin Huxley model ↓ FitzHugh-Nagumo model Stim. elec Recd. elec ボトムアップ 時間情報コード (ローカル) 動作原理 縮約(単純化) トランスオミクス (グローバル) 今回の実習はボトムアップ トップダウン 最先端ではトップダウンも組み合わせる 生体のホメオスタシス(恒常性) インスリン作用のシステム生物学 1.トランスオミクス ローカル グローバル 2.時間情報コード インスリンの作用と標的臓器 インスリンの放出 炭水化物の全身での代謝を制御 グリコーゲン合成、糖新生、タンパク質合成 血糖を下げる唯一のホルモン インスリンが作用できなくなると糖尿病に インスリン作用のシステム生物学 個別の実験結果を人手で 自分の頭の中で再構築 それをマンガで表現 木を見て森を描く インスリン作用のシステム生物学 個別の実験結果を人手で 自分の頭の中で再構築 それをマンガで表現 ハイスループットに大量計測 計算機を使って再構築を自動化 ルールに基づき表現 これから 木を見て森を描く 森を描いてから木を見る インスリン作用の全貌 インスリン Phospho-proteome シグナル伝達 リン酸化 アロステリック 制御 代謝物 トランスオミクス解析による インスリン作用経路の自動同定 インスリン ④ リン酸化プロテオミクス ③ 1. 代謝物 2. 境界酵素 3. 境界酵素のリン酸化 4. インスリンから境界酵素ま での経路同定 5. 代謝物によるアロステリッ ク制御 メタボロミクス 48
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