ルーティング (経路制御) 2003年12月18日 情報ネットワーク論 新村太郎 プロトコル階層モデル OSI参照モデル TCP/IP プロトコル, アプリケーション, 規格など アプリケーション層 HTTP, SMTP, FTP, TELNET, etc. トランスポート層 トランスポート層 TCP, UDP ネットワーク層 インターネット層 IP (v4, v6), ICMP, ARP ネットワーク インターフェース層 Ethernet, FDDI, ATM アプリケーション層 プレゼンテーション層 セッション層 データリンク層 物理層 IP • IPパケット IPヘッダ IPヘッダ TCPヘッダ アプリケーション データ データ アプリケーションデータと上位のプロトコルの ヘッダ(TCPヘッダ)をデータとして扱う IP • IPv4ヘッダ データ IPヘッダ 32ビットごと 0 8 バージョン ヘッダ長 16 サービスタイプ 識別子 TTL(生存時間) 24 パケット長 フラグ プロトコル フラグメントオフセット ヘッダチェックサム 送信元IPアドレス あて先IPアドレス オプション(可変長) パディング 31 • IPv6ヘッダ 0 8 バージョン 優先度 ペイロード長 IP 16 24 31 フローラベル 次ヘッダ 送信元IPアドレス あて先IPアドレス IPv6拡張ヘッダ(オプション・可変長) 中継限界数 IPの役割 • IPアドレスを使用してネットワーク上で識別 • IPアドレスを使用してネットワーク上でグ ループを形成 • IPアドレスをたよりにしてあて先へ届ける → 経路制御(ルーティング) 道順(経路)の決め方 1. あらかじめすべての道順を決めて出発する → 自立航行 2. 行った先々の案内をあてにする → 他力本願 3. 両方をうまく使い分ける ☆IPでは 2 の方法で道順(経路)が決められる 誰が(何が)案内をしてくれる? 1 ルータ(経路制御機能を持ったネットワーク機 器)がパケットのIPヘッダの“あて先IPアドレ ス”を見て最適な方向へ案内する ネット ワーク 1 ルータA パケット ネット ワーク 2 ネット ワーク 3 誰が(何が)案内をしてくれる? 2 ルータ(経路制御機能を持ったネットワーク機 器)がパケットのIPヘッダの“あて先IPアドレ ス”を見て最適な方向へ案内する ネット ワーク 1 どっちに行った らいい? ルータA ネット ワーク 2 ネット ワーク 3 誰が(何が)案内をしてくれる? 3 ルータ(経路制御機能を持ったネットワーク機 器)がパケットのIPヘッダの“あて先IPアドレ ス”を見て最適な方向へ案内する ネット ワーク 1 あて先IPアドレ スは・・・ ルータA ネット ワーク 2 ネット ワーク 3 誰が(何が)案内をしてくれる? 4 ルータ(経路制御機能を持ったネットワーク機 器)がパケットのIPヘッダの“あて先IPアドレ ス”を見て最適な方向へ案内する ネット ワーク 1 ルータA ネット ワーク 4 ネット ワーク 3 それならとり あえずネット ワーク3の向 こうのルータB へ 誰が(何が)案内をしてくれる? 5 ルータ(経路制御機能を持ったネットワーク機 器)がパケットのIPヘッダの“あて先IPアドレ ス”を見て最適な方向へ案内する ネット ワーク 1 ルータA ネット ワーク 4 ネット ワーク 3 誰が(何が)案内をしてくれる? 6 ルータ(経路制御機能を持ったネットワーク機 器)がパケットのIPヘッダの“あて先IPアドレ ス”を見て最適な方向へ案内する ネット ワーク 1 ルータA ネット ワーク 4 ネット ワーク 3 誰が(何が)案内をしてくれる? 7 ルータ(経路制御機能を持ったネットワーク機 器)がパケットのIPヘッダの“あて先IPアドレ ス”を見て最適な方向へ案内する どっちに行った らいい? ルータB ネット ワーク 4 ネット ワーク 3 ネット ワーク 5 ルータ 異なるネットワーク間にまたがって パケットの道案内をする 道案内(経路制御/ルーティング)に必 要な情報 ・・・ あて先のIPアドレス 経路の決め方 1. 経路表(ルーティングテーブル)に従う 2. 固定された経路表を用いる → 静的経路制御(スタティックルーティング) 3. 固定されていない経路表を用いる → 動的経路制御(ダイナミックルーティング) 動的経路制御 • デフォルトの経路上でトラブルが生じても自動的に 別の経路を探索 B B B A A A 静的経路制御 • デフォルトの経路上でトラブルが生じたら人間が経 路表を修正しない限り不通のまま B B B A A A 経路表 • • • • • • あて先IPアドレス あて先ネットマスク ゲートウェイのIPアドレス(次に受け渡す先) (自分と同じネットワーク内であることが条件) インターフェース(どのネットワークインター フェースから出て行くか) メトリック(優先度) これらをまとめて“経路情報” 経路表 • 静的経路制御は手動で経路表を作成する • 動的経路制御は、ルータどうしが経路情報を 交換し合って、常に最適な経路を決める 経路表 1 ポート 2 11.1.1.1 10.1.1.1 ネットワーク 11.1.1.0/24 A 11.1.1.10 パソコン ルータ 1 1 ポート 2 10.1.1.2 12.1.1.2 ポート ポート ネットワーク 10.1.1.0/24 ルータ 2 3つのネットワーク 11.1.1.0/24 10.1.1.0/24 12.1.1.0/24 の間に2つのルータがある場合 ネットワーク 12.1.1.0/24 B 12.1.1.10 パソコン 経路表 • インターフェースが1つのPCの経路表 1 ポート 2 11.1.1.1 10.1.1.1 ネットワーク 11.1.1.0/24 パソコン A ルータ 1 ポート 2 10.1.1.2 12.1.1.2 ポート ポート ネットワーク 10.1.1.0/24 1 ルータ 2 ポート1 ネットワーク 12.1.1.0/24 B 12.1.1.10 パソコン 11.1.1.10 あて先 IPアドレス あて先 ネットマスク ゲートウェイ インターフェース メトリック 0.0.0.0 0.0.0.0 11.1.1.1 ポート1 1 とにかく、ルータ1のポート1に相当する 11.1.1.1 のIPアドレスに送って、後は ルータに何とかしてもらう 特定のゲートウェイ以外に“とりあえず”送って何とかしてもらう先・・・デフォル トゲートウェイ(0.0.0.0で表現する) 経路表 • ルータ1 の経路表 1 ポート 2 11.1.1.1 10.1.1.1 ネットワーク 11.1.1.0/24 A 11.1.1.10 パソコン ルータ 1 ポート 2 10.1.1.2 12.1.1.2 ポート ポート ネットワーク 10.1.1.0/24 1 ルータ 2 ネットワーク 12.1.1.0/24 B 12.1.1.10 パソコン あて先 IPアドレス あて先 ネットマスク ゲートウェイ インターフェース メトリック 10.1.1.0 255.255.255.0 connected ポート2 1 11.1.1.0 255.255.255.0 connected ポート1 1 12.1.1.0 255.255.255.0 10.1.1.2 ポート2 1 経路表 • ルータ2 の経路表 1 ポート 2 11.1.1.1 10.1.1.1 ネットワーク 11.1.1.0/24 A 11.1.1.10 パソコン ルータ 1 ポート 2 10.1.1.2 12.1.1.2 ポート ポート ネットワーク 10.1.1.0/24 1 ルータ 2 ネットワーク 12.1.1.0/24 B 12.1.1.10 パソコン あて先 IPアドレス あて先 ネットマスク ゲートウェイ インターフェース メトリック 10.1.1.0 255.255.255.0 ? ? 1 11.1.1.0 255.255.255.0 ? ? 1 12.1.1.0 255.255.255.0 ? ? 1 経路表 • メトリック ルータ3からパソコンAのネットワークへ行く には2通りあるが近い順に優先度を付ける ルータ 1 ルータ 1 ポート 2 10.1.1.2 12.1.1.2 ポート 1 ポート 2 11.1.1.1 10.1.1.1 ポート ネットワーク 11.1.1.0/24 3 14.1.1.1 3 13.1.1.1 ポート A 11.1.1.10 パソコン 2 ネットワーク 12.1.1.0/24 ポート 1 14.1.1.2 ルータ 3 ポート B 12.1.1.10 パソコン 2 13.1.1.2 ポート パソコンAのネットワークに対するルータ3の経路表 あて先 IPアドレス あて先 ネットマスク ゲートウェイ インターフェース メトリック 11.1.1.0 255.255.255.0 14.1.1.1 ポート1 1 11.1.1.0 255.255.255.0 13.1.1.1 ポート2 2 経路表 ネットワーク 11.1.1.0/24 • デフォルトゲートウェイ インターネットに接続されている場合、経路表にイン ターネット上のすべてのネットワークへの経路表を書く ことは不可能 ルータ 1 ルータ 2 ポート 1 ポート 1 ポート 2 ポート 2 10.1.1.2 12.1.1.2 ネットワーク 11.1.1.1 10.1.1.1 12.1.1.0/24 3 14.1.1.1 3 13.1.1.1 ポート A 11.1.1.10 パソコン 1 14.1.1.2 ポート 自分の最寄りの ネットワーク以外 に接続するため に、とりあえず接 続すれば良い ゲートウェイ ポート ルータ 3 2 13.1.1.2 B 12.1.1.10 パソコン ポート ルータ1にとっては 14.1.1.2 ルータ2にとっては 13.1.1.2 インターネット 動的経路制御の実現・・・ルーティングプロトコル • 静的経路制御は手動で経路表を作成する • 動的経路制御は、ルータどうしが経路情報を交 換し合って、常に最適な経路を決める ↓ 経路情報の交換の方法 静的な経路を決める判断方法 を決めたもの・・・ルーティングプロトコル ルーティングプロトコル • IGP Interior Gateway Protocol – 同一のルーティングプロトコルを用いて自律し た経路システムを持つ自律システム (Automonous System: AS)内で使用される – RIP, RIP2, HRLLO, OSPF など • EGP Exterior Gateway Protocol – 異なったAS間のルーティング情報の交換を行 う – BGP など ルーティングプロトコル • IGP 例 RIP (IGP) RIP (IGP) RIP (IGP) AS AS内ではすべて同 じ種類のIGPで動 作している必要が ある ルーティングプロトコル • EGP BGP (EGP) AS(RIP2 ) AS(RIP ) BGP (EGP) BGP (EGP) AS (OSPF) RIP Routing Information Protocol • 初期から使用されている単純なルーティングプロ トコル • 通過するルータの数(ホップ数)をネットワーク上 の距離として最短ルートを経路として選ぶ(ディス タンスベクタ方式) • 隣接するルータどうしが定期的に経路情報を交 換し合う(ブロードキャストとしてネットワークに流 す) • ホップ数が15を超えるネットワークには無限の距 離として到達できないと扱う • 他のIGPはRIPを改良して作成されている ルータ • ルーティングプロトコルを実装したソフト ウェアを動かすことによってPCでもルータ として動作する • 大規模なネットワークでは専用の機器が用 いられることが多い • SOHO(Small Office Home Office)や家庭 では無線、モデム機能等を備えた安価な 多機能ルータが普及
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