血管と理学療法

血管と理学療法
担当:萩原 悠太
2010.09.11 勉強会
目次
◆ 血管の種類、機能
◆ 血管と理学療法
・ 動脈硬化
・ 運動療法
・ 予防
2010.09.11 勉強会
血管
大血管(弾性血管)
ウィンドケッセル機能
末梢血管(抵抗血管)
血管抵抗を調節
毛細血管(交換血管)
物質交換,ガス交換
静脈(容量血管)
貯血機能
2010.09.11 勉強会
大血管
血管の中膜において平滑筋の割合が少なく,
エラスチンなどの弾性線維を多く含む
ウィンドケッセル機能
拡張期
収縮期
収縮期血圧の緩和,拡張期血圧の維持
point
➢
ウィンドケッセル機能の破綻 ⇒ 収縮期血圧の上昇
2010.09.11 勉強会
末梢血管
中膜に平滑筋を多く含み,筋収縮によりを末梢の抵抗を調節する
自律神経系や体液性因子により血管の緊張をコントロールする
末梢血管抵抗以外の血圧調節因子
➢ 循環血液量の調節 ⇒ 腎機能(体液性),自律神経機能
➢ 心拍出量の調節
⇒ 自律神経機能
2010.09.11 勉強会
➢血管に関する理学療法の対象疾患
心疾患,大血管疾患(大動脈解離,解離性大動脈瘤,など)
動脈硬化性疾患,末梢血管疾患(バージャー病など),etc
脳卒中
動脈硬化
冠動脈疾患
閉塞性
動脈硬化症
2010.09.11 勉強会
動脈硬化
器質的変化
・ 血管壁硬化,内膜肥厚
正常
血管内皮機能障害
脂肪線条
粥状プラーク
狭心症
一過性脳梗塞
閉塞性動脈硬化
機能的変化
・ 血管緊張性亢進
・ 血管伸展機能低下
プラーク破裂
血栓形成
心筋梗塞
脳卒中
2010.09.11 勉強会
内皮機能
血管の緊張や血液凝固系の調節,炎症や免疫の制御などを行う
・ NO
⇒ 血管拡張
・ エンドセリン ⇒ 血管収縮
➢ 内皮機能障害
加齢
運動不足
内皮機能障害
動脈硬化の進行
高血圧
糖尿病
脂質異常症
喫煙
NO産生↓,エンドセリン↑ ⇒ 血管緊張性亢進
凝固系亢進,平滑筋の内膜遊走を誘発,プラーク脆弱性亢進
2010.09.11 勉強会
細胞レベルでの動脈硬化
2010.09.11 勉強会
運動療法効果
血管への効果
➢ 機能的変化(内皮機能)
NO(血管拡張因子)増加,エンドセリン(血管収縮因子)低下
➢ 器質的変化
血管壁の弾性線維増加
※ただし動物実験での検証のみ
危険因子の是正
➢ 高血圧
安静時血圧の低下,同強度下での運動時血圧低下
➢ 脂質異常症
LDL,TGの低下ならびにHDLの増加
➢ 糖尿病
血糖値改善
➢ 肥満改善
2010.09.11 勉強会
一次予防
➢ 問題点は自覚症状のないこと
動脈硬化の危険性ならびに定期健診の重要性の啓蒙が必要
危険因子の把握
運動不足
高血圧
糖尿病
脂質異常症
喫煙
Matsuda .et al:
Effects of Exercise and Physical Activity on
Prevention of Arteriosclerosis (2005)
2010.09.11 勉強会
再発予防
➢ 危険因子の是正
運動療法,食事療法,薬物療法,ライフスタイル改善を含めた
包括的なアプローチを行う
➢ 心筋梗塞二次予防に関するガイドライン
・ 1回最低30分,週3回~4回(できれば毎日),歩行・走行・サイクリングなどの
有酸素運動を行う
・ 日常生活の中の身体活動(通勤時の歩行,家庭内外の仕事)を増やす
➢ 二次予防に向けた目標値
血圧
LDL-C
脂質異常症 HDL-C
TG
HbA1c
糖尿病
BMI
140/90mmHg未満
100mg/dl未満
40mg/dl以上
150mg/dl未満
6.5%未満
18.5~24.9kg/m2
身体活動量の目安
急性期:4147歩/週
回復期:7893歩/週
維持期:9252歩/週
2010.09.11 勉強会
まとめ
・ 血管は箇所により機能,構造が異なる
・ 動脈硬化性疾患において,退院・社会復帰を帰結としての介入とともに
再発予防の視点を持つことが重要である
・ 一次予防,再発予防ともに危険因子の把握し,運動療法・食事療法・
患者教育を含めた包括的なアプローチを行う
2010.09.11 勉強会