結婚意識調査

December,2007
Wedding market report
業界をリードするプロフェッショナルに聴く
式場再生事業の最先端
interview vol.2
Reported by kumi nishio
ゲストハウスの台頭以来、
婚礼会場業界はまさに戦国時代。
いま、ホテルが熱い!!
ホテルの本来の強み“ホスピタリティ”
を、ウエディングに活かし続ける、
最前線を探る。
顧客獲得競争が加速する中、現在の式場運営は
まさに戦国時代。
生き残りをかけた改革が急速に進んでいます。
ゲストハウスタイプの式場シェアが年々高まる中、
既存の会場の取り組みは?
会場タイプ別シェアではもっとも多い「ホテル」でも、
どんどん現場改革がどんどん進んでいます。
第2回のWedding Market Reportでは、
開業以来10年にわたり京都地区のウエディングトップ
会場であり続ける「ホテルグランヴィア京都」の統括支
配人伊藤保さんにお話を伺います。
●
第2回インタビュー
ホテルグランヴィア京都
宴会部
統括支配人 伊藤保さん
ゲストハウスウエディングを中心
とした最近の婚礼市場動向
「披露宴シェア推移」
1990年代後半から出現したゲストハウス
ウエディングは2003年~シェアパーセン
テージに数字が現れるほどの増加率に。
対するホテルウエディングはシェア40%
前後にまで減少傾向。いま個々のさまざ
まな取り組みが繰り広げられています。
みずほ銀行2006年度の日本産業動向資料より抜粋。
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interview vol.2
式場事業再生 この人に聴く
ホテルグランヴィア京都 宴会部統括支配人
伊藤 保さん
●第2回目のインタビュー登場は、開業以来京都エリアでNO1の挙
式組数を10数年にわたって続ける「ホテルグランヴィア京都」の
宴会部統括支配人
伊藤 保(いとう
たもつ)さん にお話を伺いました。
●profile
株式会社ジェイアール西日本ホテル開発ホテルグランヴィア京都
宴会部宴会統括支配人。ブライダルをメインで担当しつつも、マーケ
ティング本部レベニューマネージャーとして、宴会全般についての収
支管理および戦略立案を担当し1日あたりの宴会場の収益をいかに
最大化するかをテーマに予約のコントロールを行う。またカンパニー
統括部兼務として広島、岡山、大阪、和歌山などグループ会社の宴
会部門の管理と婚礼勉強会の講師を兼務する超多忙人。
社外では京滋奈B.M.C.会長(京都・滋賀・奈良県)、京都地区の
Change Bridal!リーダー。全日本ブライダル協会シビルウエディン
グ委員会関西支部長。昨夏東京ビックサイトで開催されたブライダル
産業フェアでは、桂由美氏とともにシビルウエディングの講演を実施。
ずっとホテル事業に携わる同氏。1997年のホテルグランヴィア京都
の開業に参加、以来10年間ブライダルに携わる婚礼業界の有名人。
●97年のホテルグランヴィア京都の開業以来、ずっと同ホテルのウエディングに携わっていらっしゃる
伊藤さんに、ホテルのウエディング事業についてお伺いします。
御社は開業以来、京都の市場で常に、売上、組数、平均客単価、ともにNO1を続けていらっしゃいます。
他エリアでは、ホテルという業態でこの三冠を達成しているところは非常に少ないのですが、
その成功の秘訣は何だとお考えですか?
開業当初は、オープン景気と駅立地という好条件が重なり、組数が伸びました。
当然、市内の各ホテルが料金を下げたり、施設を改修したりという攻勢にでてきました。
その時、あえて同じ土俵に乗らず(安いプランを作らず)、お客さまのニーズを見つめ直した戦略が良かったの
だと思います。
具体的には、年4回のブライダルフェア(現在は年2回)では必ず、新商品を発表することを続けました。
開業5年目には、それまであった「プラン」を廃止し「カスタムメイドウエディング」に方向性を切り替えました。
プランというのは企業側が都合いようにつくったもの。
グランヴィアはお客さまに都合がいいものを考えたということです。
その結果が、現在も続いているプロポーザーシステム。
どこのホテルも理想と考えながら実行できない、新規接客から披露宴当日まで、
一人の担当者が打合せをするシステムです。これを実行したことで、ひとつひとつの披露宴に対する
スタッフの責任感が強くなった。お客さまのリクエストにもノーを言わなくなった。
そして、商品を押し売りするのではなく、お客さまが欲しいものを提供するにはどうしたらいいか
という考え方に立ったのです。
その結果、客単価がアップした。
あくまでも私たちの目的は、「お客さまが欲しいもの、お客さまにとっていいものを提供すること」であって、
「単価を上げること」ではないのです。
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ホテルグランヴィア京都 宴会部統括支配人
伊藤 保さん
なるほど。お客様のためを考えたら自然に客単価が上がり、組数も上がったという相乗効果が御社の業績拡大
につながっているわけですね。そのほかにもお客様のニーズを汲み取ったいろいろなサービスで数字にもつな
がっているように思うのですが・・?
ハード面では、開業5周年を記念して完成した「ベルモニュメント~出発(たびだち)のプリエ」と新婦の魅力を最
大限に引き出すシステム「ブライズ・ビューティー」があります。
ベル・モニュメントは組数増に大きな貢献をしています。
(※ベルモニュメント=同ホテルの入る京都駅ビルの大階段でのベルセレモニー)
京都駅の中央コンコースから見上げるといつでも見えるので、いつまでも思いでの場所「お二人の聖地」となっ
てくれる。ブライズ・ビューティーはパーソナルカラー診断から始まり、衣裳の相談、会場コーディネートや ヘ
アーメイクのアドバイスまで行い、「披露宴当日、一番ステキなあなたがそこにいる」というのがウリです。
お客さまのこだわりを最大限に受け入れるためにはパックやプランは障害となると考えており、
今後も作る予定はありません。
成功のヒケツとかぶる質問かもしれませんが、伊藤さんが考えるホテルグランヴィア京都の強みは何でしょう
か?
パートナーと言われる衣裳室・美容室・装花・音響などの方々とのコミュニケーションが強いことです。
フェアの打合せではホテルの意向を聞くだけでなく、自分達ができることを考えて提案してくれます。
また、パートナー同士がコラボレートして新しい商品を生み出す仕組みもできています。
そして、何よりもソフト力。
ホテルグランヴィア京都のプロポーザーは、市場変化を感じるセンス、トレンドに対して鋭い嗅覚、意外性のある
創造(アイデア)力をもっています。そのための教育には時間を惜しまず費やします。
この教育の具体的内容は秘密です(笑)。
残念!機会があったらまたぜひ教えてください。ところで、伊藤さんにぜひお伺いしたいのが、
ホテルウエディングについてです。ホテルは一時期、特にハウスウエディングに押されて斜陽とまで
言われたことがありますが、逆にいまは見直されている傾向にもあるように感じています。
伊藤さんが考えるホテルウエディングの本当の強みは何でしょうか?
挙式に関しては、神前式場がある、挙式が選べる、挙式の自由度が高いなど。
披露宴会場については、音響照明が充実している、演出の自由度が高い、会場のバリエーションが少人数から
大人数まで対応できるなど。料理については、料理人の数が多いので、温かい料理を温かいうちに出せる、
和洋中折衷が可能など。演出は照明が充実していて、スクリーンも大型が可能。
他、控室や着替え室で「ゆとり」が感じられる。宿泊施設がある。ロビーというお客さまを迎える空間がある。
部門ごとのプロがいるなど。
私は、ハウスはサービス業(企業側の都合)、
ホテルはホスピタリティー産業(お客さまの都合)と考えています。
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ホテルグランヴィア京都 宴会部統括支配人
伊藤 保さん
ホテルグランヴィア京都では常にいろいろな斬新なソフト面でのサービスを展開されてきましたが、
いま新しく提案されていることは何ですか?
披露宴では、映像を中心にした商品の開発を進めています。挙式は、シビル式のスタイルを増やす予定です。
今年は、ベビーリング、ダズンローズのほか、舞妓さんを呼んでの挙式をしました。
伊藤さんは御社事業以外にも、他ホテルのウエディング事業のコンサルティングにも力を入れていらっしゃいますが、
いま手がけていらっしゃること(差し支えなければ会場名なども)を教えてください。
コンサルというほどのものではありません。
以前は、東京全日空ホテルでグランヴィアの件数、売上、客単価維持の秘訣を話しました。
東急ホテルズのブライダルセミナーで講義をしたこともあります。
今は、自社の講義をしています。ホテルグアンヴィア広島、岡山、和歌山、大阪などで、カンパニー統括部としての
仕事で「成約率アップセミナー」「感性の接客術」「ホスピタリティー論」などが主なテーマです。
全日本ブライダル協会ではシビルウエディング委員会の関西支部長になっていますが、
シビルウエディングをもっともっと世の中に認知させたいと思っています。
日本国内には正式な外人牧師(本国から給料をもらって布教に来ている牧師)
は500人程度しかしません。
つまり、外人牧師のほとんどはニセモノなのです。
そのニセモノの牧師に挙式を行なってもらうことが本当にいいのでしょうか?
結婚式で終わりなら、ニセモノ牧師でもよいでしょう。
私は、結婚式を挙げたホテルとして一生、責任があると思っています。
だから、カップルには本物の結婚式をして欲しいのです。
そう思ってシビルウエディングを行なっています。
今年は100件を越えました。全体の15%を占めています。
その関係でブライダル産業フェアには桂由美さんに呼ばれました。
シビルウエディングのセミナーではほとんど講義をしています。
↑シビルウエディング(人前式)
のミニスターとして、
年間100組近くの挙式を行う
伊藤保氏。
シビルウエディングが何故受け入れられているのかとか、どうやって認知してもらうかなどのテーマです。
あとは、相変わらずチェンジブライダル(=京都滋賀地区のホテル有志の若手の集まり)で他ホテルの若手の相談に
のっています。京滋奈B.M.C.の会長としては京都滋賀のブライダルの活性化が目標です。
他社やグループ企業にコンサルティングで具体的にされることを教えてください。
事例をあげることのほうがわかりやすいと思うので、総論はなるべく簡単にすませ、事前に問題点や実際に困って
いることを聞いたうえで講義の内容を考えます。
①接客方法(成約率をアップ)②来館者を増やす方法③新商品を生み出す力を身につける方法(客単価アップ)
やはり、一番大事なのは人なので、ソフト力をつけることをテーマに講義をし、自信をつけてもらいます。
その会社の経営者には、モチベーションを保つことだけを考えてもらうようにしています。
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ホテルグランヴィア京都 宴会部統括支配人
伊藤 保さん
これからますますウエディング会場市場は激戦になっていきますが、
本当に残る、強い会場とはどんな会場でしょうか?
アイデア力がある会場。ハードではなく、ソフトで勝負する会場。実行するスピードが速い会場。失敗を怖れな
い会場。そして結婚式を挙げた施設として責任を感じることができる会場。
ホスピタリティーを理解している会場=ホテル。
つまり、結婚後もホスピタリティーのあるライフサイクルの中で利用が可能なホテルが強い会場だと思います。
ホテルの本来のホスピタリティが発揮されればこれほど強いことはないですね。
その中で、これから会場運営で生き残るために手がけていかねばならないことは何でしょうか?
いい披露宴をつくること。
列席者が結婚式ってこんなに素晴らしいものだと感動するようなものをつくること。
そのためには、やはり人の育成が大事です。
私は会社の役職制とは別に、ステップアップのCDP(キャリアデベロップメントプログラム)を部で独自につくり、
個人に目標を与える仕組みを作っています。
最後に、伊藤さんご本人の今後の抱負をお聞かせ下さい。
ブライダルに携わるものとして:京都で結婚式をしたいというカップルを増やすこと。
海外のお客さまに京都で結婚式をあげていただくこと。
「きっと幸せになれるホテル」になること。
また、今グループの中の問題を抱えるホテルの再生を取り組みたいと思っています。
キーワードは「ソリューション」です。
長い時間本当にありがとうございました。これからもいいウエディングを提供してください。
↑ホテルグランヴィア京都
駅ビルの中に位置する同ホテルの有名なセレモニー、“ベルモニュメント~出発(たびだち)のプリエ”